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第7節 当事者訴訟

第4章 行政事件訴訟法

当事者訴訟は、行政庁の処分を争う取消訴訟とは異なり、行政法上の法律関係を直接争う訴訟類型です。公法上の法律関係について当事者間で争う実質的当事者訴訟と、形式的当事者訴訟があります。取消訴訟では救済されない公法上の権利義務を確認するための重要な手段です。

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当事者訴訟の意義

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当事者訴訟とは、行政庁の処分を対象とする取消訴訟等とは異なり、当事者間の公法上の法律関係を争う訴訟です。行政事件訴訟法4条により、形式的当事者訴訟実質的当事者訴訟に分かれます。

具体例

A市は公務員Bさんに退職金300万円を支払いました。後日A市は「Bさんは懲戒事由があった」として返還を求めましたが、Bさんは「懲戒事由はない」と主張。この公法上の返還義務の存否を争う訴訟が当事者訴訟です。

要件

  • 公法上の法律関係に関する訴訟であること
  • 当事者間の権利義務関係を争うものであること
  • 形式的当事者訴訟の場合は、法令により当事者訴訟とされていること

効果・結論

  • 判決により公法上の法律関係が確定される
  • 既判力が当事者間に生じる
  • 取消訴訟のような処分性・出訴期間等の制約を受けない

条文(第4条)

第四条 この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。

場合
効果
形式的当事者訴訟
法令で当事者訴訟とされているもの(土地収用法による損失補償額の訴訟等)
実質的当事者訴訟
公法上の法律関係を確認・形成する訴訟(公務員の地位確認、違法な公金支出の返還請求等)

試験のポイント

  • 取消訴訟との違いを明確に:取消訴訟は処分の違法性を争うが、当事者訴訟は法律関係自体を争う
  • 出訴期間の制限がないことが重要な相違点
  • 実質的当事者訴訟は補充性がないため、取消訴訟が可能でも選択できる
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形式的当事者訴訟

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形式的当事者訴訟とは、法令の規定により当事者間の法律関係を確認・形成する処分や裁決について、その法律関係の当事者の一方を被告とする訴訟です。本来は処分を争う形式だが、法令により当事者訴訟の形式をとります。

具体例

A県は土地収用でBさんの土地を取得し、補償金500万円を提示。Bさんは「1000万円が妥当」と主張し収用委員会の裁決を得ました。この裁決に不服なA県が提起する訴訟は、A県対Bさんの当事者訴訟です。

要件

  • 法令に当事者訴訟として規定されていること
  • 処分または裁決が存在すること
  • 法律関係の当事者の一方を被告とすること

効果・結論

  • 当事者間で権利義務が確定される
  • 訴訟形式は当事者訴訟だが、実質は処分性のある行為を争う
  • 判決により法律関係が形成または確認される

試験のポイント

  • 土地収用法の損失補償額の訴訟が典型例として頻出
  • 形式は当事者訴訟だが、実質的には行政処分を争う性質を持つ
  • 法令に明文規定がなければ形式的当事者訴訟にはならない
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実質的当事者訴訟

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実質的当事者訴訟とは、公法上の法律関係に関する確認訴訟その他の訴訟で、処分性のない公法上の権利義務や法律関係を直接争うものです。公務員の地位確認、公法上の不当利得返還請求などが含まれます。

具体例

公務員Aさんは市から「来月から休職とする」と言われました。しかし正式な休職命令は出ていません。Aさんは「自分は現役の職員である」という地位確認を求める訴訟を提起。これが実質的当事者訴訟です。

要件

  • 公法上の法律関係に関する訴訟であること
  • 処分性がないため取消訴訟の対象とならないこと
  • 確認の利益等の訴訟要件を満たすこと

効果・結論

  • 公法上の権利義務関係が確定される
  • 取消訴訟の出訴期間制限を受けない
  • 既判力により法律関係が確定する
場合
効果
処分性がある場合
原則として取消訴訟で争う(ただし当事者訴訟も選択可能)
処分性がない場合
実質的当事者訴訟でしか争えない(公務員の地位確認等)

試験のポイント

  • 処分性がないものを争う点が取消訴訟との決定的な違い
  • 公務員の地位確認訴訟が最頻出事例
  • 公法上の不当利得返還請求(違法な公金支出の返還等)も含まれる
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当事者訴訟と取消訴訟の関係

当事者訴訟は取消訴訟と異なり、補充性の原則がありません。したがって、処分性がある場合でも当事者訴訟を選択できます。ただし、処分の取消しを求める場合は取消訴訟によるべきとされています。

具体例

公務員Aさんは降格処分を受けました。この処分の取消しを求めるなら取消訴訟ですが、「自分は元の職位にある」という地位確認を求める場合は当事者訴訟も可能です。両方を併合提起することもできます。

要件

  • 処分の取消しそのものを求める場合は取消訴訟による
  • 法律関係の確認を求める場合は当事者訴訟を選択可能
  • 確認の利益等の訴訟要件を満たすこと

効果・結論

  • 当事者訴訟には出訴期間の制限がない
  • 取消訴訟と当事者訴訟の併合提起が可能
  • 訴訟類型の選択により救済範囲が異なる場合がある
場合
効果
取消訴訟
処分性必要・出訴期間あり・処分の取消しを求める
当事者訴訟
処分性不要・出訴期間なし・法律関係の確認等を求める

試験のポイント

  • 当事者訴訟に補充性がない点が重要(無効等確認訴訟との違い)
  • 出訴期間制限がないため、期間経過後も当事者訴訟なら可能な場合がある
  • 処分の取消しを求めるなら必ず取消訴訟によるべき

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
当事者訴訟の意義
公法上の法律関係を当事者間で争う訴訟
取消訴訟は処分の違法性を争う点で異なる
形式的当事者訴訟
法令で当事者訴訟とされた処分・裁決の訴訟
土地収用法の損失補償訴訟が典型
実質的当事者訴訟
処分性のない公法上の法律関係を争う
公務員の地位確認訴訟が頻出
取消訴訟との関係
補充性なし・出訴期間制限なし
処分の取消しは取消訴訟によるべき

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