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第1節 行政不服審査法総説

第3章 行政不服審査法

行政不服審査法は、行政庁の違法・不当な処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に救済を求めるための制度です。訴訟より手軽で費用もかからないため、実務でも頻繁に利用されます。行政救済制度の入口として、仕組みと特徴をしっかり理解しましょう。

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行政不服審査制度の意義

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行政不服審査法は、行政庁の処分その他公権力の行使や不作為について、国民が簡易迅速に救済を受けられる制度を定めた法律です。平成26年改正で、公正性の向上と使いやすさの改善が図られました。

具体例

Aさんは飲食店営業許可を申請したが不許可処分を受けた。裁判を起こすのは時間と費用がかかる。そこでAさんは処分庁の上級行政庁に審査請求を行い、3か月後に処分の取消しを認める裁決を得て、営業を開始できた。

要件

  • 行政庁の処分または不作為があること
  • 処分に不服がある者(利害関係者)であること
  • 審査請求期間内(原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内)であること

効果・結論

  • 簡易・迅速・低コストで権利救済が図れる(訴訟より手続が簡易)
  • 裁決により処分の取消し・変更や、不作為の違法確認ができる
  • 執行停止により処分の効力を仮に停止できる場合がある

条文(第1条)

第1条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

場合
効果
行政不服審査(審査請求)
違法・不当の両方を審査、簡易迅速、費用低廉、裁決で終結
行政事件訴訟(取消訴訟)
違法性のみ審査、厳格な手続、費用・時間要、判決で終結

試験のポイント

  • 行政事件訴訟法との違い:不服審査は違法だけでなく不当も審査対象となる点が重要
  • 平成26年改正で審理員制度が導入され、公正性が向上した点を押さえる
  • 不服申立前置主義は原則として廃止され、自由選択主義が採用された
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審査請求の種類と関係

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不服申立ての手段として、審査請求が原則です。法律に特別の定めがある場合に限り、再調査の請求再審査請求が認められます。審査請求は処分庁の上級行政庁または処分庁自身に対して行います。

具体例

Aさんは税務署長から課税処分を受けた。Aさんはまず税務署長に再調査の請求をし、その決定に不服がある場合は国税不服審判所長に審査請求ができる。また、再調査を経ずに直接審査請求することも可能である。

要件

  • 審査請求:処分または不作為について、原則として誰でも利用可能
  • 再調査の請求:法律に特別の定めがある場合のみ(例:国税通則法)
  • 再審査請求:審査請求の裁決に不服がある場合で、法律に定めがあるとき

効果・結論

  • 審査請求をすれば、原則として裁決で手続が終結する
  • 再調査の請求は任意的前置(選択可能)であり、直接審査請求もできる
  • 再審査請求ができる場合は限定的で、裁決後に訴訟提起が可能

条文(第2条)

第2条 行政庁の処分に不服がある者は、第4条及び第5条第2項の定めるところにより、審査請求をすることができる。

場合
効果
審査請求(原則的手段)
処分庁の上級庁または処分庁に請求、裁決で終結
再調査の請求(任意的前置)
処分庁自身に請求、決定後に審査請求可能
再審査請求(例外的手段)
審査請求の裁決後、法定の機関に請求可能

試験のポイント

  • 平成26年改正で異議申立ては廃止され、審査請求に一元化された点が頻出
  • 再調査の請求は任意的前置であり、審査請求との自由選択が可能
  • 再審査請求は裁決に対する不服申立てであり、処分に対する不服申立てではない
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審理員制度と裁決

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平成26年改正により審理員制度が導入されました。審理員は審査請求の審理を公正に行う職員で、処分に関与していない者が指名されます。審理員は審理手続を主宰し、審理員意見書を作成して審査庁に提出します。

具体例

Aさんが建築確認不許可処分に審査請求した。審査庁は処分に関与していないBさんを審理員に指名。Bさんは審理手続を進め、Aさんの主張を聴取し、審理員意見書を作成。審査庁はこれを参考に裁決を行った。

要件

  • 審理員は処分に関与していない職員から指名される
  • 審理員は審理手続を主宰し、当事者の主張を聴取する
  • 審理員は審理員意見書を作成し、審査庁に提出する

効果・結論

  • 審理の公正性・透明性が向上する
  • 審理員意見書は審査庁の裁決判断の重要な資料となる
  • 裁決は審査庁が行い、処分の取消し・変更または棄却を決定する

条文(第9条)

第9条 審査庁は、審査請求がされたときは、審理員を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければならない。ただし、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する庁の長である場合その他政令で定める場合は、この限りでない。

場合
効果
審理員が指名される場合
原則として全ての審査請求(処分庁が審査庁の場合も含む)
審理員が指名されない場合
審査庁が主任の大臣・宮内庁長官・外局の長等の場合

試験のポイント

  • 審理員は処分関与者を排除することで公正性を確保する点が重要
  • 審理員意見書と行政不服審査会への諮問の関係を整理する
  • 審理員制度の例外(審査庁が主任の大臣等の場合)を押さえる
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執行停止制度

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執行停止は、審査請求中に処分の効力や執行等を停止する制度です。原則として執行不停止原則ですが、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、審査庁が職権または申立てにより執行停止できます。

具体例

Aさんは営業停止処分を受け審査請求したが、処分は即座に効力を発揮する。Aさんが執行停止を申し立て、審査庁は営業停止により回復困難な損害が生じると判断し、裁決まで処分の執行を停止した。

要件

  • 審査請求がされていること
  • 重大な損害を避けるため緊急の必要があること
  • 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと

効果・結論

  • 処分の効力執行または手続の続行の全部または一部を停止できる
  • 審査請求人の権利利益を暫定的に保護できる
  • 審査庁は職権または申立てにより執行停止を決定できる

条文(第25条)

第25条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。 2 審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をすることができる。 3 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。

場合
効果
重大な損害があり緊急の必要性あり
執行停止可能(公共の福祉への重大影響がない場合)
公共の福祉に重大な影響のおそれ
執行停止不可
本案について理由がないとみえる
執行停止不可

試験のポイント

  • 原則は執行不停止であり、例外として執行停止が認められる点を明確に
  • 執行停止の要件として重大な損害緊急の必要性の両方が必要
  • 公共の福祉に重大な影響がある場合は執行停止できない消極要件に注意

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
行政不服審査制度の意義
違法・不当を簡易迅速に審査
訴訟は違法性のみが対象
審査請求の種類
審査請求が原則、再調査・再審査は例外
異議申立ては廃止済み
審理員制度
処分非関与者が公正に審理
審理員意見書は参考資料
執行停止
重大損害回避のため例外的に停止
原則は執行不停止

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