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テキスト/行政法/第4節 行政立法

第4節 行政立法

第1章 総論

行政立法とは、行政機関が制定する法規範のことです。法律だけでは細かいルールまで定められないため、行政機関が補充的に定める必要があります。しかし行政立法は国会での議決を経ずに制定されるため、国民による民主的チェックが働きにくいという問題があります。この問題への対応として、行政手続法は意見公募手続(パブリックコメント)を定め、国民が命令等の制定に意見を述べる機会を保障しています。この節では、行政立法の意義・分類・限界と、民主的統制の仕組みを学びます。

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行政立法とは

簡単にいうと

簡単にいうと、国会が細かいルールをすべて決めるのは現実的に難しいため、行政機関が一定の範囲でルールをつくることが認められています。これが行政立法であり、法規命令と行政規則の2種類に大別されます。

行政が活動するためには、原則として国民の代表である国会議員がつくった法律が必要です。しかし、現代国家では行政の活動範囲が非常に広く、複雑・専門的な分野も多いため、すべての細部を国会の法律で定めることは事実上不可能です。そこで、法律が「この部分については行政機関に委ねる」と授権することで、行政機関が具体的なルールを自ら定めることが認められています。これを行政立法といいます。

行政立法の典型例として、学校教育法33条があります。同条は「小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める」と規定しており、この授権を受けて学校教育法施行規則50条が各科目の内容を詳細に定めています。このように、法律が上位規範として大枠を定め、その委任を受けて行政機関が下位規範として具体的内容を補充する構造が行政立法の基本的な仕組みです。

行政立法は、内容が国民の権利義務に関わるかどうかによって大きく2種類に分類されます。①国民の権利義務に直接かかわる法規命令と、②行政の内部規律にとどまる行政規則です。この2分類は行政法全体を通じて極めて重要な概念であり、試験でも繰り返し出題されています。

また、行政立法を定める形式としては、政令・府省令・規則・告示・訓令・通達などがあります。これらは形式(制定者・形式名称)だけで法規命令か行政規則かを判断できるわけではなく、内容が国民の権利義務に関わるかという実質的な観点から判断することが重要です。告示であっても国民の権利義務に関わる場合は法規命令となり、省令であっても内部基準にすぎない場合は行政規則となります。

具体例

学校教育法を例にとりましょう。国会は「小学校の教育課程は文部科学大臣が定める」とだけ法律に書き、具体的に何の科目を何時間教えるかという細部は文部科学省(行政機関)が施行規則で定めます。これにより、教育現場の実情に応じた柔軟な対応が可能になります。もし国会がすべてを決めなければならないとすると、時代に合わせた迅速な改訂ができなくなってしまいます。

行政立法とは

行政立法とは

重要メモ

  • 「国会だけでは細かいルールをすべて決めきれないため、行政機関がルールを作ることを認めたもの」が行政立法。法規命令と行政規則の2種類が基本
  • 行政立法は「法規命令」と「行政規則」の2種類に分類される
  • 分類の基準は『国民の権利義務に関わるか否か』という実質的内容による(形式ではなく内容で判断)
  • 形式(政令・省令・告示・通達など)だけで法規命令か行政規則かは決まらない。告示でも国民の権利義務に関われば法規命令、省令でも内部基準にすぎなければ行政規則になる
  • 法規命令の制定には必ず法律の根拠(授権)が必要
  • 行政規則の制定には法律の根拠は不要(行政の内部規律にすぎないため)
  • 学校教育法33条のように、法律が行政機関に委任する授権規定が行政立法の根拠となる
  • 行政立法の主な形式:政令・府省令・規則・告示・訓令・通達(形式の種類と制定者を整理しておくこと)
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行政立法の分類

簡単にいうと

簡単にいうと、行政立法は「法規命令」と「行政規則」の2種類があり、国民を縛るルールかどうかが分け目です。法規命令は法律の根拠が必要で、行政規則(通達など)は不要です。この区別は試験で頻出です。

行政立法は、その内容が国民の権利義務に関わるかどうかによって、①法規命令と②行政規則の2種類に大別されます。

① 法規命令とは、国民の権利義務に直接関わる内容を定める行政立法です。国民に対して拘束力を持つものであるため、制定するには必ず法律の根拠(授権)が必要です。法律の根拠なしに行政機関が独自に法規命令を制定することは許されません。法規命令はさらに以下の2種類に分かれます。

  • 委任命令:法律が行政機関に具体的な内容を定めることを委任し(委任の根拠)、その委任を受けて制定する命令です。法律の委任の範囲内でのみ制定できます。例として、各種の施行令・施行規則(法律の細部を定める)があります。
  • 執行命令:法律を実施・執行するための手続や細則を定める命令です。法律の委任を直接受けなくても、法律を執行するために必要な手続的事項を定めることができますが、やはり法律の根拠が必要です。新たな権利義務を創設することはできず、あくまで既存の法律を執行するための細則にとどまります。

② 行政規則とは、行政機関の内部規律や行政運営の基準を定める行政立法です。国民を直接拘束するものではなく、行政の内部的なルールにとどまるため、制定するのに法律の根拠は不要です。具体的な形式としては、通達・訓令・告示(内部的なもの)・内規・行政指導指針などがあります。

両者の最大の違いは「国民を拘束するか否か」です。法規命令は国民を拘束し(違反すると法的制裁の対象)、行政規則は行政機関のみを拘束します(国民は拘束されない)。

この区別は行政訴訟との関係でも重要です。法規命令は裁判所も含む一般的な法規範として機能しますが、行政規則(通達等)は行政内部のルールにすぎず、裁判所はこれに拘束されません。裁判所は独自の法令解釈を行うことができます。

具体例

国税庁長官が各税務署長に対して「税金の徴収に関するルール(解釈)」を通達で示す場合を例にとりましょう。この通達は行政規則ですから、税務署長(行政機関)はこれに従う義務がありますが、納税者(国民)は直接拘束されません。また、裁判所も通達の内容に拘束されず、独自に法令解釈をして判断を下すことができます。一方、薬事法の委任を受けて医薬品のネット販売を規制する省令は、国民の権利義務(販売する権利の制限)に関わる法規命令となります。

行政立法の分類。法規命令(法律の根拠が必要)は委任命令(個別具体的な委任が必要)と執行命令(一般的・概括的な授権で足りる)に分かれる。行政規則は法律の根拠が不要で、行政の内部的定め、国民の権利義務に関わらない

行政立法の分類

区分
国民の拘束
法律の根拠
主な形式
裁判所の拘束
法規命令(委任命令)
あり
必要
政令・省令・規則
あり
法規命令(執行命令)
あり(手続的)
必要
政令・省令
あり
行政規則
なし
不要
通達・訓令・告示(内部)
なし

重要メモ

  • 「法規命令=国民を縛る(法律の根拠必要)」「行政規則=内部のルール(法律の根拠不要)」という対比が試験の核心
  • 法規命令と行政規則の区別基準:「国民の権利義務に関わるか否か」という実質的内容による
  • 法規命令の制定には法律の根拠(授権)が必要・行政規則には不要
  • 委任命令:法律の委任を受けて個別・具体的な内容を定める(委任の範囲内のみ可)
  • 執行命令:法律を執行するための手続・細則を定める(法律の委任は不要だが根拠は必要、新たな権利義務の創設は不可)
  • 行政規則:行政の内部のみを拘束し、国民・裁判所を拘束しない
  • 通達・訓令・内規などは行政規則の典型例
  • 形式(省令・告示など)だけでなく、内容の実質で法規命令か行政規則かを判断する
  • 法規命令は国民に違反すれば法的制裁の対象。行政規則に国民が違反しても行政内部の問題にとどまる
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法規命令とは(委任命令・執行命令)

簡単にいうと

簡単にいうと、法規命令は国民を縛るルールなので、必ず法律の根拠が必要です。種類は「委任命令」と「執行命令」の2つで、特に委任命令は法律が委任した範囲を超えて制定すると違法・無効になります。

法規命令は、国民の権利義務に直接関わる内容を定める行政立法です。国民に対して一般的な拘束力を持つため、制定するには必ず法律の根拠(授権)が必要です。法律の根拠なしに行政機関が独自に法規命令を制定することは、法律による行政の原理(法律の優位・法律の留保)に反し、許されません。

委任命令は、法律が「この事項については行政機関が定める」と委任した範囲で、行政機関が具体的な内容を定める命令です。委任命令が許されるのは、あくまで法律が委任した範囲内に限られます。この限界を「委任命令の限界」といい、法律が委任していない事項や委任の範囲を超えた規定は違法・無効となります。委任の合否判断は、「法律の委任の趣旨・目的・内容に照らして、委任命令が委任の範囲内に収まっているか」という基準で行われます。

執行命令は、既存の法律を執行するために必要な手続や細則を定める命令であり、新たな権利義務を創設することはできません。法律の委任を直接受けなくても、法律を執行するために必要な手続的事項を定めることができますが、やはり法律の根拠が必要です。

具体例

薬事法(現・医薬品医療機器等法)を例にとりましょう。法律が「医薬品の販売方法については厚生労働省令で定める」と委任した場合、省令(委任命令)はこの委任の範囲内でのみ規定を設けることができます。ところが、ある省令が「インターネットによる医薬品販売を一切禁止する」という規定を設けたとすれば、これは法律が想定していた委任の範囲を超えており、最高裁は違法・無効と判断しました(最判平25.1.11)。法律が委任した「販売方法の規制」の趣旨を大きく超えた制限だったからです。

委任命令の限界のたとえ。法律が食品表示の詳細ルールは消費者庁長官が定めると委任しているところ、長官が全ての食品パッケージを金色にするという命令を出した場合、委任の目的を逸脱しており、委任命令の限界を超え無効となる可能性がある

委任命令の限界(委任の趣旨を超えた命令は無効)

重要メモ

  • 「委任命令は法律が委任した範囲内のみ有効。超えると違法・無効」というのが核心
  • 法規命令の制定には必ず法律の根拠(授権)が必要(法律の優位・法律の留保の原則)
  • 委任命令は法律が委任した範囲内のみで制定可能(範囲を超えると違法・無効)
  • 執行命令は既存の法律執行のための手続・細則を定めるもの。法律の直接委任は不要だが新たな権利義務の創設は不可
  • 委任命令の合否判断基準は「法律の委任の趣旨・目的・内容に照らした範囲内か否か」
  • 委任命令の根拠法律に反することはできない(法律の優位)
  • 委任命令の典型例:各種法律の施行令・施行規則(法律の細部を補充するもの)
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委任命令の限界と判例

簡単にいうと

簡単にいうと、委任命令は法律の委任を受けて作られますが、その委任の範囲を超えた命令は違法・無効になります。どんな場合に「範囲を超えた」とされるか、最高裁の重要判例4つを押さえておきましょう。

委任命令が法律の委任の範囲を逸脱した場合、その命令は違法・無効となります。行政書士試験では、委任命令が委任の範囲を超えたとして無効とされた判例と、範囲内として適法とされた判例がいずれも頻出です。

判断基準

委任命令が適法かどうかは、「法律の委任の趣旨・目的・内容に照らして、委任命令が委任の範囲内に収まっているか」という基準で判断されます。法律が委任した範囲を超えて規制を強化したり、法律の趣旨に反する内容を定めたりする場合は、委任の範囲逸脱として無効となります。

① 銃刀法・告示(最判平2.2.1)→ 適法

刀剣類の登録基準を定めた告示について、最高裁は「法律の委任の範囲内であり適法」と判断しました。告示という形式であっても法規命令として機能し得ること、かつその内容は委任の趣旨に沿っていることが理由です。

② 監獄法施行規則(最大判平3.7.9)→ 違法・無効

「14歳未満の者は被告人との接見を禁止する」と定めた監獄法施行規則について、最高裁は「法律の委任の範囲を逸脱するものであり、無効」と判断しました。接見交通権(弁護人等との接見)は重要な権利であり、これを制限するには法律の明確な根拠が必要であるのに、それが欠けていたためです。

③ 児童扶養手当法施行令(最大判平14.1.31)→ 違法・無効

婚姻外で生まれた子(婚外子)が、認知した父から扶養されている場合に児童扶養手当の支給対象外とする規定について、最高裁は「法律の委任の範囲を逸脱し、違法・無効」と判断しました。授権された委任の範囲を超えており、法律に反する結果となっていたためです。

④ 医薬品ネット販売規制省令(最判平25.1.11)→ 違法・無効

薬事法(現・医薬品医療機器等法)の委任を受けて制定された省令が、一般用医薬品のインターネット販売を一律に禁止していた事案で、最高裁は「省令の規定は薬事法の委任の範囲を逸脱しており、違法・無効」と判断しました。法律が委任した「販売方法の規制」の趣旨を大きく超えた制限と認定された、非常に重要な判例です。

具体例

医薬品ネット販売規制省令(最判平25.1.11)を詳しく見ましょう。薬事法は医薬品販売について「対面による情報提供」などを定めていましたが、省令で「インターネット販売は一律禁止」と規定しました。最高裁は、薬事法が委任したのは「販売方法の適切な規制」であり、一律全面禁止は委任の趣旨を大きく逸脱すると判断し、省令を違法・無効としました。

判例
裁判所・年
結論
理由の要点
銃刀法・告示(刀剣類登録基準)
最判平2.2.1
適法
委任の趣旨・範囲内に収まっている
監獄法施行規則(14歳未満接見禁止)
最大判平3.7.9
違法・無効
接見交通権制限に法律の明確な根拠なし
児童扶養手当法施行令(婚外子規定)
最大判平14.1.31
違法・無効
委任の範囲を逸脱し法律に反する結果
医薬品ネット販売規制省令
最判平25.1.11
違法・無効
薬事法の委任趣旨を大きく超えた制限

重要メモ

  • 「委任命令は法律の委任趣旨・目的・内容に照らして範囲内か否かで適法判断」という基準と4つの判例が核心
  • 委任命令の限界:法律が委任した範囲を超えると違法・無効(委任の趣旨を逸脱した規制強化も同様)
  • 銃刀法の告示(刀剣類登録基準)→最判平2.2.1:委任の範囲内で適法(告示も法規命令として機能し得る)
  • 監獄法施行規則(14歳未満接見禁止)→最大判平3.7.9:接見交通権制限に法律の明確な根拠なし→委任の範囲を逸脱し無効
  • 児童扶養手当法施行令(婚外子規定)→最大判平14.1.31:委任の範囲を逸脱し法律に反する結果→違法・無効
  • 医薬品ネット販売規制省令→最判平25.1.11:薬事法の委任趣旨(販売方法の適切な規制)を大きく超えた一律全面禁止→違法・無効
  • 委任命令の合否判断基準は「法律の委任の趣旨・目的・内容に照らした範囲内か」(4判例すべてに共通する基準)
  • 告示という形式であっても委任命令(法規命令)として機能し得る(形式より実質が重要)
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行政規則

簡単にいうと

簡単にいうと、通達や告示などの行政規則は「行政内部のルール」なので、国民を縛りません。法律の根拠なしにつくれますが、国民も裁判所も従う義務はなく、取消訴訟の対象にもなりません。通達と法規命令の違いは試験超頻出です。

行政規則(通達・訓令・告示〔内部的なもの〕・内規など)は、行政の内部のルールであるため、国民を拘束するものではありません。したがって、行政は法律の根拠がなくても行政規則をつくることができます。

行政規則の主な種類

種類
内容
訓令
上級行政機関が下級行政機関に対して発する命令・指示
通達
上級行政機関が下級行政機関・職員に対して発する一般的な指示(法令解釈・運用方針等)
処理基準
法律の解釈・適用に関する基準
審査基準
申請に対する処分の基準(行政手続法5条に根拠あり)
処分基準
不利益処分の基準(行政手続法12条に根拠あり)
行政指導指針
同一内容の行政指導を反復して行う場合の基準

特に審査基準(行政手続法5条)と処分基準(行政手続法12条)は行政規則の一種として位置づけられます。審査基準は行政庁が定めて公表する義務があり、処分基準は定めて公表するよう努める義務があります。これらは後の「行政手続法」の節で詳しく学びます。

通達の法的性質と効力

通達の法的性質について、以下の3点が試験で特に重要です。

通達の発令に法律の根拠は不要です。行政の内部規律にすぎないため、国民との関係で法律の根拠は必要ありません。

通達に拘束されるのは行政機関のみであり、国民や裁判所は拘束されません。国民は通達の内容に従う法的義務を負わず、裁判所も通達の法令解釈に縛られず、独自の解釈を行うことができます。これは法規命令と決定的に異なる点です。

通達に処分性はなく、抗告訴訟(取消訴訟)の対象とはなりません。通達はあくまで行政機関の内部的な指示にすぎず、国民の権利義務を直接変動させるものではないため、「処分」(行政事件訴訟法3条2項)には該当しません。したがって、通達を対象として取消訴訟を提起することはできません。

裁判所と通達の関係(判例)

通達によって示された法令解釈の違法性が訴訟において問題となったとき、裁判所は行政庁の第一次的判断権の尊重の原則により、その解釈が重大明白に誤りでない限り、当該通達で示された法令解釈に従うとする裁判例があります(最判平10.9.4)。ただし、これは裁判所が通達に拘束されることを意味するのではなく、あくまで行政の専門的・技術的判断を一定程度尊重するという趣旨にすぎません。裁判所は通達に示された解釈とは異なる独自の解釈をすることができます(これが重要な結論です)。

行政規則の「外部化」現象

通達・告示などの行政規則は、本来は行政内部のルールにすぎません。しかし、行政が通達に従って一貫した行政処分を行うと、国民もその内容を前提に行動するようになり、事実上の外部効果が生じることがあります。これを行政規則の「外部化」といいます。この場合でも、法的には行政規則の性質は変わらず、国民を直接拘束する法規範にはなりません。

具体例

国税庁長官が各税務署長に対して「相続財産の評価方法についてはこの通達に従って処理せよ」と通達を発する場合を例にとりましょう。この通達は行政規則であり、税務署長(行政機関)はこれに従う義務がありますが、納税者(国民)は通達の内容に法的に拘束されません。また、裁判所も通達の評価方法が法律の解釈として正しいかどうかを独自に判断することができます。さらに、この通達を「取り消してほしい」として取消訴訟を提起しても、通達に処分性がないため訴えは不適法となります。

比較項目
法規命令
行政規則(通達等)
法律の根拠
必要
不要
国民への拘束力
あり
なし
裁判所への拘束力
あり
なし(独自解釈可)
処分性
あり(場合による)
なし
取消訴訟の対象
なり得る
ならない
違反した場合
法的制裁の対象
行政内部の問題にとどまる

重要メモ

  • 「通達は行政内部のルール。国民・裁判所は拘束されない。処分性なし=取消訴訟不可」という3点が核心
  • 通達の発令に法律の根拠は不要(行政内部のルールだから)
  • 通達に拘束されるのは行政機関(下級機関)のみ→国民・裁判所は拘束されない
  • 通達には処分性がなく、取消訴訟(抗告訴訟)の対象とならない(国民の権利義務を直接変動させないため)
  • 裁判所は通達で示された法令解釈とは異なる独自の解釈をすることができる(最判平10.9.4)
  • 審査基準(行政手続法5条)・処分基準(行政手続法12条)も行政規則の一種(行政の内部基準)
  • 行政規則の「外部化」:行政が通達に従って一貫した処分を行うことで事実上の外部効果が生じるが、法的性質は変わらない(国民を直接拘束する法規範にはならない)
  • 法規命令との違い(4点比較):①法律の根拠の要否、②国民への拘束力、③裁判所への拘束力、④処分性・取消訴訟の可否
  • 通達に従った行政処分が公正を欠く場合には、処分自体が違法となる場合がある(通達の間接的な影響)

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
行政立法とは
行政機関が制定する法規範。法規命令と行政規則に大別
国会の議決不要ゆえ民主的正当性の問題あり。意見公募手続で対応
法規命令と行政規則
国民拘束性の有無で区別。法規命令は授権必要
通達は原則行政規則。処分性の有無で訴訟可否が決まる
委任命令の限界
個別具体的な委任が必要。白紙委任は違法・無効
委任の範囲を逸脱した命令も無効。執行命令との区別も重要
行政規則(通達)の法規性
通達自体は原則として処分性なし
通達に基づく個別処分は処分性あり。両者を混同しない
意見公募手続
命令等制定時に30日以上の意見募集が義務(行手法39条)
対象は命令等のみ。個別処分・行政指導は対象外
法律の留保
権利制限・義務賦課には法律の根拠必要(侵害留保説)
法律の優位と混同しない。本質性理論・全部留保説も把握

関連判例

パチンコ球遊器事件

最判昭33.3.28

通達が行政規則にすぎず国民を直接拘束しないことを示した先例。パチンコ球遊器を物品税の課税対象とする通達に基づく課税処分が争われた。最高裁は、通達はあくまで行政組織内部の命令であり法律ではないため、通達自体で国民の権利義務を変動させることはできないと判示し、通達自体の処分性を否定した。「通達の処分性の原則的否定」の根拠判例として必ず押さえること。 テーマ指定:行政規則(通達)の法規性

税務署長による所得税更正処分

最判平5.3.11

通達に基づいて行われた個別の課税処分に処分性があるかが争われた事件。最高裁は、通達自体は行政規則にすぎないが、それに基づく個別の更正処分は納税者の権利義務を直接変動させる行政行為であるとして処分性を肯定した。「通達自体の処分性なし」と「通達に基づく処分の処分性あり」の区別こそが試験の核心論点であり、パチンコ球遊器事件とセットで整理する。 テーマ指定:行政規則(通達)の法規性

児童扶養手当法と児童扶養手当法施行令

最判平14.1.31

法律の委任の範囲を逸脱した命令が違法とされた代表的判例。児童扶養手当法は「父が知れない」児童に手当を支給すると定めていたが、施行令が「婚姻外の父に認知された児童」を支給対象外と規定した。最高裁は施行令の当該規定が法律の委任の範囲を逸脱し違法・無効と判断した。委任命令の限界(委任の範囲の逸脱)を問う問題で必出の判例。 テーマ指定:委任命令の限界

銃砲刀剣類所持等取締法と文部省令(サーベル登録拒否)事件

最判平2.02.01

法律の委任に基づく省令の内容が委任の趣旨・範囲内かどうかが争われた事件。美術品として保存すべき刀剣類の登録基準を定める文部省令が、サーベルを対象外とした点の適法性が問題となった。最高裁は、省令の規定は法律の委任の趣旨・目的の範囲内であるとして適法と判断した。委任の範囲内かどうかは「法律の趣旨・目的」に照らして審査されることを示した判例として出題される。 テーマ指定:委任命令の限界

医薬品ネット販売権利確認請求訴訟

最判平25.1.11

省令による規制が法律の委任の範囲を超えるとして違法と判断された判例。薬事法(現・医薬品医療機器等法)がインターネット販売を規制していないにもかかわらず、厚生労働省令が一般用医薬品の郵便等による販売を原則禁止した。最高裁は、省令の規制は法律の委任の範囲を超えた違法な規制であると判示した。「委任の範囲を超えた省令は無効」という委任命令の限界の核心を示す重要判例。 テーマ指定:委任命令の限界

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