第2節 国会
第3章 統治
国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関です。この節では、国会の地位・組織・活動原則・権能について学びます。両議院の構成や権限の違い、特に衆議院の優越は試験最頻出論点です。
国会の地位
第41条憲法41条は国会を国権の最高機関であり唯一の立法機関と定めます。国権の最高機関とは政治的美称であり、国会が他の機関を法的に指揮監督する権限はありません。唯一の立法機関とは、国会のみが法律を制定でき、行政・司法は立法できないという国会中心立法の原則を意味します。
具体例
内閣が独自に「消費税を15%に上げる」という法律を作ろうとしても無効です。必ず国会で法律案を審議し、両議院の議決を経なければ法律になりません。
要件
- ・国会による議決(両議院の可決)
- ・法律の形式による制定
- ・憲法の枠内での立法
効果・結論
- ・国会のみが法律を制定できる
- ・内閣や裁判所は立法権を持たない
- ・命令・規則は法律の委任の範囲内でのみ制定可能
条文(第41条)
第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
試験のポイント
- ・「国権の最高機関」は政治的美称であり法的な上下関係ではない
- ・「唯一の立法機関」は国会中心立法の原則を意味し、内閣や地方公共団体は法律を制定できない
- ・法律の留保(行政活動には法律の根拠が必要)との関連に注意
二院制と両院の組織
第42条日本国憲法は二院制(両院制)を採用し、国会は衆議院と参議院で構成されます。衆議院は任期4年・解散あり、参議院は任期6年・3年ごとに半数改選・解散なしです。二院制の目的は慎重な審議と多様な民意の反映ですが、議決が一致しない場合の調整が必要となります。
具体例
衆議院議員は任期途中で内閣が解散を決定すると全員失職しますが、参議院議員は解散がないので6年間の任期が保障されています。
要件
- ・衆議院と参議院の両院で構成
- ・各議院の議員は全国民の代表
- ・両院の組織・運営は各議院規則で定める
効果・結論
- ・衆議院は任期4年・解散あり
- ・参議院は任期6年・3年ごと半数改選・解散なし
- ・両院の議決が異なる場合は調整手続が必要
条文(第42条)
第42条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
試験のポイント
- ・衆議院は解散あり、参議院は解散なし(混同注意)
- ・参議院は3年ごとに半数改選で常に活動できる体制
- ・二院制の趣旨は慎重審議だが、衆議院の優越により最終的に衆議院の意思が優先される場面がある
衆議院の優越
第59, 60, 61, 67条衆議院の優越(下院優越の原則)とは、両議院の議決が異なる場合に最終的に衆議院の議決が国会の議決となる制度です。衆議院は解散により民意を直接反映し、任期も短いため、より強い民主的正統性を持つと考えられます。法律案・予算・条約承認・内閣総理大臣指名で衆議院の優越が認められます。
具体例
衆議院が可決した法律案を参議院が否決しても、衆議院が出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律として成立します。
要件
- ・両議院の議決が異なること
- ・衆議院が先議または再議決を行うこと
- ・法律案の再可決は出席議員の3分の2以上の多数
効果・結論
- ・法律案:参議院が否決しても衆議院が3分の2以上で再可決可能、または参議院が60日以内に議決しない場合も同様
- ・予算:参議院が異なる議決をしても両院協議会で意見が一致しない場合は衆議院の議決が国会の議決となる
- ・条約承認:予算と同じ扱い
- ・内閣総理大臣指名:両院協議会でも意見が一致しない場合は衆議院の議決が国会の議決となる
条文(第59, 60, 61, 67条)
第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。②衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
試験のポイント
- ・法律案の再可決は出席議員の3分の2以上が必要(過半数ではない)
- ・参議院が60日以内に議決しない場合、衆議院は否決とみなして再可決可能(みなし否決)
- ・予算・条約・総理指名は両院協議会が必須だが、法律案は任意
- ・憲法改正発議には衆議院の優越はない(各議院の3分の2以上が必要)
国会議員の特権
第50, 51条国会議員には、自由な議論と活動を保障するため不逮捕特権(50条)と免責特権(51条)が認められます。不逮捕特権は会期中の逮捕から議員を守り、免責特権は議院内での発言・表決について院外で責任を問われないことを保障します。両特権は議員個人の利益ではなく、国会の機能を保障するための制度です。
具体例
国会議員Aさんが国会の委員会で「B社は脱税している」と発言しても、その発言が院内でのものである限り、B社から名誉毀損で訴えられることはありません(免責特権)。
要件
- ・不逮捕特権:会期中であること、院外での逮捕であること
- ・免責特権:議院内での発言または表決であること
効果・結論
- ・不逮捕特権:会期中は逮捕されない(現行犯または議院の許諾がある場合を除く)、会期前に逮捕された議員は議院の要求で会期中釈放
- ・免責特権:議院内での発言・表決について院外で民事・刑事の責任を問われない
条文(第50, 51条)
第50条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。 第51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
試験のポイント
- ・不逮捕特権は現行犯または議院の許諾がある場合は適用されない
- ・免責特権は院外での責任を問われないだけで、議院内での懲罰は可能
- ・免責特権の対象は「議院内での発言・表決」であり、院外での発言や記者会見は対象外
まとめ
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