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テキスト/憲法/第3節 内閣

第3節 内閣

第3章 統治

内閣は、国の行政権を担う合議制の機関です。憲法65条により「行政権は、内閣に属する」とされ、議院内閣制のもとで国会に対して連帯責任を負います。内閣総理大臣の権限、内閣の組織、国会との関係、そして文民統制(シビリアンコントロール)など、統治機構の中核をなす仕組みを学びます。

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行政権と内閣の地位

65

行政権とは、立法・司法以外の国家作用を指します。憲法65条は「行政権は、内閣に属する」と規定し、内閣が行政権の主体であることを明示しています。内閣は、国会の信任に基づいて成立し、議院内閣制を採用しています。

具体例

A市長が地域の道路整備を決定する場合、これは行政権の行使です。国レベルでは、内閣が各省庁を統括し、予算執行や外交政策など、法律を具体的に実施する権限を持ちます。

要件

  • 内閣は、国会の信任に基づいて成立すること
  • 内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名されること
  • 国務大臣の過半数は国会議員でなければならないこと

効果・結論

  • 内閣は行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負う
  • 衆議院で不信任決議が可決された場合、内閣は総辞職するか衆議院を解散する

条文(第65条)

第65条 行政権は、内閣に属する。

場合
効果
衆議院で不信任決議可決
10日以内に衆議院解散か内閣総辞職
参議院で不信任決議可決
法的効果なし(政治的影響のみ)

試験のポイント

  • 法律による行政の原理との関連で、行政権は法律の執行に限られるかが論点
  • 議院内閣制における内閣と国会の関係を正確に理解すること
  • 行政権の範囲(積極説・消極説)を区別する
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内閣総理大臣の地位と権限

66-72

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名され(67条)、内閣の首長として強力な権限を持ちます。国務大臣の任免権(68条)、閣議の主宰、行政各部の指揮監督権(72条)などが認められています。

具体例

内閣総理大臣Aは、外務大臣Bの方針に不満を持ち、Bを罷免して新たにCを任命しました。また、省庁再編の方針を閣議で決定し、各大臣に実施を指示しました。

要件

  • 国会議員であること
  • 国会の議決による指名を受けること
  • 天皇による任命を受けること

効果・結論

  • 国務大臣を任意に任免できる
  • 行政各部を指揮監督する
  • 内閣を代表して議案を国会に提出する
  • 内閣を代表して一般国務及び外交関係を報告する

条文(第66-72条)

第72条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

場合
効果
衆参で異なる指名
両院協議会を開いても一致しない場合、衆議院の議決が国会の議決となる
参議院が10日以内に指名しない
衆議院の議決が国会の議決となる

試験のポイント

  • 内閣総理大臣の指名は衆議院の優越が認められる(67条2項)
  • 国務大臣の任免権は内閣総理大臣の専権であり、天皇の認証は形式的行為
  • 行政各部の指揮監督権の実効性が問われる
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内閣の組織と権限

73

内閣は、内閣総理大臣と国務大臣で構成される合議制の機関です(66条)。国務大臣の過半数は国会議員でなければなりません。内閣は73条に列挙された権限を行使し、行政権の主体として機能します。

具体例

内閣は閣議を開き、新しい法律案を国会に提出することを決定しました。また、外国との条約を締結し、最高裁判所長官を指名して天皇に任命してもらいました。

要件

  • 内閣総理大臣と国務大臣で構成されること
  • 国務大臣の過半数が国会議員であること
  • 文民でなければならないこと(66条2項、文民統制

効果・結論

  • 法律の執行、国務の総理
  • 外交関係の処理、条約の締結
  • 予算の作成と国会への提出
  • 政令の制定
  • 天皇の国事行為に対する助言と承認
  • 最高裁判所長官の指名、その他の裁判官の任命

条文(第73条)

第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。二 外交関係を処理すること。三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。(以下略)

場合
効果
法律案の議決
衆議院の優越あり(59条)
条約の承認
衆議院の優越あり(61条)
予算の議決
衆議院の優越あり(60条)

試験のポイント

  • 内閣の意思決定は閣議で行われ、全会一致が原則(慣例)
  • 文民統制(シビリアンコントロール)は66条2項で規定され、軍国主義の防止が目的
  • 条約の締結には原則として事前の国会承認が必要(73条3号但書)
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議院内閣制と内閣の責任

66-69

議院内閣制とは、内閣が国会(特に衆議院)の信任に基づいて存立し、国会に対して責任を負う制度です。内閣は連帯して国会に対し責任を負い(66条3項)、衆議院で不信任決議が可決されると、総辞職か衆議院解散を選択します(69条)。

具体例

内閣の政策に不満を持った衆議院が内閣不信任決議を可決しました。内閣総理大臣Aは、10日以内に衆議院を解散するか、内閣総辞職するかを決断しなければなりません。

要件

  • 内閣総理大臣が国会議員であること
  • 国務大臣の過半数が国会議員であること
  • 内閣が国会に対して連帯責任を負うこと

効果・結論

  • 衆議院で不信任決議が可決されると、10日以内に衆議院を解散するか内閣総辞職する
  • 内閣総理大臣が欠けた場合、内閣は総辞職する
  • 衆議院議員総選挙後の初召集で、内閣は総辞職する

条文(第66-69条)

第66条3項 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。 第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

場合
効果
衆議院不信任決議可決
10日以内に解散または総辞職
内閣総理大臣が欠けた場合
内閣は総辞職
衆議院総選挙後
初召集で内閣は総辞職

試験のポイント

  • 連帯責任とは、個々の大臣ではなく内閣全体が責任を負うこと
  • 不信任決議は衆議院のみの権限であり、参議院にはない(下院優越の原則の一環)
  • 砂川事件では統治行為論が示され、高度に政治性のある国家行為は司法審査の対象外とされた

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
行政権と内閣の地位
行政権は内閣に属し、議院内閣制を採用
行政権の範囲(積極説・消極説)を混同しない
内閣総理大臣の地位と権限
国務大臣任免権、行政各部指揮監督権を持つ
指名における衆議院の優越を忘れない
内閣の組織と権限
合議制機関で文民統制が原則
条約締結には原則事前の国会承認が必要
議院内閣制と内閣の責任
衆議院の信任に基づき連帯責任を負う
不信任決議は衆議院のみの権限

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