第5節 適用除外
第3章 行政不服審査法
行政不服審査法は多くの処分等に対する不服申立ての一般法ですが、すべての場合に適用されるわけではありません。この節では、行政不服審査法が適用されない場合(適用除外)について学びます。適用除外を理解することで、どのような場合に行政不服審査法による救済を求められないのかを正確に判断できるようになります。
行政不服審査法の適用除外(7条1項各号)
簡単にいうと
簡単にいうと、行政手続法と同様に、行政不服審査法にも審査請求ができない適用除外があります。行政手続法の適用除外と比較しながら整理することがポイントです。
行政手続法と同様に、行政不服審査法の規定が適用されない例外があります(7条1項各号)。
■ 立法・司法機関による処分
①国会の両院もしくは一院または議会の議決によって行われる処分、②裁判所もしくは裁判官の裁判により、または裁判の執行としてされる処分、③国会の両院もしくは一院もしくは議会の議決を経て、またはこれらの承認を得たうえで執行すべきものとされている処分については、適用除外となります。
■ 独立機関による処分
④検査官会議で決すべきとされている処分も、会計検査院の独立性から適用除外となります。
■ さらに慎重な手続を要する処分
⑤当事者間の法律関係を確認し、または形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴訟においてこれらの法律関係の当事者の一方を被告とすべきものとされているものも除外されます。
■ 刑事・司法警察手続による処分
⑥刑事事件に関する法律に基づいて検察官・検察事務官または司法警察職員がする処分も、刑事手続の特殊性から適用除外となります。
■ 国税・地方税の犯則事件に関する処分
⑦国税または地方税の犯則事件に関する法令に基づいて国税庁長官・国税局長等がする処分も除外されます(なお、通常の課税処分は適用除外ではなく、国税不服審判所等の固有の不服申立制度があります)。
■ 教育・訓練施設における処分
⑧学校・講習所等の教育・訓練目的施設の生徒・学生・訓練生に対する処分も除外されます。
■ 外国人・難民に係る処分
⑨外国人の出入国・難民の認定・補完的保護対象者の認定等に係る処分が除外されます。過去問では「外国人の出入国に関する処分は行政不服審査法の審査請求の対象とならない(○)」として出題されています([05-14-1改])。
■ 試験・検定に関する処分
各種試験(技能・学問)の検定の結果についての処分(11号)等も適用除外となります。
■ 地方公共団体の機関がする処分
7条2項により、地方公共団体の機関がする処分については、条例に特別の定めがある場合を除き、行政不服審査法の規定が適用されます。条例による独自の不服申立制度を設けることも可能です。
重要メモ
- ・「国会・裁判所・刑事手続・外国人出入国・公務員身分・会計検査等の処分は審査請求の対象外(7条1項各号)」がポイント
- ・適用除外の主な類型①【立法・司法機関】:国会の両院・一院もしくは議会の議決による処分(1号)、裁判所・裁判官の裁判または裁判の執行としてされる処分(2号)
- ・適用除外の主な類型②【議会承認が必要な処分】:国会・議会の議決を経て、またはその承認を得た上で執行すべきとされている処分(3号)——二重の民主的コントロールがあるため除外
- ・適用除外の主な類型③【独立機関】:検査官会議で決すべきとされている処分(4号)——会計検査院の独立性から除外
- ・適用除外の主な類型④【刑事・司法警察】:刑事事件に関する法律に基づき検察官・検察事務官・司法警察職員がする処分(6号)——刑事手続の特殊性から除外
- ・適用除外の主な類型⑤【当事者間の法律関係確認処分】:当事者間の法律関係を確認・形成する処分で、訴訟において当事者の一方を被告とすべきとされているもの(5号)——別途訴訟ルートがあるため除外
- ・適用除外の主な類型⑥【外国人・難民】:外国人の出入国、難民の認定、補完的保護対象者の認定等に係る処分(9号)——過去問頻出:外国人の出入国に関する処分は審査請求の対象とならない(○)[05-14-1改]
- ・適用除外の主な類型⑦【教育・訓練施設】:学校・講習所等の教育・訓練目的施設の生徒・学生・訓練生に対する処分(8号)
- ・適用除外の主な類型⑧【試験検定】:各種試験(技能・学問)の検定結果についての処分(11号)
- ・適用除外の主な類型⑨【国税・地方税の犯則事件】:国税または地方税の犯則事件に関する法令に基づき国税庁長官・国税局長等がする処分(7号)——注意:通常の課税処分は適用除外ではなく、国税不服審判所等の固有の不服申立制度がある
- ・行政手続法の適用除外(行手法3条)との比較:対象類型に共通点が多い(国会・裁判所・刑事手続等)が、行政手続法は「処分・行政指導・届出」手続が対象、行政不服審査法は「審査請求」手続が対象——混同しないこと
- ・7条2項:地方公共団体の機関がする処分については、条例に特別の定めがある場合を除き、同法の規定が適用される——条例による独自の不服申立制度を設けることも可能
まとめ
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行政法の重要用語
不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
法律行為的行政行為
行政庁の意思表示によって法律効果を発生させる行政行為のこと。許可や認可など、意思の内容どおりに効果が生じる点が特徴。
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