第5節 天皇
第3章 統治
天皇は日本国憲法において「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と位置づけられ、政治的権能を持たない存在です。この節では、天皇の地位、国事行為の範囲と性質、皇位継承など、象徴天皇制の基本的な仕組みを学びます。試験では天皇の国事行為の範囲と内閣の助言と承認の関係が頻出です。
天皇の地位
第1条天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基づくものです。天皇は元首ではなく、政治的権能を持ちません。
具体例
A国の大統領が来日し、天皇陛下と会見しました。これは外交儀礼として行われる象徴的行為であり、天皇は政治的な交渉や条約締結の権限は一切持ちません。
要件
- ・日本国民の総意に基づくこと
- ・象徴としての地位であること
効果・結論
- ・政治的権能を有しない
- ・国事行為のみを行う
条文(第1条)
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
試験のポイント
- ・天皇は元首ではなく象徴である点を押さえる
- ・主権者は国民であり天皇ではない
- ・政治的権能を持たないことが明治憲法との最大の違い
天皇の国事行為
第4, 6, 7条天皇は憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない(4条)。国事行為には内閣の助言と承認を必要とし、内閣が責任を負います(3条)。
具体例
衆議院解散が決定され、天皇が解散の詔書に署名しました。これは内閣の助言と承認に基づく国事行為であり、天皇自身の政治的判断ではありません。
要件
- ・憲法に列挙された国事行為であること
- ・内閣の助言と承認があること
効果・結論
- ・天皇の行為は形式的・儀礼的なものにとどまる
- ・実質的な決定権は内閣にある
- ・責任は内閣が負う
条文(第4, 6, 7条)
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
試験のポイント
- ・国事行為は憲法7条等に列挙されており限定列挙
- ・内閣の助言と承認は義務的で天皇に拒否権はない
- ・国政に関する権能を有しないため公的行為の性質が争われる
摂政
第5条摂政は、皇室典範の定めるところにより、天皇が未成年のとき、または精神若しくは身体の疾患等により国事行為ができないときに、天皇に代わって国事行為を行う者です。
具体例
天皇が重い病気で入院し、国事行為を行えない状態になりました。皇室会議の議決により、皇太子が摂政に就任し、法律の公布などの国事行為を代行します。
要件
- ・皇室典範の定める事由があること
- ・皇室会議の議決があること
効果・結論
- ・摂政は天皇の名で国事行為を行う
- ・摂政の行為にも内閣の助言と承認が必要
条文(第5条)
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
試験のポイント
- ・摂政は天皇に代わって国事行為を行うが天皇の地位を継承するわけではない
- ・摂政にも内閣の助言と承認が必要(5条2項で4条1項準用)
皇位継承
第2条皇位は世襲のものであり、国会の議決した皇室典範の定めるところにより継承されます。憲法は皇位継承の具体的ルールを皇室典範に委ねています。
具体例
天皇が崩御されたとき、皇室典範の定めに従い、皇太子が直ちに即位します。この継承のルールは法律である皇室典範で定められており、憲法が直接規定するわけではありません。
要件
- ・世襲であること
- ・皇室典範の定めによること
効果・結論
- ・皇位は国会の議決した法律で継承方法が定まる
- ・皇室典範の改正は通常の法律改正手続による
条文(第2条)
皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
試験のポイント
- ・皇室典範は憲法ではなく法律であり通常の法律改正手続で改正可能
- ・明治憲法下では皇室典範は憲法と同格だったが現憲法では法律
まとめ
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