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テキスト/民法/第6節 債権譲渡・債務引受

第6節 債権譲渡・債務引受

第3章 債権法

債権譲渡・債務引受は、債権・債務の当事者が契約後に変わる場面を規律する制度です。ビジネス取引では債権譲渡が資金調達手段として活用され、債務引受は事業承継などで頻繁に利用されます。対抗要件の理解が試験の最重要ポイントです。

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①債権譲渡とは

簡単にいうと

簡単にいうと、土地や建物と同じように、お金を受け取る権利(債権)も他人に譲り渡すことができます。譲渡後の権利関係の変化が重要です。

■ 債権譲渡とは

債権譲渡とは、債権者が自己の有する債権を同一性を保ったまま第三者(譲受人)に移転させる行為をいいます(466条)。土地や建物と同様に財産的な価値がある金銭債権は自由に譲渡できます。譲渡後は新債権者(譲受人)が債務者Bに履行を請求できます。なお、債権譲渡の事例では「債権の弁済期がまだ到来していなければ、譲受人Cは債務者Bに直ちに履行を請求することはできない」点に注意が必要です。

①債権譲渡とは

債権譲渡とは

重要メモ

  • 「財産的な価値がある金銭債権は原則自由に譲渡でき、譲渡後は新債権者が債務者に請求できる」がポイント
  • 債権は原則として自由に譲渡できる(466条1項)
  • 土地・建物と同様に金銭債権も財産として自由に移転できる
  • 債権譲渡後は譲受人Cが新債権者として債務者Bに履行を請求できる
  • ただし債権の弁済期がまだ到来していなければ、譲受人Cは債務者Bに直ちに履行を請求できない(債権はそのまま移転するため)
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②譲渡禁止特約と債権譲渡

簡単にいうと

簡単にいうと、「この権利は他人に渡してはダメ」と約束しても、それを無視して渡してしまった場合でも原則として債権譲渡は有効です。悪意・重過失の譲受人への例外がポイントです。

■ 譲渡禁止特約とは

譲渡禁止特約とは、AとBの契約で「債権譲渡は禁止する」と定める取決めをいいます。

■ 原則と例外

原則として、譲渡禁止特約を無視した債権譲渡は有効です(466条2項)。例外として、譲渡禁止特約の存在について、譲受人Cが悪意または重大な過失の場合、債務者Bは譲渡禁止特約を主張できます(466条3項)。ただし悪意・重過失の場合でも、債務者が相当の期間を定めて追認を催告したにもかかわらず追認がなければ、主張できなくなります。

重要メモ

  • 「譲渡禁止特約があっても債権譲渡は有効。ただし悪意・重過失の譲受人には債務者が特約を主張できる」がポイント
  • 譲渡禁止特約を無視した債権譲渡は有効(466条2項)—民法改正で変更された重要論点
  • 譲受人Cが悪意または善意かつ重過失の場合、債務者Bは譲渡禁止特約を主張できる(466条3項)
  • 善意かつ無重過失の譲受人には、債務者は特約を対抗できない
  • 預貯金債権に譲渡禁止特約がある場合は例外—善意・無重過失であっても譲渡は無効(466条の5第1項)
  • 過去問頻出:悪意・重過失でも「相当期間を定めた追認の催告」をして追認がなければ特約を主張できなくなる
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③債務者に対する対抗要件

簡単にいうと

簡単にいうと、債権を譲り受けても、債務者がそれを知らなければ「払う相手が変わった」と認めてもらえません。通知または承諾が対抗要件になる点が重要です。

■ 債務者への対抗要件

債権譲渡があった場合に、債務者がそれを知らなければ従来の債権者に払っても仕方がありません。債権譲渡を債務者に主張するためには、①譲渡人から債務者への通知、または②債務者の承諾がなければなりません(467条1項)。通知または承諾は確定日付のある証書である必要はなく、口頭でも有効です。ただし第三者への対抗要件とは別であることに注意が必要です。

③債務者に対する対抗要件

債務者に対する対抗要件

重要メモ

  • 「債務者への対抗には、譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要(確定日付不要)」がポイント
  • 債務者対抗要件:①譲渡人Aから債務者Bへの通知、または②債務者Bの承諾(467条1項)
  • 通知・承諾は口頭でも有効—確定日付のある証書である必要はない
  • 頻出ひっかけ:「譲受人Cから債務者Bへの通知」では対抗できない—必ず譲渡人Aからの通知であること
  • 通知・承諾のどちらかがあれば足り、両方必要ではない
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④第三者に対する対抗要件

簡単にいうと

簡単にいうと、同じ債権を二重に譲り受けた場合にどちらが優先されるかは、確定日付のある証書がカギになります。到達の先後が基準となる点が重要です。

■ 第三者への対抗要件

債権譲渡を第三者(二重譲渡の相手方等)に対抗するためには、①譲渡人から債務者への通知を確定日付のある証書で行うか、②債務者の承諾を確定日付のある証書で受ける必要があります(467条2項)。二重譲渡の優劣は、確定日付のある証書による通知が債務者に到達した先後(到達主義)によって決まります。通知の到達日が同日の場合、どちらが先に通知したかではなく、到達した先後で決まります(最判昭49.3.7)。

④第三者に対する対抗要件

債権譲渡の第三者に対する対抗要件

重要メモ

  • 「第三者対抗には確定日付のある証書が必要で、二重譲渡の優劣は通知の到達先後で決まる」がポイント
  • 第三者対抗要件:確定日付のある証書による通知または承諾(467条2項)
  • 具体例:内容証明郵便・公正証書が確定日付のある証書にあたる
  • 二重譲渡の優劣は確定日付の先後ではなく、確定日付ある通知が債務者に到達した先後(到達主義)で決まる(最判昭49.3.7)
  • 頻出ひっかけ:確定日付がある通知が4/1に届いたCと、確定日付のない通知が先に届いたDなら、Cが優先される
  • 同時到達・先後不明の場合は、先に履行請求したほうが優先される(最判昭55.1.11)
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①債務引受とは

簡単にいうと

簡単にいうと、他人の借金を肩代わりする場合に、免責的債務引受と併存的債務引受の2種類があります。それぞれの効果の違いを押さえましょう。

■ 債務引受とは

債務引受とは、債務者でない者が他人の債務を引き受けることをいいます。債務引受には、①免責的債務引受と②併存的債務引受の2つがあります(470条・472条)。

重要メモ

  • 「債務引受には免責的(旧債務者が免責)と併存的(連帯して負担)の2種類がある」がポイント
  • 債務引受は民法改正(2020年)で新たに明文化された規定(470条・472条)
  • 免責的債務引受:引受人Cが債務を引き受け、旧債務者Bは債務を免れる(472条1項)
  • 併存的債務引受:引受人Cと旧債務者Bが連帯して債務を負う(470条1項)
  • 重要度Cの論点—基本的な違いを押さえれば十分
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②免責的債務引受

簡単にいうと

簡単にいうと、引受人Cが借金を全部引き受け、もとの債務者Bは完全に解放される制度です。成立方法と債務者の意思の関係がポイントです。

■ 免責的債務引受とは

免責的債務引受とは、債務者でない者が債務を引き受け、もともとの債務者が債務を免れる場合をいいます(472条1項)。免責的債務引受は、債権者と引受人との契約でもできますが(472条2項)、その場合はBの意思に反してもできます。また債務者Bと引受人Cの間の契約でもできますが、その場合は債権者Aの承諾が必要です(472条3項)。

②免責的債務引受

免責的債務引受の仕組み

重要メモ

  • 「免責的債務引受は旧債務者が完全に免れる制度で、債権者と引受人の契約でも成立(債務者の意思不要)」がポイント
  • 免責的債務引受により旧債務者Bは債務者でなくなり、引受人Cのみが新債務者となる(472条1項)
  • 成立方法①:債権者Aと引受人Cの契約—Bの意思に反しても有効(472条2項)
  • 成立方法②:債務者BとCの契約—債権者Aの承諾が必要(472条3項)
  • 担保・保証は原則として引受人Cに移転しない(担保の消滅に注意)
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③併存的債務引受

簡単にいうと

簡単にいうと、もとの債務者Bはそのままで、引受人Cも一緒に連帯して責任を負う制度です。成立要件と連帯債務関係になる点がポイントです。

■ 併存的債務引受とは

併存的債務引受とは、債務者でない者が債務を引き受け、もともとの債務者とともに債務を負担する場合をいいます(470条1項)。引受人Cは債務者Bと連帯して債務を負います(連帯債務関係となります)。併存的債務引受も、債権者と引受人の契約、または債務者と引受人の契約(債権者Aの承諾が必要・470条3項)のいずれかによって成立します。

③併存的債務引受

併存的債務引受

重要メモ

  • 「併存的債務引受は旧債務者Bと引受人Cが連帯債務関係となり、BとCの契約には債権者Aの承諾が必要」がポイント
  • 併存的債務引受によりBとCは連帯して債務を負う(連帯債務関係、470条1項)
  • 成立方法①:債権者Aと引受人Cの契約—Bの意思に反しても有効(470条2項)
  • 成立方法②:債務者BとCの契約—債権者Aの承諾が必要(470条3項)
  • 頻出ひっかけ(過去問14-32-ウ):「別段の意思表示がないときBとCは分割して負担する」→×(連帯して負担)

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
債権譲渡の意義
原則自由(466条)。債務者の承諾不要。将来債権の譲渡も可(466条の6)
性質上譲渡を許さない債権(扶養請求権等)は除く
譲渡制限特約
特約があっても譲渡は有効(466条2項)。悪意・重過失の譲受人には債務者が対抗可(466条3項)
令和元年改正で有効に変更。預貯金債権は例外として特約が有効
債権譲渡の対抗要件
債務者対抗:通知・承諾(確定日付不要)。第三者対抗:確定日付ある証書(467条)
通知は必ず譲渡人から。二重譲渡の優劣は確定日付の先後でなく到達の先後で決まる
免責的債務引受
元の債務者が免れ引受人のみが債務者に。債権者の関与が必要(472条)
元の担保・保証は原則消滅。引受人は元の債務者の抗弁を主張可
併存的債務引受
元の債務者と引受人が連帯して同一の債務を負う(470条)
債権者の承諾は不要(債務者と引受人の合意のみでも可)。元の債務者は免れない
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