第2節 相続法
第4章 家族法
相続法は、人が亡くなったときに財産や権利義務が誰にどのように引き継がれるかを定める分野です。遺産分割、遺言、遺留分など実務上も頻出で、行政書士試験でも毎年必ず出題される最重要分野の一つです。家族関係と財産権が交錯する複雑な領域ですが、体系的に理解すれば得点源にできます。
相続の順位と法定相続分
第900条条簡単にいうと
人が死んだとき、誰がどれだけ財産を引き継ぐの?相続人の順番と取り分のルールを覚えよう!
相続は被相続人の死亡によって開始し(882条)、その財産上の権利義務は相続人に承継されます。民法は相続人の範囲と優先順位を明確に定めており、配偶者は常に相続人となる一方、血族相続人には第1順位から第3順位までの優先順位があります。配偶者がいない場合は血族相続人のみが相続し、血族がいない場合は配偶者のみが全額取得します。
血族相続人の順位は次のとおりです。第1順位は子(直系卑属)であり、子が相続開始前に死亡している場合には孫以下への代襲相続が発生します。第2順位は直系尊属(父母・祖父母など)で、第1順位の相続人が誰もいない場合に相続します。第3順位は兄弟姉妹であり、第1・第2順位の相続人がともにいない場合に限り相続人となります。上位の順位に相続人が1人でも存在すれば下位の順位は相続できません。
法定相続分(900条)は、配偶者と子が相続人の場合は各2分の1、配偶者と直系尊属が相続人の場合は配偶者が3分の2・直系尊属が3分の1、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は配偶者が4分の3・兄弟姉妹が4分の1です。同順位の血族が複数いる場合は均等に分割されます。なお、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等です(最大決平成25年9月4日)。
遺言がある場合は指定相続分が法定相続分に優先します(900条括弧書き)。また、半血兄弟姉妹(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)の相続分は全血兄弟姉妹の2分の1となります(900条4号但書)。
具体例
被相続人Aが死亡し、配偶者B・子C・子Dが相続人の場合、Bは1/2、CとDはそれぞれ1/4ずつ相続する。子がおらず配偶者Bと父親Eのみの場合、Bが2/3・Eが1/3を相続する。

相続の順位と法定相続分
ポイント整理
- ・被相続人の死亡
- ・相続人が存在すること(配偶者は常に相続人、血族は第1〜3順位)
- ・相続人が相続欠格・廃除・放棄をしていないこと
効果
- ・配偶者は常に相続人として法定相続分を取得
- ・第1順位(子)がいれば第2・3順位は相続しない
- ・同順位の血族が複数いる場合は均等分割
- ・法定相続分は遺言による指定相続分に劣後
条文(第900条条)
第900条(法定相続分)同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
重要メモ
- ・「配偶者は常に相続人、血族は子→直系尊属→兄弟姉妹の順」という2本柱と、法定相続分の数字(1/2・2/3・3/4)を暗記することが試験のカギ
- ・相続の順位:第1順位=子(直系卑属)、第2順位=直系尊属、第3順位=兄弟姉妹(900条)
- ・配偶者は血族の順位に関わらず常に相続人となる。血族のみ・配偶者のみの場合は全財産を取得
- ・法定相続分の数字:配偶者+子=各1/2、配偶者+直系尊属=2/3・1/3、配偶者+兄弟姉妹=3/4・1/4
- ・嫡出子と非嫡出子の相続分は同等(最大決平25.9.4)
- ・半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の1/2(900条4号但書)
- ・遺言がある場合は指定相続分が法定相続分に優先する(900条括弧書き)
代襲相続
第887条・889条条簡単にいうと
相続人が先に死んでいたらどうなるの?その子(孫)が「代わりに相続」する代襲相続の仕組みを理解しよう!
代襲相続とは、相続の開始前に相続人である子または兄弟姉妹が死亡している場合、その相続人の子(孫・甥・姪)が代わりに相続する制度です(887条2項・889条2項)。代襲相続人は被代襲者(先に死亡した相続人)が受けるはずであった相続分をそのまま引き継ぎます。代襲者が複数いる場合は、被代襲者の相続分を均等に分けます。
代襲相続の範囲は、被代襲者が誰かによって大きく異なります。子が被代襲者の場合には再代襲が認められており、孫・ひ孫と下の世代に無制限に連鎖します(887条3項)。一方、兄弟姉妹が被代襲者の場合には甥・姪まで一代限りで代襲でき、再代襲はありません(889条2項は887条3項を準用しない)。この「子は無制限・兄弟姉妹は一代限り」という違いは試験頻出です。
代襲相続が発生する原因は、①被代襲者の死亡のほか、②相続欠格(891条)および③相続廃除(892条)の場合も含まれます。これらの場合、被代襲者の子が代わりに相続できます。ただし、相続放棄は代襲相続の原因になりません。放棄した者は最初から相続人でなかったものとみなされるため(939条)、その子は代襲できないことに注意が必要です。なお、相続放棄の場合に代襲が認められない理由は、放棄者は「相続開始以前に死亡した」のではなく、自らの意思で相続人の地位を放棄したにすぎないからです。
具体例
被相続人Aが死亡し、子Bが既に死亡していた場合、Bの子C(Aの孫)がBの相続分を代襲相続する。さらにCも死亡していればCの子D(ひ孫)が再代襲する。兄弟姉妹Eが死亡していた場合はEの子F(甥・姪)が代襲するが、Fも死亡していてもFの子は代襲できない(再代襲なし)。

代襲相続の範囲と制度
ポイント整理
- ・相続開始前に、相続人である子または兄弟姉妹が死亡・欠格・廃除されていること
- ・被代襲者に子(直系卑属)が存在すること
- ・代襲者が相続欠格・廃除・放棄をしていないこと
効果
- ・代襲者が被代襲者の相続分をそのまま引き継ぐ
- ・子の代襲は孫・ひ孫と無制限に再代襲する(887条3項)
- ・兄弟姉妹の代襲は甥・姪まで一代限り(再代襲なし)
- ・相続放棄の場合は代襲相続が発生しない
条文(第887条・889条条)
第887条第2項 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。第3項 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によってその相続権を失った場合について準用する。
重要メモ
- ・「子の代襲は無制限(再代襲あり)、兄弟姉妹の代襲は甥・姪まで(再代襲なし)」という範囲の違いが最重要
- ・代襲相続の原因:①死亡・②相続欠格(891条)・③相続廃除(892条)の3つ。相続放棄は代襲の原因にならない(939条)
- ・子が被代襲者の場合:孫・ひ孫と直系卑属に無制限に再代襲する(887条3項)
- ・兄弟姉妹が被代襲者の場合:甥・姪(一代のみ)で打ち切り。再代襲は認められない(889条2項は887条3項を準用しない)
- ・代襲者は被代襲者の相続分をそのまま引き継ぐ。代襲者が複数いれば均等分割
- ・相続放棄は「最初から相続人でなかった」扱い(939条)のため、その子は代襲できない点に注意
相続の欠格・廃除
第891条・892条条簡単にいうと
親を殺したり虐待したりした人は相続できない!相続欠格と相続廃除の2つの制度をしっかり比較しよう。
相続人として相応しくない者から相続権を剥奪する制度として、①相続欠格(891条)と②相続人の廃除(892条)の2つがあります。両者は発生原因・対象者・手続きが異なるため、正確な区別が必要です。
相続欠格(891条)は、一定の欠格事由に該当すると法律上当然に相続資格を失う制度です。欠格事由の主なものは、被相続人または先順位・同順位の相続人を故意に死亡させたまたは死亡させようとして刑に処せられた者、詐欺・強迫によって被相続人に遺言をさせ・撤回させ・取消させた者などです。欠格は特別の手続きを要せず、欠格事由が発生した時点で自動的に相続権を失います。対象はすべての相続人です。
相続人の廃除(892条)は、遺留分を有する相続人(配偶者・子・直系尊属)が被相続人に対して虐待・重大な侮辱・著しい非行をした場合に、被相続人の請求により家庭裁判所の審判で相続権を剥奪する制度です。廃除は家庭裁判所の審判が確定することで効力を生じます。また廃除の取消し(894条)も可能であり、被相続人はいつでも廃除の取消しを家庭裁判所に請求できます。
欠格・廃除された者の子は代襲相続できます(887条2項・889条2項)。なお兄弟姉妹は遺留分を持たないため廃除の対象にはなりません。
具体例
子Cが被相続人Aを殺害した場合、Cは相続欠格者となり相続権を失う(法律上当然)。CにはさらにCの子Gがいた場合、GはCを代襲して相続人となる。被相続人Aが子Dによる虐待を家庭裁判所に廃除請求し審判が確定した場合もDは相続権を失い、Dの子Hが代襲相続できる。

相続の欠格・廃除
ポイント整理
- ・【欠格】891条所定の欠格事由(故意の死亡・詐欺強迫による遺言等)の存在
- ・【廃除】被相続人への虐待・重大侮辱・著しい非行の存在
- ・【廃除】被相続人が遺留分を有する相続人について家庭裁判所に廃除請求すること
効果
- ・【欠格】法律上当然に相続資格を喪失(手続不要)
- ・【廃除】家庭裁判所の審判確定により相続資格を喪失
- ・【共通】欠格・廃除された者の子は代襲相続できる
- ・【廃除のみ】被相続人はいつでも廃除を取り消せる(894条)
条文(第891条・892条条)
第891条(相続人の欠格事由)次に掲げる者は、相続人となることができない。一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者…第892条(推定相続人の廃除)遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
重要メモ
- ・「欠格は自動(手続不要)・廃除は家庭裁判所の審判が必要」という手続き上の違いが最重要ポイント
- ・相続欠格(891条):欠格事由に該当すると法律上当然に相続権を喪失。特別の手続き不要。対象はすべての相続人
- ・欠格事由の例:被相続人等を故意に死亡させまたは死亡させようとして刑に処せられた者、遺言書を偽造・隠匿した者、詐欺・強迫によって遺言させた者など(891条各号)
- ・相続人の廃除(892条):被相続人の請求により家庭裁判所の審判で相続権を剥奪。対象は遺留分を有する相続人のみ(兄弟姉妹は対象外)
- ・廃除の取消し(894条):被相続人はいつでも廃除の取消しを家庭裁判所に請求できる。欠格に取消し制度はない
- ・欠格・廃除のどちらの場合も、その者の子による代襲相続は発生する(887条2項・889条2項)
相続の承認・放棄
第915条・920条・922条・939条条簡単にいうと
借金まみれの遺産でも引き継がないといけない?安心して。「もらう・限定でもらう・いらない」の3択から選べます!
相続人は、相続があったことを知った時から3カ月以内(熟慮期間・915条)に、相続の承認または放棄を選択することができます。この熟慮期間を経過すると単純承認をしたものとみなされます(921条2号)。
単純承認(920条)とは、被相続人の一切の権利義務を無限に承継することです。特別な手続きは不要で、熟慮期間内に何もしなければ自動的に単純承認となります(法定単純承認・921条)。法定単純承認となる主な場合は、①相続財産の全部または一部を処分したとき、②熟慮期間の経過、③相続財産の隠匿・消費・悪意の財産目録への不記載です。
限定承認(922条)とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務を弁済する条件で相続を承認することです。プラスの財産の範囲内でのみ債務を負担できるため、相続財産が債務超過かどうかわからない場合に有効です。ただし、共同相続人全員が共同して行わなければならず(923条)、家庭裁判所への申述が必要です。
相続放棄(939条)とは、相続財産を一切受け取らないことです。放棄した者は最初から相続人でなかったものとみなされます。単独でできますが、熟慮期間内に家庭裁判所に申述する必要があります(938条)。なお、相続放棄をした者の子は代襲相続できません(939条)。
具体例
亡Aには3,000万円の借金と300万円の自宅があった。相続人Bが限定承認を選択すると、自宅(300万円相当)を弁済に充てれば残りの2,700万円の借金は相続しなくて済む。Bが放棄すれば一切関与しない。

相続の承認・放棄(熟慮期間3ヶ月以内)
ポイント整理
- ・相続人であること
- ・相続があったことを知った時から3カ月以内(熟慮期間・915条)
- ・【限定承認】共同相続人全員で共同して行うこと(923条)
- ・【放棄】家庭裁判所に申述すること(938条)
効果
- ・【単純承認】被相続人の権利義務を無限に承継(プラス・マイナス全部)
- ・【限定承認】相続で得た財産の限度内でのみ債務を弁済すればよい
- ・【放棄】最初から相続人でなかったものとみなされ、代襲相続も発生しない
- ・熟慮期間経過で自動的に単純承認(921条2号)
条文(第915条・920条・922条・939条条)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。第920条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
重要メモ
- ・「3カ月の熟慮期間内に選択、何もしなければ単純承認」という基本構造を押さえる
- ・熟慮期間:相続があったことを知った時から3カ月(915条)。期間経過で法定単純承認となる(921条2号)
- ・単純承認(920条):プラス・マイナス含め一切の権利義務を無限に承継。特別手続き不要
- ・法定単純承認の3要件(921条):①相続財産の処分、②熟慮期間の経過、③相続財産の隠匿・消費・悪意の財産目録への不記載
- ・限定承認(922条):取得した財産の限度内でのみ債務を弁済。共同相続人全員が共同して行うこと(923条)・家庭裁判所に申述必須
- ・相続放棄(938条・939条):一切の相続財産を取得しない。単独でできるが家庭裁判所への申述が必要。放棄した者は「最初から相続人でなかった」扱い
- ・放棄では代襲相続は発生しない(欠格・廃除とは異なる)。相続開始前の承認・放棄はできない
遺産分割
第907条・909条条簡単にいうと
相続が始まると財産は相続人みんなの共有状態。それを実際に分けるのが遺産分割!協議・調停・審判の3つの方法があります。
相続が開始すると、相続財産は共同相続人全員の共有状態となります(898条)。この共有状態を解消して各相続人が具体的な財産を取得するために行われる手続きが遺産分割です(907条)。
遺産分割の方法は3つあります。第一は協議分割であり、相続人全員の合意によって自由に分割内容を決定できます。法定相続分と異なる割合で分割することも可能です。第二は調停分割であり、協議が不成立の場合に家庭裁判所に調停を申し立てます。第三は審判分割であり、調停でも不成立の場合に家庭裁判所が審判によって分割内容を決定します。
遺産分割の効力は相続開始時に遡ります(909条本文・遡及効)。ただし、分割前に権利を取得した第三者の権利を害することはできません(909条但書)。また遺産分割前に相続分を第三者に譲渡した場合には、他の共同相続人は3カ月以内に価額を償還してその相続分を取り戻すことができます(905条)。
遺産分割において考慮される特別な制度として、特別受益(903条・904条)と寄与分(904条の2)があります。特別受益とは相続人が被相続人から受けた贈与等であり、遺産に持ち戻して計算します。寄与分とは被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人について認められる加算分です。
具体例
Aが死亡し、相続人が配偶者Bと子C・Dの3名。遺産1,200万円。協議分割でBが600万円、CとDが300万円ずつ取得と合意した場合、これが確定する。協議が整わなければ家庭裁判所に調停を申し立てる。

遺産分割とは
ポイント整理
- ・共同相続人が2名以上いること
- ・協議分割の場合は相続人全員の合意
- ・調停・審判分割の場合は家庭裁判所への申立て
効果
- ・遺産分割の効果は相続開始時に遡及(909条本文)
- ・分割前の第三者の権利は害されない(909条但書)
- ・各相続人が具体的な財産を単独所有として取得
- ・相続分の第三者譲渡は他の共同相続人が取り戻せる(905条・3カ月以内)
条文(第907条・909条条)
第907条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第2項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除くほか、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
重要メモ
- ・「遺産分割の効果は相続開始時に遡及するが、分割前の第三者の権利は害せない」という909条の規定が頻出
- ・遺産分割の方法:①協議分割(相続人全員の合意必須・1人でも欠けると無効)、②調停分割(家庭裁判所への申立て)、③審判分割(調停不成立後に裁判所が決定)
- ・遺産分割の遡及効:効力は相続開始時に遡及する(909条本文)。ただし第三者の権利は害せない(909条但書)
- ・遺産分割前に相続分を第三者に譲渡した場合、他の共同相続人は3カ月以内に価額を償還して取り戻せる(905条)
- ・協議と異なる遺産分割も共同相続人全員の合意があれば有効。債務不履行を理由とする解除は不可
- ・特別受益の持戻し(903条)と寄与分(904条の2)も重要。相続開始から10年経過後は特別受益・寄与分の主張が制限される(904条の3・2021年改正・2023年4月1日施行)
特別受益と寄与分
第903条・904条の2条簡単にいうと
生前にたくさんもらっていた相続人が同じ取り分?それは不公平!特別受益と寄与分で実質的な公平を図る仕組みを覚えよう。
遺産分割における公平を実現するため、民法は特別受益(903条・904条)と寄与分(904条の2)という2つの調整制度を設けています。
特別受益とは、相続人が被相続人から受けた遺贈または婚姻・養子縁組のためもしくは生計の資本として受けた贈与のことです(903条1項)。特別受益を受けた相続人は、相続分の計算上その受益分を遺産に「持ち戻し」て計算します。これにより生前贈与を多く受けた相続人の具体的相続分が減額され、相続人間の実質的な平等が図られます。ただし、被相続人は持戻し免除の意思表示をすることができ(903条3項)、その場合は持戻しを行いません。また、婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用不動産の遺贈・贈与は、持戻し免除の意思表示があったものと推定されます(903条4項・2018年改正)。
寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付、被相続人の療養看護などによって被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした者がいる場合に認められる加算分です(904条の2)。寄与分は相続人間の協議で定めますが、協議が整わないときは家庭裁判所が定めます。なお、相続人以外の親族(相続人でない子の配偶者等)による療養看護等については、特別寄与制度(1050条・2018年改正)により金銭の請求が認められています。
具体例
遺産1,000万円。相続人は子A・B・Cの3名。Aが生前に住宅購入資金として300万円の贈与(特別受益)を受けていた場合、みなし相続財産は1,300万円となり各自の相続分は433万円。AはそこからAの特別受益300万円を引いた133万円が具体的相続分となる。
ポイント整理
- ・【特別受益】相続人が遺贈または生計の資本としての贈与等を受けていること(903条1項)
- ・【寄与分】相続人が被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をしたこと(904条の2第1項)
- ・【寄与分】寄与が「特別の貢献」といえること(通常の扶養義務の履行を超える必要あり)
効果
- ・【特別受益】特別受益分を遺産に持ち戻してから各相続人の相続分を計算
- ・【特別受益】持戻し免除の意思表示があれば持戻し不要(903条3項)
- ・【特別受益】婚姻20年以上の夫婦間の居住用不動産は持戻し免除推定(903条4項)
- ・【寄与分】寄与分を遺産から先に控除し、残額で法定相続分を計算
条文(第903条・904条の2条)
第903条第1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。第904条の2第1項 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
重要メモ
- ・「特別受益は持戻し計算で受益者の取り分を減らし、寄与分は貢献者の取り分を増やす」という相続人間の公平化ツール
- ・特別受益(903条):相続人が受けた遺贈または婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与を遺産に持ち戻してから相続分を計算する
- ・持戻し免除の意思表示(903条3項)があれば持戻し不要。婚姻20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与・遺贈は持戻し免除を推定(903条4項・2018年改正)
- ・寄与分(904条の2):被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人の加算分。相続人間の協議で決定し、不成立なら家庭裁判所が定める
- ・「通常の扶養義務の履行」を超える特別の寄与であることが必要。単なる介護等は認められないことが多い
- ・相続人以外の親族(嫁・婿等)による寄与は特別寄与制度(1050条・2018年改正)で相続人への金銭請求が可能
- ・相続開始から10年後は特別受益・寄与分の主張不可(904条の3・2021年改正)
遺産分割の対象財産と長期間経過後の規律
第898条・904条の3条簡単にいうと
全ての財産が遺産分割の対象になるわけじゃない!預貯金は対象だけど、可分債権は違う。2021年改正で「10年ルール」も導入されました。
相続が開始すると相続財産は共同相続人全員の共有となりますが(898条)、すべての財産が遺産分割の対象になるわけではなく、分割の必要がなく当然に分割されるものがあります。
遺産分割の対象となる財産の代表例は不動産および預貯金債権です。預貯金について判例は長らく「可分債権として相続開始と同時に当然分割される」と扱っていましたが、最大決平成28年12月19日によって変更され、現在は預貯金も遺産分割の対象(遺産共有)とされています。これにより、預貯金を取得するためには遺産分割協議が必要となりました(ただし仮払い制度・909条の2もあります)。一方、通常の金銭債権などの可分債権は相続開始と同時に法定相続分に従って当然分割されます(最判昭和29年4月8日)。
2021年民法改正(2023年4月1日施行)により、相続開始から10年を経過した後の遺産分割について特別のルールが設けられました(904条の3)。相続開始から10年を経過した後は、特別受益や寄与分を考慮した「具体的相続分」による遺産分割を主張できなくなり、法定相続分または指定相続分によって分割することになります。所有者不明不動産問題の解決・遺産分割の促進が立法目的です。ただし、10年以内に家庭裁判所に遺産分割の申立てがされた場合などは例外として引き続き具体的相続分による主張が可能です(904条の3各号)。
具体例
Aが死亡し相続人はB・C・D(各1/3)。Aの財産は不動産1,000万円・預貯金600万円・貸付金300万円。不動産と預貯金は遺産分割の対象(分割協議が必要)。貸付金は相続開始と同時に各100万円ずつ当然分割される。
ポイント整理
- ・【当然分割】可分債権であること(金銭債権等)
- ・【遺産共有】不動産・預貯金等の遺産分割対象財産であること
- ・【10年ルール】相続開始から10年が経過していること(904条の3)
効果
- ・不動産・預貯金は遺産分割の対象(最大決平28.12.19)
- ・可分債権は相続開始と同時に法定相続分で当然分割
- ・相続開始から10年後は具体的相続分(特別受益・寄与分考慮)の主張不可
- ・10年後は法定相続分・指定相続分による分割のみ可能(904条の3)
条文(第898条・904条の3条)
第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。第904条の3 各共同相続人は、第900条から第902条まで、第903条及び第904条の2の規定にかかわらず、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、第900条及び第901条の規定により算定した相続分、又は第902条の規定により指定された相続分によってすることができる。
重要メモ
- ・「預貯金は遺産分割の対象(最大決平28.12.19)、可分債権は当然分割」という判例の区別と、「相続開始から10年後は特別受益・寄与分の主張不可」という2021年改正を押さえること
- ・遺産共有となるもの:不動産・普通預貯金・通常貯金・定期預金(最大決平28.12.19で変更)。分割には遺産分割協議が必要
- ・遺産共有とならないもの:不法行為に基づく損害賠償請求権等の可分債権は相続開始と同時に法定相続分で当然分割(最判昭29.4.8)
- ・仮払い制度(909条の2):当面の生活費・葬儀費用のため、遺産分割前でも一定額の預貯金を単独で払戻し可能
- ・10年ルール(904条の3・2021年改正・2023年4月1日施行):相続開始から10年後は具体的相続分(特別受益・寄与分考慮)による分割主張不可。法定相続分・指定相続分によってのみ分割
- ・10年ルールの例外:10年経過前に家庭裁判所への遺産分割申立てがあった場合等は引き続き具体的相続分による主張が可能(904条の3各号)
- ・経過措置:2023年4月1日施行。施行日から5年以内(2028年3月31日まで)に申立てすれば従前のルールが適用
配偶者居住権
第1028条・1030条・1031条・1032条条簡単にいうと
2020年新設の制度!自宅を相続すると預貯金がもらえない問題を解決するため、住む権利と財産の権利を分けて配偶者を守る制度です。
配偶者居住権は、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、その建物の全部について無償で使用・収益する権利です(1028条)。2018年の民法改正(2020年4月1日施行)で新設されました。
制度創設の背景には、配偶者が遺産分割で居住建物を取得すると、その不動産の価値が高い場合に預貯金等を取得できず老後の生活費が不足するという問題がありました。配偶者居住権を利用することで、居住建物の「使用権」と「所有権」を分けて評価できます。使用権(配偶者居住権)の価値は所有権より低いため、配偶者は居住建物の使用権を取得しながら残りの遺産(預貯金等)も取得できるようになりました。
配偶者居住権の主な特徴は以下のとおりです。存続期間は原則として配偶者の終身(1030条)です。ただし遺産分割協議や遺言で別の期間を定めることも可能です。第三者への対抗には登記が必要であり(1031条2項)、居住建物の所有者は配偶者居住権の登記義務を負います(1031条1項)。配偶者居住権は譲渡することができず(1032条2項)、一身専属権として配偶者の死亡とともに消滅します。
配偶者居住権とは別に、短期の配偶者短期居住権(1037条)も設けられており、遺産分割確定まで最低6カ月は居住を保護します。
具体例
遺産:自宅建物(2,000万円相当)・預貯金1,000万円。相続人:配偶者B・子C(各1/2の1,500万円分)。配偶者居住権(評価800万円)を取得したBは、預貯金700万円も取得できる(800+700=1,500万円)。CはBが亡くなれば自宅所有権を完全取得する。

配偶者居住権の仕組みと効果
ポイント整理
- ・相続開始時に配偶者が被相続人所有の建物に居住していたこと
- ・遺産分割・遺贈・死因贈与・家庭裁判所の審判のいずれかによって取得すること
- ・2020年4月1日以降の相続であること
効果
- ・配偶者は終身(原則)、居住建物を無償で使用・収益できる
- ・登記を具備することで第三者に対抗できる(1031条2項)
- ・配偶者居住権は譲渡不可・一身専属権(1032条2項)
- ・配偶者の死亡により配偶者居住権は消滅(所有者が完全所有権を取得)
条文(第1028条・1030条・1031条・1032条条)
第1028条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。第1030条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
重要メモ
- ・「配偶者居住権は使用権と所有権を分けて評価することで、配偶者が住む場所も預貯金も両方取れるようにする制度」(2020年4月1日施行)
- ・取得方法:遺産分割・遺贈・死因贈与・家庭裁判所の審判のいずれか。相続開始時に被相続人所有建物に居住していた配偶者のみ取得可能(1028条)
- ・存続期間は原則として配偶者の終身(1030条)。遺産分割協議・遺言で別期間の定めも可能
- ・対抗要件は登記(1031条2項)。居住建物の所有者が配偶者居住権の設定登記義務を負う(1031条1項)
- ・配偶者居住権は譲渡不可・一身専属権(1032条2項)。配偶者の死亡で消滅し所有者が完全所有権を回復
- ・善良な管理者の注意をもって使用収益すること(1032条1項)。用途に反する使用・無断改築は消滅請求の対象
- ・配偶者短期居住権(1037条):遺産分割確定まで最低6カ月は無償居住を保護。要件充足で当然取得・対抗要件不要
遺言の方式
第968条・969条・970条条簡単にいうと
「私の財産はこうしてほしい」という意思を法的に有効にするには、正しい方式で遺言を作らないといけません。3種類の方式と検認の要否を整理しましょう!
遺言は、遺言者の死後にその意思を実現させるための単独行為であり、民法所定の方式に従わない遺言は無効となります(960条)。民法が定める普通方式の遺言には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があります。
自筆証書遺言(968条)は、遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書して押印するものです。全文を自書する必要がありますが、2019年改正(民法968条2項)により財産目録のみパソコン等で作成することが認められました(ただし財産目録には全ページへの署名押印が必要)。作成後は家庭裁判所での検認が必要です。ただし法務局(遺言書保管所)に保管した場合は検認不要です(遺言書保管法11条)。証人は不要で費用もかかりません。
公正証書遺言(969条)は、証人2名以上の立会いのもと、遺言者が公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記・読み聞かせ・承認した後に遺言者・証人・公証人が署名押印するものです。公証人が作成するため偽造・変造の心配がなく、原本が公証役場に保管されます。検認不要です。
秘密証書遺言(970条)は、遺言者が署名押印した遺言書を封じて公証人と証人2名以上の前に提出し、遺言書の存在を確認してもらうものです。遺言内容は秘密を保てますが、公証人はその内容を確認しません。開封には家庭裁判所での検認が必要です。
具体例
AはパソコンでWord文書に遺言を書き、財産目録として添付した。本文は手書きでないため自筆証書遺言として無効。ただし財産目録はパソコン可(968条2項)なので、本文のみ手書きであれば有効。
ポイント整理
- ・【自筆証書遺言】全文・日付・氏名を遺言者本人が自書・押印(968条)
- ・【公正証書遺言】証人2名以上の立会い・公証人の前で口述・公証人が筆記(969条)
- ・【秘密証書遺言】遺言者の署名押印・封印・公証人と証人2名以上の前で提出(970条)
- ・遺言能力(15歳以上・意思能力)があること(961条・963条)
効果
- ・方式に適合した遺言は有効であり、被相続人の死亡後に効力発生
- ・公正証書遺言のみ検認不要(法務局保管の自筆証書遺言も不要・遺言書保管法11条)
- ・自筆証書・秘密証書遺言は家庭裁判所での検認が必要(1004条)
- ・方式を欠く遺言は無効
条文(第968条・969条・970条条)
第968条第1項 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。第969条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。一 証人二人以上の立会いがあること。二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作られたものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
重要メモ
- ・「公正証書遺言だけが検認不要(証人2名以上・公証人作成)」という点が最頻出
- ・自筆証書遺言(968条):全文・日付・氏名を遺言者本人が自書+押印。財産目録のみパソコン等での作成可(各ページに署名押印必要・2019年改正)
- ・自筆証書遺言は検認必要(1004条)。ただし法務局(遺言書保管所)に保管した場合は検認不要(遺言書保管法11条)
- ・公正証書遺言(969条):証人2名以上の立会い・遺言者が公証人に口授・公証人が筆記・読み聞かせ・全員署名押印。検認不要・原本は公証役場に保管
- ・秘密証書遺言(970条):遺言者が署名押印し封じたうえで公証人と証人2名以上の前に提出。本文はパソコン可・他者の代筆可。検認必要
- ・証人の欠格事由(974条):推定相続人・受遺者・公証人の配偶者や直系血族・兄弟姉妹等は証人になれない
- ・遺言能力:15歳以上であれば遺言可能(961条)。意思能力も必要(963条)
遺言の効力・撤回と遺留分
第1022条・1042条・1046条条簡単にいうと
遺言はいつでも取り消せるの?そして亡くなった後に「遺言で財産をもらえなかった!」ときは遺留分という最低保障を主張できます!
遺言の撤回については、遺言者はいつでも遺言の全部または一部を撤回することができます(1022条)。撤回は生前に自由に行うことができ、遺言によって権利を取得した者の同意は不要です。前の遺言と後の遺言が抵触する場合には、その抵触する部分において前の遺言を撤回したものとみなされます(1023条1項)。また、遺言後に遺言者が遺言と抵触する生前処分等をした場合も、その抵触する部分について撤回とみなされます(1023条2項)。なお、撤回した遺言を再度撤回しても、原則として前の遺言が復活することはありません(1025条・撤回の撤回)。
遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)に法律上保障された相続財産の最低限度の割合です(1042条)。遺留分権利者は、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分がありません。遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は相続財産の3分の1、その他の場合(配偶者・子が含まれる場合等)は相続財産の2分の1です(1042条1項)。各遺留分権利者の具体的な遺留分額は、この割合に法定相続分を乗じて計算します(1042条2項)。
遺留分を侵害する遺贈や贈与がされた場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求権を行使できます(1046条)。2019年改正前は遺留分減殺請求として物権的効果(現物の返還)を生じましたが、改正後は金銭支払請求権に純化されました。請求権の消滅時効は、侵害を知った時から1年・相続開始から10年です(1048条)。
具体例
AはすべてのAの財産をBに遺贈する旨の遺言を作成した。Aが死亡し、子C・Dが遺留分を侵害されたと主張した場合、C・Dはそれぞれ遺留分侵害額請求権を行使してBに対して金銭の支払いを請求できる(遺留分割合:1/2×法定相続分1/2×Cは1/2=1/8)。

遺言の撤回・遺留分
ポイント整理
- ・遺留分権利者(配偶者・子・直系尊属)であること(1042条)
- ・遺留分を侵害する遺贈・贈与が存在すること
- ・【侵害額請求】侵害を知った時から1年・相続開始から10年以内(1048条)
効果
- ・遺留分割合:直系尊属のみ→1/3、その他→1/2(1042条)
- ・遺留分侵害額請求は金銭支払請求(2019年改正・1046条)
- ・遺言の撤回はいつでも可・前の遺言との抵触部分は当然に撤回(1023条)
- ・兄弟姉妹には遺留分なし
条文(第1022条・1042条・1046条条)
第1022条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。第1042条第1項 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一 二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一。第1046条第1項 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
重要メモ
- ・「兄弟姉妹に遺留分なし・直系尊属のみなら1/3・それ以外は1/2」という遺留分割合の暗記と、「2019年改正で遺留分侵害額請求は金銭支払請求に変わった」という改正点が超頻出
- ・遺言の撤回(1022条):遺言者はいつでも任意に遺言を撤回できる。受遺者の同意不要
- ・前後の遺言が抵触する部分は当然に前の遺言を撤回したものとみなす(1023条1項)。遺言後の生前処分との抵触部分も同様(1023条2項)
- ・撤回の撤回(1025条):撤回した遺言を再度撤回しても原則として前の遺言は復活しない。ただし撤回の意思が明らかな場合は復活する
- ・遺留分権利者:配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属。兄弟姉妹には遺留分なし(1042条)
- ・遺留分割合(1042条):直系尊属のみが相続人の場合=1/3、それ以外の場合(配偶者・子が含まれる場合等)=1/2
- ・遺留分侵害額請求権(1046条・2019年改正):金銭支払請求権に純化(現物返還不可)。消滅時効は侵害を知った時から1年・相続開始から10年(1048条)
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