第2節 行政組織法
第1章 総論
行政組織法は、行政機関がどのように構成され、どのような権限を持つのかを定める法分野です。国や地方公共団体の機関がどのように設置され、相互にどのような関係にあるのかを理解することで、行政活動の主体と権限の所在を正確に把握できます。行政書士試験では組織の仕組みと権限配分が頻出です。
行政主体
簡単にいうと
簡単にいうと、行政主体とは「自己の名と責任で行政活動を行う法人」のことです。私たちが普段イメージする「国」や「地方公共団体」がその典型例です。行政書士試験では行政主体と行政機関の違いを混同しないことが最大のポイントです。
行政主体とは、自己の名と責任で行政活動を行う法人のことをいいます。
行政主体は「法人」ですので、実際に手足を動かして活動することはできません。そこで行政主体に代わって、実際に活動を行う人や組織が必要となります。それが行政機関です。たとえば東京都(行政主体)の意思決定を行うのは東京都知事(行政機関)です。
行政主体の種類を整理すると以下のとおりです。
地方公共団体にはさらに分類があります。
特別区(東京23区)は普通地方公共団体ではなく特別地方公共団体である点に注意が必要です。
行政機関が行った行為(処分・契約など)の法的効果は行政主体に帰属します。行政主体こそが権利義務の最終的な帰属先となります。
具体例
東京都知事を例にとりましょう。東京都知事が都民との間で土地売買の契約を結んだ場合、その契約の当事者は「東京都と都民」です。東京都知事は東京都(行政主体)のために行動する行政機関であり、契約の法的効果は東京都に帰属します。株式会社でいえば、会社(行政主体)のために代表取締役(行政機関)が契約を締結するのと同じ構造です。

行政主体の概念と構造
重要メモ
- ・「行政主体=権利義務の帰属先となる法人」「行政機関=その代わりに動く人や組織」という役割の違いが核心です
- ・行政主体は法人(国・地方公共団体・独立行政法人・特殊法人)であり、自ら活動できないため、行政機関が代わって行動する
- ・行政機関が行った行為(処分・契約等)の法的効果はすべて行政主体に帰属する
- ・行政主体の4種類:①国、②地方公共団体(普通・特別)、③独立行政法人(国立印刷局・国民生活センター等)、④特殊法人(日本銀行・NHK等)
- ・地方公共団体の分類:普通地方公共団体(都道府県・市町村)と特別地方公共団体(特別区・地方公共団体の組合・財産区)
- ・特別区(東京23区)は普通地方公共団体ではなく特別地方公共団体である点が頻出
- ・行政主体と行政機関の混同に注意:契約の当事者は行政主体(例:東京都)であり、行政機関(東京都知事)ではない
行政機関の種類
簡単にいうと
簡単にいうと、行政機関とは行政主体のために実際に活動する人や組織のことです。行政機関には6種類の分類があり、特に「諮問機関は行政庁を拘束しない」「参与機関は行政庁を拘束する」という違いが頻出です。
行政機関とは、行政主体のために様々な活動を行う人や組織のことです。行政機関は役割に応じて次の6種類に分類されます。
行政庁の2形態
試験でよく問われる対比ポイントは2つです。 ①補助機関は実力行使なし、執行機関は実力行使あり ②諮問機関の意見は拘束力なし、参与機関の意見は拘束力あり
具体例
諮問機関の典型例として中央教育審議会(中教審)を挙げましょう。文部科学大臣が「学習指導要領をどう改訂すべきか」を中教審に諮問した場合、中教審は審議を行って答申(意見)を大臣に提出します。しかし大臣は中教審の答申に法的に縛られるわけではなく、最終的には大臣が判断します。一方、参与機関である司法試験委員会が司法試験合格者を決定した場合は、法務大臣はその決定に拘束されます。
重要メモ
- ・「諮問機関=意見を言うだけ(行政庁を拘束しない)」「参与機関=議決が必要(行政庁を拘束する)」という拘束力の有無が最大の対比ポイントです
- ・行政機関の6分類:①行政庁、②補助機関、③執行機関、④監査機関、⑤諮問機関、⑥参与機関
- ・行政庁:行政主体の意思・判断を決定し外部に表示する機関(各省大臣・知事・市町村長・税務署長等)
- ・行政庁の形態:独任制(大臣・知事・市町村長など1人が決定)と合議制(公正取引委員会・国家公安委員会など複数構成員で決定)
- ・補助機関(事務次官・副知事・一般職員等)は実力行使なし。執行機関(警察官・消防員・自衛官等)は実力行使あり
- ・諮問機関(中央教育審議会・法制審議会)の答申は行政庁を法的に拘束しない
- ・参与機関(電波監理審議会・司法試験委員会)の議決は行政庁を法的に拘束する
- ・監査機関(会計検査院・監査委員)は事務・会計の適否を監査する
権限の代理と権限の委任
簡単にいうと
簡単にいうと、行政機関の間には「代理」と「委任」という2つの仕事の任せ方があります。最大の違いは、法律の根拠が必要かどうかと、責任の所在がどこにあるかという2点です。
行政機関は、その権限を自ら行使することが原則ですが、場合によっては他の行政機関に権限の行使を担わせることがあります。その方法として権限の代理と権限の委任の2種類があります。
権限の代理とは、行政庁の権限の全部または一部を、他の行政機関が代わって行使することをいいます。権限そのものは元の行政庁に残ったままで、形式的に他の機関が代理として行使するにすぎません。代理機関が処分を行う際は「被代理行政庁(県知事)の名」で行います。
権限の代理には2種類あります。 - 授権代理:行政庁が任意に他の機関に代理権を与える場合(法律の根拠不要) - 法定代理:法律の規定に基づいて代理関係が生じる場合(例:知事が欠けた場合に副知事が職務代理者となる)
権限の委任とは、権限を有する行政庁が、その権限の一部を他の行政機関に移譲し、受任機関の権限として行使させることをいいます。委任後は元の行政庁はその権限を失います。受任機関は自己の名と責任で権限を行使します。
権限の全部委任は認められません(委任すると元の行政庁が権限を失うため、全部委任は行政庁そのものが消滅するに等しいからです)。
具体例
県知事と副知事の関係を例にとりましょう。権限の代理の場合、副知事が「○○県知事代理 副知事□□」という名義で処分を行います。問題が生じた場合は県知事が責任を負います。権限の委任の場合は、副知事が「副知事□□」という自己の名で処分を行います。委任後は県知事はその権限を失い、副知事が責任を負います。覚え方として、代理は「代わりにやってあげる(責任は本人)」、委任は「譲り渡す(権限も責任も移動)」とイメージするとわかりやすいでしょう。

行政機関相互の関係(権限の代理と委任)
重要メモ
- ・「代理=権限は元の庁に残る・責任も元の庁」「委任=権限が移る・責任も受任機関に移る」という5つの対比が核心です
- ・権限の代理:法律の根拠不要・権限は元の行政庁に残る・被代理行政庁の名で処分・責任は元の権限者
- ・権限の委任:法律の根拠が必要・権限が受任機関に移る・受任機関自己の名で処分・責任は受任機関
- ・権限の委任は権限の一部に限られる(全部委任は不可。委任した行政庁が権限を失うため)
- ・権限の代理の2種類:授権代理(行政庁が任意に代理権を付与、法律の根拠不要)と法定代理(法律の規定による。例:知事が欠けた場合に副知事が職務代理者となる)
- ・過去問(96-33-2):権限の委任がなされた場合、委任した行政庁はその権限を失い、受任機関が自己の名と責任で行使する(○)
- ・権限の代理と委任の最重要対比5項目:法律の根拠の要否・権限の移動の有無・処分の名義・責任の所在・委任可能範囲
行政機関の指揮監督
簡単にいうと
簡単にいうと、上級行政機関は下級行政機関を指揮・監督する権限を持っています。訓令を出したり、下級機関の処分を取り消したり、代わりに執行したりする権限の総称が指揮監督権です。
行政機関相互の関係として、上級行政機関は下級行政機関を指揮監督する権限を持ちます。この指揮監督権は、行政組織の統一性・一体性を確保するために認められるものです。
指揮監督権の内容は以下の4種類です。
これらの指揮監督権は、法律の明文規定がなくても行政組織の性質上当然に認められると解されています。
具体例
訓令権の例として、法務大臣が検察庁に対して「特定の種類の事件については起訴に慎重を期すよう」という訓令を発する場合が挙げられます。ただし検察庁法では個々の事件の指揮には制限があります。取消権・停止権の例としては、国土交通大臣が地方整備局長の行った処分を取り消す場合があります。
重要メモ
- ・「上級行政機関は下級行政機関を指揮監督する権限が組織法上当然に認められる」という原則が核心です
- ・指揮監督権の4種類:①訓令権、②取消権・停止権、③権限争議裁定権、④代執行権
- ・訓令権:上級機関が下級機関に指示・命令(訓令)を発する権限。訓令は行政内部の指示であり、国民を直接拘束しない
- ・取消権・停止権:上級機関が下級機関の処分を取り消し・停止できる(行政の一体性・適法性を確保)
- ・代執行権(指揮監督上のもの):下級機関が職務を怠った場合に上級機関が代わって執行する権限。行政代執行法上の代執行(私人の義務不履行への対応)とは別概念
- ・指揮監督権は法律の明文規定がなくても行政組織の性質上当然に認められる(法律の根拠は不要)
国の行政組織
簡単にいうと
簡単にいうと、国の行政組織は憲法・国家行政組織法によって定められており、内閣のもとに各省庁が統括されています。試験では省庁の所属関係(内閣直属か省の外局かなど)と設置年度の新しい機関が出題されます。
憲法において、内閣は行政権を担当することとされており(憲法65条)、国家行政組織法において国の行政組織を統括することとなっています。
国の行政組織の体系
新設・改組機関の設置年度(頻出)
国家行政組織法上の機関の種類 - 省(大臣が長)→ 外局として「庁」または「委員会」を置く - 庁(長官が長、省に置かれる) - 委員会(委員長が長) - 審議会等(諮問機関) - 施設等機関(試験研究機関・文教研修施設など)
具体例
消費者庁を例にとりましょう。消費者庁は2009年に設置された比較的新しい機関で、内閣府の外局として位置づけられています。消費者問題に関する法律の執行・企画立案を担います。一方、デジタル庁は内閣府ではなく内閣に直属する点が異なります。試験では「どの機関の外局か」「設置年はいつか」が問われますので、特に新しく設置された機関の所属と設置年を押さえましょう。

国の行政組織
重要メモ
- ・「デジタル庁だけは内閣府ではなく内閣に直属」という例外と、新設機関の設置年・所属先の組み合わせを覚えることが試験の核心です
- ・憲法65条:内閣が行政権を担当する。国家行政組織法が国の行政組織の基本を規律
- ・内閣直属の機関:内閣官房・内閣法制局・国家安全保障会議・人事院・デジタル庁
- ・デジタル庁は2021年9月設置。内閣府ではなく内閣に直属する点が頻出(他の外局と混同しないこと)
- ・内閣府の外局:公正取引委員会・国家公安委員会(警察庁を管理)・金融庁・消費者庁(2009年)・カジノ管理委員会(2020年1月)・こども家庭庁(2023年4月)
- ・法務省の外局:出入国在留管理庁(2019年4月設置)
- ・国家公安委員会(内閣府外局)が警察庁を管理する組織構造に注意
- ・省の外局の形式:「庁」(長官が長)または「委員会」(委員長が長)のいずれか
- ・新設機関の設置年まとめ:消費者庁(2009年)→出入国在留管理庁(2019年4月)→カジノ管理委員会(2020年1月)→デジタル庁(2021年9月)→こども家庭庁(2023年4月)
国家公務員の種類(一般職・特別職)
簡単にいうと
簡単にいうと、国家公務員には「一般職」と「特別職」の2種類があり、国家公務員法が適用されるのは一般職のみです。大臣や自衛官などは特別職であり、国家公務員法の適用を受けません。
国家公務員は行政組織の中で実際の職務にあたる者です。公務員の種類として①一般職と②特別職に分類されます。
特別職の主な例(限定列挙) - 内閣総理大臣・国務大臣・内閣法制局長官・人事官・検査官 - 裁判官・国会職員 - 防衛省の自衛官
特別職は国家公務員法2条3項に限定列挙されており、それ以外はすべて一般職となります。
地方公務員も同様に一般職と特別職に分かれ、地方公務員法の適用を受けます(特別職には地方公務員法は原則として適用されません)。地方公務員の特別職としては、地方公共団体の長(知事・市町村長)・議会議員・副知事・副市町村長などが挙げられます。
具体例
国会議員の秘書(国会職員)は特別職であり、国家公務員法の適用がありません。一方、財務省の一般職員は一般職であり、国家公務員法の規律を受けます。また防衛省の自衛官も特別職に該当し、自衛隊法によって規律されます。
重要メモ
- ・「特別職は国家公務員法2条3項の限定列挙に該当するもののみ。それ以外はすべて一般職」という区分の仕方が核心です
- ・一般職:国家公務員法が全面適用(採用試験・服務・給与・分限・懲戒等)
- ・特別職:国家公務員法の適用なし。国家公務員法2条3項に列記されたものに限定
- ・特別職の主な例:内閣総理大臣・国務大臣・内閣法制局長官・人事官・検査官・裁判官・国会職員・防衛省の自衛官
- ・特別職は限定列挙(国家公務員法2条3項に列記されたものだけ)。それ以外はすべて一般職
- ・地方公務員も一般職・特別職に分かれ、特別職(知事・市町村長・議会議員・副知事・副市町村長等)には地方公務員法が原則として適用されない
公務員の分限処分と懲戒処分
簡単にいうと
簡単にいうと、公務員に問題が生じたときの処分には「分限処分」と「懲戒処分」の2種類があります。分限は能力・適格性の問題、懲戒は義務違反・非行が原因という違いと、それぞれの処分の種類の組み合わせが試験頻出です。
公務員に対して問題があった場合の処分には、分限処分と懲戒処分の2種類があります。
処分の種類の覚え方
「免職」は両方に共通。「降任・休職・降給」は分限のみ。「停職・戒告」は懲戒のみ。
具体例
Aさんが重い病気にかかり、1年以上職務を遂行できない状態になった場合、これは義務違反ではないため懲戒処分の対象とはなりません。しかし組織の効率的運営のため、分限処分(休職)の対象となります。一方、Bさんが収賄罪で有罪判決を受けた場合は、全体の奉仕者としてふさわしくない非行があったとして懲戒処分(免職)の対象となります。
重要メモ
- ・「分限=能力・適格性の問題(免職・降任・休職・降給の4種類)」「懲戒=義務違反・非行(免職・停職・減給・戒告の4種類)」という原因と種類の対比が核心です
- ・分限処分の4種類:免職・降任・休職・降給(根拠:国家公務員法75条・78条・79条)
- ・懲戒処分の4種類:免職・停職・減給・戒告(根拠:国家公務員法82条)
- ・「免職」は分限・懲戒の両方に共通。「降任・休職・降給」は分限のみ。「停職・戒告」は懲戒のみ
- ・過去問(15-26-4):懲戒処分の4種類は「免職・停職・減給・戒告」であり「休職」は含まれない(休職は分限処分)
- ・分限処分の目的:組織の効率的運営(義務違反ではなく、心身故障・職務遂行不能・官職廃止等が原因)
- ・懲戒処分の目的:義務違反・非行に対する制裁。国家公務員法違反・職務怠慢・収賄等が典型例
公物とは
簡単にいうと
簡単にいうと、公物とは道路や公園・学校など、国や地方公共団体が直接公の目的に使用している物のことです。公用物(官公庁が使う)と公共用物(一般公衆が使う)の2種類に分かれます。
公物とは、国や地方公共団体によって直接公の目的に使用されている物のことをいいます。有体物(動産・不動産)が対象となります。
公物の成立要件(両方必要) - 形体的要件:公の目的に適した物的形状を備えること - 意思的要件:公用開始の意思表示(または黙示的な公用開始)
公物の消滅 - 公物自体の滅失(自然災害等) - 公用廃止(公用廃止の意思表示)による
具体例
国道は公共用物(公物)であり、一般の人が自由に通行できます(一般使用)。一方、官公庁の建物(庁舎)は公用物であり、行政機関自身が使用するための公物です。

公物の分類と時効取得
重要メモ
- ・「公用物=官公庁が使う物(庁舎・公用車等)」「公共用物=一般公衆が使う物(道路・公園・河川等)」という区別と成立要件の2要素が基本です
- ・公物の定義:国や地方公共団体によって直接公の目的に使用されている有体物(動産・不動産)
- ・公物の2種類:公用物(官公庁の建物・公文書・公用車など、行政主体が直接使用)と公共用物(道路・公園・河川・港湾・学校など、一般公衆が使用)
- ・公物の成立要件(2要素とも必要):①形体的要件(公の目的に適した物的形状を備えること)+②意思的要件(公用開始の意思表示または黙示的な公用開始)
- ・公物の消滅:①公物自体の滅失(自然災害等)、②公用廃止(公用廃止の意思表示)による
公物の時効取得
簡単にいうと
簡単にいうと、公物は原則として私人が時効取得できないとも思えますが、判例は一定の条件で取得時効の成立を認めています。公用廃止の意思表示がなくても時効取得できるかが頻出論点です。
公物の時効取得については、長年にわたり公の目的に使用されない状態が続いた公物について、私人が取得時効を主張できるかが問題となります。
最高裁昭和51年12月24日判決(最昭51.12.24)の判例によれば、公物であっても公用廃止の意思表示がなくても、一定の条件下で取得時効が成立することがあります。
最高裁は「公物は取得時効の対象とはならない」とする立場ではなく、公用廃止の意思表示がなくても一定の条件下で取得時効の成立を認めています。
具体例
廃止された道路が長年にわたって農地として利用され続けた場合、最高裁の判例(最昭51.12.24)に従えば、黙示的な公用廃止が認められれば取得時効が成立しうることになります。公用廃止の明示的な意思表示がなくても、長期間実態として公の目的に使用されていなければ時効取得が認められる場合があります。
重要メモ
- ・「公物でも、公用廃止の明示的な意思表示がなくても、判例(最昭51.12.24)は一定条件で取得時効の成立を認めている」という点が試験の核心です
- ・原則として公物は取得時効の対象外と思われがちだが、判例はこれを否定していない
- ・判例(最高裁昭和51年12月24日判決):公物が黙示的に公用廃止されていた場合、取得時効が成立する
- ・黙示的公用廃止がない場合でも、長期間公の目的に使用されていない状態が続けば取得時効が成立しうる(最昭51.12.24)
- ・過去問(00-10-カ):公物は行政目的に使用されなくなったとき、公用廃止の意思表示がなくても時効取得できる場合がある(○)
- ・民法の取得時効(民法162条)の一般原則が公物にも適用されうるという立場が判例の趣旨
公物の利用関係と公物管理法
簡単にいうと
簡単にいうと、公物の利用には「誰でも自由に使える一般使用」「許可が必要な許可使用」「特別の法律関係が設定される特許使用」の3種類があります。また公物を維持管理する公物管理法と、危険防止のための公物警察法は別物です。
公物の利用関係として、公物の利用形態には次の3種類があります。
公物管理法と公物警察法
両者は法的性質が異なる別個の法律であり、同一の公物に対して並存して適用されます。
具体例
国道を例にとりましょう。一般の人が自動車で国道を走行することは「一般使用」であり、許可は不要です。しかし国道の脇に看板を立てたり電柱を設置したりするには「道路占用許可」(許可使用)が必要です。道路の維持・管理については道路法(公物管理法)が、道路上での交通秩序については道路交通法(公物警察法)がそれぞれ規制します。
重要メモ
- ・「一般使用(自由)・許可使用(許可が必要)・特許使用(特別の法律関係設定)」という3段階の利用形態と、「公物管理法(維持管理)と公物警察法(危険防止)は別個の法律」という点が核心です
- ・公物の利用形態3種類:①一般使用(許可不要・自由利用。例:道路の通行・公園での散歩)、②許可使用(許可が必要。例:道路占用許可・公園内売店設置)、③特許使用(特定人に特別の法律関係を設定。例:水道・電気・ガス事業のための利用)
- ・公物管理法(道路法・河川法・海岸法等)の目的:公物の維持・保全・管理
- ・公物警察法(道路交通法等)の目的:公物利用における危険防止・秩序維持
- ・公物管理法と公物警察法は法的性質が異なる別個の法律であり、同一の公物に対して並存して適用される
- ・許可使用と特許使用の違い:許可使用は一般的禁止を解除する行為(消極的許可)、特許使用は特定人に新たな法律関係を設定する行為(積極的権利付与)
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行政法の重要用語
不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
法律行為的行政行為
行政庁の意思表示によって法律効果を発生させる行政行為のこと。許可や認可など、意思の内容どおりに効果が生じる点が特徴。
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