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B行政法国家賠償・損失補償

営造物の通常の用法に即しない行動

最高裁判所1993-03-30最判平5.03.30
国家賠償法2条1項営造物の瑕疵通常の用法設置管理者の責任異常な利用行為予測可能性無過失責任幼児の保護者の義務

柵を乗り越えて転落は自己責任!異常な使い方の事故は国賠の対象外

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なる子ちゃん

事案の概要

公の営造物(国や自治体が管理する施設)である道路や公園などの施設において、幼児が通常の利用方法から外れた異常な行動をとった結果、転落事故などが発生した。被害者側の遺族が、施設の設置・管理に瑕疵(欠陥)があったとして国家賠償法2条1項に基づく損害賠償を求めた。設置管理者が通常の用法以外の行動による事故についても責任を負うかどうかが争われた。
争点

争点

公の営造物を通常の用法に即しない異常な方法で使用した結果、事故が発生した場合、国家賠償法2条1項の「設置・管理の瑕疵」にあたるとして、設置管理者は賠償責任を負うか、が争点です。
判旨

判旨

国家賠償法2条1項にいう営造物の「設置・管理の瑕疵」とは、営造物が通常の用法に即した使い方をされたときに安全性を欠く状態にあることをいいます。管理者は通常の利用方法での安全を確保する義務を負いますが、到底予測できない異常な方法での利用による事故まで責任を負うものではありません。幼児が柵を乗り越えるなど、通常の用法から著しく逸脱した行動をとることは管理者にとって予測可能な範囲を超えており、瑕疵とはいえません。このような場合には、幼児の行動を監視・制御すべき立場にある保護者がその防止義務を負うということです。
【原文】

 幼児が、テニスの審判台に昇り、その後部から座席部分の背当てを構成している左右の鉄パイプを両手で握つて降りようとしたために転倒した審判台の下敷きになつて死亡した場合において、当該審判台には、本来の用法に従つて使用する限り、転倒の危険がなく、右幼児の行動が当該審判台の設置管理者の通常予測し得ない異常なものであつたなど判示の事実関係の下においては、設置管理者は、右事故につき、国家賠償法2条1項所定の損害賠償責任を負わない。

判決

判決

施設の設置・管理に瑕疵はなく、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任は認められないとして、遺族の請求が棄却された。
関連法令の解説

関連法令の解説

国家賠償法2条1項
この条文は「道路・河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償する責任を負う」と定めています。ここでいう「瑕疵」とは、営造物が通常の用法に従って利用された場合に、安全性を欠いている状態をいいます。本判決は、この瑕疵の判断基準を「通常の用法」に即したものに限定した重要な判例です。
身近な例え

身近な例え

公園のブランコを普通に漕ぐのは想定内だけど、立ち乗りで宙返りするような使い方までは管理者も予想できないし、それで怪我しても責任は問えないという感じです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

国家賠償法2条1項の「営造物の瑕疵」って、あくまで「普通の使い方をしたときに安全でない状態」のことなんだよね。だから、柵を乗り越えたり、立入禁止区域に入ったりという異常な使い方をして事故が起きても、それは施設の管理者の責任じゃないってことだよ。特に幼児の場合は、施設管理者ではなく保護者が異常な行動を防ぐ義務を負うんだ。「施設に危険な箇所があればすべて瑕疵」という考え方は誤りで、あくまで通常の用法を基準に判断するってことが大事なポイント!

試験対策ポイント

国家賠償法2条1項の「瑕疵」は、営造物が通常の用法に即して使用された場合に安全性を欠く状態をいう
利用者が通常の用法から著しく逸脱した異常な使い方をした場合の事故には、設置管理者は賠償責任を負わない

幼児の異常な行動については、施設管理者ではなく保護者が防止義務を負う

注意:「施設に危険な箇所があれば即座に瑕疵」ではなく、あくまで通常の用法を基準として瑕疵の有無を判断する点が重要

国家賠償法2条は無過失責任であり、管理者の故意・過失は問われないが、「通常の用法による安全性の欠如」という客観的基準で判断される点を押さえること
法令

関連法令

関連判例

関連判例

行政法最高裁判所

大阪国際空港公害訴訟

国賠法2条1項の「瑕疵」には施設自体の欠陥だけでなく、利用に伴って生じる機能的な危険性も含まれる 瑕疵による危害の対象は**利用者のみならず第三者(周辺住民)**にも及ぶ 注意:差止請求(夜間飛行の禁止)については、公共用物の使用関係は行政権に属するとして民事上の差止請求は認められないとされた(大阪国際空港訴訟の別論点) 国賠法2条1項の責任は無過失責任であり、故意・過失の立証は不要 受忍限度を超えた騒音被害が損害賠償の対象となる点も確認しておくこと

行政法最高裁判所

高知落石事件

国家賠償法2条1項の「瑕疵」とは通常有すべき安全性を欠いていること 2条1項の責任は無過失責任であり、管理者に故意・過失がなくても成立する 予算不足を理由に賠償責任を免れることはできない。これは試験で繰り返し問われる重要ポイント 注意:国家賠償法**1条(公務員の故意・過失が必要)と2条(無過失責任)**の違いを混同しないこと 「落石注意」の標識を立てるだけでは安全性の確保として不十分であり、具体的な防護措置が必要とされた点も押さえること

行政法最高裁判所

赤色灯事件

国家賠償法2条1項の「瑕疵」とは通常有すべき安全性を欠いていることをいい、無過失責任(管理者の過失は不要) ただし、第三者の行為によって事故直前に安全性が失われ、道路管理者が時間的に対応不可能だった場合は、瑕疵が否定される 注意:「道路に安全性の欠如があった」ことは認めつつも、「管理の瑕疵はなし」とした点が本判例の特徴であり、ひっかけになりやすい 予算不足を理由とした瑕疵の否定は認められない(別判例:高知落石事件)との対比を整理する 道路管理の瑕疵は「当該営造物の構造・用法・場所的環境・利用状況等を総合考慮して個別具体的に判断」される

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