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A商法会社法機関(取締役・監査役等)

代表権の濫用

最高裁判所1963-09-05最判昭38.9.5
代表権の濫用代表取締役民法107条旧民法93条ただし書類推適用悪意・有過失取引の安全会社法349条4項

代表取締役が自分のために会社の印鑑を使っても原則有効!でも相手方が悪意・有過失なら無効

なる子ちゃん

事案の概要

会社の代表取締役Dが、自己の利益を図る目的で、表面上は会社を代表する形で会社所有の建物をB社に売り渡した。B社はDが自己の利益のために行動していることを知りながら(悪意で)これを買い受けた。会社側は「代表権を濫用した行為は会社に対して効力がない」として登記抹消等を求めた。代表取締役による権限濫用行為の効力と、相手方の悪意・有過失が結論に影響するかどうかが争われた。
争点

争点

代表取締役が自分の利益のために会社の代表権を使って法律行為をした場合、その行為は会社に対して有効か?また、相手方が悪意または有過失の場合はどうなるか?
判旨

判旨

最高裁は、株式会社の代表取締役が自己の利益のために表面上会社の代表者として法律行為をした場合において、相手方が当該代表取締役の真意を知りまたは知ることができたときは、民法93条ただし書の規定を類推して、当該法律行為はその効力を生じないと判示しました。本件では、BはDが自己の利益のために行動していることを知りながら建物を買い受けた悪意の相手方であるため、売買契約は会社に対して無効とされました。原審がこの点を審理せず排斥したのは法令の解釈を誤ったとして、原判決を破棄し差し戻しました。つまり、代表権の濫用は原則有効だが相手方の悪意・有過失により無効になるということです。
判決

判決

原判決を破棄し、相手方の悪意・有過失の有無について審理させるため東京高等裁判所に差し戻された。
関連法令の解説

関連法令の解説

会社法349条4項(代表取締役の代表権)
この条文は代表取締役が会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有すると定めています。この権限は包括的かつ対外的に制限できないとされているため、代表取締役が内心で自己の利益を図っていても原則として会社に効力が生じます。民法107条(代理権の濫用・2017年改正後)

この条文は代理人が自己または第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方がその目的を知りまたは知ることができたときは、その行為は本人に対してその効力を生じないと定めています。本判決当時は現行民法107条に相当する条文がなく、旧民法93条ただし書(心裡留保のただし書き)を類推適用していましたが、2017年改正により107条として明文化されました。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

代表取締役は会社を代表する広い権限を持っているから、たとえ自分の利益のために会社の名前で行動しても、原則として会社に効力が生じるんだよ。でも相手方がそのことを知っていた(悪意)または知ることができた(有過失)場合には、民法93条1項ただし書の類推適用で、その行為は会社に対して無効になるんだね。取引の安全を守りつつ、悪意の相手方まで保護する必要はない、というバランス感覚が大事なんだ。でも注意!現在は2017年民法改正で、同じルールが明文化された民法107条(代理権の濫用)が適用されるようになってるから、旧93条ただし書の類推適用という言い方と107条の直接適用を整理しておこう!

試験対策ポイント

代表取締役が自己の利益のため会社を代表して行った行為は原則として有効
相手方が代表取締役の真意につき悪意または有過失のときは会社に対して無効となる

本判決当時は民法93条ただし書の類推適用だったが、2017年民法改正により民法107条として明文化された

注意:善意かつ無過失の相手方は保護され、会社は無効を主張できない

代表権の制限(内部的制限)と代表権の濫用は別概念。制限は善意の第三者に対抗できないが、濫用は相手方の悪意・有過失で無効になる
法令

関連法令

関連判例

関連判例

商法会社法最高裁判所

名板貸人の責任

名板貸人の責任が生じるには、名板借人の営業が名板貸人の営業と同種であることが原則として必要である 責任発生の根拠は取引相手方の誤認であり、誤認が生じ得ない状況では責任は発生しない 異種の営業の場合、取引相手が名板貸人を営業主と誤認することは通常考えにくく、原則として責任なし 注意:「商号を貸せば常に責任を負う」は誤り。同種営業かどうかが責任発生の重要な判断基準となる 特段の事情(異種営業でも誤認が生じた特別な状況)がある場合は、例外的に責任が生じる余地がある

民法最高裁判所

東京地方裁判所事件

民法109条1項の表見代理は、明示的な代理権授与の表示がなくても、取引が自己の取引であるかのような外形を作り出した場合に適用される 官庁が経済活動を行う範囲では、表見代理の法理が適用される。「官庁だから適用外」ではない 表見代理が成立するには相手方の善意無過失が必要であり、相手方がこれを立証しなければならない 注意:本件は差戻し判決であり、表見代理の成立が確定したわけではなく、善意無過失の審理が別途必要とされた点を押さえること 外観法理として、民法109条(代理権授与の表示)・110条(権限外の行為)・112条(代理権消滅後)の三類型を整理し、それぞれの成立要件の違いを理解しておくこと

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