第5節 適用除外
第3章 行政不服審査法
行政不服審査法は多くの処分等に対する不服申立ての一般法ですが、すべての場合に適用されるわけではありません。この節では、行政不服審査法が適用されない場合(適用除外)について学びます。適用除外を理解することで、どのような場合に行政不服審査法による救済を求められないのかを正確に判断できるようになります。
適用除外の意義と種類
第7条適用除外とは、一定の処分等について行政不服審査法の適用を排除することをいいます。これには、①法律で審査請求ができないと定められている場合と、②他の法律に特別の定めがあり、そちらが優先適用される場合があります。行政不服審査法7条各号に列挙されています。
具体例
Aさんは公務員として懲戒免職処分を受けました。この処分に不服があっても、国家公務員法等の特別法により、人事院への不服申立てが定められており、行政不服審査法の審査請求はできません。
要件
- ・行政不服審査法7条各号に該当すること
- ・法律で明文の規定があること
効果・結論
- ・行政不服審査法による審査請求ができない
- ・特別法に定める不服申立て手続がある場合はそちらによる
- ・行政事件訴訟法による取消訴訟は原則として可能
条文(第7条)
行政不服審査法7条 次に掲げる処分及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。
試験のポイント
- ・適用除外でも取消訴訟は原則として可能である点を押さえる(不服申立前置がない限り)
- ・特別法の不服申立てと行政不服審査法の審査請求の関係を整理する
- ・7条各号の具体例を暗記する必要はないが、典型例は押さえる
行政不服審査法7条1号(法律上の不服申立て不可)
第7-1条法律で明文により審査請求ができないとされている処分については、行政不服審査法は適用されません。これは、政策的判断から不服申立てを認めることが適当でないとされる場合に設けられます。ただし、取消訴訟の提起は原則として妨げられません。
具体例
Bさんは運転免許の停止処分を受けましたが、道路交通法により軽微な違反の場合は審査請求ができないと定められています。この場合、Bさんは行政不服審査法による審査請求はできません。
要件
- ・法律に審査請求を認めない旨の明文規定があること
効果・結論
- ・行政不服審査法による審査請求ができない
- ・取消訴訟の提起は原則として可能
- ・訴訟における不服申立前置も適用されない
条文(第7-1条)
(7条1号)法律(条例に基づく処分については、条例)に当該処分若しくは不作為に関する不服申立てをすることができない旨の定めがあるとき。
試験のポイント
- ・審査請求ができないことと取消訴訟ができないことは別である
- ・条例による処分の場合も条例で適用除外が可能
- ・不服申立前置の原則が働かないため直ちに訴訟提起できる
行政不服審査法7条2号(特別の不服申立て手続)
第7-2条他の法律に特別の不服申立ての制度が設けられている場合、行政不服審査法は適用されません。特別法優先の原則により、その特別法に定める手続によることになります。例として、公務員の身分に関する処分や税務関係の処分などが挙げられます。
具体例
Cさんは税務署から所得税の更正処分を受けました。国税通則法により、異議申立てや国税不服審判所への審査請求という特別の手続が定められているため、行政不服審査法は適用されません。
要件
- ・他の法律に特別の不服申立ての手続の定めがあること
- ・その特別の手続が行審法と異なる内容を含むこと
効果・結論
- ・行政不服審査法は適用されず、特別法が適用される
- ・特別法に定める不服申立て手続による
- ・特別法で不服申立前置が定められている場合は訴訟前に手続を経る必要がある
条文(第7-2条)
(7条2号)当該処分に関し、他の法律に審査請求、異議申立てその他の不服申立てをすることができる旨の定めがあるとき。
試験のポイント
- ・特別法と一般法の関係を理解する(特別法優先の原則)
- ・国家公務員法、地方公務員法、国税通則法などが典型例
- ・特別法による不服申立てを経た後に取消訴訟を提起できる場合が多い
適用除外と取消訴訟の関係
行政不服審査法が適用除外されても、行政事件訴訟法による取消訴訟の提起は原則として可能です。ただし、特別法で不服申立前置が定められている場合は、まず不服申立てを経なければ訴訟を提起できません。適用除外は不服申立ての問題であり、訴訟提起権とは別の問題です。
具体例
Dさんは処分に不服がありますが、法律で審査請求ができないとされています。しかし、不服申立前置の規定がないため、Dさんは直ちに取消訴訟を提起することができます。
要件
- ・適用除外により行審法による審査請求ができないこと
- ・不服申立前置の規定がないこと(直ちに訴訟提起する場合)
効果・結論
- ・適用除外でも取消訴訟の提起は原則として可能
- ・不服申立前置がない場合は直ちに訴訟提起できる
- ・不服申立前置がある場合は先に不服申立てを経る必要がある
試験のポイント
- ・適用除外=訴訟不可ではない点を明確に理解する
- ・不服申立前置の有無を確認する必要がある
- ・行政事件訴訟法8条1項の原則的不服申立前置の廃止(平成16年改正)を理解する
まとめ
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