みなし道路の一括指定
一括指定でも処分性あり
図解でわかる

事案の概要
争点
建築基準法上の「みなし道路(2項道路)」を、個別にではなく告示によってまとめて一括指定する行為に、取消訴訟で争うことができる「処分性」が認められるのか、というのがこの事件の争点です。
判旨
一括指定の告示であっても、条件に合致するすべての道について2項道路としての指定効果が直接生じます。その結果、その土地の所有者は「道路内に建物を建てられない」「私道を勝手に変更・廃止できない」といった具体的な私権の制限を受けることになります。裁判所は、このように個人の権利義務に直接影響を与えるものである以上、「告示という形式であっても行政処分にあたる」として処分性を認めました。つまり、「一括でまとめてやった指定だから処分じゃない」とはならず、実際に個人の権利が制限されるかどうかが処分性の判断基準になる、ということです。 【原文】 原判決(高裁判決)では、本件告示は、包括的に一括して幅員4m未満1.8m以上の道を2項道路とすると定めたにとどまり、本件通路部分等特定の土地について個別具体的にこれを指定するものではなく、不特定多数の者に対して一般的抽象的な基準を定立するものにすぎないのであって、これによって直ちに建築制限等の私権制限が生じるものでないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとし、本件訴えを不適法なものとして却下した。 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。 その理由は次のとおりである。 本件告示によって2項道路の指定の効果が生じるものと解する以上、このような指定の効果が及ぶ個々の道は2項道路とされ、その敷地所有者は当該道路につき道路内の建築等が制限され(法44条)、私道の変更又は廃止が制限される(法44条)等の具体的な私権の制限を受けることになる。 そうすると、特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。 したがって、本件告示のような一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解すべきである。
関連法令の解説
建築基準法42条2項のみなし道路(2項道路)の指定に関する判例です。同法44条・45条により、指定されると道路内の建築制限や私道の変更・廃止制限という私権制限が生じるため、行政処分性が問題となりました。
身近な例え
学校が「成績下位者は全員補習」と一括で決めた場合、個々の生徒に具体的な義務が生じるのと同じで、一括指定でも個別の権利制限が発生すれば処分になります。
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
【処分性の判断基準】 ①一括指定という形式でも、条件に合致する個々の道路すべてに指定効果が直接生じる ②その結果、敷地所有者は道路内の建築制限(44条)や私道の変更・廃止制限(45条)という具体的な私権制限を受ける ③個人の権利義務に直接影響を与えるため、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたる ※一括指定か個別指定かという形式ではなく、実質的に権利義務への直接的影響があるかで判断
関連法令
音声で聴く
プレミアム会員限定