第5節 多数当事者間の債権債務関係
第3章 債権法
一つの債権・債務について、当事者が複数いる場合のルールを学びます。連帯債務、保証、連帯保証など、日常の金銭貸借で頻繁に登場する制度であり、試験でも極めて出題頻度が高い最重要分野です。
連帯債務
第432-445条連帯債務とは、複数の債務者が同一内容の給付について各自が独立に全部の履行をする義務を負う債務です。債権者は各債務者に対して全額請求でき、一人が弁済すれば債務は消滅します。
具体例
AさんがBさんとCさんに100万円を貸した(BとCは連帯債務者)。AはBに100万円全額を請求できるし、Cに全額請求することもできる。Bが100万円を弁済すれば、Cの債務も消滅する。
要件
- ・複数の債務者が存在すること
- ・同一内容の給付を目的とすること
- ・各自が独立して全部の給付義務を負うこと
効果・結論
- ・債権者は各債務者に対して全額請求できる
- ・一人が弁済すれば全員の債務が消滅する
- ・相対的効力の原則:原則として一人に生じた事由は他の債務者に影響しない
- ・絶対的効力事由:弁済、更改、相殺、混同は全員に効力が及ぶ
条文(第432-445条)
第432条 債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
試験のポイント
- ・相対的効力の原則が重要。一人への請求、時効完成、履行遅滞は他の債務者に影響しない
- ・絶対的効力事由(弁済・更改・相殺・混同)は必ず暗記すること
- ・求償権の問題:弁済した者は他の債務者に対して負担部分に応じて求償できる
保証債務
第446-465条保証債務とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人がその履行をする義務を負う債務です。付従性(主債務に従う)、随伴性(主債務と運命を共にする)、補充性(まず主債務者に請求)が特徴です。
具体例
AさんがBさんに100万円を貸す際、CさんがBの保証人になった。Bが返済しないとき、Aは保証人Cに請求できる。ただしCは【催告の抗弁権】でまずBに請求せよと主張できる。
要件
- ・主たる債務が有効に成立していること
- ・保証契約が書面または電磁的記録でなされること(446条2項・3項)
- ・保証の意思表示があること
効果・結論
- ・主債務者が履行しない場合に保証人が履行義務を負う
- ・催告の抗弁権:まず主債務者に催告せよと主張できる(452条)
- ・検索の抗弁権:主債務者に弁済資力があり執行が容易なことを証明すれば拒める(453条)
- ・保証人が弁済すれば主債務者に求償できる(459条以下)
条文(第446-465条)
第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。 2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
試験のポイント
- ・付従性:主債務が無効・取消しなら保証債務も無効。主債務の範囲を超えて保証債務は成立しない
- ・催告の抗弁権と検索の抗弁権は連帯保証では認められない点に注意
- ・保証契約は書面または電磁的記録が必須(要式契約)
連帯保証
第454条連帯保証とは、保証人が主債務者と連帯して債務を負担する保証です。保証の性質は維持しつつ、催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められない点で、債権者にとって非常に強力な担保手段です。
具体例
AさんがBさんに100万円を貸す際、CさんがBの連帯保証人になった。Bが返済しないとき、AはいきなりCに全額請求できる。Cは【まずBに請求して】とは言えない。
要件
- ・保証契約において【連帯して】という特約があること
- ・保証契約の要件(書面または電磁的記録)を満たすこと
効果・結論
- ・催告の抗弁権なし:債権者はいきなり連帯保証人に請求できる
- ・検索の抗弁権なし:主債務者に資力があっても保証人に請求できる
- ・付従性・随伴性は維持:主債務が消滅すれば連帯保証債務も消滅
- ・連帯債務の規定が準用される(458条)
条文(第454条)
第454条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前2条の権利を有しない。
試験のポイント
- ・連帯保証人には催告・検索の抗弁権がないことが最重要。単純保証との違いを明確に
- ・連帯保証でも付従性は失われない。主債務が無効なら連帯保証も無効
- ・連帯債務の規定(相対的効力の原則など)が準用されるが、付従性があるため完全に同じではない
根保証(個人根保証)
第465の2-465の5条根保証とは、一定の範囲に属する不特定の債務を保証するものです。個人が保証人となる場合(個人根保証)は、保証人保護のため極度額の定めが必須であり、極度額の定めがないと保証契約は無効です。
具体例
AさんがBさんに継続的に商品を売る取引で、CさんがBの保証人になった。極度額500万円と定めなければ、保証契約は無効。極度額を定めても、Cが保証する額は最大500万円まで。
要件
- ・個人が保証人であること(法人は適用外)
- ・一定の範囲に属する不特定の債務の保証であること
- ・極度額を書面または電磁的記録で定めること(465の2第2項)
効果・結論
- ・極度額の定めがない個人根保証契約は無効
- ・保証人の責任は極度額が限度となる
- ・元本確定事由(主債務者・保証人の死亡、破産手続開始等)により元本が確定する(465の4)
- ・個人貸金等根保証契約では元本確定期日の定めも必要(465の3)
条文(第465の2-465の5条)
第465条の2第2項 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
試験のポイント
- ・極度額の定めは必須。書面または電磁的記録がなければ無効(口頭では無効)
- ・元本確定事由を押さえる。主債務者または保証人の死亡・破産で元本が確定
- ・個人貸金等根保証契約では元本確定期日(5年以内)の定めも必要
まとめ
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