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テキスト/行政法/第2節 処分

第2節 処分

第2章 行政手続法

行政手続法の「処分」に関する規定は、申請に対する処分(第2章・5条〜11条)と不利益処分(第3章・12条〜31条)の2つに大別されます。試験では条文番号と内容の正確な対応が問われるため、各条文の義務の性質(法的義務か努力義務か)、原則と例外の区別を正確に押さえることが合格の鍵です。特に聴聞手続の詳細(通知事項・教示内容・手続の流れ・調書と報告書)は毎年のように出題される最重要分野です。

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処分基準の設定・公表(12条)

12条

簡単にいうと

簡単にいうと、不利益処分をするかどうか判断する際の基準(処分基準)を定め公表することは、行政庁の「努力義務」にとどまる点が最大のポイントです。審査基準(申請に対する処分)とは義務の強さが異なることを必ず押さえてください。

処分基準とは、行政庁が不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについて判断するために必要な基準をいいます(行政手続法12条1項)。

処分基準の設定・公表についての義務の内容は次のとおりです。①処分基準を定めること:定めるよう努めなければならない(努力義務)。②処分基準を公にすること:定めたときは公にするよう努めなければならない(努力義務)。また、処分基準を定めるにあたっては、できる限り具体的なものとしなければならない(12条2項)。

申請に対する処分の判断基準である審査基準(5条)と比較すると、審査基準は設定・公表ともに法的義務である(5条1項・3項)のに対して、処分基準は設定・公表ともに努力義務にとどまります。この違いは試験で頻繁に問われる重要な論点です。

処分基準が努力義務にとどまる理由は、不利益処分は申請とは異なり、処分される側が基準を事前に知ることで基準をすり抜けるような行動をとるおそれがあるためです。処分の実効性を確保するために、必ずしも公表を義務付ける必要がないとされています。

なお、処分基準は不利益処分の手続における処分基準の設定・公表に関する規定であり、行政庁が定めた処分基準から逸脱した処分をした場合は、特段の合理的理由のない限り、その処分が裁量の逸脱・濫用として違法になることがあります。

【審査基準と処分基準の比較】

比較項目
審査基準(5条)
処分基準(12条)
対象
申請に対する処分
不利益処分
定めること
法的義務
努力義務
公にすること
法的義務
努力義務

具体例

飲食店の営業許可申請に対して行政庁が許可するかどうかを判断する基準(食品衛生法に基づく施設基準の適合要件など)は審査基準であり、設定・公表が法的義務です。一方、すでに営業許可を受けた飲食店を営業停止にするかどうかの判断基準は処分基準であり、定めること・公表することはともに努力義務にとどまります。

申請に対する処分の流れ。登場人物は申請者(国民)と行政庁の2つ。矢印は2本:②申請者から行政庁への『申請』、④行政庁から申請者への『処分(許可・拒否)の決定』。行政庁の内部処理として①審査基準の設定、③審査の2ステップがある

申請に対する処分の流れ

比較項目
審査基準(5条)
処分基準(12条)
対象
申請に対する処分
不利益処分
定めること
法的義務
努力義務
公にすること
法的義務
努力義務

重要メモ

  • 「処分基準は定め・公表ともに努力義務(審査基準は法的義務)」という対比が最頻出
  • 処分基準の設定は努力義務(審査基準は法的義務)——行政手続法12条1項
  • 処分基準の公表も努力義務(審査基準は法的義務)——両者の違いは最頻出論点
  • 処分基準を定めるにあたってはできる限り具体的なものとしなければならない(12条2項)
  • 処分基準が努力義務にとどまる理由:相手方が基準を事前に知ることで基準をすり抜けるおそれがあるため
  • 処分基準から逸脱した処分は特段の合理的理由のない限り裁量の逸脱・濫用として違法となる
  • 過去問:処分基準を定め公にすることは担当行政庁の努力義務にとどまり義務ではない(○)[16-12-3]
  • 審査基準は申請に対する処分→法的義務・法的義務、処分基準は不利益処分→努力義務・努力義務と整理する
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理由の提示(14条)

14条

簡単にいうと

簡単にいうと、不利益処分をする場合には、なぜその処分をするのかという理由を名あて人に示さなければなりません。原則として処分と同時に・書面で示すことが必要です。申請拒否処分の場合も同様に理由の提示が求められますが(8条)、不利益処分との細かな違いもあります。

行政庁は不利益処分をする場合、その名あて人に対し、処分と同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない(行政手続法14条1項本文)。この理由の提示は原則として書面で行われます。

【例外】ただし、当該理由を示さずに処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りではなく、処分後相当の期間内に理由を書面で示さなければなりません(14条1項但書)。なお、名あて人の所在が判明しなくなったときや、その他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときはこの限りではありません(14条1項但書)。

【口頭でされる処分の場合】行政庁が口頭で処分をする場合に、当該理由を示さずに処分をすべき差し迫った必要があるときは、処分後相当の期間内に、書面により理由を示さなければなりません(14条2項)。

【理由の提示の趣旨】理由の提示が求められる趣旨は、①処分の慎重・公正・合理性の確保と、②名あて人に不服申立ての機会を保障するためです。したがって、単に根拠法条を示すだけでは足りず、具体的な事実と法令の当てはめを示すことが求められます(最判平成23年6月7日:一般旅券発給拒否処分事件では、理由提示が不十分であったとして処分が違法とされた)。

理由の提示義務は申請に対する処分(8条)にも定められており、両者を区別しながら理解することが重要です。8条では申請に対する拒否処分について、14条では不利益処分についての理由提示が規定されています。

具体例

飲食店の営業停止処分を行う場合、行政庁は処分と同時に「○年○月○日、食品衛生法第○条に違反する食品を提供した事実に基づき、同法第○条により○日間の営業停止処分に処する」という具体的な理由を書面で示さなければなりません。単に「法令違反のため」などという抽象的な記載では不十分です。

重要メモ

  • 「不利益処分の理由は処分と同時・書面が原則、差し迫った必要がある場合のみ事後可」(14条)
  • 不利益処分の理由は名あて人に処分と同時に示さなければならない(14条1項本文)——[17-12-3]
  • 理由の提示は書面が原則(口頭で処分する場合の特則あり)
  • 差し迫った必要がある場合の例外:処分後相当の期間内に書面で提示(14条1項但書)
  • 名あて人の所在不明等の場合は書面提示の例外あり(14条1項但書)
  • 理由の内容:根拠法条の引用だけでは不十分——いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用したかが記載から了知できる程度が必要
  • 理由の提示が不十分な場合は処分が違法となる(最判平23.6.7・旅券発給拒否処分の理由付記)
  • 申請拒否処分の理由提示(8条)と不利益処分の理由提示(14条)を区別して整理する
3

意見陳述手続の種類(13条)

13条

簡単にいうと

簡単にいうと、不利益処分をしようとする場合には、処分の重さに応じて①聴聞(重い処分→口頭)か②弁明の機会の付与(軽い処分→書面)のいずれかの意見陳述手続を経なければなりません。どちらの手続が必要かは処分の種類で決まるため、その対応関係を正確に覚えることが重要です。

行政庁は、不利益処分をしようとするときは、処分の名あて人となるべき者に対して意見陳述の機会を与えることとしています(行政手続法13条)。意見陳述手続には2種類あります。

【❶ 聴聞(慎重な手続・口頭)】 聴聞は、口頭で意見を述べる機会を与える慎重な手続です。以下の処分に適用されます。 - ①許可取消処分:資格・事業の許可を取り消す処分(例:営業許可の取消処分) - ②資格・地位の直接剥奪:名あて人が直接有する資格または地位を直接に剥奪する処分(例:医師免許の取消) - ③法人役員の解任:名あて人が法人である場合における役員の解任処分など、重い処分の場合

【❷ 弁明の機会の付与(簡易迅速な手続・書面)】 弁明の機会の付与は、書面で意見を述べる機会を与える簡易な手続です。上記①〜③以外の処分(営業停止処分など、比較的軽い処分)に適用されます。

【聴聞・弁明の機会の付与が不要な場合(13条2項)】 たとえ上記の処分であっても、以下の場合は意見陳述手続が不要です。 - 公益上緊急に不利益処分をする必要がある場合(1号) - 名あて人の所在が不明な場合(2号) - その他当該不利益処分の性質に照らして意見陳述手続を要しない旨の特別の規定がある場合(3号)

【重要な過去問論点】 一度なされた処理業の許可を知事が取り消す場合には、相手方に対して聴聞を実施しなければなりません(申請を拒否する処分をする場合は弁明の機会の付与で足ります)[12-11-4]。

また、聴聞手続の付与が義務付けられるのは、あくまでも不利益処分をしようとする場合ですから、申請に対して拒否処分をする場合には、聴聞の手続や弁明の機会の付与を行う必要はありません(申請拒否については申請に対する処分の章(8条等)が適用される)。

具体例

飲食店の営業許可の取消処分をしようとする場合は聴聞(重い処分)が必要です。一方、同じ飲食店への営業停止処分は比較的軽い処分のため弁明の機会の付与(書面)で足ります。産業廃棄物処理業の許可を取り消す場合は許可取消処分ですから聴聞が必要であり、単なる行政指導を行う段階では意見陳述手続は不要です。

比較項目
聴聞
弁明の機会の付与
適用場面
許可取消・資格剥奪・役員解任等(重い処分)
上記以外の不利益処分(営業停止等)
意見陳述の方法
口頭(慎重な手続)
書面(弁明書)が原則
手続の性質
慎重・公正な手続
簡易迅速な手続
根拠条文
13条1項1号
13条1項2号

重要メモ

  • 「聴聞(重大処分:許認可取消・役員解任等)と弁明(軽微処分:営業停止等)の振り分け」(13条)
  • 聴聞が必要な処分:①許可取消②資格・地位の直接剥奪③法人役員の解任等——重い処分(13条1項1号)
  • 弁明の機会の付与で足りる処分:上記①〜③以外——比較的軽い処分(営業停止等)(13条1項2号)
  • 聴聞・弁明が不要な場合:公益上緊急・所在不明・法令の特別規定(13条2項各号)
  • 申請拒否処分をする場合に聴聞・弁明の機会の付与を行う必要はない
  • 処理業許可の取消→聴聞必要、申請を拒否する処分→弁明の機会の付与(○)[12-11-4]
  • 聴聞は口頭が原則・文書閲覧権あり、弁明は書面が原則・文書閲覧権なし——この差異も重要
  • 期日の公示はどちらも不要(試験で誤りとして問われる)
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聴聞の事前通知(15条)

15条

簡単にいうと

簡単にいうと、聴聞を行う前には名あて人となるべき者に書面で事前通知しなければなりません。通知の方法(書面限定)・記載すべき4事項・事前の余裕期間の確保を正確に把握しておきましょう。口頭による通知は原則として認められない点が頻出です。

行政庁は、聴聞を行うにあたっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に関わる事項を書面により通知しなければなりません(15条1項)。

【通知すべき事項(15条1項)】 - ①予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項 - ②不利益処分の原因となる事実 - ③聴聞の期日および場所 - ④聴聞に関する事務を所掌する組織の名称および所在地

聴聞の通知は書面で行わなければならず、口頭での通知は原則として認められません。過去問でも「差し迫った必要がある場合は書面によらず口頭で行うことができる」という出題がありましたが、これは誤りです[11-11-2]。行政庁が口頭で通知することは認められていません(15条1項は書面のみ)。

通知は聴聞の期日までに相当な期間をおいて行わなければならず、直前の通知では名あて人が準備する時間が確保されないため認められません。

通知を受けた名あて人は、聴聞が終結するときまでの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます(15条2項)。

具体例

X市が飲食店Aの営業許可を取り消す処分をしようとする場合、聴聞の期日の相当前に、Aに対して「①食品衛生法○条に基づく営業許可取消処分を予定する、②○年○月○日に食品衛生基準に違反する食品を提供した事実がある、③聴聞は○月○日○時に○○庁舎会議室で行う、④担当は○○市保健所衛生指導課(○○所在)」という内容の書面を送付しなければなりません。

重要メモ

  • 「聴聞通知は必ず書面・口頭不可(差し迫った場合でも例外なし)」「相当期間前に通知」(15条)
  • 聴聞の通知は書面が必須——口頭による通知は認められない(15条1項)[17-11-2]
  • 差し迫った必要がある場合でも口頭による通知は認められない(×)[11-11-2]——頻出誤りパターン
  • 通知内容4項目:①予定処分の内容・根拠法令、②原因事実、③期日・場所、④担当組織名・所在地
  • 通知は聴聞期日までに相当な期間をおいて行う必要がある(15条1項)
  • 通知を受けた名あて人は聴聞終結までの間、原因事実を証する資料の閲覧を求めることができる(15条2項)
  • 閲覧の範囲:不利益処分の原因となる事実を証する資料(処分が行われるまでの間)
5

聴聞の公示送達(15条3項)

15条3項

簡単にいうと

簡単にいうと、名あて人の所在が不明で書面通知ができない場合は、庁舎の掲示場に通知内容を掲示する公示送達という方法が使えます。掲示から2週間経過で通知が到達したとみなされます。この2週間という数字は試験でよく問われます。

聴聞の通知は原則として書面を名あて人に送付することで行いますが、名あて人の所在が判明しない場合は通常の書面通知ができません。このような場合のために公示送達の制度が設けられています(15条3項)。

【公示送達の手続(15条3項)】 - ①必要事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示する。 - ②掲示を始めた日から2週間を経過したとき、当該通知がその者に到達したとみなされる。

公示送達によって名あて人に通知できなくても聴聞手続を進めることができ、不利益処分を行うことが可能になります。これにより、名あて人が意図的に所在を隠して手続を妨害しても行政が適切な対応をとれるように設計されています。

なお、この2週間という期間は試験で頻繁に問われる数字ですので確実に覚えておきましょう。また、弁明の機会の付与の場合も、31条による準用によって同様の公示送達が認められています(15条3項→31条)。

具体例

X市が飲食店Aの営業許可を取り消そうとしているが、Aの現住所が不明で書面を送付できない場合、X市はAへの聴聞通知の内容を「いつでもAに交付できる状態にある」旨を庁舎の掲示場に掲示します。掲示を始めた日から2週間が経過すると、Aへの通知が到達したとみなされ、聴聞手続を進めることができます。

聴聞手続の流れ(15〜28条)

聴聞手続の流れ(15〜28条)

重要メモ

  • 「所在不明の場合は事務所掲示場に掲示→2週間で到達とみなし」(15条3項)この2週間は頻出数字
  • 公示送達:名あて人の所在が不明な場合、事務所の掲示場に掲示する(15条3項)
  • 掲示を始めた日から2週間経過で到達とみなされる——この「2週間」は頻出数字
  • 弁明の機会の付与の場合も31条により公示送達規定が準用される
  • 公示送達は「所在不明」の場合の例外的送達方法——通常は書面送付
  • 公示送達後も名あて人は聴聞期日に出頭する権利を持つ(所在不明が解消された場合)
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聴聞の期日における手続(20〜22条)

19〜22条

簡単にいうと

簡単にいうと、聴聞の期日では主宰者が選ばれて司会進行を務め(19条)、当事者は意見陳述・証拠提出・質問の権利を持ちます。補佐人の同行には主宰者の許可が必要であること、審理は原則非公開であることが試験のポイントです。

聴聞手続では、行政庁が主宰者(聴聞を主宰する者)を指名し(19条)、主宰者が司会進行役を務めます。

【聴聞の開始(20条1項)】 主宰者は、行政庁の職員に予定される不利益処分の内容および事実を説明させます。

【当事者・参加人の権利(20条2項)】 当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して次のことができます。 - 意見を述べること - 証拠書類等を提出すること - 主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問すること

【補佐人の同行(20条3項)】 当事者または参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができます。補佐人の同行には主宰者の許可が必要な点に注意が必要です。

【陳述書等の提出(21条1項)】 当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、期日前に陳述書および証拠書類等を提出することができます。期日に出頭できない場合の代替手段です。

【続行期日の指定(22条)】 主宰者は、聴聞の期日における審理が十分でないと認めるときは、続行期日を定めることができます。また、さらに続行が必要と認めるときはあらたな期日を定めることができます。

【聴聞の非公開原則(20条6項)】 聴聞の審理は原則として非公開で行われます。ただし、主宰者は、当事者の申請があった場合には、第三者の傍聴を許可することができます。

具体例

X市が飲食店Aの営業許可を取り消そうとする聴聞の期日を考えましょう。主宰者(Y職員)が選ばれ(19条)、聴聞期日に行政庁職員が「○月○日に食品衛生基準違反の事実があった」と説明します(20条1項)。Aは意見を述べ、証拠書類を提出して反論することができます(20条2項)。Aが弁護士Bを補佐人として連れてきている場合は、主宰者の許可があれば同席できます(20条3項)。AがどうしてもA自身が期日に出席できない場合は、事前に陳述書を提出することも可能です(21条1項)。

重要メモ

  • 「聴聞は非公開・補佐人同行には主宰者許可・書面陳述も可・続行期日の設定も可」(20〜22条)
  • 聴聞の審理は原則として非公開(20条6項)——主宰者の許可があれば傍聴可
  • 補佐人の同行には主宰者の許可が必要(20条3項)——代理人(16条)の選任は許可不要との違いに注意
  • 当事者は期日出頭に代えて事前に陳述書・証拠書類を提出できる(21条1項)
  • 主宰者は各期日の審理が不十分なときは続行期日を指定できる(22条)
  • 聴聞では行政庁の職員が最初に不利益処分の内容・事実を説明する(20条1項)
  • 当事者・参加人は意見陳述・証拠提出・主宰者の許可を得て行政庁職員への質問ができる(20条2項)
  • 主宰者は行政庁の職員の中から指名される(19条1項)——処分に関与した者は不可(19条2項)
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代理人・参加人と聴聞の終結(16〜18条)

16〜18条

簡単にいうと

簡単にいうと、当事者は聴聞に代理人を立てることができますが、代理人が聴聞の終結に同意するには特別の委任が必要です。また、利害関係のある第三者は参加人として手続に加わることができます。代理人の終結同意には特別委任が必要な点が頻出です。

【代理人の選任(16条)】 当事者は、聴聞手続において代理人を選任することができます(16条1項)。代理人は本人のために聴聞に関するすべての行為ができます。ただし、特別の委任を受けなければ聴聞の終結に同意することができません(16条2項)。

「聴聞の終結に同意すること」は本人の重大な利益に関わる行為であるため、包括的な代理権だけでは足りず、特別の委任が必要とされています。

代理人の資格について法令に特段の定めはなく、弁護士に限らず誰でも代理人になることができます。

【参加人(17条)】 行政庁は、必要があると認めるときは、当事者以外の関係人を参加人として聴聞手続に参加させることができます(17条1項)。また、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(関係人)は、行政庁の許可を得て、当該聴聞に関する手続に参加人として参加することができます(17条2項)。

参加人も当事者と同様に、期日において意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に質問することができます(20条2項・3項の準用)。

【聴聞の終結(23条)】 主宰者は、次の場合には聴聞を終結することができます。 - 期日における審理が十分に行われたと認めるとき - 当事者の全員が聴聞の終結に同意したとき - 当事者が正当な理由なく期日に出頭せず・陳述書等も提出しないとき(聴聞を終結できる)

具体例

飲食店Aの営業許可取消聴聞において、AはAの代わりに弁護士Cを代理人として選任して聴聞に関する一切の行為を行わせることができます。ただし、弁護士Cが「もう反論することはありません。聴聞を終結して構いません」と聴聞の終結に同意するためには、Aから特別の委任を受けている必要があります(16条2項)。また、この取消処分に利害関係を持つ食品衛生協会などの第三者は、行政庁の許可を得て参加人として参加することができます(17条)。

行政指導の一般原則・方式(32〜35条)

行政指導の一般原則・方式(32〜35条)

重要メモ

  • 「代理人は終結同意に特別委任が必要・参加人も意見陳述権あり・正当理由なき欠席で終結可」(16〜18条)
  • 代理人は特別の委任なく聴聞の終結に同意できない(16条2項)——包括代理権だけでは不足
  • 代理人の資格に制限なし——弁護士でなくてもよい
  • 参加人:利害関係を有する者が行政庁の許可を得て参加できる(17条2項)
  • 参加人も当事者と同様の権利(意見陳述・証拠提出・主宰者許可で職員への質問)を持つ
  • 当事者が正当な理由なく欠席・陳述書不提出のときは主宰者が聴聞を終結できる(23条)
  • 18条:当事者は行政庁に対し処分原因を記した文書等の閲覧を請求できる(弁明手続には準用されない)
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聴聞調書・報告書と不利益処分の決定(24〜26条)

24〜26条

簡単にいうと

簡単にいうと、聴聞が終結すると主宰者は調書(各期日の経過記録)と報告書(当事者の主張に理由があるかの意見)を作成して行政庁に提出します。行政庁はこれらを十分に参酌して不利益処分を決定しなければなりません(26条)。調書・報告書の作成義務と参酌義務は最頻出論点です。

聴聞が終結した後、主宰者は調書と報告書を作成して行政庁に提出する義務を負います(24条)。この調書・報告書が不利益処分の決定に実質的な影響を与えることが制度の趣旨です。

【聴聞調書の作成(24条1項)】 主宰者は、各期日ごとに聴聞の経過を記載した調書を作成しなければなりません(24条1項)。各期日の経過を詳細に記録することで、手続の正当性が担保されます。

【報告書の作成(24条2項)】 聴聞が終結した後、主宰者は、速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、調書とともに行政庁に提出しなければなりません(24条2項)。

主宰者の意見は法的拘束力を持つわけではありませんが、行政庁は必ず参酌しなければなりません(26条)。

【調書・報告書の閲覧(24条4項)】 当事者または参加人は、行政庁に対し、聴聞調書および報告書の閲覧を求めることができます(24条4項)。聴聞の結果がどのように記録されているか確認することで、名あて人の権利保護が図られています。

【不利益処分の決定と参酌義務(26条)】 行政庁は不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければなりません(26条)。これにより、聴聞の結果が処分決定に実質的に反映されることが担保されています。

参酌義務があるということは、主宰者の意見が「理由あり」であっても行政庁は必ずしも処分を取り消す必要はありませんが、十分に検討したことを示さなければなりません。

具体例

X市が飲食店Aの営業許可取消聴聞を終結した後、主宰者Yは速やかに「①○月○日の聴聞期日でAはBの事実について違反がないと主張した、②○月○日の続行期日でAは証拠書類Cを提出した」という調書と、「Aの主張には合理的な理由がある(または理由がない)」という意見を記載した報告書を作成し、X市(行政庁)に提出しました。X市はこの調書・報告書を十分に参酌した上で営業許可取消の最終判断をしなければなりません(26条)。

複数行政庁が関与する場合の図。登場人物は申請者と2つの行政庁(保健所と警察署)。申請者はバー開業のため保健所と警察署の両方に申請を出す。しかし保健所は『警察からの許可が出たらこちらも許可を出します』、警察署は『保健所からの許可が出たらこちらも許可を出します』とお互いに相手の許可を待つと、いつまでも営業開始できない。このような遅延行為は行政手続法11条で禁止されている

複数行政庁の関与(審査の遅延防止)

重要メモ

  • 「調書(各期日)+報告書(終結後速やか)→行政庁へ提出、行政庁は十分に参酌して処分決定」(24〜26条)
  • 主宰者は各期日ごとに調書を作成し、終結後速やかに報告書を作成して行政庁に提出する(24条1項・2項)
  • 行政庁は不利益処分決定の際に調書の内容および報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌しなければならない(26条)
  • 当事者・参加人は聴聞調書・報告書の閲覧を求めることができる(24条4項)——処分が行われるまでの間
  • 報告書には「当事者の主張に理由があるかどうか」についての主宰者の意見を記載する
  • 主宰者の意見(報告書)は法的拘束力なし——しかし行政庁は必ず「十分に参酌」する義務
  • 過去問:主宰者は聴聞終結後、速やかに報告書を作成して調書とともに行政庁に提出しなければならない(○)[17-13-2]
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弁明の機会の付与(29〜31条)

29〜31条

簡単にいうと

簡単にいうと、営業停止処分など比較的軽い不利益処分をする際には、聴聞より簡易な「弁明の機会の付与」という手続をとります。弁明は原則として書面(弁明書)で行い、聴聞と違って主宰者の選定は不要です。聴聞との相違点が試験のポイントです。

弁明の機会の付与は、聴聞手続と比べて簡易迅速な意見陳述手続であり、比較的軽い不利益処分をしようとする場合に採用されます(13条1項2号)。

【弁明の機会の付与の通知(30条)】 行政庁は弁明書の提出期限までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、書面により通知しなければなりません。通知すべき事項は次のとおりです。 - ①予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項 - ②不利益処分の原因となる事実 - ③弁明書の提出先および提出期限

重要な相違点(聴聞との比較):弁明手続の通知において教示すべきこと(参加人等への告知)はありません(聴聞の場合は15条において教示義務あり)。

【弁明の方式(29条)】 弁明は原則として書面(弁明書)を提出することにより行います(29条1項)。ただし、行政庁が口頭による弁明を認める場合には、口頭で弁明を行うことができます(29条1項但書)。弁明の機会の付与においては、主宰者の選定は不要であり、これも聴聞との大きな違いです。

弁明書の提出にあたっては、証拠書類等を提出することもできます(29条2項)。

【名あて人が所在不明の場合(公示送達)】 弁明の機会の付与の場合も、名あて人の所在不明のときは、公示送達(書面を事務所の掲示場に掲示)によります。掲示から2週間経過で到達とみなされます(15条3項→31条により準用)。

【聴聞手続規定の準用(31条)】 弁明の機会の付与においても、聴聞手続の規定の一部が準用されます。準用されるのは次の2つのみです。 - ①代理人の選任(16条):当事者は代理人を選任することができます。 - ②公示送達(15条3項):名あて人の所在不明の場合の送達方法。

聴聞には準用されないもの(弁明に特有の相違):主宰者の選定・期日における口頭での意見陳述・調書・報告書の作成等、聴聞に特有の手続は弁明には準用されません。

【過去問論点】弁明の機会の付与における弁明は行政庁が用意した書式によって書面で行われる(×→29条1項では「書面(弁明書)を提出することにより行う」とされており、行政庁の書式に限定されていない)[11-11-4]。

具体例

X市が飲食店Aに対して3日間の営業停止処分(比較的軽い不利益処分)をしようとする場合を考えましょう。X市は弁明書の提出期限前に相当な期間をおいて、Aに「食品衛生法○条に基づく3日間の営業停止処分を予定している。○年○月○日に○○の違反事実があった。弁明がある場合は○月○日までに○○あて弁明書を提出すること」という内容を書面で通知します。Aは弁明書と証拠書類を提出することで意見を述べることができます。主宰者は選定されません。

不利益処分の流れ。登場人物は名あて人(国民)と行政庁の2つ。矢印は3本:②行政庁から名あて人への『処分の告知』、③名あて人から行政庁への『反論(聴聞・弁明)』、④行政庁から名あて人への『処分の決定』。行政庁の内部処理として①処分基準の設定のステップがある

不利益処分の流れ

比較項目
聴聞(15〜28条)
弁明の機会の付与(29〜31条)
意見の述べ方
口頭が原則(期日に出頭)
書面(弁明書)が原則
主宰者
必要(行政庁が指名)
不要
調書・報告書
作成義務あり
なし
通知の教示事項
あり
なし
準用される聴聞規定
代理人(16条)・公示送達(15条3項)のみ
対象処分の重さ
重い処分(許可取消等)
比較的軽い処分(営業停止等)

重要メモ

  • 「弁明は書面が原則(口頭も可)・主宰者不要・準用は代理人と公示送達の2つのみ」(29〜31条)
  • 弁明は書面(弁明書)提出が原則——ただし行政庁が認める場合は口頭での弁明も可(29条1項)
  • 弁明の機会の付与には主宰者の選定は不要——聴聞との最大の違い
  • 31条による準用規定:代理人(16条)・公示送達(15条3項)の2つのみ——調書・報告書・文書閲覧は準用されない
  • 弁明通知の内容3項目:①予定処分内容・根拠法令、②原因事実、③弁明書提出先・提出期限
  • 名あて人所在不明の場合:公示送達(掲示から2週間で到達とみなし)——聴聞と同様
  • 弁明書の提出のほか証拠書類等の提出もできる(29条2項)
  • 弁明手続では文書等の閲覧請求規定(18条)は準用されない——聴聞との重要な差異
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行政指導の一般原則(32条)

32条

簡単にいうと

簡単にいうと、行政指導には2つの大原則があります。①所掌事務の範囲を超えた指導は禁止、②従わなくても不利益を与えてはいけない、です。行政指導はあくまで「任意の協力」を求めるものですから、強制力がないことがすべての前提です。

行政指導とは、行政機関がその任務または所掌事務の範囲において一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為または不作為を求める指導・勧告・助言その他の行為であって、処分に該当しないものをいいます(2条6号)。行政指導は相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであり、法的な強制力はありません。

【行政指導の一般原則(32条)】 行政指導に携わる者は、以下の2つの原則を守らなければなりません。

①権限逸脱の禁止(32条1項) 当該行政機関の任務または所掌事務の範囲を逸脱してはならない(努力義務ではなく義務)。 行政指導は行政機関が自己の所掌する範囲内で行うものであり、他省庁の所管事項や無関係な事項について指導することは許されません。

②不利益取扱いの禁止(32条2項) 行政指導の相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

行政指導は任意の協力を求めるものですから、従わなくても不利益を受けないことが前提です。これが行政指導の根本的な性質であり、行政指導が「任意の協力」によるものである以上、従わないことを理由とした不利益取扱いは禁止されます。

具体例

厚生労働省が、自省の所管する薬事法の範囲を超えて「建築基準に関する行政指導」を行うことは、所掌事務の範囲を逸脱するため32条1項違反になります。また、建設会社が「この指導には従いません」と表明したにもかかわらず、当該会社への補助金交付を拒否したり許可を遅らせるなどの不利益な取扱いをすれば32条2項違反です。

重要メモ

  • 「任務・所掌事務の範囲を逸脱禁止」「不服従を理由とする不利益取扱い禁止」の2つが行政指導の一般原則(32条)
  • 行政機関の任務・所掌事務の範囲を逸脱した行政指導は禁止(32条1項)[10-13-2]
  • 行政指導に従わなかったことを理由とした不利益取扱い禁止(32条2項)
  • この2つは義務(努力義務ではない)
  • 行政指導の定義:処分に該当しない・任意の協力によってのみ実現(2条6号)
  • 行政指導は法的強制力を持たない——相手方は拒否できるが、拒否しても不利益を受けない(32条2項)が保障
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申請・権限に関連する行政指導の限界(33・34条)

33〜34条

簡単にいうと

簡単にいうと、行政指導には2つの重要な限界規定があります。①申請者が従わない旨を表明した後は行政指導を継続して申請処理を妨げることは禁止(33条)、②権限をちらつかせて行政指導に従わせることも禁止(34条)、です。これらは行政指導の「任意性」を担保するための規定です。

【申請に関する行政指導の限界(33条)】 申請の取下げまたは内容の変更を求める行政指導については、申請者が当該行政指導に従う意思のない旨を表明したにもかかわらず、当該行政指導を継続することにより当該申請者の権利の行使を妨げることをしてはなりません(33条)。

申請者が行政指導に従わない意思を表明した後は、行政庁はその行政指導を継続して申請処理を引き延ばすことが禁止されます。申請に対して拒否処分をするのではなく行政指導を続けることで申請者の権利行使を妨げることは禁止されています[10-13-4]。

なお、申請に関連する行政指導において申請者が従わない旨を表明した場合でも、申請の取下げがあったとみなすことはできません[10-13-4]。

【許可等の権限に関連する行政指導の限界(34条)】 許可等をする権限または許可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合、または行使する意思がない場合においても、同権限を行使し得る旨をことさらに示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはなりません(34条)。

つまり、「従わないと許可を取り消すぞ」などと脅して行政指導に従わせることは禁止されています。この禁止は、行政庁が実際には権限を行使できない(または行使する意思がない)場面でも、権限の存在をちらつかせることで相手方を事実上強制することを防ぐためのものです。

具体例

Aが建築確認申請を提出した後、行政庁がAに対して「デザインを変更してほしい」という行政指導をしている場面を考えましょう。Aが「その指導には従わない。早く建築確認を出してほしい」と表明した場合、行政庁はその後も行政指導を継続して申請の審査を遅らせることはできません(33条)。また、行政庁が「変更しないと建築確認を取り消すぞ」などと権限行使をちらつかせて従わせることも禁止されています(34条)。

命令等制定手続・意見公募手続(39〜43条)

命令等制定手続・意見公募手続(39〜43条)

重要メモ

  • 「申請者が不服従を明確表明→継続禁止(33条)」「許認可権限をちらつかせた行政指導禁止(34条)」
  • 申請者が行政指導に従わない旨を表明した後は継続して権利行使を妨げることは禁止(33条)[10-13-4]
  • 申請者が従わない旨を表明しても、申請の取下げとみなすことはできない(33条)[10-13-4]
  • 許可権限をちらつかせて行政指導に従わせることは禁止(34条)
  • 34条:権限を行使できない・行使する意思がない場合でも権限行使をことさらに示す行為が禁止
  • 33条・34条はともに行政指導の「任意性」を保障するための限界規定——一般原則(32条)を具体化したもの
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行政指導の方式(35条)

35条

簡単にいうと

簡単にいうと、行政指導をするときは趣旨・内容・責任者を相手方に明確に示す義務があります(35条1項)。また、相手方から書面の交付を求められた場合は、行政上支障がない限り書面を交付しなければなりません(35条2項)。書面交付は求められた場合に生じる義務です。

【行政指導の方式(35条)】 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を明確に示さなければなりません(35条1項)。これは相手方が行政指導の内容を正確に把握し、従うかどうかを判断できるようにするためのものです。

【書面の交付(35条2項)】 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導をする際に、相手方が書面の交付を求めたときは、行政上特別の支障がない限り、次の事項を記載した書面を交付しなければなりません(35条2項)。 - 当該行政指導の趣旨および内容 - 当該行政指導の責任者

ただし、次の場合には書面の交付は不要です(35条2項但書等)。 - 行政指導が口頭でされた場合であって、相手方から書面の交付を求めがなかったとき - その他行政上支障がある場合

なお、口頭の行政指導については、相手方が書面の交付を求めない限り書面の交付義務は生じません。あくまで「求めがあった場合」の交付義務です。

【許認可等に関連する行政指導の場合(35条3項)】 許認可等の権限に関連する行政指導の場合(34条の場面)には、書面の交付において当該権限を行使できる旨および当該権限を行使する意図があるかどうかを示すことが求められます(35条3項)。

具体例

環境省の担当者が工場Aに対して口頭で騒音規制に関する行政指導をした場合、工場Aが「書面を交付してほしい」と求めた場合は、行政上特別の支障がない限り、趣旨・内容・責任者を記載した書面を交付しなければなりません(35条2項)。ただし、最初から書面で行政指導をする場合は、交付義務は条文上当然の要件として組み込まれています。

重要メモ

  • 「趣旨・内容・責任者を明確にする義務(35条1項)」「書面交付は相手方の求めがあれば義務(35条2項)」
  • 行政指導の方式:趣旨・内容・責任者を明確に示す義務(35条1項)
  • 書面交付:相手方から求められた場合は行政上支障がない限り書面を交付しなければならない(35条2項)
  • 口頭の行政指導で相手方から求めがない場合は書面の交付義務は生じない
  • 書面の記載事項:趣旨・内容・責任者(35条2項各号)
  • その場で完了するような行政指導については書面交付不要——35条3項ただし書
  • 許認可等の権限に関連する行政指導(34条の場面)では書面に権限行使の可否・意図を示すことが求められる(35条3項)
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複数者への行政指導指針(36条)

36条

簡単にいうと

簡単にいうと、同じ目的で複数の者に一括して行政指導をする場合は、あらかじめ行政指導指針を定めて公にする法的義務があります。処分基準が「努力義務」なのと対比されることが多い論点です。

同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関はあらかじめ、事案に応じ行政指導の指針(行政指導指針)を定め、かつ、行政上特別の支障がない限りこれを公にしなければなりません(36条)。

事項
義務の強さ
行政指導指針を定めること
法的義務
行政指導指針を公にすること
法的義務(行政上特別の支障がある場合を除く)

例えば、ガソリン価格の高騰を抑えるために経済産業省が各石油会社に行政指導をしようとする場合、指導内容が各社によって異なることを避けるため、あらかじめ共通の指針(行政指導指針)を定めて公表する必要があります。これにより、行政指導の透明性・公平性が確保されます。

【審査基準・処分基準との比較】 行政指導指針の設定・公表については、審査基準(5条・ともに法的義務)と同様の強さです。一方、処分基準(12条・ともに努力義務)とは異なります。この対比は試験で問われます。

具体例

経済産業省がガソリン価格の抑制のため各石油会社に行政指導(価格設定に関する指針の遵守要請)をしようとする場合、あらかじめ「石油製品価格に関する行政指導指針」を定め公表しなければなりません(36条・法的義務)。公表については行政上特別の支障がある場合を除いて義務です。

聴聞手続のシンプルな図。4人のアイコンを左右に横並びで均等配置(上下に重ねない):左端①当事者(処分予定者)、中央左②主宰者(進行役)、中央右③参加人(第三者)、右端④行政庁の職員。矢印は主宰者を中心に他3者へ向かうのみ。審理は原則として非公開(行政手続法20条6項)は下部の注釈のみで表示、アイコン周辺には文字を置かない

聴聞手続のイメージ(原則非公開)

重要メモ

  • 「行政指導指針の設定・公表はともに法的義務(処分基準の努力義務と対比)」(36条)
  • 行政指導指針の設定・公表はともに法的義務(36条)——処分基準(努力義務)との違いに注意
  • 公にすることの例外:行政上特別の支障がある場合(36条)
  • 複数者への行政指導の場面で事前に指針を定めることが義務付けられている
  • 審査基準(法的義務)≒行政指導指針(法的義務)≠処分基準(努力義務)という整理で覚える
  • 行政指導指針の趣旨:複数者への行政指導の透明性・公平性を確保するため
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行政指導の中止の求め(36条の2)

36条の2

簡単にいうと

簡単にいうと、法律に基づく違法な行政指導を受けている場合は、その相手方のみが書面で中止を求めることができます。「誰でも」申し出られる「処分等の求め(36条の3)」との対比が最重要ポイントです。

法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(36条の2第1項)。

【中止の求めの要件】

要件
内容
申出できる者
行政指導の相手方のみ(誰でもできるわけではない)
対象となる行政指導
法律に基づく行政指導のみ(条例に基づく行政指導は対象外)
申出の方法
書面によらなければならない
申出の理由
当該行政指導が法律の要件に適合しないと思料すること

【「処分等の求め(36条の3)」との対比】 行政指導の中止の求め(36条の2)は相手方のみが申し出ることができますが、処分等の求め(36条の3)は何人も申し出ることができます。この違いは試験でよく問われます。

過去問論点として、「法に違反する行為の是正を求める行政指導を受けている者が、当該行政指導が要件に適合しないと思料するときは中止の申出ができる(○)」[16-11-3改]という出題があります。

具体例

石油会社Aが経済産業省から「価格設定を変更してほしい」という行政指導を受けた場合、Aが「この行政指導は根拠法律の要件に適合していない(違法だ)」と考えるとき、Aは書面で行政庁に中止を申し出ることができます(36条の2)。ただし、Aと無関係の競合他社BやAを監督する立場にない第三者Cは中止の申出はできません(相手方のみが申出できる)。

比較項目
行政指導の中止の求め(36条の2)
処分等の求め(36条の3)
申出できる者
相手方のみ
誰でも
対象
法律に基づく行政指導のみ
処分・行政指導(法律に基づくもの)
申出方法
書面
書面
理由
法律の要件に適合しないと思料
法令違反があると思料

重要メモ

  • 「相手方のみ・法律に基づく行政指導のみ・書面で・違法と思料する場合」に中止の求めができる(36条の2)
  • 中止の求めができる者:行政指導の相手方のみ(誰でもできるわけではない)——36条の2
  • 中止の求めの対象:法律に基づく行政指導のみ(条例に基づくものは対象外)
  • 中止の求めは書面によらなければならない(36条の2第1項)
  • 中止の求めの理由:当該行政指導が法律の要件に適合しないと思料すること(違法)
  • 「処分等の求め(36条の3)」は誰でもできるが、「中止の求め(36条の2)」は相手方のみという対比を必ず整理する
  • 法令に違反する行為の是正を求める行政指導が対象——違反是正型の行政指導に限定
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処分等の求め(36条の3)

36条の3

簡単にいうと

簡単にいうと、法令違反があるのに行政庁が必要な処分・行政指導を行っていない場合、誰でも書面で処分等を求めることができます。「中止の求め(36条の2)が相手方のみ」に対して、「処分等の求め(36条の3)は誰でも」という対比が試験のポイントです。

本来、処分や行政指導は行政側の判断で行うべきものですが、法令違反の是正のための処分や行政指導が行われていないと考える場合、当該処分・行政指導を行うよう求めることができる制度です(36条の3)。

【処分等の求めのポイント(36条の3)】 - 申出できる者何人も(誰でも)申し出ることができます(申請をしたことがある者に限定されません)。 - 対象となる行政指導:行政指導については、法律に基づくもののみ申出ができます(条例に基づく行政指導は対象外)。 - 申出の方法書面によらなければなりません。

【行政指導の中止の求め(36条の2)との比較】 行政指導の中止の求め(36条の2)は相手方のみが申し出ることができましたが、処分等の求めは何人も申し出ることができます。この違いは試験でよく問われます。

なお、処分等の求めを受けた行政機関は、必要な調査を行い、その結果に基づいて必要があると認めるときは、所管の行政庁に対し処分または行政指導をすることを求め、または自ら処分または行政指導をしなければなりません(36条の3第3項)。

過去問論点として、「何人も、法令違反の是正のために処分・行政指導を求める申出ができる(○)」[16-11-4改]という出題があります。

具体例

市内の工場が大気汚染防止法に違反する排ガスを垂れ流しているにもかかわらず、行政庁が何ら措置をとらない場合、付近住民や通行人など誰でも(工場と直接関係がない人も含む)書面で「当該工場に対して必要な処分・行政指導を行ってほしい」と求めることができます(36条の3)。これに対して、当該工場自身が「この行政指導は法律の要件に適合しない」として中止を求める(36条の2)のは相手方のみに認められる権利です。

重要メモ

  • 「誰でも(何人も)書面で処分等の求めができる」「中止の求め(相手方のみ)との対比が頻出」(36条の3)
  • 何人も(誰でも)処分等の求めができる(36条の3)——行政指導の中止の求め(相手方のみ)との対比が頻出
  • 申出は書面によらなければならない(36条の3)
  • 行政指導については法律に基づくもののみ対象(条例に基づく行政指導は対象外)
  • 申出を受けた行政機関は必要な調査を行い、必要があれば処分・行政指導をしなければならない(36条の3第3項)
  • 「中止の求め(36条の2)」は相手方限定・「処分等の求め(36条の3)」は誰でも——この対比を必ず整理する
  • 処分等の求めは違法行為が放置されている場合に第三者も含めて是正を求められる制度
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届出(37条)

37条

簡単にいうと

簡単にいうと、届出とは行政庁に一定事項を通知する行為で、提出後に何か返事を期待するものではありません。形式上の要件を満たす届出書が届出先機関の事務所に到達したときに届出義務が履行されたとみなされます。申請(許可を求めるもの)との違いを整理しましょう。

届出とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているものをいいます(行政手続法2条7号)。

届出は申請と異なり、提出した後に何か返事を期待するものではありません。例えば、市役所に提出する出生届は、飲食店の営業許可申請と異なり、提出したからといって何か許可を求めているわけではありません。これが申請と届出の大きな違いです。

【届出の効力(37条)】 届出が形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令に当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したとき、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされます(37条)。

「到達主義」であることが重要です。形式上の要件を満たした届出書が届出先機関の事務所に物理的に到達した時点で義務履行となり、その後行政機関が内容を審査・承認するかどうかにかかわらず届出義務は完了します。

【形式上の要件不適合の場合】 届出書の記載事項に形式的な不備(氏名・住所の記載漏れ等)がある場合には、形式上の要件に適合する届出には該当しないため、届出義務を尽くしたことにはなりません。その場合は補正が必要です。

【申請との比較】 - 申請:行政庁に認定・許可等を求める行為。行政庁は申請を受けると応答義務が生じる(審査して許可・不許可を決定)。 - 届出:行政庁に一定事項を通知する行為。形式要件を満たして到達すれば義務履行(行政庁の審査・応答は不要)。

過去問論点として、「形式上の要件に適合する届出については、届出先とされている機関の事務所に届出書が到達したときに届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする(○)」[16-13-5]という出題があります。

具体例

飲食店の開業にあたり、食品衛生法に基づく「営業許可申請」は申請であり、行政庁(保健所)は審査して許可・不許可を決定します。一方、同じ飲食店が廃業する際に保健所へ提出する「廃業届」は届出であり、形式的に適合した書面が保健所に到達した時点で届出義務が完了します。保健所が「廃業を認める」旨の通知をする必要はありません。

比較項目
申請
届出
行為の性質
許可・認定等を求める行為
一定事項を通知する行為
行政庁の義務
審査・応答義務が生じる
特になし(到達で完了)
効力発生時期
許可・認定の決定時
形式要件を満たした届出書の到達時
返事の期待
あり(許可・不許可の決定)
なし

重要メモ

  • 「形式上の要件に適合した届出書が届出先機関の事務所に到達したとき義務履行」(37条)——到達主義
  • 届出の効力:形式上の要件に適合した届出書が届出先機関の事務所に到達したとき義務履行(37条)——到達主義
  • 届出には受理・不受理の概念がない——申請と異なり行政機関の承認・拒否を要しない
  • 申請との違い:申請は行政庁の審査・応答が必要、届出は到達で完了
  • 届出は申請に該当するものを除く一定事項の通知行為(2条7号)
  • 形式的不備がある届出書は形式上の要件不適合として届出義務履行にならない
  • 過去問:形式上の要件に適合する届出は到達で義務履行(○)[16-13-5]
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命令等制定手続・意見公募手続(39〜43条)

39〜43条

簡単にいうと

簡単にいうと、行政機関が命令等(法規命令・行政規則)を制定しようとするときは、広く国民の意見を募集する意見公募手続(パブリックコメント)を実施しなければなりません。意見提出期間は公示日から30日以上が原則で、定めた後は命令等の公布と同時期に結果を公示します。

命令等制定手続とは、行政が命令・規則などを制定する際に、広く国民の意見を募集する手続(意見公募手続=パブリックコメント)です。

【命令等の種類(2条8号)】 - イ:法律に基づく命令・規則→行政立法における法規命令 - ロ:審査基準(5条) - ハ:処分基準(12条) - ニ:行政指導指針(36条) ロ・ハ・ニは行政規則に相当します。

【意見公募手続の流れ】

①意見公募手続の周知(41条) 命令等制定機関は、意見公募手続を実施する命令等を定めるとともに、当該意見公募手続の実施について関係するよう努めるとともに、実施に関する情報の提供に努めるものとします(努力義務)。

②意見公募手続の実施(39条1項) 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案およびこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先および意見提出期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません。

③意見提出期間(39条3項) 意見提出期間は、公示の日から起算して30日以上でなければなりません(原則)。ただし、やむを得ない理由があるときは、30日を下回る期間を定めることができますが、その場合でも当該命令等の案の公示の際にその理由を明らかにしなければなりません(40条1項)。

④提出意見の考慮(42条) 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、提出された意見を十分に考慮しなければなりません(法的義務)。

⑤結果の公示(43条) 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次の事項を公示しなければなりません(43条1項)。 - 命令等の題名 - 命令等の案の公示日 - 提出意見(提出意見がなかった場合にはその旨) - 提出意見を考慮した結果およびその理由

【意見公募手続を実施しなかった場合(43条4項)】 命令等を定めた場合において意見公募手続を実施しなかったときも、命令等の公布と同時期に次の事項を公示しなければなりません。 - 命令等の題名 - 命令等の案の公示 - 意見公募手続を実施しなかった旨およびその理由

過去問論点:「意見公募手続を実施して命令等を定めた場合、当該命令等の公布と同時期に結果を公示しなければならない(○)」[16-12-2]、「提出意見がなかった場合にも、その旨の公示が必要(○)」。

具体例

環境省が温室効果ガスの排出規制に関する省令を新たに制定しようとする場合、①省令の案と関連資料を公示し、②意見提出期間として公示日から30日以上の期間を設けて国民の意見を求めます。③集まった意見を十分に考慮して省令を制定し、④省令の公布と同時期に「提出意見○件、うち採用したもの・採用しなかったものの理由」を公示しなければなりません。仮に意見が一件も集まらなかった場合でも「提出意見なし」という旨を公示する必要があります。

重要メモ

  • 「意見提出期間は30日以上が原則・提出意見の考慮は法的義務・結果公示は公布と同時期」(39〜43条)
  • 意見提出期間は公示日から30日以上が原則(39条3項)——この数字は頻出
  • やむを得ない理由がある場合は30日未満も可、ただし理由の明示が必要(40条1項)
  • 提出意見の考慮は法的義務(42条)——単なる努力義務ではない
  • 命令等制定後の結果公示:命令等の公布と同時期に公示(43条1項)
  • 提出意見がなかった場合でもその旨を公示しなければならない(43条1項)
  • 意見公募手続を実施しなかった場合も命令等の題名・実施しなかった理由等を公示する義務がある(43条4項)
  • 命令等の範囲:法律に基づく命令・規則(法規命令)+審査基準・処分基準・行政指導指針(行政規則)(2条8号)
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処分・行政指導についての適用除外

3条

簡単にいうと

簡単にいうと、行政手続法の基本ルールはすべての処分・行政指導に適用されるわけではありません。国会・裁判所・外国人の出入国など、性質上行政手続法が馴染まない場合は「適用除外」とされています。号ごとの理由も含めて覚えておきましょう。

行政手続法の処分・行政指導についての適用除外は3条1項各号に規定されています。適用除外となる理由は大きく3つに分類されます。

【①本来の行政権の行使とはやや異質な手続(1〜5号)】 行政庁の行う処分・行政指導でも、国会や裁判所など行政以外の機関が関与する場合は行政手続法が適用されません。 - 1号:国会(両院または一院)または議会の議決によってされる処分 - 2号:裁判所・裁判官の裁判により、または裁判の執行としてされる処分 - 3号:国会の両院・一院・議会の議決を経て、またはこれらの同意・承認を得た上でされるべきものとされている処分 - 4号:検査官会議が決すべきとされている処分および会計検査の際にされる行政指導 - 5号:刑事事件に関する法律に基づいて検察官・検察事務官または司法警察職員がする処分および行政指導

【②特別の規律で行われるべき手続(6〜10号)】 特別の法令や性質上行政手続法の枠組みが適合しない手続が含まれます。 - 7号:学校・訓練所・研修所等における教育・訓練・研修の目的を達成するために学生・生徒・児童・幼児もしくは研修生等に対してされる処分および行政指導 - 8号:刑務所・少年刑務所等収容施設における収容目的達成のための処分および行政指導 - 9号:公務員(国家公務員・地方公務員)であったものに対してその職務・身分に関してされる処分および行政指導→行政手続法の規定は適用されない(★重要:公務員の職務・身分に関する処分は適用除外) - 10号:外国人の出入国・難民認定等に関する処分および行政指導

【③行政手続法の適用にそぐわない手続(11〜16号)】 - 11号:もっぱら人の学問・技能に関する試験または検定の結果についての処分 - 12号:相反する利益を有する者の間の利益の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁決・決定その他の処分(仲裁手続に相当するもの) - 13号:公衆衛生・環境保全・防疫・保安、その他の公益に関わる重大な事態が発生・発生する可能性がある場所において警察官等によってされる処分および行政指導(緊急対応) - 15号:審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決・決定その他の処分 - 16号:前号に規定する手続において法令の規定により参加・閲覧の手続その他他の意見陳述のための手続が法令に基づいて定められている処分および行政指導

国会や裁判所などは「行政」ではないので行政手続法は適用されません。これは当然のことと理解しましょう。

具体例

内閣府が特定の個人に対して行政指導を行う場合は原則として行政手続法が適用されますが、①国会が議決で議員を懲罰に処する場合(1号)、②裁判所が強制執行をする場合(2号)、③入国管理局が外国人の在留資格を取り消す場合(10号)は行政手続法の適用はありません。また、公務員の懲戒処分(9号)も適用除外です。

重要メモ

  • 「国会・裁判所・外国人出入国・公務員の身分・試験・不服申立て裁決等が適用除外」(3条各号)
  • 国会・裁判所は「行政」ではないので行政手続法は適用されない(1号・2号)
  • 外国人の出入国・難民認定に関する処分→適用除外(10号)
  • 公務員の職務・身分に関する処分→適用除外(9号)——過去問で問われる
  • 学問・技能試験の結果についての処分→適用除外(11号)
  • 不服申立て(審査請求等)に対する裁決・決定→適用除外(15号)
  • 刑事事件の捜査・検察・司法警察職員がする処分→適用除外(5号)
  • 適用除外の理由は「国会・裁判所等は行政でない」「特別規律が必要」「行政手続法の適用にそぐわない」の3種類と整理
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地方公共団体における適用除外

46条

簡単にいうと

簡単にいうと、地方公共団体の機関が行う処分・行政指導等は、法律に基づくもの(処分・届出)は行政手続法が適用ありですが、行政指導・命令等は法律に基づくものでも適用なしです。また、条例に基づくものはすべて適用なしです。この組み合わせを表で整理するのが試験対策の王道です。

地方公共団体の機関が行う処分や行政指導などについても、行政手続法の適用が除外されるケースがあります(46条)。

地方公共団体には「行政手続条例」のような独自の行政手続に関する条例を定めることが期待されており(46条参照)、行政手続法の各規定がそのまま適用されるわけではありません。

【地方公共団体における適用除外の整理(重要)】

行為の種類
法律・命令に基づく場合
条例・規則に基づく場合
処分(申請・不利益)
適用あり
適用なし
行政指導
適用なし
適用なし
届出
適用あり
適用なし
命令等
適用なし
適用なし

結論:地方公共団体については、法律・命令に基づく処分と届出のみ行政手続法が適用され、行政指導・命令等については法律に基づくものであっても適用がありません。

【なぜ行政指導には適用がないか】 地方公共団体の行政指導は条例を根拠とすることが多く、法律に基づかない行政指導が多いため、行政指導全般について行政手続法の適用を除外しています。地方公共団体は独自の行政手続条例を定めることで、住民への適正手続保障が期待されています。

【A県が建基法に基づいて行う処分(具体例)】 建築基準法は法律ですので、A県が建築基準法に基づいて行う処分(建築確認・違反建築物への改善命令等)には行政手続法が適用されます。しかし、A県が独自の条例に基づいて行う処分には行政手続法は適用されません。

過去問論点として、「地方公共団体の機関として行政指導に携わる者は、法令に根拠を有する処分に関する場合と条例に根拠を有する処分に関する場合のいずれについても、行政手続法の行政指導に関する規定の適用を受けない(○)」[10-13-1]という出題があります。

具体例

A県が建築基準法(法律)に基づいて建築物の使用禁止処分を行う場合は行政手続法が適用されます(法律に基づく不利益処分)。しかし、A県が県の条例に基づいて飲食店に立入検査の結果に関する行政指導をする場合や、A県独自の行政指導(法律・条例いずれに基づくかを問わず)を行う場合には、行政手続法の行政指導に関する規定は適用されません。

行為の種類
法律・命令に基づく
条例・規則に基づく
処分(申請・不利益)
適用あり
適用なし
行政指導
適用なし
適用なし
届出
適用あり
適用なし
命令等
適用なし
適用なし

重要メモ

  • 「地方公共団体の処分・届出は法律に基づくもののみ行政手続法適用あり、行政指導・条例に基づくものは適用なし」
  • 地方公共団体の行政指導→法令・条例いずれに根拠があっても行政手続法の適用なし(○)[10-13-1]
  • 法律に基づく処分・届出→適用あり
  • 条例に根拠がある処分・届出→適用なし
  • 命令等(行政規則等)については法律・条例いずれに基づくものでも適用なし
  • 地方公共団体は独自の行政手続条例を定めることが期待されている(46条)
  • 結局のところ「法律に基づく処分・届出のみ」行政手続法適用あり——この結論を即答できるようにする
  • 命令等の制定手続(意見公募手続)も地方公共団体には適用なし——この点を見落としやすい

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
申請に対する処分
諾否の応答義務あり。拒否処分には理由提示必要(8条)、許可処分には不要
応答義務のない届出・報告は申請ではない
審査基準(5条)
設定:法的義務。公表:原則義務(行政上特別の支障がある場合を除く)
処分基準(12条)は設定・公表とも努力義務。対比が超頻出
標準処理期間(6条)
設定:努力義務。定めた場合の公表:義務
超過しても処分が直ちに違法となるわけではない
審査の応答(7条)
申請到達→遅滞なく審査開始。形式不備→補正又は拒否
窓口での受理拒否は7条違反
理由の提示(8条)
拒否処分と同時に提示。例外:客観的指標で明確+申請者の求め
理由の事後追完は原則不可(判例)
情報の提供(9条)
1項(進行状況等)・2項(申請に必要な情報)とも努力義務
1項は申請者のみ。2項は申請しようとする者も含む
公聴会の開催等(10条)
第三者の利害考慮が法令上の要件の場合の意見聴取。努力義務
公聴会に限らず適当な方法でよい
複数行政庁の関与(11条)
1項:遅延防止(法的義務)。2項:審査促進(努力義務)
1項と2項の義務の性質の違いに注意
不利益処分の定義
義務を課す又は権利を制限する処分。除外事由(イ〜ニ)に注意
申請に対する拒否処分は不利益処分ではない(ロ)
処分基準(12条)
設定・公表とも努力義務
審査基準(5条)との対比が最重要
不利益処分の理由提示(14条)
原則:同時提示。例外:差し迫った必要→処分後相当の期間内
8条の例外(客観的指標・申請者の求め)とは異なる
意見陳述手続の振り分け(13条)
許認可等取消し等→聴聞。それ以外→弁明の機会の付与
省略事由(13条2項):公益上緊急、資格不存在判明、技術的基準、金銭関係等
聴聞手続(15条〜28条)
通知→代理人選任→資料閲覧→審理→調書・報告書作成→行政庁が参酌して決定
所在不明→掲示場に掲示、2週間で到達擬制。審理は原則非公開。聴聞を経た処分は原則審査請求不可
弁明の機会の付与(29条〜31条)
原則書面(弁明書提出)。口頭は行政庁の認めた場合のみ
教示なし、資料閲覧権なし。聴聞との手続的差異を正確に把握
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