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第4節 教示

第3章 行政不服審査法

行政庁が処分や不作為をした際、国民が不服申立てや訴訟を提起できることを知らなければ、権利救済の機会を失ってしまいます。そこで行政不服審査法は、行政庁に対し、不服申立ての方法等を教える義務(教示)を課しています。本節では、教示制度の意義と具体的内容を学びます。

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教示制度の意義

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教示とは、行政庁が処分や不作為をする際に、国民に対して審査請求再調査の請求ができることおよびその期間・請求先を書面で知らせる制度です。国民の権利救済を実効的にするため、行政庁に義務づけられています。

具体例

市役所のAさんは、Bさんの建築許可申請を不許可とする処分をしました。処分通知書には「この処分に不服があれば60日以内に市長に審査請求できます」と記載されています。

要件

  • 書面で処分または不作為をすること
  • 審査請求または再調査の請求ができる処分・不作為であること

効果・結論

  • 行政庁は教示をしなければならない(義務)
  • 教示を怠った場合でも処分の効力には影響しない
  • 教示を誤った場合には出訴期間の救済措置がある

条文(第82条)

行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」という。)をすることができる処分を書面でするときは、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。

場合
効果
書面による処分
教示義務あり
口頭による処分
教示義務なし(ただし利害関係人が求めれば教示義務あり)
不作為
利害関係人の求めがあれば教示義務あり

試験のポイント

  • 教示義務があるのは書面でする処分のみ(口頭処分には義務なし)
  • 教示がなくても処分の効力には影響しない点を押さえる
  • 誤教示の場合の救済措置(出訴期間の特例)との関連に注意
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教示の内容

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教示には、審査請求ができる旨審査請求先の行政庁審査請求期間の3点を記載する必要があります。再調査の請求ができる場合にはその旨も含めます。国民が適切に不服申立てできるよう、具体的かつ正確な情報を提供することが求められます。

具体例

県庁のAさんは、Bさんへの営業停止命令書に「この処分に不服があれば処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に県知事に審査請求できます」と明記しました。

要件

  • 審査請求(または再調査の請求)ができる旨
  • 審査請求先の行政庁名
  • 審査請求期間(処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内等)

効果・結論

  • 適切な教示により国民は権利救済手続を正しく選択できる
  • 教示内容が誤っていた場合、国民は不利益を受けない保護規定が働く

試験のポイント

  • 教示すべき3要素(不服申立てができる旨・請求先・期間)を正確に暗記
  • 再調査の請求と審査請求の両方が可能な場合、両方教示する必要がある
  • 教示内容が不十分でも処分の効力には影響しない点に注意
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誤教示と救済

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行政庁が誤った教示(誤教示)をした場合、国民がその教示に従って行動したときは不利益を受けないよう保護されます。具体的には、誤って教示された請求先に不服申立てをした場合、正しい請求先に送付される仕組みや、出訴期間の特例が設けられています。

具体例

市役所が「県知事に審査請求せよ」と誤教示したため、Bさんはそのとおりにしたところ、本来の請求先は市長でした。この場合、県から市へ書類が送付され、Bさんの審査請求は有効に扱われます。

要件

  • 行政庁が誤った教示をしたこと
  • 国民がその誤教示に従って行動したこと

効果・結論

  • 誤った請求先に申立てをした場合、正しい請求先に送付される
  • 取消訴訟の出訴期間が延長される(処分があったことを知った日から1年以内)
  • 国民は誤教示により不利益を受けない
場合
効果
正しい教示
原則どおり3か月以内に審査請求
誤教示(請求先を誤る)
誤った請求先から正しい請求先へ送付される
誤教示(取消訴訟のみと教示)
出訴期間が1年に延長される(行訴法14条)
無教示
処分の効力に影響なし、ただし利害関係人は教示を求められる

試験のポイント

  • 誤教示があっても処分自体は有効だが、国民保護のため救済措置がある点を理解
  • 行政事件訴訟法14条(出訴期間の特例)との関連を押さえる
  • 誤教示に従った場合の救済と、教示がない場合(無教示)の扱いの違いに注意
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口頭処分・不作為と教示

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口頭による処分の場合、原則として教示義務はありませんが、利害関係人から求めがあれば教示しなければなりません。また、不作為(申請に対して何らの処分もしない状態)についても、利害関係人の求めがあれば教示義務が生じます。

具体例

警察官が路上でAさんに口頭で営業停止を命じました。Aさんが「不服申立てできますか」と尋ねたところ、警察官は審査請求先と期間を教示する義務があります。

要件

  • 口頭による処分または不作為であること
  • 利害関係人から教示を求められたこと

効果・結論

  • 求められた場合には教示義務が生じる
  • 教示を怠っても処分の効力には影響しない
  • 適切な権利救済の機会が確保される

条文(第82条)

行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。

試験のポイント

  • 書面処分は当然に教示義務、口頭処分は求めがあれば教示義務という違いを明確に
  • 不作為についても教示制度が及ぶ点を押さえる
  • 利害関係人の概念(処分の相手方だけでなく第三者も含む)を理解

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
教示制度の意義
書面処分時に審査請求方法等を知らせる義務
教示がなくても処分は有効
教示の内容
不服申立てができる旨・請求先・期間の3要素
内容不備でも処分効力に影響なし
誤教示と救済
誤教示に従った場合は国民保護の救済措置あり
処分自体は有効、救済は手続面のみ
口頭処分・不作為と教示
利害関係人の求めがあれば教示義務発生
書面処分とは義務発生の契機が異なる

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