第4節 不作為の違法確認訴訟(抗告訴訟)
第4章 行政事件訴訟法
行政庁が申請に対して応答しない場合、申請者はどう救済されるのでしょうか。この節では、不作為の違法確認訴訟という特別な抗告訴訟を学びます。処分が存在しないからこそ必要な独自の訴訟類型であり、原告適格は申請者に限定されている点、そして取消訴訟規定の準用関係(被告適格・管轄はあり、出訴期間・事情判決・執行停止・第三者効はなし)が試験の頻出ポイントです。また、単独で提起しても応答を促す効果しかないため、実務では申請型義務付け訴訟との併合提起が不可欠となります。
不作為の違法確認訴訟
簡単にいうと
簡単にいうと、申請したのに行政庁がずっと応答しないという「不作為」が違法であることを確認してもらう訴訟です。原告は申請者に限られ、出訴期間の制限がない点がポイントです。
行政手続法でも学習したように、行政庁は、国民の申請に対して何らかの応答をする義務があります。もし、申請をしたにもかかわらず、相当な期間内に応答がなければ、不作為の違法確認訴訟を提起することができます(37条)。
■ 不作為の違法確認訴訟の原告適格
申請をした者に限り原告適格が認められます(37条)。「法律上の利益を有する者」に広げることはできません(この点は過去問でも頻出です:16-17-エ ×)。なお、不作為の違法確認の訴えが提起された後に、申請に対する何らかの処分(許可・不許可を問いません)がなされれば、訴えの利益(狭義)は消滅します。
■ 取消訴訟の規定の準用の有無(主なもの)
取消訴訟の規定の準用については、以下のとおりです(38条1項)。
準用されるもの:被告適格(当該不作為をした行政庁が属する国または公共団体)、管轄裁判所、判決の拘束力
準用されないもの:出訴期間、事情判決、判決の第三者効、執行停止(25条2項の申立て)
なお、執行停止については、25条1項の不停止原則は準用されます。無効等確認訴訟と同様に、出訴期間の定めはなく、不作為が継続する限りいつでも提起することができます。
■ 認容判決の効果と実務上の対策
不作為の違法確認訴訟で認容判決が出ても、不作為の違法を確認するにとどまります。行政庁に特定の処分を命じる判決ではない点が、義務付け訴訟との決定的な違いです。より強力な救済を得るためには、不作為型の申請型義務付け訴訟(37条の3)と併合して提起することが有効です。
過去問:不作為の違法確認の訴えについては、処分についての申請をした者以外の者であっても、当該不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば提起することができる(16-17-エ ×→申請者に限られます)。

不作為の違法確認訴訟
重要メモ
- ・「申請に対して相当の期間内に応答しない不作為が違法であることを確認してもらう訴訟で、原告は申請者に限り、出訴期間の制限なし」(37条)がポイント
- ・定義:行政庁が申請に対して相当の期間内に何らの処分もしないという不作為の違法確認を求める訴訟(行訴法3条5項・37条)
- ・原告適格:申請をした者に限られる——「法律上の利益を有する者」に広げることはできない(37条。過去問頻出:16-17-エ ×)
- ・出訴期間:規定なし——不作為が継続する限りいつでも提起可(取消訴訟の6か月・1年ルールは適用されない)
- ・訴えの利益の消滅:訴訟提起後に申請に対する処分(許可・不許可問わず)がなされれば、訴えの利益(狭義)は消滅する
- ・被告:当該不作為をした行政庁が属する国または公共団体(11条準用)
- ・取消訴訟の規定の準用(38条1項)の整理——準用○:被告適格・管轄裁判所・判決の拘束力 準用×:出訴期間・事情判決・判決の第三者効 執行停止:25条2項(申立て)は準用×・25条1項(不停止原則)は準用○
- ・認容判決の効果:不作為の違法を確認するにとどまる——行政庁に特定の処分を命じる判決ではない(義務付け訴訟との決定的な違い)
- ・実務上の対策:より強力な救済を得るには、不作為型申請型義務付け訴訟(37条の3)と併合提起するのが有効
まとめ
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行政法の重要用語
不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
法律行為的行政行為
行政庁の意思表示によって法律効果を発生させる行政行為のこと。許可や認可など、意思の内容どおりに効果が生じる点が特徴。
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