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合格者ストーリー2026-07-29

【合格者リレー③】52歳、1年目は8点差で不合格。元銀行員が2度目の挑戦で掴んだ合格

地方銀行に30年勤めた修さん(54歳)が、52歳から学習を始めて1年目は172点で不合格、敗因分析から学習法を全面的に見直して2度目で合格するまでの記録。50代特有の壁、記述式で20点伸ばした型、開業後の現実を語ります。

#合格者ストーリー#50代#再受験#敗因分析#セカンドキャリア
修

合格者リレーブログ 今回の語り手

54歳・元銀行員・早期退職して相続専門で独立

地方銀行に30年勤めた元融資担当。セカンドキャリアを見据えて52歳で学習を開始し、1年目は8点差で不合格。敗因分析から学習法を全面的に見直し、2度目の挑戦で合格。退職後、銀行時代の人脈を活かして相続・遺言専門の事務所を開業した。

修と申します。54歳、地方銀行に30年勤めたあと早期退職し、いまは相続・遺言を専門に事務所を開いています。行政書士試験には2回目で合格しました。1年目は172点。合格ラインまで8点足りませんでした。この記事では、その8点をどう埋めたのかを中心に書きます。同じように一度落ちた方に、少しでも参考になればと思います。

52歳で勉強を始めた理由

銀行では融資を担当していました。50歳を過ぎたあたりから、役職定年後のキャリアが現実的な問題として見えてきます。関連会社に出向して数年勤めて終わり、という道筋が、なんとなく見えてしまった。それが嫌だったというより、自分で選んだ道ではないことが引っかかりました。

もう一つ、仕事の中で感じていたことがあります。融資先の経営者から、事業承継や相続の相談を受けることが年々増えていました。銀行員として答えられる範囲には限界があり、専門家につなぐしかない。そのたびに「自分がその専門家だったら」と思っていました。

行政書士を選んだのは、相続・遺言の分野で独立でき、かつ年齢が不利になりにくい仕事だと考えたからです。この業界では50代開業は決して遅くありません。むしろ、これまでの職歴が信用になります。

50代は、いちばん多く挑んで、いちばん報われにくい年代です

あとで知って驚いた数字があります。直近の試験で、50代の受験者は12,330人。全年代でもっとも多く、40代より多いのです。ところが合格率は11.72%で、全体平均の14.54%を3ポイント近く下回ります。20代・30代の合格率が18〜19%であることを考えると、その差は小さくありません。

この数字を見たとき、私は落ち込むよりも納得しました。1年目に落ちた自分は、統計どおりの結果だったのだと。そして同時に、勝つためには20代と同じやり方ではだめだということもはっきりしました。

1年目:真面目にやったのに、172点だった

1年目は、平日2時間・休日4時間と、それなりの時間を確保しました。学習時間は年間で約700時間。市販のテキストを3周読み、過去問も解きました。手応えもそれなりにありました。

結果は172点。8点差です。内訳はこうでした。

区分得点振り返り
法令等・択一(40問中25問正解)100点知っているはずの分野で落としていた
多肢選択式14点語群から選ぶ形式に慣れていなかった
記述式14点ほぼ書けなかった。最大の失点源
基礎知識(14問中11問正解)44点ここは問題なかった
合計172点法令等は122点をクリア。総合で8点不足

結果通知を見たとき、真っ先に思ったのは「あと1問」でした。択一で2問取れていれば受かっていた。惜しい、という感情でしばらく止まっていました。

ですが、冷静に見れば記述式で60点中14点しか取れていません。惜しい負け方ではなく、明確な穴があった負け方でした。ここを認めるのに、2週間ほどかかりました。

敗因分析でわかった、3つの誤り

年が明けてから、1年目の学習を丁寧に振り返りました。出てきたのは、次の3つです。

誤り1:読んだ回数を、理解した量と勘違いしていた。テキストを3周したことに満足していましたが、3周目はほとんど「知っている文字を目で追う」作業になっていました。読むと安心するので、読む時間ばかり増えていたのです。

誤り2:記述式を「最後にやるもの」だと思っていた。択一の知識が固まってから記述式に入ろうと考え、結局9月まで手をつけませんでした。2ヶ月では、書く力は身につきませんでした。

誤り3:間違えた問題を放置していた。過去問を解いて丸つけをして、解説を読んで納得して、それで終わり。同じ問題を2ヶ月後に解いたら、また間違えていました。解いた問題数は多いのに、解けるようになった問題は増えていなかったのです。

2年目に変えたこと

2年目は、学習時間をむしろ減らしました。年間で500時間程度です。代わりに、やり方を全部変えました。

読む勉強をやめて、解く勉強に切り替えた。テキストは通読せず、問題を解いて間違えた箇所だけを読み返す形にしました。1年目は「インプット7・アウトプット3」でしたが、2年目は逆の「3・7」です。これが一番大きな変化でした。

間違えた問題だけを集めたノートを作った。といっても、書き写すのではありません。間違えた問題に印をつけて、週に1度その問題だけを解き直す。3回連続で正解できたら印を消す。この仕組みにしてから、解ける問題が目に見えて増えていきました。

記述式を2月から始めた。択一の知識が不十分でも構わないので、とにかく毎週2問書く。書けなくても、白紙のまま解答例を見る。これを10ヶ月続けました。

民法は図を描いてから解くようにした。これは前回のリレーでゆかりさんも書かれていましたが、私も同じ結論にたどり着きました。銀行員時代、融資の説明で相関図を描くのは日常業務でした。同じことを民法でもやればよかったのだ、と気づいたときは少し笑ってしまいました。

記述式で14点から34点に伸ばした「型」

いちばん質問されるところなので、詳しく書きます。私が記述式で伸びたのは、知識が増えたからではなく、書き方の型を決めたからです。

まず前提として、記述式は3問で60点、1問20点です。行政法から1問、民法から2問出ます。民法は択一が9問36点、記述が2問40点ですから、実は民法の得点の半分以上が記述にかかっています。この事実に気づいてから、民法の勉強の重心が変わりました。

解答欄は45マスあり、問題文には「40字程度で記述しなさい」「字数には句読点を含む」と書かれています。私は38〜43字に収めることを目安にしていました。問題冊子には下書き用のマス目もあるので、そこで字数を数えてから清書します。

型はこうです。この4つを順番に並べるだけで、形になります。

  • 誰が(主体):Aは、Bに対して
  • 何を根拠に(要件・条文):〜であるから/〜を理由として
  • どうする(法的効果):〜を請求できる/〜は無効となる
  • 手続の種類があれば明示:どの訴訟を、誰を被告として

もうひとつ効いたのが、問題文の言い回しをそのまま返すことです。「〜を請求することができるか」と聞かれたら「〜を請求することができる」で結ぶ。自分の言葉に置き換えようとすると、聞かれていることからずれます。

字数は自己診断にも使えます。40字に届かないときは、たいてい要素が足りていません。逆に大幅に超えるときは、聞かれていないことを書いています。私は書き終わったあと必ず字数を数え、35字を切っていたら「何が抜けているか」を考えるようにしていました。

それと、絶対に白紙で出さないことです。1年目、私は民法の1問を白紙で出しました。何も思い浮かばなかったからです。あとで解答例を見たら、書こうと思えば書けることが2つはありました。部分点は、キーワードが入っていれば拾える可能性があります。0点と数点の差が、8点差で落ちた私には決定的でした。

なお、記述式の採点基準は公表されていません。「択一の出来がいい年は記述の採点が厳しくなる」という話も受験界ではよく聞きますが、これを裏づける公式の資料はありません。確実に言えるのは「白紙にしない」「聞かれたことに正面から答える」という2つだけです。

50代の壁について、正直に書きます

年齢の話は避けて通れません。20代の頃と比べて、覚える速度は確実に落ちています。1回読んで覚えられることは、ほぼありません。

ただ、これは「不利」というより「前提」だと考えるようにしました。若い人が3回で覚えるなら、私は7回やればいい。時間で不利な分は、若い受験生より学習期間を長く取れることで埋められます。仕事の量も、若手ほど無理を求められません。

それより現実的に困ったのは、でした。老眼が始まっていて、小さい字のテキストを2時間追うと、ピントが合わなくなって頭に入らなくなります。これを「集中力が落ちた」と誤解して、自分は向いていないと落ち込んでいた時期がありました。

対処は単純で、勉強専用の眼鏡を作っただけです。手元の距離に合わせた度数のものを1本作ったところ、学習時間の後半の効率がまるで変わりました。あわせて、1回の学習を30分で区切るようにしました。長時間ぶっ通しは、もう体が受け付けません。

むしろ有利だと感じた点もあります。1つは、法律の背景にある「なぜこの制度があるのか」が理解しやすいこと。30年の社会人経験があると、行政手続法の趣旨も、民法の債権回収の話も、実際に見てきた景色と結びつきます。丸暗記ではなく理屈で覚えられるので、忘れにくくなります。

もう1つは、勉強を続ける忍耐力です。すぐに結果が出ないことに慣れているのは、年齢を重ねた人間の強みだと思います。

2年目の結果

2度目の本番は、194点でした。1年目から22点の上積みです。

区分1年目2年目
法令等・択一100点104点
多肢選択式14点16点
記述式14点34点
基礎知識44点40点
合計172点194点

伸びたのはほぼ記述式です。択一は4点しか上がっていませんし、基礎知識はむしろ下がっています。結局、私に足りなかったのは知識ではなく、知識を答案の形にする訓練でした。1年目に「あと1問」と思ったのは、見当違いだったわけです。

開業して2年。現実の話

合格後、退職して事務所を開きました。きれいごとではない部分も書いておきます。

まず、合格しただけでは仕事はできません。登録が必要で、登録免許税・登録手数料・入会金を合わせて25万〜35万円ほどかかりました。これに月々の会費も加わります。合格の喜びが冷めないうちに、それなりの出費が待っています。

最初の3ヶ月は、依頼が1件も来ませんでした。名刺を作り、ホームページを用意し、単位会の研修に通いましたが、電話は鳴りません。銀行の看板がなくなった自分に、誰も用がないのだという事実を、この時期に嫌というほど味わいました。

状況が変わったのは、銀行時代の同僚や取引先に「開業しました」と挨拶して回ってからです。1件目の遺言書作成の依頼は、かつての融資先の社長さんからでした。そこから紹介が少しずつつながり、2年目からは月に4〜6件のペースで相談が入るようになりました。

収入は、銀行員時代の6割程度です。日本行政書士会連合会の調査でも、年間売上高が500万円未満の会員が全体の8割近くを占めています。夢のある数字ではありません。ただ、支出も減りましたし、何より働く時間を自分で決められます。70歳を過ぎても続けられる仕事を持てたことが、いまは一番の安心材料です。

それと、開業直後は「ひよこ狩り」と呼ばれる勧誘の電話がよくかかってきました。ホームページ制作や、仕事を紹介するというコミュニティの案内です。銀行で与信を見てきた経験から怪しさは感じ取れましたが、不安な時期に優しい言葉をかけられると、判断が鈍りそうになる瞬間はありました。焦っているときほど、即決しないことです。

一度落ちた方へ

  • 「あと数点」という感想を疑ってください。惜しく見える点差でも、たいてい明確な穴があります。区分別の得点を並べれば見えてきます。
  • 読む勉強を減らして、解く勉強を増やしてください。テキストの周回数は、実力の指標になりません。
  • 間違えた問題を管理する仕組みを作ってください。解いた数ではなく、解けるようになった数を増やすことです。
  • 記述式は早く始めてください。2ヶ月では間に合いません。書けなくてもいいので、10ヶ月前から毎週書くことです。
  • 年齢を理由に諦めないでください。覚える速度は落ちますが、理解の深さと継続する力は上がっています。回数で補えます。目が疲れるなら、眼鏡を作ってください。

1年目に落ちたときは、正直もうやめようかと思いました。52歳で2年も費やして受からなかったら、それこそ何が残るのかと。それでも続けたのは、落ちた原因がはっきりわかったからです。原因がわかれば、対処できます。対処できるなら、次は変えられます。

受験回数の統計を見ると、合格者の平均は2.3回、中央値は2回だそうです。つまり一度落ちてから受かる人の方が多いのです。1回で決めなければならない試験ではありません。

いま結果が出ていない方も、まずは答案を並べて、自分がどこで落としたのかを見てください。そこから先は、意外と単純な作業です。

行政書士になる子ちゃん編集部

この記事の執筆

行政書士になる子ちゃん編集部

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