第7節 契約総論
第3章 債権法
契約総論は、売買・賃貸借など個別の契約に共通するルールを定めた分野です。契約の成立から終了まで、同時履行の抗弁権・危険負担・解除といった重要制度を学びます。試験では事例問題で頻出であり、確実な理解が合格の鍵となります。
契約の成立
第522条契約は、申込みと承諾という相対する意思表示の合致により成立します。当事者間で合意が成立すれば、原則として書面がなくても契約は有効に成立します(諾成契約)。
具体例
Aさんが「この自転車を1万円で売ります」と申込み、Bさんが「買います」と承諾した時点で、売買契約が成立します。代金支払いや引渡しの前でも契約は有効です。
要件
- ・申込みの意思表示があること
- ・承諾の意思表示があること
- ・申込みと承諾の内容が合致していること
効果・結論
- ・契約が成立し、当事者双方に権利義務が発生する
- ・一方的な撤回は原則としてできなくなる
条文(第522条)
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
試験のポイント
- ・申込みの撤回の可否(523条)と承諾期間の定めの有無を混同しないこと
- ・隔地者間契約では承諾の通知が到達した時に成立(97条)
- ・諾成契約と要物契約(消費貸借など)の区別を正確に
同時履行の抗弁権
第533条双務契約において、当事者の一方は、相手方がその債務の履行(同時履行の関係にあるもの)を提供するまで、自己の債務の履行を拒むことができる権利です。公平の理念に基づく重要な制度です。
具体例
Aさんが土地をBさんに売却した場合、Bさんが代金を支払わない限り、Aさんは土地の登記移転を拒絶できます。逆にAさんが登記移転しない限り、Bさんも代金支払いを拒めます。
要件
- ・双務契約から生じた債務であること
- ・双方の債務が弁済期にあること
- ・相手方が債務を履行または提供していないこと
効果・結論
- ・自己の債務の履行を拒絶できる(履行遅滞にならない)
- ・相手方の履行提供があれば抗弁権は消滅する
条文(第533条)
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
試験のポイント
- ・履行の提供は口頭の提供で足りる(現実の提供は不要)が、債務の本旨に従った提供であること
- ・同時履行の関係にない債務(先履行義務など)には適用されない点に注意
- ・留置権(295条)との違い:留置権は占有が要件、同時履行は占有不要
危険負担
第536条双務契約で一方の債務が当事者双方の責めに帰することができない事由により履行不能となった場合、他方の債務(反対給付)の帰趨を定める制度です。民法改正により債権者主義から債務者主義へ変更されました。
具体例
Aさんが特定の絵画をBさんに売る契約後、地震で絵画が焼失しました。この場合、Aさんの引渡債務は消滅し、Bさんの代金支払債務も消滅します。Bさんは代金を払わなくて済みます。
要件
- ・双務契約が有効に成立していること
- ・一方の債務が履行不能となったこと
- ・当事者双方の責めに帰すべき事由がないこと
効果・結論
- ・履行不能となった債務は消滅する
- ・反対給付債務も消滅する(債務者主義)
- ・債権者は反対給付の履行を拒絶できる
条文(第536条)
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
試験のポイント
- ・改正前は債権者主義(534条)が原則だった点との対比が出題される
- ・債権者の責めに帰すべき事由による場合は536条2項が適用され反対給付請求可
- ・受領遅滞後の危険移転(413条の2第2項)との関係に注意
契約の解除
第540-548条解除とは、有効に成立した契約を、後発的事由により当事者の一方的意思表示によって遡及的に消滅させる制度です。履行遅滞・履行不能などの債務不履行があった場合に認められます(法定解除)。
具体例
AさんがBさんに土地を売る契約をしましたが、Bさんが代金を支払わないため、Aさんは相当期間を定めて催告し、期間経過後に解除の意思表示をしました。契約は遡及的に消滅します。
要件
- ・有効な契約が存在すること
- ・解除権が発生していること(債務不履行または約定)
- ・解除の意思表示をすること(相手方に到達が必要)
効果・結論
- ・契約は遡及的に消滅する
- ・原状回復義務が発生する(545条)
- ・損害賠償請求権は妨げられない(545条4項)
条文(第540-548条)
契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
試験のポイント
- ・催告解除(541条)と無催告解除(542条)の要件の違いを正確に区別すること
- ・解除の効果は遡及的だが第三者との関係では対抗問題(545条1項ただし書)
- ・解除後も損害賠償請求は可能(545条4項)という点が頻出
まとめ
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