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B行政法行政行為(行政処分)

瑕疵の治癒が認められた例

最高裁判所1961-07-14最判昭36.07.14
瑕疵の治癒停止条件訴願棄却裁決手続上の瑕疵農地買収行政行為の効力理由付記との区別法的安定性

裁決前に手続を進めた瑕疵も、後から棄却裁決がくれば治癒される!

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なる子ちゃん

事案の概要

農地買収計画に対して土地所有者が異議を申し立て、訴願(不服申立て)を提起していた。ところが訴願の裁決が出る前に、県農地委員会が「訴願棄却の裁決があることを停止条件として」買収計画を承認し、県知事が買収令書を発行した。本来は訴願裁決を経てから手続を進めるべきところ、これを経ずに手続を進めた点が手続上の瑕疵(欠陥)にあたるとして、その後に実際に棄却裁決がなされた場合に瑕疵が治癒されるかどうかが争われた。
争点

争点

訴願裁決を経ずに「棄却裁決を停止条件として」買収手続を進めたことによる手続上の瑕疵は、その後に実際に訴願棄却の裁決がなされたことによって治癒され、適法として扱われるか、が争点です。
判旨

判旨

県農地委員会は「訴願棄却の裁決があることを停止条件として」買収計画を承認し、県知事が買収令書を発行しました。この時点では訴願裁決前に手続を進めた点で手続上の瑕疵がありました。しかし、承認は停止条件付きであり、その後実際に訴願棄却の裁決がなされた以上、条件が成就して手続は遡って適法なものとなります。裁決前に手続を進めたという欠陥は、後の棄却裁決によって治癒されたと認めるべきです。つまり、停止条件付きという構成をとることで、後から条件が成就した時点で瑕疵が補われるということです。
判決

判決

訴願棄却裁決を停止条件として行われた買収承認・買収令書発行の手続上の瑕疵は、その後の訴願棄却裁決によって治癒され、適法として扱われると判断された。
関連法令の解説

関連法令の解説

自作農創設特別措置法(旧法)
本件当時の農地買収手続を規定していた法律です。農地買収計画に対して土地所有者が異議を申し立て訴願を提起した場合、その裁決を経てから後続の手続(承認・買収令書の発行)を進める必要がありました。本件では訴願裁決前に手続を進めたことが手続上の瑕疵とされましたが、停止条件付きという構成により後の治癒が認められました。

行政行為の瑕疵の治癒(法理)

瑕疵の治癒とは、行政行為がなされた後に欠けていた要件(主に手続的・形式的要件)が事後的に補われることで、瑕疵がなくなったものとして扱う法理です。法的安定性と行政経済の観点から認められますが、すべての瑕疵に適用されるわけではなく、理由付記の欠如のような実質的な瑕疵には治癒が認められない場合があります。
身近な例え

身近な例え

試験の答案を先に提出してしまったけど、後から採点結果が合格だったので、提出順序の間違いは問題なしとされたようなものです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

行政行為に手続上の瑕疵(欠陥)があっても、後からその欠陥が補われれば「瑕疵の治癒」として適法扱いになることがあるんだよね。この判例では「訴願棄却の裁決を停止条件として」手続を進めた、つまり「棄却裁決が出たら効力が生じる」という形をとっていたんだ。実際に棄却裁決が出た以上、手続の欠陥は治癒されて適法になるって最高裁は判断したよ。でも注意!理由付記が欠けていた場合など、手続の瑕疵がすべて治癒されるわけじゃないから、「どんな瑕疵が治癒されるか」は慎重に判断する必要があるんだよ!

試験対策ポイント

瑕疵の治癒とは、行政行為後に欠けていた手続的・形式的要件が事後的に補われ、瑕疵がなくなったものとして扱われることをいう
本件では「停止条件付き」という構成をとったことで、後の棄却裁決による治癒が認められた

注意:理由付記の欠如のような瑕疵は、後日の裁決段階で追完されても治癒されない(最判昭47.12.5)との区別が重要

瑕疵の治癒と違法行為の転換(瑕疵ある行政行為を別の行政行為として有効と認める)は異なる概念であり、混同しないこと

瑕疵の治癒が認められるのは主に軽微な手続的瑕疵に限られ、実質的な違法には及ばないと理解しておくこと

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