ロゴ行政書士になる子ちゃん
A憲法精神的自由

孔子廟訴訟

最高裁判所2021-02-24最判令3.2.24
政教分離原則孔子廟使用料免除宗教的活動社会通念による総合判断

孔子廟の敷地使用料全額免除は違憲!宗教性・経緯・規模・一般人の評価を総合して判断

図解でわかる

判例図解

タップで拡大

なる子ちゃん

事案の概要

那覇市Yは、公園内に儒教の祖・孔子らを祀った久米至聖廟(孔子廟)を設置することを久米崇聖会(一般社団法人)に許可し、面積1,335㎡・年間576万7,200円の公園使用料を全額免除しました。市は「観光資源・歴史的施設」として公益性を認めていましたが、那覇市の住民X らが「政教分離原則に違反する」として地方自治法242条の2第1項3号に基づく住民訴訟を提起し、使用料返還不請求の違法確認を求めたのがこの事件です。
争点

争点

那覇市が宗教的性格を持つ孔子廟の設置を公園内に許可し、使用料を全額免除したことが、憲法20条3項の禁ずる「宗教的活動」にあたり政教分離原則に違反するかどうかが争点です。
判旨

判旨

国・地方公共団体が宗教的施設の敷地使用料を免除する場合、一般的に宗教的施設であっても歴史的・文化財的価値や観光資源としての意義を有することもあり、こうした事情は一般人の目から見て特定宗教への援助等と評価されるかどうかに影響します。したがって政教分離原則違反の有無は、当該施設の性格・免除の経緯・無償提供の態様・一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきです(総合衡量型の判断枠組み)。本件施設は孔子の霊を崇め奉る宗教的儀式が行われ社寺との類似性を有し、免除面積1,335㎡・年間576万円超という相当大きな利益を管理団体に享受させることで宗教的活動を容易にする効果は間接的・付随的にとどまらず、観光価値や歴史的価値をもってしても無償提供の必要性・合理性の裏付けとはならない。一般人の目から見て特定宗教への援助・促進と評価せざるを得ず、憲法20条3項に違反します。
判決

判決

一部破棄自判。那覇市による公園使用料の全額免除は憲法20条3項に違反すると判断され(裁判官14対1)、住民側の怠る事実の違法確認請求が認められました。愛媛玉串料訴訟(平9)・空知太神社訴訟(平22)に次ぐ3例目の政教分離違反判決。
関連法令の解説

関連法令の解説

憲法20条1項後段(宗教団体への特権付与・政治的権力行使の禁止)
いかなる宗教団体も国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならないことを定めています。本判決は最終的に憲法20条3項違反を認定したため、本条項への適合性判断は「判断するまでもない」として回避しました。

憲法20条3項(国・地方公共団体による宗教的活動の禁止)

国および地方公共団体は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならないと定めています。本判決は、使用料全額免除という行為が社会通念上、特定の宗教への特別な便益提供・援助と評価されるとして、この条項に違反すると判断しました。本件は憲法20条3項違反のみを理由とした違憲判決である点が重要です。

憲法89条(公の財産の宗教目的への支出・利用禁止)

公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用・便益・維持のために支出し、またはその利用に供してはならないと定めています。本判決では、20条3項違反が認定されたため、89条違反については判断が回避されました。

地方自治法242条の2第1項3号(住民訴訟)

地方公共団体の住民が、執行機関・職員による違法な公有財産の管理を怠る事実について、その違法確認を裁判所に求めることができることを定めています。本件はこの規定に基づく住民訴訟として提起されました。
身近な例え

身近な例え

市役所が特定の宗教団体だけに公民館を無料で長期間貸し出し続けるようなもの。他の団体は有料なのに不公平で、特別扱いしていると見られます。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

「孔子って思想家じゃないの?文化施設でしょ?」って市は主張したんだよね。でも実際は孔子の霊を迎えて崇め奉る儀式をやってたり、参拝者が学業成就を祈願したりしてて、社寺との類似性がある施設だった。こういう宗教性と世俗性が混在している場合の判断枠組みとして、裁判所は「施設の性格・経緯・無償提供の規模・一般人の評価」を社会通念に照らして総合的に判断する方法(総合衡量型)を使った。しかも年576万円もの使用料を免除するっていう相当大きな利益を与えてたから違憲!っていうことになったんだよ。

試験対策ポイント

政教分離原則の判断には空知太神社事件と同じ総合衡量型の判断枠組みが用いられた(目的効果基準ではない)
総合衡量の考慮要素は「施設の性格・免除の経緯・無償提供の態様・一般人の評価」

違憲根拠は憲法20条3項のみであり、憲法20条1項後段・89条の判断は「判断するまでもない」として回避された点が重要

注意:孔子廟は「文化施設」とも見られうるが、観光的意義があっても宗教的性格が軽微でなければ免除の合理性を裏付けない

本件は住民訴訟(地方自治法242条の2第1項3号)で提起された点も確認

令和以降の最新の政教分離違憲判決として行政書士試験での出題可能性が高い
法令

関連法令

関連判例

関連判例

憲法最高裁判所

砂川空知太神社訴訟

公有地の無償提供に関する憲法89条適合性の判断は諸般の事情を考慮した社会通念による総合判断 考慮要素:①宗教施設の性格、②無償提供の経緯・態様、③一般人の評価 目的効果基準の明示的な否定はなされていないが、本判例では新たな判断枠組みが提示された点が重要 注意:違憲解消の手段は撤去だけでなく土地の譲与・有償譲渡・適正対価での貸付け等もあり得る 津地鎮祭事件・愛媛玉串料訴訟との判断枠組みの相違(より具体的な総合考慮)を整理すること

憲法最高裁判所

津地鎮祭事件

政教分離原則は国家と宗教の完全な切り離しを求めるものではない 判断基準は目的効果基準:①目的が宗教的意義を持ち、②効果が宗教への援助・助長・促進または圧迫・干渉等になるか 地鎮祭は世俗的慣習として定着しており目的・効果ともに宗教的でないとして合憲 注意:愛媛玉串料訴訟(最大判平9.4.2)と対比が最重要。同じ目的効果基準を使いながら玉串料は違憲とされた点を整理すること 政教分離は制度的保障(個人の権利ではなく制度として保障)であるという位置づけも押さえること

憲法最高裁判所

愛媛玉串料訴訟

政教分離の判断基準は目的効果基準:①目的が宗教的意義を持ち、②効果が宗教への援助・助長・促進または圧迫・干渉等になる場合に違憲 玉串料の奉納は社会的儀礼とはいえないとして違憲(津地鎮祭は社会的儀礼として合憲) 本判決は政教分離に関する最高裁初の違憲判決であることを押さえること 注意:津地鎮祭事件(最大判昭52.7.13)との対比が頻出。地鎮祭は合憲・玉串料は違憲という結論の違いと、その理由の差(社会的儀礼か否か・宗教的意義の濃淡)を整理すること 憲法20条3項(宗教的活動禁止)と89条(公金支出禁止)の両方が問題となる点も重要

📱 アプリのご紹介

行政書士になる子ちゃん

スマホアプリで、いつでもどこでも。行政書士合格を、スキマ時間で。

行政書士試験学習には必須の判例のわかりやすい解説から科目別テキスト、過去問演習、択一演習をスマホでまとめて持ち歩ける学習アプリです。通勤・休憩中に1問だけでも。独学でも仕事と両立しながら、合格を目指せます。

App Storeで無料ダウンロード