第6節 用益物権
第2章 物権法
用益物権とは、他人の土地を一定の目的で使用・収益できる物権です。地上権・永小作権・地役権・入会権の4種類があり、所有権を持たなくても土地を利用できる権利として、実務上重要です。特に地役権は、要役地・承役地の関係、移転の取り扱い、時効取得の特別要件(283条・284条)など試験で問われる論点が多く、正確な理解が求められます。
用益物権とは
第265条・270条・280条・263条・294条条簡単にいうと
他人の土地を一定の範囲で使ったり収益したりできる権利が用益物権。地上権・永小作権・地役権・入会権の4種類があって、試験では地役権が最重要だよ。
用益物権とは、他人の土地を一定の範囲で使用・収益する権利の総称です。所有権のように目的物を全面的に支配する権利ではなく、使用・収益の範囲に限定された制限物権の一種です。物権である以上、用益物権は登記を備えることで第三者に対しても主張することができます(177条)。
用益物権には4種類あります。①地上権(265条以下)は、他人の土地において工作物や竹木を所有するために、その土地を使用する権利です。建物を建てて住んだり、植林したりする場合に利用されます。②永小作権(270条以下)は、小作料を支払って耕作または牧畜を目的として他人の土地を利用する権利です。農地を借りて農業を営む権利と理解してください。③地役権(280条以下)は、自己の土地(要役地)の便益を高めるために他人の土地(承役地)を使用する権利です。公道に出るために隣地を通行する通行地役権が典型例です。④入会権(263条・294条)は、一定の地域住民が山林原野を共同管理し、収益する権利で、地域共同体の慣習に根ざした特殊な権利です。
試験対策としては、地役権を中心に学習すれば十分です。参考書でも「地役権を学習しておけば十分」と明示されています。地上権・永小作権・入会権は出題頻度が低く、時間がなければ深追いしなくて構いません。ただし、4種類の名称・条文番号・目的は一覧表で整理して覚えておきましょう。
具体例
Aが所有する土地の上にBが建物を建てて居住するために、AB間で地上権設定契約を結ぶ。BはAの土地を地上権者として使用でき、工作物・建物の所有を目的とする地上権(265条)が成立する。
ポイント整理
- ・地上権:他人の土地に工作物・竹木を所有する目的での土地使用(265条)
- ・永小作権:小作料の支払い+耕作・牧畜目的での他人の土地使用(270条)
- ・地役権:要役地の便益のために承役地を使用する目的(280条)
- ・入会権:一定地域住民による山林原野の共同管理・収益(263条・294条)
効果
- ・地上権者は目的の範囲内で他人の土地を使用できる
- ・永小作人は耕作・牧畜のために他人の土地を使用できる
- ・地役権者は要役地の便益のために承役地を使用できる
- ・入会権者は山林原野を共同管理し収益できる
- ・いずれも物権であるため、第三者に対しても主張可能(登記が対抗要件)
条文(第265条・270条・280条・263条・294条条)
第265条(地上権の内容)地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。 第270条(永小作権の内容)永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。 第280条(地役権の内容)地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。
重要メモ
- ・「他人の土地を一定範囲で使う4種類の制限物権」で、行政書士試験は地役権さえ押さえれば足りる(テキスト明記)
- ・4種類と条文番号の対応:地上権(265条以下・工作物・竹木の所有目的)、永小作権(270条以下・耕作・牧畜目的)、地役権(280条以下・要役地便益目的)、入会権(263条・294条・地域住民の共同収益)
- ・いずれも物権なので登記により第三者に対抗できる(177条)
- ・所有権は全面的支配権、用益物権は使用・収益に限定された制限物権という対比で整理すること
- ・重要度はC(時間がなければ後回しでもよい)。地上権・永小作権・入会権は名称と条文番号程度の理解で十分
地役権とは
第280条条簡単にいうと
地役権って何?自分の土地(要役地)をより便利に使うために、隣の土地(承役地)を使わせてもらう権利だよ。「公道に出るために隣の土地を通る権利」が典型例。
地役権とは、自己の土地(要役地)の便益を高めるために他人の土地(承役地)を使用する権利です(280条)。地役権は特定の人に帰属する権利ではなく、要役地に付随する権利(附従性)であるという点が重要な特徴です。したがって、地役権は要役地から切り離して単独で譲渡することはできません(281条2項)。
典型例が通行地役権です。たとえば、Bが所有する土地が崖に囲まれていて直接公道に出られない場合、BはAの土地(承役地)に通行地役権を設定することで、Aの土地を通って公道に出ることができます。この場合、Bの土地が要役地、Aの土地が承役地となります。なお、通行地役権の通路は最短ルートである必要はなく、当事者の合意で決めることができます。地役権設定は当事者の合意のみで成立し、登記は対抗要件です(177条)。
地役権と似た制度に隣地通行権(210条)がありますが、両者は明確に異なります。隣地通行権は袋地(公道に出られない土地)の場合に法律上当然に認められる権利であるのに対し、地役権はあくまで当事者間の合意(地役権設定契約)によって設定する権利です。隣地通行権では必要最小限の範囲でしか通行できず(211条)、通路開設に対して償金の支払い義務もあります(212条)。地役権であれば合意で自由に通行範囲を設定できるため、実務上もよく利用されます。
具体例
Bの土地は崖に囲まれており、公道に出るにはAの土地を通る必要がある。AとBが通行地役権設定契約を結び、BはAの土地(承役地)を通行できる地役権(通行地役権)を取得する。Bの土地が要役地、Aの土地が承役地。

地役権とは
ポイント整理
- ・地役権設定契約(設定行為)の存在
- ・要役地(便益を受ける土地)の存在
- ・承役地(使用される他人の土地)の存在
- ・設定行為で定めた目的の範囲での使用
効果
- ・地役権者は設定行為で定めた目的に従い承役地を使用できる(280条)
- ・要役地の所有権とともに地役権も移転する(附従性)
- ・登記をすれば第三者にも地役権を対抗できる(177条)
- ・地役権は要役地と分離して譲渡できない(281条2項)
条文(第280条条)
第280条(地役権の内容)地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第3章第1節(所有権の限界)の規定の適用を妨げない。 第281条(地役権の付従性)地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるとき、及び次条第3項の規定による場合は、この限りでない。
重要メモ
- ・「要役地(自分の土地)の便益のために承役地(他人の土地)を使う権利(280条)」。公道に出るための通行地役権が典型例
- ・通行地役権の通路は最短ルートである必要はなく、当事者の合意で自由に決定できる(最短限定なのは隣地通行権のほう)
- ・地役権と隣地通行権(210条)の対比が頻出:①発生原因(地役権=合意、隣地通行権=袋地なら法律上当然)、②通行範囲(地役権=合意次第、隣地通行権=必要最小限)、③償金(地役権=合意による、隣地通行権=支払義務あり212条)
- ・附従性(281条):地役権は要役地に付随し、要役地と分離して単独で譲渡できない(281条2項)
- ・対抗要件は登記(177条)。設定自体は当事者の合意のみで成立
要役地・承役地の移転と地役権
第281条・177条条簡単にいうと
地役権が設定された土地が売買などで他人に移転したら、地役権はどうなるの?要役地が移転した場合と承役地が移転した場合で扱いが全然違うよ。
地役権は要役地に付従する権利(附従性)なので、要役地の所有権とともに地役権も移転します(281条1項)。したがって、要役地が第三者Cに譲渡された場合、Cは地役権の登記がなくても地役権者Aに対して地役権を主張できます。要役地の所有権移転登記があれば、地役権も当然にCに移転するからです。この附従性の原則は、地役権が要役地の「付属品」として常にその土地についてまわるという地役権の本質から導かれます。
これに対し、承役地が第三者Cに移転した場合、地役権者Bは地役権の登記がなければ原則として承役地の新所有者Cに地役権を主張できません(177条)。承役地の新所有者Cは、登記を確認して地役権の負担がない土地として取得することが多いため、地役権の登記は対抗要件として非常に重要です。参考書の図解では、承役地(A所有)がCに移転した場合、Bは地役権の登記がなければCに地役権を主張できない旨が示されています。
まとめると、要役地移転では地役権の登記が不要、承役地移転では地役権の登記が必要という対照的な扱いになります。これは地役権の附従性(要役地に付いてくる性質、281条)と物権変動の対抗要件(177条)を組み合わせて理解することが重要です。試験では「要役地移転=登記不要(附従性)、承役地移転=登記必要(177条対抗要件)」という対比が出題されます。
具体例
AのBに対する通行地役権(A=要役地、Bの土地=承役地)が設定されている状況で、①Aの土地がCに売却された場合→Cは地役権登記なしでもBに通行地役権を主張できる(附従性)。②Bの土地がDに売却された場合→Aは地役権の登記がなければDに通行地役権を主張できない(177条)。

要役地・承役地の移転における地役権の効力
ポイント整理
- ・要役地移転の場合:要役地の所有権移転登記があれば、地役権の登記なしで新所有者は地役権者に主張可能
- ・承役地移転の場合:地役権の登記(177条)がなければ、承役地の新所有者に地役権を対抗不可
効果
- ・要役地が移転した場合:地役権も附従して当然移転、地役権の登記は不要(281条)
- ・承役地が移転した場合:地役権の登記がなければ新所有者に対抗不可(177条)
- ・地役権の登記は承役地の移転に備えて重要な対抗要件となる
条文(第281条・177条条)
第281条(地役権の付従性)地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。 第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
重要メモ
- ・「要役地が移転→地役権も附従して当然移転(地役権の登記不要)、承役地が移転→地役権の登記がなければ新所有者に対抗不可(177条)」という対比
- ・要役地移転時に地役権の登記が不要な理由は「附従性(281条1項)」。要役地の所有権移転登記があれば地役権も一緒にCへ移転する
- ・承役地移転時は177条の対抗要件の問題。承役地の新所有者は登記を見て負担のない土地として取得する可能性があるため、地役権の登記が不可欠
- ・試験では「要役地移転=地役権登記不要(理由:附従性281条)」「承役地移転=地役権登記必要(理由:対抗要件177条)」の対比パターンで出題される
地役権の時効取得
第283条・284条条簡単にいうと
地役権も時効で取得できるけど、所有権の時効取得とは違う特別な要件がある。「継続的行使+外形上認識できること」という二つの要件がポイントだよ。
地役権は時効によって取得できます(283条)。ただし、地役権の時効取得には所有権の時効取得よりも厳しい特別要件があります。時効取得できるのは、①継続的に行使されており、かつ②外形上認識できるものに限られます(283条)。この要件は、地役権が目に見えない権利であることから、外形的な継続性・認識可能性を要求するものです。
通行地役権の時効取得における「継続的行使」については、判例(最判昭30.12.26)が「要役地所有者自身による道路の開設(通路の開削・整備)が必要である」と判示しています。他人が開設した道路を利用しているだけでは「継続的行使」とは認められないことに注意が必要です。これは参考書でも重要判例として掲載されており、「継続的に行使」の意味を具体化した判例です。
承役地が共有土地である場合には特別のルールがあります(284条)。共有者の1人がその土地に対して時効によって地役権を取得した場合、他の共有者もその地役権を取得します(284条1項)。一方、共有者に対する時効の更新・完成猶予は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ効力を生じません(284条2項)。そのため、地役権の時効完成を阻止するためには全共有者に対して手続きを行う必要があります。なお、地役権を行使する共有者が複数いる場合は、その1人に対する時効の更新・完成猶予が他の共有者のためにも効力を生じます(284条3項)。
具体例
Aが所有する要役地から公道に出るため、共有地(BとCが共有)を数十年にわたって通行し、かつAが自ら通路を開削していた場合、Aは通行地役権を時効取得できる(283条)。Bに対して時効の更新手続きをとっても、Cに対して行わなければ時効の更新の効力は生じない(284条2・3項)。

地役権の時効取得
ポイント整理
- ・継続的に地役権が行使されていること(283条)
- ・外形上認識できること(283条)
- ・通行地役権の場合:要役地所有者自身による道路の開設が必要(最判昭30.12.26)
- ・時効の一般要件(占有の開始・善意無過失または20年経過)に準じた要件
効果
- ・要件を満たせば地役権を時効取得できる(283条)
- ・承役地が共有の場合:共有者の1人が時効取得すると他の共有者も取得(284条1項)
- ・時効の更新・完成猶予は共有者全員について生じなければ効力なし(284条2・3項)
条文(第283条・284条条)
第283条(地役権の時効取得)地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。 第284条(共有の土地についての地役権の取得時効)土地の共有者の1人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。2 共有者に対する時効の完成猶予又は更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その1人に対する時効の完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生じる。
重要メモ
- ・「地役権の時効取得には283条の特別要件(①継続的行使+②外形上認識できること)が必要」で、所有権の時効取得より厳しい
- ・通行地役権の時効取得で「継続的行使」といえるには、要役地所有者自身による道路の開設(通路の開削・整備)が必要(最判昭30.12.26)。他人が開設した道路を通行するだけでは不十分
- ・承役地が共有の場合の284条ルール:①共有者の1人が時効取得→他の共有者も取得(284条1項)、②時効の更新・完成猶予は地役権を行使する各共有者全員に対してしなければ効力なし(284条2項)、③地役権行使の共有者が複数なら1人への更新・猶予が他の共有者にも効力を生じる(284条3項)
- ・過去問対策:「Aが20年通行していても自ら通路を開設していなければ時効取得不可(✕)」は頻出の引っかけ
地上権
第265条条簡単にいうと
地上権って何?他人の土地に建物を建てたり、木を植えたりするために、その土地を使う権利だよ。賃借権との違いが試験で出ることもある。
地上権とは、他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用する権利です(265条)。工作物には建物・橋・鉄塔などが含まれ、竹木には植林した樹木などが含まれます。たとえば、他人の土地に建物を建てて住んだり、植林したりする場合に地上権を設定します。地上権は物権(用益物権)の一種であり、設定契約のみで成立しますが、第三者への対抗には登記が必要です(177条)。
地上権は物権であるため、地上権者は土地所有者の許可なく地上権を譲渡・賃貸することができます(ただし設定行為に別段の定めがある場合を除く)。これが、土地の使用を目的とした債権である賃借権(601条以下)との大きな違いです。賃借権は債権なので、原則として賃貸人の承諾なく譲渡・転貸できません(612条)。また、地上権者は土地所有者に対して登記を請求する権利もあります。
地上権の存続期間は当事者が自由に定めることができ、存続期間の定めがない場合は地上権者はいつでも放棄できます(268条)。建物所有目的で地上権を設定した場合、その建物の登記があれば地上権の登記がなくても対抗要件を備えることができるとする特別法(借地借家法10条)の規定も重要です。行政書士試験では出題頻度は高くないものの、用益物権の一種として基本的理解が必要です。
具体例
AはBの土地に建物を建てるために、AB間で地上権設定契約を結んだ。AはBの土地(承役地)に地上権を取得し、建物を建てて利用できる。Aはさらに、Bの承諾なしに地上権をCに譲渡することができる(物権であるため)。
ポイント整理
- ・他人の土地での工作物または竹木の所有を目的とすること(265条)
- ・地上権設定契約の締結
- ・第三者への対抗には登記が必要(177条)
効果
- ・工作物・竹木所有のために他人の土地を使用できる(265条)
- ・物権であるため土地所有者の承諾なく譲渡・賃貸が可能
- ・登記により第三者に対抗可能(177条)
- ・地上権の存続期間は当事者が自由に定めることができる
条文(第265条条)
第265条(地上権の内容)地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
重要メモ
- ・「工作物(建物・橋・鉄塔等)または竹木の所有目的で他人の土地を使う物権(265条)」
- ・賃借権(債権)との対比が重要:地上権は物権なので土地所有者の承諾なく譲渡・転貸OK、賃借権は債権なので原則として賃貸人の承諾が必要(612条)
- ・地上権者は土地所有者に対して登記請求権を持つ(賃借権は原則不可)
- ・存続期間は当事者が自由に設定でき、定めがない場合は地上権者がいつでも放棄可能(268条)
- ・行政書士試験での出題頻度は低め。地上権vs賃借権の対比表(性質・譲渡・登記請求権・存続期間)を一覧で押さえておけば十分
永小作権・入会権
第270条・263条・294条条簡単にいうと
永小作権は農地を借りて農業をする権利、入会権は村の人たちが山を共同で使う権利。どちらも試験での出題頻度は低いので、名前と条文番号だけ押さえればOK。
永小作権とは、小作料を支払って耕作または牧畜を目的として他人の土地を利用する権利です(270条)。農地を借りて農業を営む場合に利用されます。永小作権は物権であるため、土地所有者の承諾なく譲渡・賃貸することができます(272条、ただし設定行為による制限あり)。永小作権の存続期間は20年以上50年以下とされており(278条1項)、更新も可能です。現代では農地法の規制があるため実際の利用場面は少ないですが、民法上の権利として規定されています。
入会権とは、一定の地域住民が山林原野を共同管理し収益する権利です(263条・294条)。共有の性質を有する入会権(263条)と共有の性質を有しない入会権(294条)の2種類があり、各地方の慣習によって規律されます。入会権は慣習に基づく地域共同体の権利であり、権利者が個人として持分を処分することはできないという特殊性があります。
いずれも試験での出題頻度は低いです。行政書士試験対策としては、永小作権が「耕作・牧畜目的の物権(270条)」、入会権が「地域住民の共同管理権(263条・294条)」であることと、用益物権の4分類の一つであることを理解しておけば十分です。
具体例
Aが所有する農地について、BはAに小作料を支払い永小作権を設定した。BはAの承諾なしに永小作権をCに譲渡することができる(物権であるため)。一方、X村の住民たちが古くからY山を薪炭林として共同利用してきた場合、これが入会権として保護される(263条)。
ポイント整理
- ・永小作権:小作料の支払い合意、耕作・牧畜目的(270条)
- ・入会権:地域住民による山林原野の慣習的共同管理・収益(263条・294条)
効果
- ・永小作権者は耕作・牧畜のために他人の土地を使用できる(270条)
- ・永小作権は物権なので所有者の承諾なく譲渡・賃貸可能(272条)
- ・入会権者は山林原野を慣習に従い共同管理・収益できる
- ・入会権者は慣習の範囲を超えて個人として持分処分は不可
条文(第270条・263条・294条条)
第270条(永小作権の内容)永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。 第263条(共有の性質を有する入会権)共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この章の規定を適用する。 第294条(共有の性質を有しない入会権)共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、地役権に関する規定を準用する。
重要メモ
- ・「永小作権=小作料を払って耕作・牧畜目的で他人の土地を使う物権(270条)、入会権=地域住民が山林原野を慣習に従い共同管理・収益する権利(263条・294条)」
- ・永小作権は物権なので土地所有者の承諾なく譲渡・賃貸が可能(272条)。存続期間は20年以上50年以下(278条1項)
- ・入会権は慣習に根ざした地域共同体の権利。共有の性質を有するもの(263条)と有しないもの(294条)の2種類があり、個人として持分を処分することはできない
- ・どちらも行政書士試験での出題頻度は低い。用益物権4分類(地上権・永小作権・地役権・入会権)の整理表で名称・条文・目的の対応を覚えるだけで十分
まとめ
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限定承認
相続財産の範囲内でのみ債務を返済する条件で相続を承認する方法のこと。
弁済の提供
債務者が債務を履行するために、債権者が受け取れる状態にすること。口頭の提供と現実の提供の2種類がある。
不特定物の特定
不特定物債権において、債務者が具体的に引き渡すべき物を決定・分離することで、特定物債権に変わること。
相続欠格
相続人が被相続人を殺害するなど重大な非行をした場合に、法律上当然に相続権を失う制度のこと。
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