A民法総則(意思表示・代理・時効等)
阪神電鉄事件
大審院1932-10-06
胎児の権利能力停止条件説民法721条出生前の和解損害賠償請求権
胎児代理の和解は無効
図解でわかる

事案の概要
妊娠中の妻の夫が交通事故で死亡しました。鉄道会社は、まだ生まれていない胎児を代理するとして母親と和解契約を結び、賠償金を支払いました。その後、子どもが無事に生まれ、成長してから「生まれる前の和解は無効だ」として改めて損害賠償を請求したのがこの事件です。
争点
民法721条の「胎児はすでに生まれたものとみなす」という規定は、胎児が出生する前の段階で、代理人が胎児に代わって損害賠償請求権を処分(和解など)できるという意味を含むのか。
判旨
「すでに生まれたものとみなす」とは、胎児が生きて生まれた場合に限り、不法行為があった時点にさかのぼって権利能力(法律上の人として扱われる資格)が認められるという意味にすぎない。出生前の胎児には権利能力がなく、胎児を代理して権利を処分できる法律上の仕組みも存在しないため、出生前に行われた和解契約は無効となる(停止条件説)。
関連法令の解説
民法721条は、胎児の損害賠償請求権に関する規定です。不法行為で父親が死亡した場合、母親のお腹の中にいる胎児も、生まれたものとみなして損害賠償請求できるという趣旨です。
身近な例え
まだ生まれていない赤ちゃんの名義で銀行口座を作れないのと同じ。人として扱われるのは生まれてからです。
ざっくりまとめ
要するに、お腹の中にいる胎児には法律上の人格がまだないから、代理人を立てて和解するなんてできない。生まれる前の和解は無効ってこと!
試験対策ポイント
【停止条件説の採用】 ・「すでに生まれたものとみなす」=生きて生まれた場合に限り、不法行為時にさかのぼって権利能力が認められる ・出生前の胎児には権利能力がない ・胎児を代理する法定代理の制度も存在しない ・したがって、出生前に胎児を代理して行った和解契約は無効 ・試験では「胎児の権利能力」と「代理権の有無」がポイント
関連法令
民法721条
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