A行政法行政行為(行政処分)
荒川民商事件
最高裁判所1973-07-10最決昭48.7.10
試験出題:2008年
質問検査権税務調査事前通知不要理由告知不要確定申告前納税義務者所得税法234条国税通則法74条の9
税務調査の事前通知も理由告知も法律上の必須要件ではない!質問検査の細目は税務職員の合理的な判断に委ねられる
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事案の概要
被告人Xは、昭和41年9月、荒川税務署の職員が昭和40年分所得税確定申告調査のため質問し帳簿書類の呈示等を求めたのに対し、「何度話しても同じだ」「調査はさせない」などとどなり、職員の腰を押すなどして質問に答弁せず検査を拒否しました。1審は無罪でしたが、控訴審は有罪(罰金刑)とし、Xが上告しました。質問検査の事前通知・理由告知の要否や、確定申告前の調査の適法性などが争われました。
争点
質問検査にあたって、事前通知や調査理由の告知が法律上の要件となるかどうか、また確定申告前の調査が法律上許されるかどうかが争点です。
判旨
質問検査の範囲・程度・時期・場所等の実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられています。また、暦年終了前または確定申告期間経過前であっても質問検査は法律上許されるものであり、実施の日時・場所の事前通知、調査の理由および必要性の個別的・具体的な告知のごときも、質問検査を行ううえの法律上一律の要件とはされていません。つまり、事前通知も理由告知もなく税務調査を行っても、それだけで違法にはならないということです。
【原文】
三 所得税法234条1項の質問検査において、その理由および必要性を相手方に告知することは、法律上の要件ではない。
・・・
質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられているものと解すべく・・・
【原文】
三 所得税法234条1項の質問検査において、その理由および必要性を相手方に告知することは、法律上の要件ではない。
・・・
質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられているものと解すべく・・・
判決
上告棄却。質問検査の事前通知・理由告知は法律上の要件ではなく、確定申告前の調査も適法であると判示されました。
関連法令の解説
所得税法234条1項(当時)
税務職員は、所得税に関する調査のため必要があるときは、納税義務がある者等に質問し、帳簿書類その他の物件を検査することができると定めていました。本決定はこの規定における質問検査の具体的な実施方法について、法律に特段の定めのない細目は税務職員の合理的な判断に委ねられると解釈しました。現在は本条は削除され、国税通則法74条の2以下が根拠規定となっています。
国税通則法74条の9(現行)
平成23年改正で新設された規定で、税務署長等は質問検査を行う場合には原則として事前通知(日時・場所・目的等)を行わなければならないと定めています。本決定当時とは異なり、事前通知を法律上の義務としています。ただし74条の10では妨害・隠蔽工作の防止などの場合に事前通知を要しない例外も認めています。
税務職員は、所得税に関する調査のため必要があるときは、納税義務がある者等に質問し、帳簿書類その他の物件を検査することができると定めていました。本決定はこの規定における質問検査の具体的な実施方法について、法律に特段の定めのない細目は税務職員の合理的な判断に委ねられると解釈しました。現在は本条は削除され、国税通則法74条の2以下が根拠規定となっています。
国税通則法74条の9(現行)
平成23年改正で新設された規定で、税務署長等は質問検査を行う場合には原則として事前通知(日時・場所・目的等)を行わなければならないと定めています。本決定当時とは異なり、事前通知を法律上の義務としています。ただし74条の10では妨害・隠蔽工作の防止などの場合に事前通知を要しない例外も認めています。
身近な例え
警察官が職務質問するのに事前予約が不要なように、税務職員も必要と判断すれば事前連絡なしで調査できるイメージです。
ざっくりまとめ
「税務署員が突然来て調査しようとした。事前通知もなく、なぜ調査するのかの理由も教えてくれない。これって違法じゃないの?」という話。
最高裁の答えは「違法じゃないよ」。質問検査の範囲・時期・場所など、法律に特段の定めのない細目は、必要性があって相手方の私的利益との兼ね合いで社会通念上相当な限度なら、税務職員の合理的な判断に委ねられているんだ。だから日時・場所の事前通知も、調査の理由の具体的な告知も、法律上一律の要件じゃないよ。確定申告の前でも調査はできる。
でも注意!現在は法改正されて、原則として事前通知が義務化されている(国税通則法74条の9)から、「現在も事前通知は不要」と思い込むと間違えるんだ。
最高裁の答えは「違法じゃないよ」。質問検査の範囲・時期・場所など、法律に特段の定めのない細目は、必要性があって相手方の私的利益との兼ね合いで社会通念上相当な限度なら、税務職員の合理的な判断に委ねられているんだ。だから日時・場所の事前通知も、調査の理由の具体的な告知も、法律上一律の要件じゃないよ。確定申告の前でも調査はできる。
でも注意!現在は法改正されて、原則として事前通知が義務化されている(国税通則法74条の9)から、「現在も事前通知は不要」と思い込むと間違えるんだ。
試験対策ポイント
質問検査の事前通知:法律上の要件ではない(本決定当時。現在は原則義務化)
調査理由・必要性の告知:法律上の要件ではない
確定申告前の調査:法律上許される
「納税義務がある者」:現に納税義務が成立している者だけでなく、将来終局的に納税義務を負うにいたるべき者も含む
注意:平成23年改正で国税通則法74条の9が新設され、事前通知が原則義務化された。「今も事前通知不要」は誤り
対比判例:川崎民商事件(最大判昭47.11.22)→税務調査が令状なしで行われても憲法35条・38条に違反しないと判示した関連判例
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