第3節 再調査の請求・再審査請求
第3章 行政不服審査法
審査請求は行政不服申立ての原則的な手続ですが、一定の場合には再調査の請求や再審査請求という特別な手続が認められています。これらは審査請求との関係で、いつ、どのような順序で利用できるのかを正確に理解することが、試験でも実務でも極めて重要です。
再調査の請求
第5、61〜64条再調査の請求とは、処分をした行政庁に対して、もう一度調査・判断をやり直すよう求める不服申立ての手続です。法律に特別の定めがある場合にのみ認められ、審査請求の前置手続として利用できます。
具体例
Aさんは市から営業許可を不許可とされた。Aさんは、同じ市長に対して再調査の請求をして、不許可の判断を再検討してもらうことにした。その結果に不服があれば、さらに審査請求ができる。
要件
- ・法律に再調査の請求ができる旨の定めがあること
- ・処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に請求すること
- ・処分があった日の翌日から起算して1年以内に請求すること(正当な理由がある場合を除く)
効果・結論
- ・再調査の請求に対する決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない(ただし、決定を経ないで審査請求をすることも可能)
- ・再調査の請求があったときは、処分庁は決定で応答する
- ・再調査の請求の決定に不服がある場合は、審査請求をすることができる
条文(第5、61〜64条)
第5条 行政庁の処分につき法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分に不服がある者は、処分庁に対し、再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について審査請求をしたときは、この限りでない。
試験のポイント
- ・再調査の請求は任意的前置であり、これを経ずに直接審査請求をすることも可能(必要的前置ではない)
- ・再調査の請求ができるのは法律に定めがある場合のみ(政令・省令の定めでは不可)
- ・再調査の請求に対する応答は決定であり、裁決ではない点に注意
再審査請求
第6、66条再審査請求とは、審査請求の裁決を経た後、さらに上級行政庁等に対して不服を申し立てる手続です。法律に特別の定めがある場合にのみ認められ、審査請求の必要的後置手続として位置づけられます。
具体例
Aさんは県知事の処分に審査請求をして裁決を受けたが、その裁決にも不服がある。この処分について法律に再審査請求の定めがあるため、Aさんは国の大臣に対して再審査請求をすることができる。
要件
- ・法律に再審査請求ができる旨の定めがあること
- ・審査請求の裁決を経ていること
- ・裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月以内に請求すること
- ・裁決があった日の翌日から起算して1年以内に請求すること(正当な理由がある場合を除く)
効果・結論
- ・再審査請求に対しては裁決で応答する
- ・再審査請求の裁決に不服がある場合は、取消訴訟を提起することができる
- ・再審査請求前置が定められている場合、裁決を経なければ取消訴訟を提起できない
条文(第6、66条)
第6条 行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、審査請求についての裁決を経た後でなければ、再審査請求をすることができない。
試験のポイント
- ・再審査請求は必要的後置であり、審査請求の裁決を経た後でなければできない(再調査の請求とは異なる)
- ・再審査請求に対する応答は裁決である点に注意(決定ではない)
- ・法律に定めがない限り再審査請求はできず、直接取消訴訟を提起することになる
再調査の請求と審査請求の関係
第5、61条再調査の請求と審査請求は、原則として選択的な関係にあります。再調査の請求は任意的前置であり、これを経ずに直接審査請求をすることも、再調査の請求をしてからその決定を経て審査請求をすることも可能です。
具体例
Aさんは市長の処分に不服がある。法律に再調査の請求の定めがあるが、Aさんは再調査の請求を経ずに直接県知事に審査請求をすることもできるし、まず市長に再調査の請求をしてからその決定を経て審査請求をすることもできる。
要件
- ・法律に再調査の請求ができる旨の定めがあること
- ・審査請求をした場合は、その後に再調査の請求はできない
- ・再調査の請求をした場合でも、決定を経ずに審査請求に移行できる
効果・結論
- ・再調査の請求を選択した場合、決定後に審査請求が可能
- ・審査請求を選択した場合、再調査の請求はできなくなる
- ・再調査の請求の決定を経ずに審査請求をすることも可能(任意的前置)
条文(第5、61条)
第5条 ただし、当該処分について審査請求をしたときは、この限りでない。
試験のポイント
- ・再調査の請求は任意的前置であり、必要的前置ではない点が最重要
- ・審査請求をした後に再調査の請求はできないが、再調査の請求中でも審査請求に切り替え可能
- ・再調査の請求の決定期間は3か月(審査請求の裁決期間と同じ)
審査請求と再審査請求の関係
第6、66条審査請求と再審査請求は、必要的前置の関係にあります。再審査請求は審査請求の裁決を経た後でなければすることができず、法律に定めがある場合にのみ認められます。再審査請求の裁決を経た後に取消訴訟を提起します。
具体例
Aさんは県知事の処分に審査請求をして裁決を受けた。法律に再審査請求の定めがあるため、Aさんは裁決を経なければ取消訴訟を提起できず、まず大臣に再審査請求をしなければならない。
要件
- ・法律に再審査請求ができる旨の定めがあること
- ・審査請求の裁決を経ていること(必要的後置)
- ・裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月以内に請求すること
効果・結論
- ・再審査請求は審査請求の裁決後にのみ可能(必要的後置)
- ・再審査請求の裁決を経なければ取消訴訟を提起できない
- ・再審査請求に対する応答は裁決である
条文(第6、66条)
第6条 行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、審査請求についての裁決を経た後でなければ、再審査請求をすることができない。
試験のポイント
- ・再審査請求は必要的後置であり、審査請求の裁決を経なければできない(任意的前置ではない)
- ・再審査請求の定めがある場合、裁決を経ずに取消訴訟を提起すると訴訟要件を欠く
- ・再審査請求の期間は裁決を知った日から1か月以内(審査請求の3か月より短い)
まとめ
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