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A行政法地方自治

違法な住民監査請求が不適法として却下された場合

最高裁判所1998-12-18最判平10.12.18
住民監査請求前置主義住民訴訟地方自治法242条地方自治法242条の2出訴期間監査委員誤却下民衆訴訟

監査委員が誤って却下しても、住民訴訟はそのまま起こせる!

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なる子ちゃん

事案の概要

ある住民が、地方公共団体の財務上の違法行為を問題にして、監査委員に対して住民監査請求を行いました。しかし監査委員は、その請求が適法であるにもかかわらず、手続上の問題があるとして誤って「不適法」と判断し、却下してしまいました。そこで住民が、そのまま裁判所に住民訴訟を起こせるか、また訴えを起こせる期間(出訴期間)がいつから始まるかが争われた事件です。
争点

争点

監査委員が適法な住民監査請求を誤って不適法として却下した場合、その住民は監査請求前置の要件を満たしたとして住民訴訟を提起できるか、また出訴期間の起算点はいつか、というのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

住民が行った監査請求は本来適法なものでしたが、監査委員はこれを誤って不適法と判断して却下しました。しかし最高裁は、住民がすべき手続(監査請求)は一応履践されており、これを不適法として扱うのは住民にとって酷であると判断しました。監査委員が誤って却下した以上、住民はその後に裁判所に訴えを提起するしかなく、監査請求の手続きは「正式に経た」ものとみなされます。そのうえで出訴期間については、却下の通知を受け取った日から30日以内に住民訴訟を提起すれば適法であると示しました。つまり、監査委員側の誤りによって住民の訴訟提起の機会が奪われてはならない、ということです。
【原文】

 監査委員が住民監査請求を不適法であるとして却下した場合、当該請求をした住民が、却下の理由に応じて必要な補正を加えるなどして、当該請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする再度の住民監査請求に及ぶことは、請求を却下された者として当然の所為ということができる。
判決

判決

住民訴訟の提起を認容。監査請求が誤却下された場合も監査請求前置の要件を満たすとされ、却下通知受領日から30日以内の出訴が認められた。
関連法令の解説

関連法令の解説

地方自治法242条(住民監査請求)
住民が地方公共団体の違法・不当な財務会計行為を是正するよう、監査委員に対して監査を求める手続きを定めています。住民が住民訴訟を提起するには、まずこの住民監査請求を経なければなりません(監査請求前置主義)。

地方自治法242条の2第2項(住民訴訟の出訴期間)

住民訴訟を提起できる期間を規定しています。監査結果や勧告の通知を受けた日、あるいは60日以内に監査が行われなかった場合などに応じて、それぞれ一定の日から30日以内に訴訟を提起しなければならないと定めています。本判例では、誤却下の通知を受けた日がこの起算点にあたると判断されました。
身近な例え

身近な例え

学校の先生に正しく書いた宿題を「不備がある」と誤って却下されても、ちゃんと提出したことには変わらないので、次の手続きに進める権利があるようなものです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

監査委員が「この請求は不適法だ」と誤って却下しても、住民はちゃんと監査請求の手続を踏んだとみなされるんだ。だから、そのまま住民訴訟を起こせる。 出訴期間は却下の通知を受けた日から30日以内で足りるってのがこの判例のキモだね。でも注意なのが、これはあくまで「本当は適法なのに誤って却下された」場合の話。最初から不適法な請求だった場合は、監査請求前置の要件を満たしていないから、住民訴訟も却下されるんだ。

試験対策ポイント

監査委員が適法な請求を誤って却下した場合、住民は監査請求前置の要件を満たしたものとみなされ、直ちに住民訴訟を提起できる
出訴期間の起算点は、却下の通知を受けた日であり、そこから30日以内に訴訟を提起しなければならない

注意:これはあくまで「本来適法な請求が誤って却下された」ケースの話であり、最初から不適法な請求が却下された場合は、監査請求前置の要件を欠くため住民訴訟は提起できない

住民訴訟は民衆訴訟の一種であり、自己の法的利益ではなく住民全体の利益を守ることを目的とする客観訴訟である(行政事件訴訟法5条・43条、地方自治法242条の2第11項)

監査請求前置主義とは、住民訴訟提起の前に必ず住民監査請求を経なければならないという原則であり、これを欠いた訴訟は不適法として却下される
法令

関連法令

試験

出題年度

2017

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