第3節 無効等確認訴訟(抗告訴訟)
第4章 行政事件訴訟法
取消訴訟では公定力により、処分が違法でも判決確定まで有効として扱われます。しかし重大かつ明白な瑕疵がある処分は当初から無効です。この節では、無効な処分を確認する無効等確認訴訟を学びます。取消訴訟との違いを正確に理解することが合格の鍵です。
無効等確認訴訟の意義
第3条4項条無効等確認訴訟とは、行政処分に重大かつ明白な瑕疵があり当初から無効であることの確認を求める抗告訴訟です。取消訴訟と異なり、出訴期間の制限がなく、処分の効力が現に存在する場合に提起できます。
具体例
市がAさんの営業許可を取り消したが、実は別人Bさんの違反を誤認したもので、瑕疵が重大かつ明白。Aさんは3年後に無効確認訴訟を提起し、当初から許可は有効だったことの確認を求めた。
要件
- ・行政処分の存在
- ・処分に重大かつ明白な瑕疵があること
- ・処分の効力が現に存在すること
- ・確認の利益があること(現在の法律関係に不安・危険があること)
効果・結論
- ・判決で無効が確認されると、処分は当初から効力を有しなかったことが確定する
- ・取消訴訟と異なり、第三者効(行政事件訴訟法32条)は適用されない
- ・無効確認後、行政庁は改めて適法な処分をすることができる
条文(第3条4項条)
第三条第四項 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
試験のポイント
- ・重大かつ明白な瑕疵の判断基準が最重要。処分の外形から客観的に明白であることが必要
- ・取消訴訟との選択の問題:瑕疵が重大でも明白でなければ取消訴訟のみ可能
- ・確認の利益がない場合(処分が既に効力を失っている等)は訴えの利益なしで却下
重大かつ明白な瑕疵
重大な瑕疵とは処分を無効とすべき程度の瑕疵、明白な瑕疵とは処分の外形上・客観的に一見して瑕疵の存在が明らかなことをいいます。判例は明白性の判断を厳格に行い、無効となる範囲を限定しています。
具体例
税務署が死亡したAさん宛に納税通知を送付。相手方の不存在は処分要件の根本的欠陥で重大。しかし外形上は通常の通知書であり明白性を欠くとして、無効ではなく取消事由にとどまるとされた。
要件
- ・重大性:処分の根本的要件を欠くなど、無効とすべき重要な瑕疵があること
- ・明白性:処分の外形上、客観的に誰の目にも瑕疵が一見明白であること
- ・明白性の判断は処分時を基準とし、後の調査で判明する瑕疵は明白でない
効果・結論
- ・重大かつ明白な瑕疵がある処分は当初から無効(公定力が生じない)
- ・何人も、いつでも、どのような方法でも無効を主張できる
- ・行政庁も職権で無効を確認し、処分を撤回できる
試験のポイント
- ・判例は明白性を厳格に解釈:外形上明白でない限り取消事由にとどまる
- ・無効と取消の区別が最頻出:瑕疵の程度だけでなく外観の明白性が必須
- ・具体例暗記:相手方の誤認、手続の全部欠如、権限の完全欠如など
無効等確認訴訟の訴訟要件
第36条無効等確認訴訟は補充性の原則により、他に適切な訴訟(取消訴訟等)がある場合は提起できません。また確認の利益として、現在の法律関係に不安・危険が存在し、確認判決により紛争が解決される必要があります。
具体例
Aさんの建築確認が無効と主張するが、まだ出訴期間内。取消訴訟という適切な方法があるため、無効確認訴訟は不適法として却下された。出訴期間経過後なら無効確認訴訟が認められる。
要件
- ・補充性:取消訴訟等の他の抗告訴訟によって目的を達成できないこと(36条)
- ・確認の利益:処分の効力の存否につき争いがあり、確認判決で紛争が解決されること
- ・処分の効力が現に存在すること(既に失効した処分は対象外)
効果・結論
- ・補充性違反の場合は訴えが不適法として却下される
- ・確認の利益がない場合も訴えの利益なしで却下
- ・出訴期間経過後は取消訴訟が不可能なため、無効確認訴訟の補充性が満たされる
条文(第36条)
第三十六条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
試験のポイント
- ・補充性の判断:出訴期間内なら原則として取消訴訟を使うべき
- ・確認の利益の具体例:処分に基づく不利益が現に存在・継続している場合
- ・処分が既に失効している場合は無効確認ではなく当事者訴訟(公法上の法律関係確認訴訟)を検討
無効確認訴訟と取消訴訟の区別
取消訴訟は違法な処分を取り消す訴訟で、出訴期間の制限があり、判決確定まで処分は有効です。無効確認訴訟は無効な処分の確認を求める訴訟で、出訴期間の制限がなく、処分は当初から無効です。実務では両訴訟の選択が重要です。
具体例
市がAさんの飲食店営業許可を取り消したが、聴聞手続を全く行わなかった。Aさんは取消訴訟を提起したが、裁判所は重大明白な瑕疵として無効と判断。許可は当初から有効として営業を継続できた。
効果・結論
- ・無効な処分には公定力が生じないため、誰でもいつでも無効を主張できる
- ・取消判決には第三者効があるが、無効確認判決には第三者効がない
- ・実務では原告が無効を主張しても、裁判所が取消事由と判断することがある(訴えの変更が必要)
試験のポイント
- ・出訴期間:取消訴訟6ヶ月以内、無効確認訴訟は制限なし
- ・判決効:取消判決は第三者効あり(32条)、無効確認判決は第三者効なし
- ・併合提起:実務では取消訴訟と無効確認訴訟を予備的に併合提起することが多い
まとめ
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