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B民法総則(意思表示・代理・時効等)

公法上の代理権と110条

最高裁判所1971-06-03最判昭46.06.03
表見代理基本代理権公法上の行為登記申請民法110条

登記申請の代理権でも110条の表見代理が成立する!

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判例図解

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なる子ちゃん

事案の概要

Aは土地の所有者Xから、売買に伴う所有権移転登記の申請手続きを代理する権限を与えられた。ところがAはその権限を超えて、Xの土地をYに売却する契約を締結してしまった。Yは登記申請の代理権という公法上の行為の代理権を基本代理権として、民法110条の表見代理(権限を超えた代理を本人の行為として扱う制度)の成立を主張した。登記申請という公法上の代理権が表見代理の「基本代理権」になれるかが争われた。
争点

争点

売買に伴う所有権移転登記申請という公法上の行為の代理権は、民法110条の表見代理における基本代理権にあたるか、が争点です。
判旨

判旨

公法上の行為の代理権は原則として民法110条の基本代理権には該当しません。これは公法上の行為が私人間の取引とは性質が異なるためです。しかし、所有権移転登記の申請は、売買契約という私法上の契約から生じる義務を実現するためにおこなわれる手続きであり、その実質は私法上の取引行為と密接に結びついた一体的な行為といえます。このような場合には、代理権の公法的性質を形式的に重視するよりも、取引の安全と第三者の信頼を保護することが妥当です。したがって、私法上の契約の履行として登記申請の代理権が与えられた場合には、これを民法110条の基本代理権と認め、表見代理の成立を肯定することができます。
判決

判決

登記申請の代理権を基本代理権として民法110条の表見代理の成立が認められ、Xは権限外の売買契約についてもその責任を負うとされた。
関連法令の解説

関連法令の解説

民法110条
この条文は権限外の行為の表見代理を定めています。代理人が基本となる代理権の範囲を超えて行動した場合でも、第三者がその行為を代理権の範囲内と信じる正当な理由があれば、本人がその行為の責任を負うと定めています。成立要件は、①基本代理権の存在、②権限外の行為、③第三者の正当な理由(善意無過失)の三つです。

不動産登記法(登記申請手続き)

所有権移転登記の申請は不動産登記法に基づく公法上の手続きです。しかし本判決では、売買契約という私法上の義務の履行として登記申請がなされる場合には、その代理権は私法上の法律行為と一体のものとして捉えられ、民法110条の基本代理権に該当すると解釈されました。
身近な例え

身近な例え

会社の登記書類を提出する権限を与えられた人が、実はその会社の契約書にもサインできると相手が信じた、というような状況です。書類提出の権限が契約締結の権限にも見えたということです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

民法110条の表見代理が成立するには、まず出発点となる「基本代理権」が必要なんだよね。で、登記申請って行政手続きだから「公法上の行為」になる。原則として公法上の行為の代理権は基本代理権にならないんだ。でも最高裁は「登記申請は売買契約という私法上の義務を実現するための手続きだから、実質は私法上の取引行為の一部といえる」と判断して、基本代理権として認めたんだよ。つまり「形式上は公法行為でも、私法上の取引と一体の行為なら基本代理権になれる」ってことが大事なポイント!

試験対策ポイント

公法上の行為の代理権は原則として民法110条の基本代理権にあたらない
ただし、登記申請のように私法上の契約の履行としてなされた公法行為の代理権は、例外的に基本代理権と認められる

民法110条の成立要件は、①基本代理権の存在、②権限外の行為、③第三者の正当な理由(善意無過失)の三つをすべて満たすこと

注意:日常家事代理権(民法761条)を基本代理権として110条の類推適用を認めた判例(最判昭44.12.18)も重要な対比判例として押さえること

表見代理の種類として、①代理権授与の表示(民法109条)、②権限外の行為(民法110条)、③代理権消滅後(民法112条)の三類型を整理しておくこと
法令

関連法令

関連判例

関連判例

民法最高裁判所

東京地方裁判所事件

民法109条1項の表見代理は、明示的な代理権授与の表示がなくても、取引が自己の取引であるかのような外形を作り出した場合に適用される 官庁が経済活動を行う範囲では、表見代理の法理が適用される。「官庁だから適用外」ではない 表見代理が成立するには相手方の善意無過失が必要であり、相手方がこれを立証しなければならない 注意:本件は差戻し判決であり、表見代理の成立が確定したわけではなく、善意無過失の審理が別途必要とされた点を押さえること 外観法理として、民法109条(代理権授与の表示)・110条(権限外の行為)・112条(代理権消滅後)の三類型を整理し、それぞれの成立要件の違いを理解しておくこと

民法最高裁判所

夫婦の日常家事代理権と表見代理

民法761条は夫婦の日常家事代理権(法定代理権)の根拠とされる 日常家事の範囲を超えた行為に対して、民法110条の表見代理は直接適用されない(原則否定) 例外として、第三者が「行為が日常家事の範囲内に属する」と信じるに足る正当な理由がある場合に限り、民法110条を類推適用して第三者を保護する 注意:信頼の対象は「代理権の存在」ではなく「日常家事の範囲内か否か」であり、この違いが直接適用との決定的な差異 表見代理を原則否定する根拠は夫婦の財産的独立(民法762条の夫婦別産制)の保護にある 令和7年度行政書士試験(記述式・問題45)で出題済みの重要判例

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