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A民法親族・相続

親権者が子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為

最高裁判所1992-12-10最判平04.12.10
試験出題:2021
利益相反行為親権者代理権の濫用担保民法826条

第三者の借金の担保に子の不動産を使っても「利益相反」にはならない!でも代理権の濫用には要注意

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事案の概要

親権者(母)が、未成年の子が所有する不動産を、第三者(子でも親権者でもない別の人)の借金の担保(抵当権)として提供しました。子の不動産が担保に入れられれば、借金が返済されなかったときに競売にかけられ子が不利益を受けます。これが民法826条1項の「利益相反行為」(親権者と子の利益が対立する行為)にあたるかどうか、また親権者による代理権の濫用にあたるかどうかが争われました。
争点

争点

親権者が子を代理して、子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為が民法826条1項の利益相反行為にあたるか、またこれが代理権の濫用にあたる場合に子への効果はどうなるか、というのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

親権者が子を代理して子の不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、行為の外形から見て利益が対立するのは「子と第三者」の間であり、「親権者と子」の間ではないため、民法826条1項の利益相反行為には当たりません。ただし、親権者の代理行為は広範な裁量に委ねられていますが、子の利益を完全に無視して自己または第三者の利益だけを図るような、「法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情」がある場合には代理権の濫用にあたります。その場合、相手方がその濫用の事実を知りまたは知り得たときは、民法93条1項ただし書の類推適用により、その行為の効果は子には及ばないとされます。
【原文】

 東京都公文書の開示等に関する条例5条に基づき「個人情報実態調査に関して警視庁から入手、取得した一切の文書」の開示の請求をした者に対する非開示決定の通知書に、非開示の理由として、「東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当」と記載されているにすぎないときは、右決定は、同条例7条4項の定める理由付記の要件を欠き、違法である。

・・・

 公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分でないといわなければならない。
判決

判決

破棄差戻し。第三者の債務の担保提供は利益相反行為にはあたらないが、代理権濫用の有無と相手方の悪意・過失について審理を尽くさせるため差し戻されました。
関連法令の解説

関連法令の解説

民法826条1項
「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」と定めています。利益相反行為にあたるかは行為の外形で客観的に判断されます。本判例では、第三者の債務の担保提供は「親権者と子」の利益対立ではなく「子と第三者」の問題であり、同条項の利益相反行為には当たらないと判断されました。民法824条

「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」と定めており、親権者の財産管理権・代理権の根拠となる条文です。この広範な代理権に基づき親権者が行動できる一方、その権限を「著しく反する」形で濫用した場合には制限されます。民法93条1項ただし書(類推適用)

心裡留保の規定であり、表示と真意が異なる場合に相手方が悪意または有過失のときは意思表示が無効になるというルールです。本判例では、親権者が代理権を濫用した場合に、相手方が濫用を知りまたは知り得たときは、この条文を類推適用して子への効果を否定できると判断されました。
身近な例え

身近な例え

親が子どもの貯金箱を、近所の人の借金の保証に使うようなもの。直接親子で争っているわけではないけど、子どもの財産が危険にさらされるのは確かですよね。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

利益相反行為かどうかは「行為の外形」で判断するんだけど、今回のポイントは「誰の利益と誰の利益が対立してるか」なんだよね。第三者の借金の担保に子の不動産を使う場合、対立してるのは「子と第三者」の間の話で、「親権者と子」の間じゃない。だから外形上、民法826条1項の利益相反には当たらないってことになった。でもそれで終わりじゃなくて、親権者が子の利益を完全に無視して代理権を使った「特段の事情」がある場合は、代理権の濫用になる可能性があるんだよ。その場合は相手方が濫用を知っていた、または知り得た場合に限り、民法93条1項ただし書の類推適用で子への効果が否定されるんだね。

試験対策ポイント

第三者の債務の担保に子の不動産を供する行為は民法826条1項の利益相反行為にはあたらない(子と第三者の対立であり、親権者と子の対立ではない)
ただし「法の趣旨に著しく反する特段の事情」がある場合は代理権の濫用になりうる

代理権濫用の効果は、相手方が濫用を知り、または知り得た場合に限り、民法93条1項ただし書の類推適用で子への効力が否定される

注意:「親権者が自ら借金をして子の不動産に抵当権を設定する場合」は利益相反行為にあたる(最判昭37.10.2)と対比して覚える

外形標準説(行為の外形で客観的に判断)が利益相反の判断基準であることを押さえる
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