第8節 参政権
第2章 人権
参政権とは、国民が政治に参加する権利です。選挙権・被選挙権を中心に、国民主権を実現する重要な権利として憲法で保障されています。選挙制度の合憲性や在外邦人の選挙権など、試験頻出論点を確実に押さえましょう。
参政権の意義
第15条参政権とは、国民が国の政治に参加する権利です。選挙権・被選挙権のほか、最高裁判所裁判官の国民審査権、憲法改正の国民投票権などが含まれます。国民主権原理を具体化する能動的権利として位置づけられます。
具体例
Aさんは20歳になり、初めて衆議院議員選挙で投票しました。また、友人Bさんは立候補して議員を目指しています。このように国民が選挙を通じて政治に参加する権利が参政権です。
要件
- ・国民であること
- ・年齢要件を満たすこと(選挙権:18歳以上、被選挙権:25歳または30歳以上)
効果・結論
- ・選挙権・被選挙権の行使
- ・国民審査権・国民投票権の行使
条文(第15条)
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
試験のポイント
- ・参政権は国民固有の権利であり、外国人には保障されない
- ・受益権ではなく能動的権利である点に注意
- ・選挙権18歳、被選挙権は衆議院25歳・参議院30歳
議員定数不均衡問題
第14条選挙区間で一票の価値に格差がある状態を議員定数不均衡といいます。法の下の平等(14条)及び参政権(15条)の観点から、過度な格差は違憲とされます。判例は「違憲」「違憲状態」「合憲」の三段階で判断します。
具体例
人口10万人のA選挙区から1人、人口50万人のB選挙区からも1人の議員が選出される場合、B選挙区の有権者の一票の価値はA選挙区の5分の1になり、投票価値の平等が害されます。
要件
- ・投票価値の平等が要求される
- ・合理的期間内の是正が必要
効果・結論
- ・著しい不平等がある場合、違憲または違憲状態と判断
- ・ただし事情判決の法理により選挙自体は無効とされない場合が多い
条文(第14条)
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
試験のポイント
- ・判例は「違憲」でも選挙無効とせず「違憲状態」「事情判決」で処理することが多い
- ・参議院は都道府県代表的性格から衆議院より緩やかに判断される傾向
- ・投票価値の平等は憲法上の要請であり、国会の裁量にも限界がある
在外邦人選挙権事件
第15条海外に居住する日本国民が国政選挙で投票できない状態が、選挙権の侵害にあたるかが争われました。最高裁は、在外邦人の選挙権を制限することは原則として許されず、やむを得ない事由がない限り違憲と判断しました。
具体例
Aさんは仕事で海外に転居しましたが、衆議院選挙の投票ができませんでした。Aさんは国民である以上、選挙権を行使できるべきだとして国を訴えました。
要件
- ・国民であること
- ・選挙権の制約にはやむを得ない事由が必要
効果・結論
- ・在外邦人にも選挙権行使の機会を保障すべき
- ・技術的困難は制約の正当化理由にならない
試験のポイント
- ・選挙権は国民の最も重要な基本的権利であり、制約は厳格に審査される
- ・在外国民にも選挙権を保障すべきとした重要判例
- ・やむを得ない事由がない限り選挙権制限は違憲
立候補の自由と供託金制度
第15条立候補の自由は被選挙権の一内容として保障されます。ただし、選挙の公正を保つため、一定額の供託金制度が設けられています。判例は、供託金制度は合理的制約として合憲と判断しています。
具体例
Aさんは市議会議員選挙に立候補したいと考えましたが、30万円の供託金が必要でした。当選または一定得票に達すれば返還されますが、そうでなければ没収されます。
要件
- ・立候補には供託金の納付が必要
- ・一定得票に達しない場合は没収
効果・結論
- ・売名行為や泡沫候補の乱立を防止
- ・過度に高額でなければ合憲
試験のポイント
- ・立候補の自由も参政権の一内容として保障される
- ・供託金制度は合理的制約として合憲
- ・供託金額が過度に高額な場合は違憲の可能性
まとめ
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