第2節 憲法の意味
第1章 総論
「憲法」という言葉は、実は複数の意味を持っています。この節では、形式的意味の憲法と実質的意味の憲法の違い、さらに固有の意味の憲法(立憲的意味の憲法)という重要な分類を学びます。これらの区別を理解することで、憲法の本質と、なぜ日本国憲法が最高法規なのかが明確になります。
形式的意味の憲法
形式的意味の憲法とは、「憲法」という名称の法典のことを指します。内容の重要性や性質を問わず、形式的に「憲法」という名前がついていればこれに該当します。日本国憲法、大日本帝国憲法、アメリカ合衆国憲法などがこれにあたります。
具体例
A市には「A市憲章」という名前の文書があり、市の花や市民の心構えが書かれています。B市には「B市基本条例」という名前で、市の統治機構や市民の権利が定められています。形式的意味では、名称が「憲章」や「憲法」であるかどうかが重要です。
要件
- ・「憲法」という名称を持つこと
- ・成文法典として存在すること
効果・結論
- ・形式的に最高法規としての外観を持つ
- ・憲法改正手続によって改正される
試験のポイント
- ・形式的意味の憲法は「名称」に着目した分類である点を押さえる
- ・実質的意味の憲法との対比で出題されるため、両者の違いを明確に区別できるようにする
- ・成文憲法を持たないイギリスには形式的意味の憲法は存在しないが、実質的意味の憲法は存在する
実質的意味の憲法
実質的意味の憲法とは、名称にかかわらず、国家の統治の基本を定めた法規範のことを指します。形式的に「憲法」という名前がついていなくても、国家組織や統治機構の基本を定めていれば実質的意味の憲法に該当します。これはすべての国家に必然的に存在します。
具体例
C国では「憲法」という名の法典はありませんが、「国家組織法」で議会や内閣の仕組みが、「権利保障法」で国民の基本的権利が定められています。これらは形式的には憲法ではありませんが、国家統治の基本を定めているため実質的意味の憲法です。
要件
- ・国家の統治機構に関する基本的事項を定めていること
- ・国家の存立に関わる根本規範であること
効果・結論
- ・国家の組織と作用の基本枠組みを形成する
- ・他の法規範の効力の基礎となる
試験のポイント
- ・実質的意味の憲法は「内容」に着目した分類である点を理解する
- ・どの国家にも必ず存在する点が重要(形式的意味の憲法がなくても実質的意味の憲法は存在する)
- ・日本国憲法典の中にも、実質的意味の憲法に該当しない規定がある(例:祝日に関する規定など)
固有の意味の憲法(立憲的意味の憲法)
固有の意味の憲法(立憲的意味の憲法)とは、自由主義に基づいて国家権力を制限し、国民の権利・自由を保障することを目的とする憲法のことです。近代立憲主義の理念に基づき、単に国家の組織を定めるだけでなく、権力分立と人権保障を内容とする憲法を指します。
具体例
D国の憲法には国王の権限と議会の設置だけが書かれ、国民の権利規定はありません。E国の憲法には三権分立の仕組みと国民の基本的人権が詳しく規定されています。E国の憲法のみが固有の意味の憲法(立憲的意味の憲法)に該当します。
要件
- ・基本的人権の保障が規定されていること
- ・権力分立の原理が採用されていること
- ・自由主義・民主主義の理念に基づいていること
効果・結論
- ・国家権力の恣意的行使を制限する
- ・国民の自由と権利を実質的に保障する
- ・近代立憲主義国家としての正統性を持つ
試験のポイント
- ・1789年フランス人権宣言16条「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法を持つものではない」が理論的根拠
- ・実質的意味の憲法よりもさらに限定された概念である点を理解する
- ・大日本帝国憲法は形式的・実質的意味の憲法だが、固有の意味の憲法としては不完全とされる
- ・近代立憲主義と現代立憲主義の発展も合わせて理解しておく
まとめ
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