第2節 国会
第3章 統治
国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関です。この節では、国会の地位・組織・活動原則・権能について学びます。両議院の構成や権限の違い、特に衆議院の優越は試験最頻出論点です。
国会の地位
第41条・43条条簡単にいうと
簡単にいうと、国会は国権の最高機関かつ唯一の立法機関です。3つの地位をきちんと区別して理解しましょう。
■ 国民の代表機関
憲法41条は「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」と規定し、国会に三つの地位を与えています。43条1項は「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定め、国会議員はどの選挙区から選出されても全国民の代表者となります。これを「自由委任の原則(自由代表制)」といい、議員は自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区や政党の指示に法的に拘束されません。
■ 国権の最高機関
通説(政治的美称説)によれば、これは国会が最も重要な国家機関であることを政治的に強調したにすぎず、他の国家機関を法的に指揮監督したり優越したりするという特別な法的意味はありません。
■ 唯一の立法機関
「国会中心立法の原則」とは国会だけが法律を制定できるという原則です。「国会単独立法の原則」とは国会のみの議決で法律を成立させることができ他機関の参加を要しないという原則です。後者の例外として、条約締結権(内閣:73条3号)・最高裁判所の規則制定権(77条)・地方特別法の住民投票(95条)などがあります。
具体例
「議員Aが所属政党の方針に反する賛成票を投じた」場合、選挙区民や政党から非難されることはあっても、法的に免責される。これが自由委任の原則の実際の場面。
ポイント整理
- ・国民の代表機関:全国民を代表する選挙議員で組織(43条1項)
- ・国権の最高機関:政治的美称、法的には特別な優越を意味しない
- ・唯一の立法機関:国会中心立法の原則+国会単独立法の原則
- ・自由委任の原則:議員は選挙区等の拘束を受けない
効果
- ・法律制定権限は原則として国会のみに帰属する
- ・国会単独立法の例外:条約(内閣73条3号)・最高裁規則(77条)・地方特別法(95条)
- ・議員は選挙区・政党の指示に法的に拘束されない
条文(第41条・43条条)
第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。 第43条1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
重要メモ
- ・「国会は国権の最高機関(政治的美称)かつ唯一の立法機関(国会中心立法・国会単独立法の原則)」(41条)
- ・国権の最高機関(41条):政治的美称説(政治的に強調されたもの)——国会に法的な優越的地位を認める趣旨ではない
- ・唯一の立法機関(41条)の2側面:①国会中心立法の原則(国会以外は法律を制定できない)②国会単独立法の原則(国会だけでルールを作れる)
- ・例外:議院規則(58条2項)・最高裁判所規則(77条1項)——憲法に特別の定めがある場合は国会単独立法の例外
- ・自由委任の原則:国会議員は全国民の代表——選挙区・支持者の意向ではなく全国民の意思に従う
二院制と両議院の組織
第42条・45条・46条・54条条簡単にいうと
簡単にいうと、衆議院と参議院の2つを設けることで慎重な審議と民意の多様な反映を図っています。任期や解散の違いをきちんと整理しましょう。
■ 二院制の採用
日本国憲法は42条で「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する」と定め、二院制を採用しています。二院制の意義は、慎重な審議を実現し民意の多様な反映を図る点にあります。
■ 衆議院
衆議院は任期4年(45条本文)で、内閣による解散制度があります(45条但書)。解散後は40日以内に総選挙が行われ、総選挙から30日以内に特別国会が召集されます(54条1項)。衆議院が解散された場合、緊急の必要があるときは参議院の緊急集会が召集されます(54条2項)が、この緊急集会で採った措置は臨時のものであり、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失います(54条3項)。
■ 参議院
参議院は任期6年(46条)で、3年ごとに議員の半数を改選します(半数改選制)。参議院には解散制度がなく、常に存続します。このため「良識の府」として衆議院の暴走を抑止する機能を担います。
■ 両院の活動原則
両院の活動は原則として独立して行われますが(独立活動の原則)、両院は同時に召集・閉会されます(同時活動の原則:54条2項本文)。また、一事不再議の原則(同一会期中に一度議決した事項は再び審議しない)・会期不継続の原則(会期中に議決に至らなかった案件は次の会期に継続しない)も国会の活動原則として重要です。
具体例
衆議院が解散されて国会が機能しない緊急事態に、参議院が緊急集会を開いて予算の暫定措置を決める場合がこれにあたる。ただし衆議院の同意がなければ10日後に失効する。

国会の活動
ポイント整理
- ・衆議院:任期4年、解散制度あり(45条)
- ・参議院:任期6年、解散制度なし、3年ごと半数改選(46条)
- ・解散後:40日以内に総選挙、30日以内に特別国会召集(54条1項)
- ・参議院の緊急集会:衆議院解散中の緊急の必要がある場合(54条2項)
- ・緊急集会の措置:次の国会開会後10日以内に衆議院の同意なければ失効(54条3項)
効果
- ・衆議院の解散により国会は機能停止するが参議院の緊急集会で対応可能
- ・参議院の緊急集会の措置は暫定的であり衆議院の同意が必要
- ・同時活動の原則により一方が閉会すれば他方も閉会となる
条文(第42条・45条・46条・54条条)
第42条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。 第45条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。 第46条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。 第54条1項 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
重要メモ
- ・「衆議院(定数465)と参議院(定数248)の二院制・両院は同時活動が原則・衆議院解散時は参議院も閉会」
- ・衆議院(定数465人)・参議院(定数248人)の両院制
- ・同時活動の原則(54条2項):両院は同時に召集・開会・閉会——衆議院解散時は参議院も同時に閉会
- ・会期不継続の原則(国会法68条):会期中に議決に至らなかった案件は次の会期に引き継がない
- ・一事不再議の原則(明文規定なし):同一会期中に一度議決した案件は再び審議しない
国会の活動(会期・決議要件・活動原則)
第52条・53条・54条・56条条簡単にいうと
簡単にいうと、国会には3種類の会期があり、議決の多数決要件にも場面ごとの違いがあります。通常・臨時・特別の違いと加重要件の場面を整理しましょう。
■ 国会の種類
国会は年中開会しているわけでなく、会期制を採用しています。国会の種類は三つあります。
第一に通常国会(常会)は毎年1回1月に召集され会期は150日(52条)、主に予算の審議を行います。
第二に臨時国会(臨時会)は必要に応じて内閣が召集を決定します(53条)。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時会の召集を決定しなければなりません。
第三に特別国会(特別会)は衆議院解散後の総選挙から30日以内に召集され(54条1項)、内閣総理大臣の指名が主な議題となります。
■ 議決要件
議決要件の原則は出席議員の過半数(56条2項)です。ただし重要事項については加重された要件が必要となります。秘密会の開催は出席議員の3分の2以上の多数決(57条1項但書)、議員の資格争訟・懲罰における除名は出席議員の3分の2以上(55条・58条2項)、憲法改正の発議は各議院の総議員の3分の2以上(96条1項)が必要です。
■ 両院の活動原則
両院の活動原則として、独立活動の原則・同時活動の原則(54条2項本文)・会期不継続の原則(国会法68条)・一事不再議の原則(明文規定なし)の四つがあります。
具体例
内閣が「このまま国会が閉会すると緊急の財政措置ができない」と判断したとき、臨時国会を召集する。また、いずれかの院の総議員の4分の1以上が要求した場合は内閣は召集を決定しなければならない。

国会議員の地位(3つの特権)
ポイント整理
- ・通常国会:毎年1月召集・年1回・会期150日(52条)
- ・臨時国会:内閣の決定または総議員4分の1以上の要求(53条)
- ・特別国会:衆議院解散後の総選挙から30日以内に召集(54条1項)
- ・議決要件の原則:出席議員の過半数(56条2項)
- ・加重要件:秘密会・除名は出席議員の3分の2以上、憲法改正発議は総議員の3分の2以上(96条1項)
効果
- ・通常国会では予算・法律案等を審議・議決する
- ・臨時国会は内閣の判断または議員要求に基づき随時召集される
- ・憲法改正には通常の議決より厳格な要件が課される
条文(第52条・53条・54条・56条条)
第52条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。 第53条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 第56条2項 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
重要メモ
- ・「国会の種類3種(通常・臨時・特別)・議決の原則は出席議員の過半数・例外として3分の2以上の5場面を押さえる」
- ・通常国会(常会):毎年1回・会期150日(52条)
- ・臨時国会(臨時会):必要に応じて内閣が召集決定(53条)・衆参いずれか4分の1以上の要求でも召集義務
- ・特別国会(特別会):衆議院議員総選挙後30日以内に召集(54条1項)——内閣総理大臣の指名を行う
- ・議決の原則:出席議員の過半数(56条2項)
- ・3分の2以上が必要な場面:①議員の資格争訟で議員失格②秘密会開催③議員除名④法律案の衆議院再可決⑤憲法改正発議
- ・衆議院の優越:法律案は60日以内未議決で衆の再可決可、予算・条約・総理指名は衆の議決が国会の議決になる(30日・10日のルール)
国会議員の地位と特権
第49条・50条・51条条簡単にいうと
簡単にいうと、国会議員には職務遂行のために3つの特権が憲法上認められています。歳費・不逮捕・免責のしくみを理解しましょう。
■ 歳費受領権(49条)
国会議員が全国民のために活動するにあたって、憲法は三つの特権を付与しています。
歳費受領権とは、国会議員が国から相当額の歳費を受ける権利です。歳費とは給与・報酬のことであり、在任中は法律によっても減額できないとされています(比較:裁判官の報酬(79条・80条)は減額禁止が明文規定されていますが、議員の歳費には明文の減額禁止規定はなく、法律の定めによります)。
■ 不逮捕特権(50条)
国会議員は会期中に院外で逮捕されないという特権です。根拠は、逮捕によって議員の職務執行が妨げられることを防ぐためです。例外として、現行犯の場合と所属議院の許可がある場合は会期中でも逮捕できます(50条・国会法33条)。なお、会期前に逮捕された議員については、議院の要求があれば会期中に釈放しなければなりません(50条後段)。
■ 免責特権(51条)
議員は議院での発言・表決について院外で法的責任を問われません。民事・刑事いずれの責任も免除されます。根拠は、議員の自由な発言を保障し、国会での活発な議論を促進するためです。ただし、免責の範囲は「議院での発言・表決」に限られ、院外での発言(記者会見・インタビューなど)には及びません。また、この特権は「国会議員」に固有のものであり、「国務大臣(大臣)」の地位には認められません。
具体例
議員Aが本会議で特定企業を名指しして批判する発言をした場合、たとえ名誉棄損に該当しうる内容であっても、議院での発言として免責特権により民事・刑事責任を問われない。
ポイント整理
- ・歳費受領権(49条):国から相当額の歳費を受ける権利
- ・不逮捕特権(50条):会期中は院外で逮捕されない
- ・不逮捕特権の例外:現行犯・所属議院の許可がある場合
- ・会期前逮捕の場合:議院の要求があれば会期中に釈放義務(50条後段)
- ・免責特権(51条):議院での発言・表決について院外で責任を問われない
効果
- ・会期中は現行犯・議院許可がない限り逮捕されない
- ・議院での発言・表決は民事・刑事いずれの責任も免除
- ・院外での発言(記者会見等)には免責特権は及ばない
- ・国務大臣としての地位には免責特権は認められない
条文(第49条・50条・51条条)
第49条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。 第50条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。 第51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
重要メモ
- ・「議員の3特権:歳費受領権(49条)・不逮捕特権(50条:会期中・現行犯除く)・免責特権(51条:院内発言・表決は院外で責任なし)」
- ・歳費受領権(49条):国会議員は国から相当額の歳費を受ける
- ・不逮捕特権(50条):会期中は逮捕されない——例外:①現行犯②所属議院の許可
- ・免責特権(51条):院内での発言・表決について院外で民事上・刑事上の責任を問われない——院内での懲罰は受けることがある
- ・国会議員は全国民の代表(43条)——命令的委任(選挙区の指示に拘束される)は採用されていない
国会の権能と議院の権能
第55条・58条・59条・62条・64条・67条条簡単にいうと
簡単にいうと、国会全体でする仕事と各議院が単独でする仕事は明確に区別されています。国政調査権がどちらに属するかも含めて理解しましょう。
■ 国会の権能
国会の権能とは「国会(衆参両院)が行う仕事」であり、衆議院と参議院の両方が関与して行うものです。主な国会の権能として、①法律の制定(59条)、②弾劾裁判所の設置(64条)、③内閣総理大臣の指名(67条)、④条約の承認(73条3号)、⑤税の決定(84条)、⑥国費の支出の議決(85条)、⑦予算の議決(86条・87条)、⑧決算の審査(90条)、⑨憲法改正の発議(96条)などがあります。
■ 議院の権能
議院の権能とは「各議院が単独で行う仕事」であり、衆議院・参議院それぞれが独立して行うものです。主な議院の権能として、①議員資格争訟の裁判(55条)、②会議の公開停止・秘密会の決定(57条1項)、③議員の懲罰(58条2項)、④議院規則の制定(58条2項)、⑤国政調査権(62条)、⑥国務大臣の出席要求(63条)などがあります。
■ 国政調査権の限界
国政調査権(62条)は強力な権限ですが、司法権の独立(76条3項)を侵すような行使(係属中の事件の裁判官の訴追指揮に関する調査など)は認められません。ただし立法目的・行政監督目的の調査など裁判と異なる目的に基づく並行調査は許されます(補助的権能説が通説)。
具体例
国政調査権の具体例として、議院が特定の行政機関の予算執行状況について調査し、担当大臣や証人の出頭・証言を求める場合がある。逆に、裁判所で係属中の汚職事件について裁判官の訴追指揮を調査するような国政調査権の行使は司法権の独立を侵すとして許されない。

衆議院の優越
ポイント整理
- ・弾劾裁判所の設置(64条):罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため両議院の議員で組織(国会の権能)
- ・国政調査権(62条):証人の出頭・証言・記録の提出を要求できる(議院の権能)
- ・国政調査権の限界:司法権の独立(76条3項)を侵す調査は禁止
- ・懲罰の除名:出席議員の3分の2以上が必要(58条2項)
効果
- ・弾劾裁判所は裁判官の罷免を決定できる(通常裁判所とは別の機関)
- ・国政調査権により行政府を監視・監督できる
- ・議院規則は各議院が独自に制定でき、法律との関係は独立している
条文(第55条・58条・59条・62条・64条・67条条)
第62条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。 第64条1項 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
重要メモ
- ・「国会の権能(両院の仕事)と議院の権能(各議院が独自に行う仕事)を区別・国政調査権(62条)は議院の権能」
- ・国会の権能(主要なもの):法律制定・弾劾裁判所設置・内閣総理大臣指名・条約承認・予算議決・憲法改正発議
- ・議院の権能(主要なもの):議員の資格争訟裁判・議院規則制定・議員の懲罰・国政調査権(62条)
- ・国政調査権(62条):証人出頭・証言・記録提出要求ができる——司法権の独立を侵す行使は不可
- ・国政調査権の限界:係属中の事件に関する裁判官の訴訟指揮の調査は不可——ただし立法目的の並行調査は許される
衆議院の優越
第59条・60条・61条・67条・69条条簡単にいうと
簡単にいうと、民意を直接反映する衆議院には一定の事項で参議院に優越する地位が認められています。衆議院が優越できる場面とそうでない場面を整理しましょう。
■ 衆議院の優越とは
衆議院は民意を直接反映するものとして、一定の事項について参議院に優越する地位が認められています。これを「衆議院の優越」といいます。
■ 法律案の議決(59条)
衆議院で可決した法律案を参議院が異なる議決をした場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律として成立します(59条2項)。参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後60日以内に議決しないときは、衆議院はこれを参議院が否決したとみなすことができます(59条4項)。なお、両院協議会の開催は任意です。
■ 予算・条約・総理指名
予算(60条)については、衆議院に先議権があり(60条1項)、両院協議会を経ても意見が一致しないとき、または参議院が衆議院の議決後30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります(60条2項)。両院協議会の開催は必要的です。
条約の承認(61条)と内閣総理大臣の指名(67条)については、予算と同様に、両院協議会を経ても意見が一致しないとき、または参議院が一定期間内(条約は30日・指名は10日)に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となります。両院協議会の開催は必要的です。
■ 衆議院の優越が認められない事項
憲法改正の発議(96条)については衆議院の優越は認められておらず、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要であり、両院対等となっています。また内閣不信任決議権(69条)は衆議院のみが有する固有の権限です。
具体例
参議院が重要法律案を否決した場合、衆議院が出席議員の3分の2以上で再可決すれば法律は成立する。ただし予算については両院協議会が必須であり、衆議院の優越といえども手続きを省略することはできない。
ポイント整理
- ・法律案:参議院否決後、衆議院で出席議員3分の2以上で再可決(59条2項)
- ・法律案:参議院が60日以内に議決しない場合は否決とみなせる(59条4項)
- ・予算・条約・総理指名:両院協議会(必要的)→不一致の場合は衆議院議決が国会議決
- ・予算の先議権:衆議院に先議権あり(60条1項)
- ・内閣不信任決議権:衆議院のみ(69条)
- ・憲法改正発議:優越なし(両院各々の総議員3分の2以上:96条)
効果
- ・衆議院の3分の2再可決により参議院の否決を覆せる(法律案)
- ・予算・条約・総理指名は衆議院議決が最終的に国会議決となる
- ・内閣は衆議院の不信任決議に対して10日以内に解散か総辞職を選択しなければならない(69条)
条文(第59条・60条・61条・67条・69条条)
第59条2項 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 第60条1項 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。 第67条2項 両議院の議決が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
重要メモ
- ・「法律案・予算・条約・総理大臣指名の4事項で衆議院が優越・憲法改正の発議は両院対等(各院の総議員の3分の2以上が必要)」
- ・衆議院の優越が認められる事項:①法律案②予算の議決③条約の承認④内閣総理大臣の指名
- ・法律案:参議院が否決→両院協議会(任意的)→衆が出席議員の3分の2以上で再可決→成立
- ・予算・条約・総理指名:参議院が否決→必要的両院協議会→不一致または参議院が一定期間内に議決しない→衆議院の議決が国会の議決
- ・憲法改正の発議:両院が対等——各院の総議員の3分の2以上の賛成(衆議院の優越なし)
- ・予算の先議権(60条1項):予算は先に衆議院に提出しなければならない——参議院には先議権なし
まとめ
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