行政書士試験の商法・会社法は捨てるべきか?効率的な対策法
配点20点の商法・会社法は捨てても合格できるのか?頻出テーマに絞った最低限の対策法、捨てた場合のリスクと他科目でカバーする方法を解説。
「行政書士試験の商法・会社法は捨てていいですか?」——これは受験生から最も多く寄せられる質問のひとつです。結論を先にお伝えします。完全に捨てるのは危険。でも深追いも不要。頻出テーマだけに絞って「2〜3問を拾う」のが最適解です。配点はわずか20点ですが、この20点の扱いを誤ると、合格ライン180点にあと1〜2点届かず涙をのむ——そんな事態にもなりかねません。この記事では、捨てるべきか否かの判断基準と、最小の労力で確実に得点する具体的な戦略を、独学・スキマ時間で合格を目指す人の目線で解説します。
まず数字で立ち位置を確認する
戦略を考える前に、商法・会社法が試験全体のどこに位置するのかを数字で押さえましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 択一式5問 |
| 配点 | 20点(300点満点の約7%) |
| 出題内訳 | 商法(商行為・商人など)1〜2問、会社法3〜4問が中心 |
| 難易度 | 他科目より高め。条文が膨大で、深入りすると時間対効果が急激に悪化する |
ポイントは「配点は小さいのに、範囲は広く難しい」という点です。つまりコストパフォーマンスが悪い科目。だからこそ「どこまでやるか」の線引きが、他の科目以上に重要になります。
「完全に捨てる」が危険な理由
商法・会社法を0点と割り切った場合、合格ライン180点に届かせるには、残りの科目だけで180点を積み上げる必要があります。配点上は行政法112点+民法76点=188点が理論上の最大値なので、計算上は不可能ではありません。
しかし現実には、行政法・民法で満点近くを取り続けるのは至難の業です。民法は事例問題で1問の重みが大きく、行政法も条文・判例の細部で失点しがち。商法・会社法を丸ごと捨てると「他科目でほぼノーミス」という綱渡りを強いられ、精神的にも余裕がなくなります。逆に商法で2〜3問拾えていれば、その6〜12点が他科目の失点を吸収する保険になります。足切り(法令等122点)を避ける観点でも、この保険は効いてきます。
とはいえ「深追い」も同じくらい危険
「危険なら全部やろう」と考えるのも失敗のもとです。会社法は条文数が非常に多く、機関設計や組織再編まで完璧に理解しようとすると、20点のために50時間以上を溶かしかねません。その時間は、配点の大きい行政法(112点)や民法(76点)の仕上げに回したほうが、1点あたりの学習効率は何倍も高くなります。
つまり商法・会社法は、「捨てる」でも「全部やる」でもなく、頻出テーマだけを浅く広く押さえて2〜3問を拾う——この中間戦略が唯一の正解です。
拾うべき頻出テーマ4つ
2〜3問を確実に取るために、最低限これだけは押さえたいという頻出テーマを4つに絞りました。
- 株式会社の機関設計:株主総会・取締役・取締役会・監査役の役割と相互関係。会社法で最頻出の論点で、まずここから固めるのが鉄則です。
- 株式と募集株式の発行:株式の種類(普通株式・種類株式)、募集株式発行の手続きの流れ。図でイメージをつかむと定着が早い分野です。
- 商行為の基本:絶対的商行為・営業的商行為・附属的商行為の区別と、商人の定義。商法パートの1問はここから出やすいです。
- 持分会社(合名・合資・合同)の違い:各会社形態の責任(無限責任・有限責任)と特徴。表で整理すれば短時間で得点源にできます。
逆に、組織再編(合併・会社分割)や細かい計算規定などは、余裕がなければ思い切って後回しでかまいません。
最小の労力で2〜3問取る「3ステップ」
限られた時間で得点するための、現実的な進め方を3ステップで示します。
- ステップ1:過去問5〜7年分で「出るところ」を体感する。いきなりテキストを読み込むのではなく、まず過去問を解いて、繰り返し問われる論点のパターンを肌で感じます。
- ステップ2:頻出テーマだけテキストで補強する。過去問で問われた範囲=上の4テーマを中心に、該当箇所だけをテキストで確認。全ページを読む必要はありません。
- ステップ3:直前期に総ざらいする。新しい論点に手を広げず、一度やった頻出テーマだけを高速で復習。ここで「拾える2〜3問」を取りこぼさない状態に仕上げます。
学習時間の配分と直前期の心得
商法・会社法への投資は、全学習時間の5〜8%が目安です。600時間なら30〜50時間程度。これ以上かけると行政法・民法の仕上げ時間を圧迫し、かえって総合点が下がります。直前期は絶対に新規テーマを増やさず、頻出論点の反復に徹する——これが商法で足を引っ張らないための鉄則です。
独学でも「捨てずに拾う」を効率よく実現するには
この「頻出テーマだけを過去問で回す」戦略は、教材選びで効率が大きく変わります。分厚い会社法のテキストを1冊買っても、実際に使うのは一部だけ。むしろ肢別・年度別で過去問を何度も回せる環境のほうが、商法対策には向いています。「行政書士になる子ちゃん」なら過去問演習を回数無制限で繰り返せ、間違えた肢はブックマークで苦手管理できます。商法のように「浅く広く・反復で拾う」科目とは特に相性がよく、余計な出費なく必要なところだけを効率的に固められます。
まとめ
商法・会社法の戦略を整理します。
- 配点は20点。完全に捨てると合格ラインの余裕がなくなり、他科目でノーミスを強いられる
- 一方で深追いは時間対効果が悪い。頻出テーマだけを浅く広く押さえるのが正解
- 拾うべきは「機関設計」「株式・募集株式」「商行為の基本」「持分会社の違い」の4テーマ
- 過去問5〜7年分の反復で2〜3問は取れる。投資時間は全体の5〜8%(30〜50時間)が目安
- 直前期は新規に手を広げず、頻出論点の反復に徹する
商法・会社法は「捨てる科目」ではなく「拾う科目」です。深追いせず、頻出テーマだけを過去問で効率よく回せば、20点の中から2〜3問——合格を左右する6〜12点を、無理なく確保できます。
この記事の執筆
行政書士になる子ちゃん編集部
行政書士試験の学習コンテンツを制作する編集チーム。判例解説・テキスト・過去問解説を、判例原文・条文などの一次資料に基づいて執筆しています。
関連コラム