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テキスト/民法/第8節 契約各論

第8節 契約各論

第3章 債権法

契約各論では、贈与・売買・賃貸借・請負など個別の典型契約のルールを学びます。契約総論で学んだ一般原則が実際の取引でどう適用されるかを理解することが重要です。試験では事例問題が頻出し、各契約類型の要件・効果・特有制度(手付、契約不適合責任、転貸借制限など)の正確な理解が合否を分けます。令和2年(2020年)施行の民法改正で、売買の「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に大幅改正されたこと、使用貸借が諾成契約化されたことにも注意が必要です。

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①贈与契約とは

簡単にいうと

簡単にいうと、プレゼントをあげる約束も法律上の契約です。ただし口頭だけだとあとで解除できる場合があります。書面の有無がポイントです。

■ 贈与契約とは

贈与契約とは、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える契約です(549条)。贈与契約は諾成契約であるため、合意のみで契約が成立します。ただし贈与につき負担がなく書面によらない贈与は、当事者がいつでも解除することができます(550条)。

①贈与契約とは

贈与契約とは

重要メモ

  • 「書面なし贈与はいつでも解除できるが、履行済み部分は撤回不可」がポイント
  • 贈与は諾成契約(口頭でも成立)・片務・無償(549条)
  • 書面によらない贈与は履行が終わった部分を除いていつでも解除できる(550条)
  • 負担付贈与は負担の限度で売買に準じ、同時履行の抗弁権が発生する(553条)
  • 「履行が終わった」:動産は引渡し(占有改定による引渡しを含む)、不動産は引渡しまたは登記の移転(どちらか一方でよい)
  • 過去問:「登記移転後も口頭の贈与を解除できる」→×(履行が終わった部分は解除不可)
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②書面によらない贈与の解除

簡単にいうと

簡単にいうと、書面を作らない贈与は約束を撤回できますが、すでに履行が終わった部分については撤回できません。「履行の終了」がポイントです。

■ 書面によらない贈与の解除

軽率な贈与を防止するため、書面によらない(口頭で行った)贈与は、すでに履行が終わった部分については解除できないとされています(550条)。

・動産の場合の「履行が終わった」:引渡し(占有改定による引渡しを含む) ・不動産の場合:引渡しまたは登記の移転

例:AがBに甲建物を贈与する旨を約しました。本件贈与が口頭によるものであった場合、贈与者につき負担がないことからBはいつでも解除できます。ただし、AがBに引き渡され所有権移転登記手続が終了した後であっても、Aは本件贈与を解除することができます→×(履行が終わった部分は解除できません)。

重要メモ

  • 「不動産は引渡し『または』登記移転のどちらかで履行完了となり、解除できなくなる」がポイント
  • 書面によらない贈与:履行前はいつでも解除可(550条)
  • 履行が終わった部分は解除不可
  • 不動産:引渡し『または』登記移転のいずれか一方で「履行が終わった」と判断(両方必要ではない)
  • 動産:引渡し(占有改定による引渡しを含む)で「履行が終わった」と判断
  • 「書面」があれば解除権は最初から発生しない点も確認
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①売買契約とは

簡単にいうと

簡単にいうと、モノを売ったり買ったりする際の約束が売買契約です。契約しただけで成立する諾成契約がポイントです。

■ 売買契約とは

売買契約とは、当事者の一方が財産を相手方に移転することを約束し、それに対して相手方がその代金を支払うことを約束する契約です(555条)。売買契約は諾成契約であり、合意のみで成立します。

①売買契約とは

売買契約とは(民法555条)

重要メモ

  • 「売買は合意だけで成立し、手付・契約不適合責任の2論点が試験の核心」がポイント
  • 売買は双務・有償・諾成契約(555条)
  • 合意のみで成立し、物の引渡しは不要
  • 売買には手付(557条)・契約不適合責任(562〜566条)という重要論点がある
  • 売買の規定は他の有償契約に準用される(559条)
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②手付

簡単にいうと

簡単にいうと、契約時に渡す「手付金」は、解約する際のルールに使われます。渡した側は捨て、受け取った側は倍返しです。

■ 手付とは

手付とは、契約を結ぶ際に当事者の一方(買主)から相手方(売主)に渡される金銭等をいいます。手付には様々な種類がありますが、大きく①証約手付と②解約手付の2つに分けられます(557条)。

■ 手付に関するルール

・当事者間で何も言わなくても、解約手付と推定されます(557条1項)。 ・手付による解除は、相手方が履行に着手していないことが要件です(557条1項)。 ・買主が解除する場合は手付を放棄し、売主が解除する場合は手付の倍額を返還します(557条1項)。 ・手付の返還は、現実の提供が必要です。

②手付

手付の種類と効果

重要メモ

  • 「手付解除は買主=放棄・売主=倍返しで、相手が履行に着手したらもう使えない」がポイント
  • 解約手付:買主→手付放棄、売主→手付倍返し(557条1項)
  • 当事者が何も言わなくても解約手付と推定される(557条1項)
  • 相手方が「履行に着手」した後は手付解除できない
  • 「履行の着手」:履行の一部または履行の準備行為(客観的に外部から認識できる程度のもの)
  • 手付の提供(倍返し)は現実の提供が必要—口頭の申出だけでは不足
  • 手付解除に損害賠償は不要(解除と損害賠償は両立しない)
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③契約不適合責任(担保責任)

簡単にいうと

簡単にいうと、買った商品に欠陥があったとき、売主に責任を取ってもらえる制度が契約不適合責任です。4つの請求手段を押さえましょう。

■ 契約不適合責任とは

売買契約の売主には、品質や数量などについて、契約内容に沿った物を引き渡す義務が課されています。引き渡した物が契約の内容に合わなかった場合(契約不適合)に、売主はどのような責任を負うかという問題です(559条)。

■ 買主が追及できる請求

①追完請求(欠陥を直せ) ②代金減額請求(欠陥がある分値下げしろ) ③解除(欠陥があるから解約して) ④損害賠償請求(漏れた家財道具の損害を賠償しろ)

※①〜③は売主に帰責事由がなくても請求できます。④損害賠償請求は帰責事由がない場合は請求できません。

③契約不適合責任(担保責任)

契約不適合責任(担保責任)

重要メモ

  • 「欠陥があれば追完・値引き・解除・損害賠償の4つを請求でき、損害賠償だけ帰責事由が必要」がポイント
  • 契約不適合責任:追完請求・代金減額請求・解除・損害賠償請求(562〜564条)
  • 追完・代金減額・解除は売主の帰責事由不要(過失なしでも請求可)
  • 損害賠償のみ売主の帰責事由が必要(415条)
  • 民法改正で「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に大幅変更—旧制度と混同しないこと
  • 記述式でも頻出—4つの請求権の名称と帰責事由の要否をセットで覚える
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④契約不適合責任が追及できる場合

簡単にいうと

簡単にいうと、欠陥がある場合だけでなく、数量不足や権利が移転できない場合にも売主の責任が問えます。3つのパターンを押さえましょう。

■ 契約不適合責任が追及できる場合

契約不適合責任(追完請求・代金減額請求・解除・損害賠償)は、以下の場合に追及できます(562〜566条)。

①種類・品質または数量に関して契約内容に適合しない場合(例:購入した建物に欠陥があった場合、パソコン10台の売買契約だったのに8台しか引き渡されなかった場合) ②移転した権利が契約の内容に適合しない場合(例:購入した土地に他人の地上権が設定されていて使えなかった場合/565条本文) ③権利の一部が移転されない場合(一部他人物売買:例えば売主が真の所有者から所有権を取得できなかった場合/565条かっこ書)

④契約不適合責任が追及できる場合

契約不適合責任が追及できる場合

重要メモ

  • 「種類・品質・数量の不適合だけでなく、権利の移転不全にも担保責任が追及できる」がポイント
  • 種類・品質・数量の不適合→追完・代金減額・解除・損害賠償(562〜564条)
  • 権利の全部が移転されない場合→通常の債務不履行として損害賠償請求のみ可(代金減額・解除の意味がないため)
  • 権利の一部が移転されない場合(一部他人物売買)→その部分について代金減額・解除が可能(565条かっこ書)
  • 数量不足も契約不適合責任の対象(例:パソコン10台の契約で8台しか引き渡されなかった場合)
  • 土地すべてが他人所有の場合や抵当権実行で物権が手に入らない場合→損害賠償請求のみ(565条★6参照)
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⑤売主の権利の期間制限

簡単にいうと

簡単にいうと、欠陥に気づいても、ずっと文句が言えるわけではありません。知った時から1年以内に通知が必要です。

■ 期間制限の原則と例外

売主が契約不適合責任を追及できる場合でも、一定期間が経過すると追及できなくなります(566条)。

〈原則〉 ・種類・品質に関する不適合の場合:買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないと、追完請求・代金減額請求・解除・損害賠償請求ができなくなります(失権効/566条本文)。

〈例外〉 ・売主が引渡しの時に不適合について悪意または重過失の場合:各種権利を行使できます(566条但書)。 ・数量および移転した権利の不適合の場合:566条の適用はなく、通常の消滅時効のルール(知った時から5年または引渡し(履行)を受けた時から10年)で時効消滅します(166条1項)。

重要メモ

  • 「種類・品質の不適合は知った時から1年以内に通知しないと権利消滅するが、数量・権利の不適合には適用なし」がポイント
  • 種類・品質不適合:不適合を知った時から1年以内に売主へ通知(566条本文)
  • 通知しなければ追完・代金減額・解除・損害賠償が行使不能(失権効)
  • 売主が引渡し時に不適合について悪意または重過失なら期間制限なし(566条但書)
  • 数量不適合・権利不適合には566条の適用なし—通常の消滅時効(知った時から5年または引渡しから10年)が適用
  • 「1年以内の通知」は権利行使ではなく通知で足りる点に注意—通知後に訴訟提起でよい
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①賃貸借契約とは

簡単にいうと

簡単にいうと、アパートを借りる契約がまさに賃貸借です。物を使わせてもらう代わりに家賃を払い、契約終了後は返却します。存続期間の上限がポイントです。

■ 賃貸借契約とは

賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用収益を相手方にさせることを約束し、相手方がこれに賃料を払うことおよび引渡しを受けた物を契約終了したときに返還することを約束することによって成立する契約です(601条)。賃貸借契約の存続期間は、民法では最長50年です(604条)。ただし借地借家法が適用される場合は同法のルールが優先します。

①賃貸借契約とは

賃貸借契約とは

重要メモ

  • 「賃貸借は有償・諾成契約で存続期間上限50年、借地借家法が適用される場合は同法優先」がポイント
  • 賃貸借:双務・有償・諾成契約(601条)
  • 存続期間の上限は50年(604条)—住居目的の場合は借地借家法が優先し上限なし
  • 賃貸借は有償であり、無償の使用貸借(593条)と区別する
  • 存続期間を定めなかった場合:各当事者はいつでも解約申入れができ、土地は1年後、建物は3ヶ月後に終了
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②賃貸人・賃借人の義務

簡単にいうと

簡単にいうと、大家さんにはちゃんと使わせる義務、借りた人には大事に使って返す義務があります。双方の義務を整理して押さえましょう。

■ 賃貸人の義務

①目的物を使用・収益させる義務(601条) ②修繕義務(606条1項) ③費用償還義務(608条):必要費(例:修理費用)→賃借人が支出したときは直ちに請求できます。有益費(例:エアコンの設置費用)→賃貸借契約終了時に価値が現存していれば請求できます。

■ 賃借人の義務

①賃料支払義務(601条) ②目的物の保管義務(400条):善管注意義務を負います。 ③目的物返還義務および原状回復義務(601条):賃借物を受け取った場合、それをもとに戻す義務を負います(621条本文)。

重要メモ

  • 「必要費はすぐ請求できるが有益費は契約終了時まで待つ、賃借人は善管注意義務と原状回復義務を負う」がポイント
  • 賃貸人の修繕義務:必要な修繕を行う義務(606条1項)—賃借人の通知義務もある(607条の2)
  • 必要費(修理費等):賃借人が支出した時点で直ちに請求可(608条1項)
  • 有益費(エアコン設置等):賃貸借契約終了時に価値が現存する場合に請求可(608条2項)
  • 賃借人は善管注意義務を負う(400条)—報酬の有無にかかわらない
  • 原状回復義務あり(621条本文)—ただし経年劣化・通常使用による損傷は対象外(621条かっこ書)
  • 過去問:「必要費と有益費は直ちに請求可」→×(有益費は契約終了時)
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③不動産賃借権の物権化(対抗要件)

簡単にいうと

簡単にいうと、アパートを借りているとき、建物の所有者が変わっても追い出されないための仕組みがあります。対抗要件がポイントです。

■ 不動産賃借権の物権化とは

一般の賃貸借契約では、その後に所有者が変わってしまった場合、賃借人は新所有者に賃借権を主張することができません(債権は原則として物権に劣後)。ただし土地と建物の賃貸借の場合は所有者が変わっても賃借権を主張できる場合があります(不動産賃借権の物権化)。

■ 対抗要件

・土地の賃貸借:賃借している建物の登記をします(605条)、または借地借家法31条(建物の引渡し) ・建物の賃貸借:建物の引渡し(借地借家法31条)、または土地の建物に所有権の登記をします(借地借家法10条1項)

③不動産賃借権の物権化(対抗要件)

不動産賃借権の物権化(対抗要件)

重要メモ

  • 「建物賃借権は引渡しで、土地賃借権は地上建物の登記で、新所有者に対抗できる」がポイント
  • 土地の賃借権対抗要件:土地上の建物に所有権の登記をする(借地借家法10条1項)
  • 建物の賃借権対抗要件:建物の引渡しを受ける(借地借家法31条)
  • 不動産の賃借権を登記する方法もある(605条)—実際には賃貸人の協力が必要なため困難
  • 賃借権が物権化されると新所有者は明渡しを請求できない
  • 対抗要件を備えた賃借人は、605条の4に基づく妨害排除請求権も行使できる
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④賃貸目的物の新所有者と賃借人との関係

簡単にいうと

簡単にいうと、建物が売買されて所有者が変わっても、賃借権を対抗できる賃借人は新所有者にも借り続けられます。賃貸人の地位の移転がポイントです。

■ 新所有者と賃借人の関係

賃借人の賃借権が物権化されていれば(対抗要件を具備)、新所有者は賃借人に明渡しを請求することができません。この場合、原則として新所有者は賃貸人の地位を自動的に取得し、新賃貸人となります(605条の2第1項)。

■ 賃貸人の地位の移転

・賃借人Bの承諾がなくても、新所有者(賃貸人の地位)に移転します。 ・新所有者Cが賃借人に明渡しを請求したり、賃料を請求したりするには、所有権の移転登記をしておく必要があります(605条の2第3項)。

④賃貸目的物の新所有者と賃借人との関係

賃貸目的物の新所有者と賃借人との関係

重要メモ

  • 「対抗要件のある賃借人がいれば、新所有者は自動的に賃貸人の地位を引き継ぐ」がポイント
  • 対抗要件具備の賃借人→新所有者に賃借権を主張できる
  • 新所有者は賃貸人の地位を自動的に承継(605条の2第1項)—賃借人Bの承諾不要
  • 新所有者が賃料請求や明渡し請求をするには所有権移転登記が必要(605条の2第3項)
  • 旧賃貸人と新所有者が合意すれば賃貸人の地位を旧賃貸人に留保することもできる(605条の2第2項)
  • 過去問:「賃借人Bの承諾がなくても新賃貸人として扱われる」→〇
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⑤敷金関係

簡単にいうと

簡単にいうと、敷金は賃貸借の間の未払い家賃などを担保するためのお金で、退去後に未払いがなければ返ってきます。返還時期と承継ルールがポイントです。

■ 敷金とは

敷金とは、契約期間中に賃借人が負担する賃料や原状回復によって発生する費用を担保する目的で賃貸人に差し入れる金銭です(622条の2)。

■ 敷金返還請求権の発生時期

・目的物の明渡し時に発生します(622条の2第1項第1号)。 ・賃借人は敷金の返還と同時に明渡しを請求できません(明渡しが先)。

■ 賃貸人の交代の場合(敷金の承継)

賃貸不動産の所有権とともに賃貸人の地位が新所有者に移転した場合、敷金は旧賃貸人に対する未払い賃料に充当し、残額は新賃貸人に承継されます(605条の2第4項)。

■ 賃借人の交代の場合(敷金の不承継)

賃借人が交代する場合(賃借権の譲渡等)、特段の事情のない限り、敷金に関する旧賃借人の権利義務関係は、新賃借人に承継されません(622条の2第1項2号)。

⑤敷金関係

敷金関係

重要メモ

  • 「敷金は明渡しが先で返還は後、賃貸人が変わると承継され、賃借人が変わっても承継されない」がポイント
  • 敷金返還請求権:目的物を明渡した時に発生(622条の2第1項1号)—明渡しが先で同時履行の関係にない
  • 賃貸人の交代→敷金は未払い賃料等に充当後の残額が新賃貸人に承継(605条の2第4項)
  • 賃借人の交代(賃借権譲渡等)→敷金は承継されない、旧賃借人に返還(622条の2第1項2号)
  • 賃借人は敷金の返還と同時に明渡しを請求できない(明渡しが先履行)
  • 過去問:「敷金返還と明渡しは同時履行の関係にある」→×(同時履行の関係にない)
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⑥賃借権の譲渡・転貸

簡単にいうと

簡単にいうと、借りたマンションを又貸し(転貸)したり、賃借権を譲渡するには、大家さんの承諾が必要です。無断転貸は解除のリスクがあります。

■ 賃借権の譲渡・転貸とは

賃借人が借りた物を他の者に貸すことを転貸といい、賃借権自体を他人に譲ることを賃借権の譲渡といいます。これらは賃貸人の承諾が必要であり、無断転貸・譲渡をすると契約を解除される可能性があります(612条)。

■ 無断転貸の場合の解除要件

・賃借人BがCに無断転貸した場合、BがCに目的物の使用・収益をさせたときは、賃貸人Aは賃貸借契約の解除ができます(612条)。 ・ただし無断転貸でも信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合は解除できません(信頼関係破壊の法理/最判昭28.9.25)。

⑥賃借権の譲渡・転貸

⑥賃借権の譲渡・転貸

重要メモ

  • 「無断転貸・無断譲渡は解除できるが、信頼関係を破壊しない特段の事情があれば解除不可」がポイント
  • 賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要(612条1項)
  • 無断転貸→使用収益させた時に賃貸借契約を解除できる(612条2項)
  • 信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合→解除不可(信頼関係破壊の法理、最判昭28.9.25)
  • 転借人Cは賃貸人Aに直接義務を負う(613条1項)—転借人が負う義務は元の賃料額が上限
  • 適法な転貸借がある場合、賃貸人は転借人に対して直接履行を請求できる(613条1項)
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⑦賃貸借契約の解除と転貸借

簡単にいうと

簡単にいうと、大家さんが元の賃借人と契約を解除した場合、又貸しされている転借人はどうなるのかがポイントです。合意解除か債務不履行解除かで結論が変わります。

■ 賃貸借解除と転貸借の関係

賃貸人の承諾ある転貸借が行われた後に賃貸借契約が解除された場合、転貸借契約はどうなるかという問題です。

①合意解除の場合:賃貸借の合意解除を転借人に対抗できません(613条3項本文)→転借人Cへの明渡し請求×。ただし賃貸人が解除時に転借人に明渡しを請求できる場合は別です(613条3項但書)。 ②債務不履行解除の場合:賃貸借の合意解除を転借人に対抗できます(613条3項但書)→転借人Cへの明渡し請求○。

⑦賃貸借契約の解除と転貸借

賃貸借契約の解除と転貸借

重要メモ

  • 「合意解除は転借人に対抗できないが、債務不履行解除は転借人にも対抗できる」がポイント
  • 合意解除→転借人には対抗できない(転借人への明渡し請求×)(613条3項本文)
  • 債務不履行解除→転借人にも対抗できる(転借人への明渡し請求○)
  • 合意解除で転借人が保護される理由:当事者の自由な合意で第三者を不利益にすべきでないため
  • 債務不履行解除で転借人が保護されない理由:賃借人Bの責任によって生じた解除だから
  • 過去問:「賃貸人が債務不履行解除した場合に転借人に明渡しを請求できる」→〇
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使用貸借・消費貸借

簡単にいうと

簡単にいうと、お金や物を無償で貸す「使用貸借」、食べ物やお金を消費させて同じものを返す「消費貸借」もよく出題されます。借主死亡の扱いがポイントです。

■ 使用貸借

無償で物を借りる契約です。賃貸借と異なり無償です。貸主死亡でも原則継続しますが、借主死亡の場合は契約終了となります(599条)。

■ 消費貸借

借りた物を消費し、同種・同等・同量の物を返す契約です(587条)。お金の貸し借りが典型例です。

■ 比較表

・消費貸借:借りた物を消費し同種のものを返す/有償(利息付き)または無償/要物契約(書面・電磁的記録でも成立)/借主死亡の場合は相続人に承継 ・使用貸借:借りた物そのものを返す/無償/諾成契約/借主死亡→終了 ・賃貸借:借りた物そのものを返す/有償(賃料)/諾成契約/当事者死亡でも原則継続(相続人に承継)

重要メモ

  • 「使用貸借は無償で借主死亡時終了、消費貸借は同種のものを返し借主死亡でも相続継続」がポイント
  • 使用貸借:無償・諾成契約・借主死亡で終了(599条)—貸主死亡では原則終了しない
  • 消費貸借:借りた物を消費し同種・同等・同量のものを返す・原則要物契約(587条)
  • 書面(電磁的記録)による消費貸借は諾成契約として成立可(587条の2)
  • 借主死亡:使用貸借→終了、消費貸借・賃貸借→相続人に承継
  • 賃貸借との比較:使用貸借(無償)・賃貸借(有償)・消費貸借(同種のものを返還)
  • 【比較表のキモ】使用貸借のみ「借主死亡で終了」、他2つは相続人に承継される
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①請負契約とは

簡単にいうと

簡単にいうと、家を建てることを約束して、完成したら報酬を払う、これが請負契約です。「仕事の完成」がポイントです。

■ 請負契約とは

請負契約とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することによって成立する契約です(632条)。

■ 重要ポイント

・請負人が仕事を完成した後に、注文者が報酬を支払う関係です。 ・報酬の支払いと仕事の完成は同時履行の関係ではありません(仕事完成が先)。 ・請負人は原則として仕事を別の者に請け負わせることができます。

①請負契約とは

請負契約とは(民法632条)

重要メモ

  • 「仕事の完成が先で報酬支払いが後、注文者はいつでも損害賠償して解除できる」がポイント
  • 請負:双務・有償・諾成契約(632条)
  • 仕事の完成が先で報酬支払いが後(仕事完成と報酬支払いは同時履行の関係にない)
  • ただし報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払う(633条)—引渡しと報酬は同時履行
  • 請負人は原則として仕事を第三者に請け負わせることができる(委任と異なる点)
  • 注文者はいつでも請負人に損害賠償して解除できる(641条)
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②請負人の担保責任と請負契約の終了

簡単にいうと

簡単にいうと、建てた家に欠陥があった場合、請負人は責任を取らなければなりません。また契約の終了にも特別のルールがあります。

■ 請負人の担保責任(契約不適合責任)

請負人が建物を完成させたとしても、欠陥が契約の内容に適合していない場合には、注文者は請負人に対して担保責任(追完請求・報酬減額請求・損害賠償請求・解除)を追及することができます(559条)。

・注文者が給付した材料の性質や、注文者が与えた指図によって不適合が生じた場合は、原則として契約不適合責任を追及できません(636条)。

■ 請負契約の終了原因

①仕事の完成。 ②損害賠償による解除(541条・542条)。 ③担保責任による解除(559条・564条)。 ④注文者からの任意解除(641条):注文者は、いつでも請負人に損害を賠償して解除できます。 ⑤注文者の破産(642条1項)。注文者が破産した場合、請負人または破産管財人は契約を解除できます。

重要メモ

  • 「注文者はいつでも損害賠償を払えば解除でき、注文者の破産時は請負人からも解除できる」がポイント
  • 注文者はいつでも損害を賠償して解除できる(641条)—仕事完成前に限る
  • 注文者が破産した場合、請負人または破産管財人は契約を解除できる(642条1項)
  • 材料・指図による不適合→原則として担保責任追及不可(636条)—注文者が悪意の場合は例外
  • 仕事完成前に注文者が解除→請負人は完成していた部分について注文者が利益を受けるときは割合的報酬請求可(634条)
  • 担保責任(契約不適合責任):追完請求・報酬減額請求・損害賠償請求・解除(559条準用)
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①委任契約とは

簡単にいうと

簡単にいうと、弁護士に裁判を頼む、不動産会社に売却を依頼するなど、法律行為を任せるのが委任契約です。受任者・委任者の義務を押さえましょう。

■ 委任契約とは

委任とは、当事者の一方が法律行為をなすことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって生じる契約をいいます(643条)。

・委任は原則無報酬で行われます。報酬を要求するには特約が必要です。 ・受任者は、委任者の指示に従って委任事務を処理しなければなりません。

■ 受任者の義務

①善管注意義務(644条) ②委任事務処理義務(644条の2) ③受任者の報告義務(645条) ④受取物の引渡し義務・権利移転義務(646条) ⑤金銭消費の場合の利息支払義務(647条)

■ 委任者の義務(特約がある場合のみ)

①報酬支払義務(648条) ②費用前払義務(649条) ③費用償還義務(650条1項)

①委任契約とは

委任契約とは

重要メモ

  • 「受任者は無報酬でも善管注意義務を負い、委任者はいつでも解除できる」がポイント
  • 委任:諾成契約・無報酬の場合は片務、有報酬の場合は双務(643条)
  • 受任者は善管注意義務を負う(644条)—報酬の有無にかかわらない(無償でも自己の財産と同一の注意では足りない)
  • 受任者は原則として自ら事務を処理しなければならない(644条の2)—請負と異なり再委託は原則不可
  • 委任者はいつでも解除できる(651条1項)
  • 受任者の義務:善管注意・事務処理・報告・受取物引渡し・金銭消費時の利息支払い
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②委任契約の終了

簡単にいうと

簡単にいうと、委任契約はいつでもやめられますが、相手に不利な時期に解除した場合は損害賠償が必要です。終了原因も整理して押さえましょう。

■ 委任契約の解除

委任契約は、各当事者がいつでも契約を解除できます(651条1項)。

※相手方に不利な時期に不当に解除した場合→損害賠償が必要です(651条2項)。ただし「やむを得ない事由」がある場合は損害賠償不要です。

■ 委任契約の終了原因

・委任者または受任者の死亡(653条1号・2号) ・委任者または受任者の破産手続開始の決定(653条2号) ・受任者が後見開始の審判を受けた場合(653条3号)

重要メモ

  • 「委任はいつでも解除できるが不利な時期の解除は損害賠償が必要、死亡・破産・後見開始でも終了する」がポイント
  • 委任はいつでも解除可(651条1項)
  • 相手方に不利な時期の解除→損害賠償が必要(651条2項)—やむを得ない事由があれば不要
  • 当事者の死亡・破産手続開始の決定で委任は終了(653条1号・2号)
  • 受任者が後見開始の審判を受けると委任は終了(653条3号)—頻出
  • 委任者の死亡では終了(委任者側は自分の意思を反映させたいため)—組合員死亡でも組合は続く点と対比
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寄託契約

簡単にいうと

簡単にいうと、ペットや荷物を預かってもらうのが寄託です。受寄者は大切に保管する義務があります。有償・無償で注意義務が異なります。

■ 寄託契約とは

寄託とは、当事者の一方が相手方のために物の保管をすることを約束し、相手方がこれを承諾することによって効力を生じる契約をいいます(657条)。

■ 受寄者の義務

①注意義務:有償寄託は善管注意義務(400条)、無償寄託は自己の財産におけるのと同一の注意義務(659条) ②目的物返還義務(665条)

■ 寄託者の義務

①報酬支払義務(665条・648条):原則なし(特約で定めた場合のみ) ②受寄者が受けた損害についての賠償義務(661条) ③費用前払義務(665条・649条) ④立替え費用の償還義務(665条・650条)

寄託契約

寄託契約の当事者と義務関係

重要メモ

  • 「無償寄託は自己の財産と同一の注意義務(善管注意義務より低い基準)」がポイント
  • 寄託:諾成契約・無償が原則(657条)
  • 無償寄託:自己の財産におけるのと同一の注意義務(659条)—善管注意義務より低い基準
  • 有償寄託:善管注意義務(400条)—通常の注意基準
  • 過去問:「無償寄託でも善管注意義務を負う」→×(自己の財産と同一の注意義務で足りる)
  • 委任との比較:委任は無償でも善管注意義務、寄託は無償なら自己財産と同一の注意義務(より低い基準)
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組合契約

簡単にいうと

簡単にいうと、複数人が共同でビジネスを行うために出資して事業を行うのが組合契約です。業務執行のルールと脱退要件を押さえましょう。

■ 組合契約とは

組合契約とは、2人以上が出資して共同の事業を営むことを約束することで成立する契約をいいます(667条)。

■ 組合に関する主要ルール

・業務執行者がいなければ、組合員の頭数の過半数で決定します(670条1項)。 ・業務執行者がいる場合、業務執行者の頭数の過半数で決定します(670条3項)。 ・存続期間を定めなかった場合:原則としていつでも脱退できます(678条1項本文)。 ・存続期間が定められた場合:やむを得ない事由がなければ脱退できません(678条2項)。 ・組合員は組合財産の分配を組合員に請求することができません(676条3項)。 ・組合債権者は組合財産だけでなく、組合員の個人財産にも強制執行できます。

組合契約

組合契約

重要メモ

  • 「存続期間なしはいつでも脱退できるが、存続期間ありはやむを得ない事由がなければ脱退不可」がポイント
  • 組合:諾成契約・双務・有償(667条)—2人以上の出資で共同事業を営む
  • 業務執行:原則として組合員の頭数の過半数で決定(670条1項)
  • 業務執行者がいる場合:業務執行者の過半数で決定(670条3項)
  • 存続期間なし→いつでも脱退可(678条1項本文)
  • 存続期間あり→やむを得ない事由がなければ脱退不可(678条2項)—やむを得ない事由ありなら不利な時期でも脱退可
  • 組合員は組合財産の分配を請求できない(676条3項)
  • 組合の債権者は組合財産だけでなく組合員の個人財産にも強制執行できる

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
贈与
無償・諾成・片務契約。書面によらない贈与は履行前なら各当事者が解除可(550条)
履行が終わった部分は解除不可。書面があれば履行前でも解除不可
売買
財産権移転+代金支払・解約手付(557条)・契約不適合責任(562〜566条)
手付解除は相手方が履行に着手した後は不可。種類・品質の不適合は知った時から1年以内通知が必要
賃貸借
使用収益+賃料・無断譲渡転貸禁止(612条)・信頼関係破壊の法理
使用貸借(無償)と混同しない。合意解除と債務不履行解除で転借人への効力が異なる
使用貸借・消費貸借
使用貸借は令和2年改正で諾成契約化。借主死亡で終了(597条3項)
賃貸借は借主死亡でも終了しない。消費貸借は原則要物契約(書面による場合は諾成)
請負
仕事完成+報酬・注文者の任意解除権(641条)・注文者の破産による解除(642条)
任意解除は仕事完成前のみ。破産解除は仕事完成後の請負人からの解除は不可
組合契約
共同事業+出資・組合財産は合有・組合債権者は個人財産にも強制執行可(675条)
清算前に組合財産の分割請求不可。存続期間ありの脱退にはやむを得ない事由が必要
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