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テキスト/行政法/第8節 民衆訴訟・機関訴訟

第8節 民衆訴訟・機関訴訟

第4章 行政事件訴訟法

行政事件訴訟には4つの類型があります。これまで学んだ抗告訴訟当事者訴訟に加え、本節では民衆訴訟機関訴訟を学びます。この2つは個人の権利救済ではなく、客観的な法秩序の維持や行政機関相互の権限争いを目的とする特殊な訴訟類型です。

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民衆訴訟

5条、42条

民衆訴訟とは、国や公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものです。客観訴訟の一種であり、法律に定める場合に限り提起できます。

具体例

A市の住民Bさんは、選挙人の資格で市議会議員選挙の当選を無効とする訴えを提起しました。Bさん個人の権利侵害がなくても、客観的に選挙の適法性を争うことができます。

要件

  • 法律に定める場合であること
  • 選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起すること

効果・結論

  • 法規に適合しない行為の是正を求めることができる
  • 原告の個人的な権利救済ではなく客観的法秩序の維持が目的

条文(第5条、42条条)

第5条 この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。 第42条 民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。

試験のポイント

  • 法律に定める場合に限定される点を押さえる(法定訴訟)
  • 自己の法律上の利益にかかわらない点が抗告訴訟との決定的な違い
  • 代表例は選挙訴訟、住民訴訟(地方自治法242条の2)
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機関訴訟

6条、42条

機関訴訟とは、国や公共団体の機関相互間における権限の存否・行使に関する紛争の訴訟です。行政組織内部の権限争いを司法的に解決する仕組みで、民衆訴訟と同様に法律に定める場合に限り提起できます。

具体例

A県知事が、B市の条例制定が県の権限を侵害するとして、国地方係争処理委員会の審査を経て、高等裁判所に訴えを提起しました。機関相互の権限争いを裁判所が判断します。

要件

  • 法律に定める場合であること
  • 国または公共団体の機関相互間の紛争であること
  • 権限の存否または行使に関する紛争であること

効果・結論

  • 機関相互の権限関係が明確になる
  • 行政組織内の権限争いを司法審査により解決

条文(第6条、42条条)

第6条 この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。 第42条 民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。

試験のポイント

  • 機関相互間の争いである点(住民など私人は原告になれない)
  • 代表例は国地方係争処理委員会の審査を経た訴訟(地方自治法251条の7)
  • 抗告訴訟と異なり個人の権利救済ではない
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客観訴訟の特色

42条

民衆訴訟と機関訴訟を合わせて客観訴訟といいます。個人の権利利益の救済ではなく、客観的な法秩序の維持や機関の権限の明確化を目的とし、法律に定める場合のみ提起できる点で、抗告訴訟・当事者訴訟(主観訴訟)と区別されます。

具体例

Cさんは市の違法な公金支出を住民訴訟で争えますが、法律で定められた手続(監査請求前置など)を踏む必要があり、自由に訴訟類型を選べるわけではありません。

要件

  • 法律に定める場合であること(法定訴訟)
  • 法律に定める者が原告となること

効果・結論

  • 客観的法秩序の維持
  • 訴訟要件・手続が法律で個別に定められる
場合
効果
主観訴訟(抗告訴訟・当事者訴訟)
個人の権利利益の救済が目的。原告適格など一般的要件が適用される
客観訴訟(民衆訴訟・機関訴訟)
客観的法秩序の維持・機関の権限明確化が目的。法定訴訟に限られる

試験のポイント

  • 法定訴訟である点が最重要(自由には提起できない)
  • 主観訴訟(抗告訴訟・当事者訴訟)との対比を整理
  • 行政事件訴訟法は手続の一般ルールを定めるのみで、具体的な訴訟類型は各個別法に規定
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代表的な民衆訴訟・機関訴訟

民衆訴訟の代表例は、選挙訴訟(公職選挙法)と住民訴訟(地方自治法242条の2)です。機関訴訟の代表例は、国地方係争処理委員会の審査を経た訴訟(地方自治法251条の7)です。試験では具体例を押さえることが重要です。

具体例

D市民Eさんは、市長の違法な支出を発見し、監査請求を経て住民訴訟を提起しました。これは民衆訴訟の典型です。一方、F県とG市の権限争いは機関訴訟で解決されます。

場合
効果
選挙訴訟
選挙の効力や当選の効力を争う民衆訴訟
住民訴訟
地方公共団体の違法な財務会計行為を争う民衆訴訟。監査請求前置が必要
国地方係争訴訟
国の関与に不服がある地方公共団体が提起する機関訴訟

試験のポイント

  • 住民訴訟は監査請求前置が必要(地方自治法242条の2)
  • 選挙訴訟と住民訴訟の区別を明確に
  • 機関訴訟は国と地方の係争が中心

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
民衆訴訟
自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起
法定訴訟に限られる(自由に提起不可)
機関訴訟
機関相互間の権限争いを解決
私人は原告になれない(機関のみ)
客観訴訟の特色
客観的法秩序維持が目的で法定訴訟
主観訴訟(権利救済目的)と混同しない
代表例
選挙訴訟、住民訴訟、国地方係争訴訟
住民訴訟は監査請求前置を忘れずに

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