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A憲法統治機構

パチンコ球遊器事件

最高裁判所1958-03-28最判昭33.3.28
租税法律主義行政通達課税処分

通達で課税しても、中身が法律と合っていれば租税法律主義違反にならない!

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判例図解

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なる子ちゃん

事案の概要

税務当局は、パチンコ台(パチンコ球遊器)に物品税を課税するにあたり、法律の改正ではなく行政通達(役所内部のお達し)をきっかけとして課税を開始しました。課税された業者側は「法律ではなく通達で課税するのは、租税法律主義を定めた憲法84条に違反する」と主張して争いました。法律の根拠なく通達だけで国民に税負担を課せるのかどうかが問われた事件です。
争点

争点

税務当局が法律の改正によらず行政通達をきっかけとしてパチンコ台に課税した場合、課税は必ず法律で定めなければならないとする租税法律主義(憲法84条)に違反するか、というのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

パチンコ台は社会通念上一般的に遊び道具とみなされており、物品税法上の「遊戯具」に含まれないと解釈することは困難です。そのため、パチンコ台を「遊戯具」として課税対象とした判断は法律の正しい解釈として認められます。課税のきっかけがたまたま行政通達であったとしても、その通達の内容が法律の正しい解釈と一致している以上、課税処分は法律の根拠に基づくものとみなすことができます。租税法律主義違反の主張は、通達の内容が法律の定めに合致しないことを前提とするものであるため、本件には当てはまらないとしました。つまり、通達による課税が違憲となるのは通達の内容が法律からズレている場合であり、法律と一致している場合は違憲とはならないということです。

【原文】

社会観念上普通に遊戯具とされているパチンコ球遊器が物品税法上の「遊戯具」のうちに含まれないと解することは困難であり(中略)現行法の解釈として「遊戯具」中にパチンコ球遊器が含まれるとしたものであつて、右判断は、正当である。  なお、論旨は、通達課税による憲法違反を云為しているが、本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであつても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基く処分と解するに妨げがなく、所論違憲の主張は、通達の内容が法の定めに合致しないことを前提とするものであつて、採用し得ない。
判決

判決

合憲(租税法律主義に反しない)。通達の内容が法律の正しい解釈と合致していたため、行政通達をきっかけとする課税処分は憲法84条に違反しないと判断されました。
関連法令の解説

関連法令の解説

憲法84条(租税法律主義):あらたに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とすると定めています。国民の財産権を守るため、課税は必ず議会が制定した法律によらなければならないという原則です。本件では行政通達による課税がこの原則に違反するかが問われました。
物品税法1条(当時):特定の物品に対して物品税を課することを定めた規定で、課税対象に「遊戯具」が含まれていました。パチンコ台がこの「遊戯具」にあたるかどうかも本件の論点の一つでした。
身近な例え

身近な例え

料理のレシピ本(通達)を見て料理を作っても、そのレシピが基本の調理法(法律)に忠実なら問題ないのと同じです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

「通達で課税した=即違憲」って思いがちだけど、この判例はそう単純じゃないってことを示してるんだよね。通達の内容が法律の正しい解釈と一致しているなら、たまたま通達がきっかけでも法律に基づいた課税と同じことになる、ってのが裁判所の考え方。つまり違憲になるのは「通達の内容が法律からズレている場合」だけ!通達そのものが問題なのではなく、法律との整合性が判断基準になるってのが試験で問われるポイントだよ。

試験対策ポイント

通達による課税そのものが直ちに違憲となるわけではない。通達の内容が法律の正しい解釈と一致していれば、法律に基づいた課税処分とみなされる。
租税法律主義違反が問題となるのは、通達の内容が法律の定めに合致しない場合。「通達=違憲」と短絡的に覚えると誤答になる。

「たまたま通達を機縁として行われたものであっても」という表現は頻出。課税のきっかけが通達であること自体は違憲の根拠にならないとされた点を押さえる。

パチンコ台が物品税法上の「遊戯具」にあたるかという論点も含まれる。社会通念(一般常識)を基準として法律の文言を解釈した点も確認すること。

注意:行政通達は法律ではなく行政内部のお達しに過ぎない。通達自体は国民を拘束しないが、その内容が法律解釈として正当であれば課税の根拠になりうるという構造を理解すること。

法令

関連法令

関連判例

関連判例

憲法最高裁判所大法廷

旭川市国民健康保険条例事件

国民健康保険料は保険給付に対する反対給付として徴収されるものであり、憲法84条は直接適用されない しかし強制加入・強制徴収という点で租税に類似するため、憲法84条の趣旨(精神)は及ぶ 注意:「84条が適用される」と「84条の趣旨が及ぶ」は別の話であり、混同しないこと 賦課要件をどの程度明確に定めるべきかは公課の性質・目的・強制の度合い等を総合考慮して判断 国民健康保険税として徴収する場合は税の形式をとるため84条が直接適用される点も対比して押さえること

行政法最高裁判所

課税処分と当然無効

行政処分の無効の一般原則は重大かつ明白な瑕疵(最判昭34.9.22)だが、課税処分は第三者保護の必要がないため修正される 課税処分の当然無効には「明白性」は不要で、次の2要件が必要:①課税要件の根幹に関わる重大な過誤、②不服申立期間を徒過させることが著しく不当と認められる例外的事情 注意:この例外は慎重に認めるべきとされており、更正の期間制限等も考慮される 無効な処分は出訴期間の制限を受けないため、いつでも無効確認訴訟を提起できる 課税処分は課税庁と納税者の二者間の問題であり、第三者の取引安全を守る必要がない点が無効の判断基準を緩和する根拠

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