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テキスト/民法/第2節 不動産物権変動

第2節 不動産物権変動

第2章 物権法

不動産物権変動は、土地・建物の所有権が移転したり、抵当権が設定されたりする場合のルールです。民法では対抗要件として登記が必要とされ、登記を備えなければ第三者に権利を主張できません。行政書士試験で最も出題される分野の一つです。

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物権変動と対抗要件(登記)

176、177

物権変動とは、物権(所有権など)が発生・変更・消滅することです。不動産物権変動は当事者間では意思表示のみで効力が生じますが(176条:意思主義)、第三者に対抗するには登記が必要です(177条:対抗要件主義)。

具体例

AさんがBさんに土地を売却。AとBの間では契約時に所有権が移転するが、Bが登記をする前にAがCさんにも二重譲渡し、Cが先に登記を備えた場合、Cが所有権を取得する。

要件

  • 不動産に関する物権変動があること
  • 変動を主張する相手が第三者であること
  • 対抗するには登記を備えること

効果・結論

  • 当事者間では登記なくして物権変動が生じる
  • 登記を備えなければ第三者に対抗できない
  • 登記を先に備えた者が優先する(登記の先後で決まる

条文(第176、177条)

176条:物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。 177条:不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

場合
効果
登記あり
第三者に対抗可能
登記なし
第三者に対抗不可能(当事者間は有効)

試験のポイント

  • 「対抗できない」は「無効」ではない。当事者間では有効だが第三者には主張できないだけ
  • 177条の第三者の範囲が重要。背信的悪意者や不法行為者は第三者に含まれない
  • 登記に公信力はない(無権利者から取得しても登記があっても所有権を取得できない)
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177条の第三者の範囲

177

177条の第三者とは、「登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」を指します。当事者・包括承継人は含まれず、背信的悪意者(他人の無登記に乗じて不正に利益を得ようとする者)も第三者から除外されます。

具体例

AがBに土地を売却後、Bが未登記の間にAの債権者Cが差押え。CはBの無登記を主張できる第三者。一方、AとBが通謀してDを害する目的で登記を移さなかった場合、Dは背信的悪意者として保護されない。

要件

  • 当事者・包括承継人でないこと
  • 登記の欠缺を主張する正当な利益があること
  • 背信的悪意者でないこと

効果・結論

  • 第三者に該当すれば登記なき者に対抗できる
  • 背信的悪意者は第三者に含まれず対抗できない
  • 単なる悪意者(知っているだけ)は第三者に含まれる
場合
効果
善意の第三者
第三者に該当(対抗できる)
悪意の第三者
第三者に該当(対抗できる)
背信的悪意者
第三者に該当しない(対抗不可)
不法占拠者
第三者に該当しない(対抗不可)

試験のポイント

  • 単なる悪意者(知っているだけ)は第三者に含まれる。背信的悪意者との区別が最重要
  • 不法占拠者・不法行為者は第三者に含まれない(登記なくして対抗可能)
  • 取消し前の第三者は第三者に該当するが、取消し後の第三者は96条3項で別途保護される
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取消しと登記

96条3項

詐欺・強迫で取り消しうる意思表示の後、取消し前に現れた第三者は96条3項で保護されます。詐欺の場合は善意無過失の第三者のみ保護され、強迫の場合は第三者は保護されません。取消し後の第三者は177条の問題となり対抗要件(登記)で決します。

具体例

AがBに騙されて土地を売却。取消し前にBがCに転売してCが登記した場合、Cが善意無過失ならAは取り戻せない。取消し後にDが登場した場合は、AとDの登記の先後で決まる。

要件

  • 詐欺または強迫による意思表示があること
  • 取消し前に第三者が登場したこと(96条3項の問題)
  • 詐欺の場合は第三者が善意無過失であること

効果・結論

  • 詐欺の場合:善意無過失の第三者は保護される(登記不要)
  • 強迫の場合:第三者は保護されない(取消し可能)
  • 取消し後の第三者:177条により登記の先後で決まる

条文(第96条3項条)

96条3項:前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

場合
効果
詐欺・取消し前・善意無過失の第三者
第三者保護(取消不可)
詐欺・取消し前・悪意または有過失の第三者
第三者保護なし(取消可)
強迫・取消し前・第三者
第三者保護なし(取消可)
取消し後・第三者
177条により登記の先後で決定

試験のポイント

  • 詐欺は善意無過失、強迫は第三者保護なし。この違いは頻出
  • 取消し前は96条3項、取消し後は177条の問題として場合分けする
  • 虚偽表示(94条2項)は善意のみで保護、詐欺は善意無過失で保護。要件の違いに注意
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虚偽表示と登記

94条2項

虚偽表示(通謀虚偽表示)は当事者間で真意でない意思表示を通謀して行うもので、無効です。ただし、その無効を善意の第三者には対抗できません(94条2項)。第三者保護に登記は不要ですが、第三者からの転得者が保護されるには登記が必要です。

具体例

AとBが通謀してAの土地をBに仮装譲渡(実際は譲る気なし)。Bが善意のCに転売した場合、Cは登記なくしてAに対抗可能。さらにCからDへ転売された場合、Dが保護されるには登記が必要。

要件

  • 通謀虚偽表示が存在すること
  • 第三者が善意であること(過失は不要)
  • 転得者が保護されるには登記を備えること

効果・結論

  • 虚偽表示は無効だが、善意の第三者には対抗不可
  • 第三者は善意であれば登記不要で保護される
  • 転得者(第三者からの譲受人)は登記がなければ保護されない

条文(第94条2項条)

94条2項:前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

場合
効果
善意の第三者
登記なくして保護される
悪意の第三者
保護されない
善意の転得者(登記あり)
保護される
善意の転得者(登記なし)
保護されない

試験のポイント

  • 94条2項の第三者は善意のみで保護(無過失不要)。96条3項(詐欺)との違いを明確に
  • 転得者の保護には登記が必要。直接の第三者と転得者で扱いが異なる点が頻出
  • 第三者の「第三者性」の判断:不動産を取得した者のみならず、抵当権者も含まれる

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
物権変動と対抗要件
意思表示で効力発生、登記で対抗可能
登記に公信力はない
177条の第三者
背信的悪意者は除外
単なる悪意者は第三者に含まれる
取消しと登記
詐欺は善意無過失、強迫は保護なし
取消し前後で法律構成が変わる
虚偽表示と登記
善意の第三者は登記不要、転得者は要登記
94条2項は善意のみ、96条3項は善意無過失

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