第1節 親族法
第4章 家族法
親族法は、婚姻・離婚・親子関係など、家族に関する法律関係を規律する分野です。相続法と並んで家族法を構成し、日常生活に密接に関わる重要な領域です。婚姻・離婚・親権といった基本概念を正確に理解することが、行政書士試験でも実務でも不可欠です。
婚姻の成立要件
第739、742、743、744条婚姻は、男女が夫婦関係を成立させる法律行為です。成立には実質的要件(婚姻意思、婚姻適齢、重婚でないことなど)と形式的要件(戸籍法の定める届出)の両方を満たす必要があります。
具体例
AさんとBさんが結婚を決意し、婚姻届を役所に提出しました。しかしAさんには既に配偶者Cさんがいたため、重婚禁止規定により婚姻は無効とされました。
要件
- ・婚姻意思の合致(当事者双方が婚姻する意思を有すること)
- ・婚姻適齢(18歳以上)
- ・重婚でないこと
- ・再婚禁止期間を守ること(女性の場合、前婚解消後100日間)
- ・近親婚でないこと
- ・戸籍法の定める方式による届出
効果・結論
- ・夫婦間に同居・協力・扶助義務が発生(752条)
- ・夫婦の財産関係が発生(夫婦別産制が原則、760条~762条)
- ・日常家事債務の連帯責任が発生(761条)
- ・成年擬制の効果(未成年者が婚姻すれば成年者とみなされる、753条)
条文(第739、742、743、744条)
739条:婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。 742条:婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。二 当事者が婚姻の届出をしないとき。
試験のポイント
- ・婚姻意思は届出時に必要。結婚式の時点では不要(届出主義)
- ・婚姻届が受理されても実質的要件を欠けば無効または取消しの対象
- ・婚姻の無効(742条)と取消し(744条)の違いを正確に区別すること
離婚の方法と効果
第763、770、771条離婚は、婚姻関係を解消する法律行為です。協議離婚(当事者の合意による離婚)と裁判離婚(裁判所の判決による離婚)があり、日本では協議離婚が約9割を占めます。
具体例
AさんとBさんは性格の不一致で離婚を決意。協議離婚届を提出しました。未成年の子Cの親権者はAさんと定め、Bさんは養育費を支払うことになりました。
要件
- ・【協議離婚】当事者双方の離婚意思の合意、未成年子がいる場合は親権者の指定、離婚届の提出
- ・【裁判離婚】法定離婚事由の存在(770条1項各号)、調停前置主義の遵守
効果・結論
- ・婚姻による身分関係が終了(夫婦でなくなる)
- ・婚姻中の氏を称していた者は原則として婚姻前の氏に復する(767条)
- ・未成年の子については親権者を定める必要がある(819条)
- ・財産分与請求権が発生(768条)、慰謝料請求権が発生する場合もある
条文(第763、770、771条)
763条:夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。 770条:夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。一 配偶者に不貞な行為があったとき。二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
試験のポイント
- ・協議離婚では離婚意思が届出時に必要。過去の合意だけでは不十分
- ・裁判離婚の5つの法定離婚事由(770条1項)を正確に暗記すること
- ・離婚と親権者指定はセット。未成年子がいる場合は親権者を定めないと離婚届は受理されない(765条・819条)
親権の内容
第818、820、824条親権は、未成年の子を監護・教育し、その財産を管理する父母の権利義務です。身上監護権(子の身の回りの世話や教育)と財産管理権(子の財産を管理し、法律行為を代理する権利)から構成されます。
具体例
Aさん夫婦の未成年の子Bが祖父から不動産を相続しました。親権者であるAさん夫婦がBに代わってその不動産を管理し、売却などの法律行為をBに代わって行います。
要件
- ・親権者は原則として父母の共同行使(818条3項)
- ・離婚の場合は父母の一方を親権者と定める(819条)
- ・子の利益のために親権を行使する義務
効果・結論
- ・親権者は子を監護・教育する権利義務を負う(820条)
- ・子の居所指定権を有する(821条)
- ・懲戒権を有する(822条)
- ・子の財産を管理し、法律行為を代理する(824条)
- ・利益相反行為では特別代理人の選任が必要(826条)
条文(第818、820、824条)
818条:成年に達しない子は、父母の親権に服する。 820条:親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。 824条:親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。
試験のポイント
- ・親権は権利であると同時に義務である点を理解すること
- ・親権者と子の利益が相反する場合は特別代理人の選任が必要(826条)。この論点は頻出
- ・親権喪失・親権停止の制度(834条・834条の2)との関連も押さえる
親族の範囲と扶養義務
第725、877条親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいます(725条)。親族間には一定の場合に扶養義務が発生し、互いに扶養する義務を負います(877条)。
具体例
Aさんの父Bが高齢で生活に困窮しています。Aさんには扶養義務があり、Bの生活費を援助する法的義務があります。AさんとBは直系血族の関係だからです。
要件
- ・直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務を負う(877条1項)
- ・家庭裁判所は特別の事情があるときは3親等内の親族間でも扶養義務を負わせることができる(877条2項)
- ・扶養の程度・方法は当事者の協議、協議不調なら家庭裁判所が定める(878条)
効果・結論
- ・扶養義務者は扶養権利者に対して生活費等を給付する義務を負う
- ・扶養料の支払いは定期金によるのが原則
- ・扶養義務は一身専属権であり、譲渡・差押え不可
条文(第725、877条)
725条:次に掲げる者は、親族とする。一 六親等内の血族 二 配偶者 三 三親等内の姻族 877条:直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
試験のポイント
- ・親族の範囲(725条)は正確に暗記。血族6親等、姻族3親等
- ・扶養義務は直系血族と兄弟姉妹が原則。それ以外は家裁の審判が必要(877条2項)
- ・扶養義務と相続(法定相続分)、遺留分との関連も重要
まとめ
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