他人物売買の解除
契約解除なら使用利益も返せ
図解でわかる

事案の概要
争点
自分のものでない物を売る契約(他人物売買)が解除された場合、買主は契約期間中に目的物を使用して得た利益(例:車を使ったことで生じた価値の減少分)を売主に返還する義務を負うのか、というのがこの事件の争点です。
判旨
売買契約が解除されると、契約ははじめからなかったことになります(遡及的無効)。そのため、買主は受け取った目的物を返還するだけでなく、引渡しを受けてから解除されるまでの間に使用して得た利益(使用利益)も売主に返還しなければなりません。裁判所は、たとえ売主が他人の物を売っていた(=使用権限を持っていなかった)場合でも、この結論は変わらないと判断しました。つまり、「売主が本当の所有者じゃなかったとしても、買主は使った分の利益をきちんと返さなければならない」ということです。
判決
解除によつて売買契約が遡及的に効力を失う結果として、契約当事者に該契約に基づく給付がなかつたと同一の財産状態を回復させるためには、買主が引渡を受けた目的物を解除するまでの間に使用したことによる利益をも返還させる必要があるのであり、売主が、目的物につき使用権限を取得しえず、したがつて、買主から返還された使用利益を究極的には正当な権利者からの請求により保有しえないこととなる立場にあつたとしても、このことは右の結論を左右するものではないと解するのが、相当だからである。
関連法令の解説
民法545条1項の契約解除による原状回復義務と、民法561条の他人物売買に関する規定に関わっています。契約が解除されると、契約前の状態に戻す義務が発生します。
身近な例え
友達から借りた自転車を返すとき、借りていた間のレンタル料相当分も払うようなイメージです。契約がなかったことになるので、使った分も清算が必要です。
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
【重要ポイント】 ①契約解除には遡及効(そきゅうこう)があり、契約は初めからなかったことになる ②原状回復義務として、目的物だけでなく使用利益も返還が必要 ③この原則は他人物売買の場合でも変わらない ④使用利益返還義務は、引渡時から解除時までの期間が対象 ⑤試験では「他人物売買だから使用利益は返さなくてよい」という引っかけに注意
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