ガソリンタンク事件
道路工事と危険物移転費用
図解でわかる

事案の概要
争点
道路工事によってガソリンタンクなどの危険物をやむなく移転させられた場合、その移転費用は道路法70条1項が定める「損失補償」(国が工事で生じた不利益を埋め合わせる制度)の対象になるのか、というのがこの事件の争点です。
判旨
道路法70条1項の補償は、道路工事によって土地そのものが直接影響を受け、その利用や管理に支障が出た場合に限って認められます。この事件では、ガソリンタンクの移転が必要になったのは、道路工事が原因ではあるものの、もともと危険物の安全基準(警察法規)に違反した状態だったことが根本的な原因です。裁判所は、このような「間接的な損失」は補償の対象にならないと判断しました。つまり、「工事のせいで困った=必ず補償される」わけではなく、工事が直接の原因で損失が生じた場合でなければ補償は受けられない、ということです。
判決
道路法70条1項の定める損失の補償の対象は、道路工事の施行による土地の形状の変更を直接の原因として生じた隣接地の用益又は管理上の障害を除去するためにやむをえない必要があつてした通路、みぞ、かき、さくその他これに類する工作物の新築、増築、修繕若しくは移転又は切土若しくは盛土の工事に起因する損失に限られ、道路工事の施行の結果、危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことを内容とする技術上の基準を定めた警察法規に違反する状態を生じ、危険物保有者が右の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされたことによつて被つた損失は、右補償の対象には属しない。
関連法令の解説
憲法29条3項(正当な補償)と道路法70条1項(道路工事による損失補償)に関する判例です。道路工事で損害を受けた場合、どこまでが補償対象になるかが争われました。
身近な例え
隣の家が建て替えで高くなり、自分の家の日当たりが悪化した場合、建て替え費用は請求できないのと似ています。直接的な損害ではないからです。
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
【試験対策ポイント】 ①道路法70条1項の補償対象は「道路工事により土地の形状が直接変更され、土地利用・管理に支障が生じた場合」に限定 ②警察法規(危険物取締法等)違反状態の解消費用は「間接的損失」であり補償対象外 ③道路工事が原因であっても、すべての損失が補償されるわけではない ④直接的損失と間接的損失の区別が重要 ⑤結論:棄却(補償請求は認められない)
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