ロゴ行政書士になる子ちゃん
テキスト/行政法/第6節 適用除外

第6節 適用除外

第2章 行政手続法

行政手続法は、行政の透明性・公正性を確保するため、申請や不利益処分などの手続を定めた法律です。しかし、すべての行政活動にこの法律が適用されるわけではありません。この節では、行政手続法が適用されない場面(適用除外)について学び、どのような場合に手続保障が不要とされるのか、その理由と範囲を理解します。

1

適用除外の全体構造

3

行政手続法3条は、同法が適用されない事項を列挙しています。適用除外の理由は、①他の法律で手続が定められている場合、②手続を要求することが不適当な場合、③性質上なじまない場合などです。適用除外であっても、行政機関は任意に適切な手続を踏むことが望ましいとされます。

具体例

税務署が脱税調査でAさん宅に立入検査する場合、国税犯則取締法に独自の手続規定があるため、行政手続法の調査手続は適用されません。

要件

  • 行政手続法3条各号に該当すること
  • 適用除外の趣旨に合致すること

効果・結論

  • 申請に対する処分・不利益処分・行政指導等の手続規定が適用されない
  • ただし行政機関は信義則上、適正手続を尊重すべき

条文(第3条)

この法律は、次に掲げる処分及び行政指導については、適用しない。 一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分 二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分 三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分 四 検察官、検察事務官又は司法警察職員の刑事事件に関する処分及び共助処分 五 国税又は地方税の犯則事件に関する処分及び関税法の規定による処分 六 外国人の出入国又は帰化に関する処分 七 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分 八 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(行政不服審査法第1条第2項に規定する不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分を含む。) 九 公務員(国家公務員法第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法第2条に規定する地方公務員をいう。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分 十 外国の政府、国際機関又はこれらに準ずるものに対してされる処分 十一 前各号に掲げるもののほか、行政手続法施行令で定める処分

試験のポイント

  • 適用除外であっても違法な手続は国家賠償の対象となりうる
  • 3条各号は処分だけでなく行政指導にも適用除外あり
  • 試験や検定の結果(7号)は適用除外だが、受験資格の付与は対象となる
2

刑事・準刑事手続の除外

3

刑事事件に関する処分(3条4号)、国税・地方税・関税の犯則事件に関する処分(5号)は適用除外です。これらは刑事訴訟法や各特別法で独自の手続保障があり、行政手続法の想定する行政作用とは性質が異なるためです。

具体例

警察官が窃盗容疑でBさんを逮捕する処分や、税関職員が密輸事件でCさん宅を捜索する処分は、刑事手続として行われ、行政手続法は適用されません。

要件

  • 検察官・検察事務官・司法警察職員による刑事事件関連処分であること(4号)
  • または国税・地方税・関税の犯則事件に関する処分であること(5号)

効果・結論

  • 行政手続法の聴聞・弁明手続が不要
  • 刑事訴訟法等の手続規定が適用される
場合
効果
通常の税務調査
行政手続法の適用あり(ただし行政調査は3章の対象外)
犯則調査(脱税等)
行政手続法の適用除外(国税犯則取締法等が適用)

試験のポイント

  • 通常の税務調査は適用除外でないが、犯則調査は除外される
  • 刑事手続に準じた手続保障が別途あることが除外理由
3

出入国・公務員関係の除外

3

外国人の出入国・帰化に関する処分(6号)と公務員の職務・身分に関する処分(9号)は適用除外です。前者は国家主権に関わる高度な政治的判断、後者は内部関係として特別な法律関係にあることが理由です。

具体例

法務大臣が外国人Dさんの在留資格更新を不許可とする処分や、市長が職員Eさんを懲戒免職する処分は、行政手続法の聴聞手続によらず、各特別法の手続で行われます。

要件

  • 外国人の出入国・帰化に関する処分であること(6号)
  • または公務員・元公務員に対する職務・身分関係の処分であること(9号)

効果・結論

  • 行政手続法の不利益処分手続が適用されない
  • 出入国管理法、国家公務員法等の特別手続が適用される
場合
効果
公務員の懲戒処分
行政手続法適用除外(国公法・地公法が適用)
公務員への損害賠償請求
行政手続法の適用あり(財産的処分)

試験のポイント

  • 公務員の処分でも給与支払いなど財産的処分は除外されない
  • 帰化は国籍付与という高度な政治判断のため除外される
4

その他の重要な除外事由

3

試験・検定の結果(7号)、利害調整的裁定(8号)、議会の議決を要する処分(3号)なども適用除外です。試験結果は専門的判断、裁定は当事者対立構造があること、議決を要する処分は民主的統制があることが理由です。

具体例

医師国家試験でFさんが不合格となった処分や、土地収用委員会がGさんとHさんの土地境界紛争を裁定する処分は、行政手続法の対象外です。

要件

  • 専ら人の学識技能に関する試験・検定の結果であること(7号)
  • または相反利害者間の利害調整を目的とする裁定であること(8号)

効果・結論

  • 行政手続法の不利益処分手続が適用されない
  • 試験は学問的判断、裁定は準司法的手続で処理される
場合
効果
試験の結果(合否判定)
行政手続法適用除外
受験資格の判断
行政手続法の適用あり

試験のポイント

  • 試験の結果は除外だが、受験資格の判断は対象となる
  • 裁定には不服申立ての裁決・決定も含まれる(行政争訟の二重構造回避)

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
適用除外の全体構造
3条各号列挙、他法優先・性質不適合が理由
除外でも違法手続は国賠対象
刑事・準刑事手続
刑事訴訟法等の手続保障あり
犯則調査と通常調査の区別
出入国・公務員関係
主権的判断・特別権力関係
財産的処分は除外されない
試験・裁定等
専門判断・対立構造・民主統制
受験資格判断は対象内

📱 アプリのご紹介

行政書士になる子ちゃん

スマホアプリで、いつでもどこでも。行政書士合格を、スキマ時間で。

行政書士試験学習には必須の判例のわかりやすい解説から科目別テキスト、過去問演習、択一演習をスマホでまとめて持ち歩ける学習アプリです。通勤・休憩中に1問だけでも。独学でも仕事と両立しながら、合格を目指せます。

App Storeで無料ダウンロード