第3節 行政活動の種別
第1章 総論
行政は法律に基づいて様々な活動を行います。この節では、行政が国民に対してどのような手段・方法で活動するのか、その種別と法的性質を学びます。行政活動の基本ルールである法律による行政の原理から、具体的な行政手段(行政行為、行政立法、行政指導など)まで、実務で頻出する重要論点を押さえましょう。
行政活動の種別:概要
簡単にいうと
簡単にいうと、行政が目的を達成するための「道具箱」には、権力的なものから任意的なものまで8種類の活動があります。どれが権力的でどれが非権力的か、試験で必ず問われる区別です。
行政活動には、税金の徴収や街づくり計画など、目的・内容に応じて様々な種類があります。行政はこれらの手段を「行政活動の選択」として、目的達成のために最適な手段を選択して行動します。
たとえば広く国民から税金を徴収したい場合、まず行政行為(課税処分)という形で一方的に支払い義務を課し、国民が払わなければ行政上の強制執行(滞納処分による差押え)という形で財産を強制的に差し押さえて徴収します。一方、行政が文具を購入する場合は権力的手段を選ぶ必要はなく、民間と同様に売買契約(行政契約)を締結して目的を達成します。
行政活動は大きく「権力的活動」と「非権力的活動」に分類されます。権力的な活動は法律の根拠が必要(侵害留保の原則)とされ、非権力的な活動は法律の根拠がなくても行うことができるとされています。
8種類の活動の詳細は、各テーマ(行政立法・行政行為・行政契約・行政指導・行政計画・行政上の強制執行・即時強制・行政調査)を参照してください。
具体例
税金徴収を例にとると、行政が「広く国民から税金を徴収したい」という目的を達成するために、まず行政行為(課税処分)という形で一方的に納税義務を課します。国民が納税しない場合は、行政上の強制執行(滞納処分による差押え)によって強制的に財産を差し押さえて徴収します。一方、行政が文具を購入する場合は行政契約(売買契約)を締結して目的を達成します。

行政活動の種別
重要メモ
- ・「権力的か非権力的か」の軸で8種類の活動を整理できれば試験は乗り越えられる
- ・8種類の行政活動:行政立法・行政行為・行政契約・行政指導・行政計画・行政上の強制執行・即時強制・行政調査
- ・権力的活動(行政立法・行政行為・強制執行・即時強制)には法律の根拠が必要(侵害留保の原則)
- ・非権力的活動(行政指導・行政契約)は法律の根拠不要
- ・行政計画・行政調査は権力的なものと非権力的なものが混在する
- ・侵害留保説(権力留保説)が通説:権力的な行政活動には法律の根拠が必要
行政立法とは
簡単にいうと
簡単にいうと、行政機関が自ら「ルール(規範)」を作る活動です。国会が法律を作るのと似ていますが、行政機関が作るので「行政立法」と呼ばれます。
行政立法とは、行政機関が政令・省令などの形式で規範(ルール)を制定する行為です。国会が法律を制定するのに対し、行政機関が規範を作る点が特徴です。
行政立法は、国民の権利義務に関わるかどうかによって2種類に分類されます。
法規命令とは、国民の権利義務に直接関わる規範です。内閣が制定する政令、各省大臣が制定する省令、各行政委員会が制定する規則などがこれにあたります。法規命令は国民を拘束する効力を持ち、法律の委任がなければ制定できません(法律の留保)。
行政規則とは、行政内部の組織・手続・基準などを定めるもので、国民の権利義務に直接関わらない規範です。訓令・通達・告示などがこれにあたります。行政規則は行政組織内部を拘束するにとどまり、国民を直接拘束する効力はありません。法律の根拠がなくても制定できます。
具体例
食品衛生法に基づいて厚生労働省令で食品添加物の基準を定めるのは「法規命令」にあたります。一方、各省が職員の服務に関して発する内部通達は「行政規則」にあたります。
重要メモ
- ・「法規命令(国民を縛る)」と「行政規則(内部だけを縛る)」の2種類に分けて覚える
- ・法規命令の2種類:①委任命令(法律の委任に基づき内容を補充)・②執行命令(執行に必要な細則を規定、委任不要)
- ・法規命令:国民の権利義務に直接関わる。政令・省令・規則など。根拠法律に反することはできない(法律の優位)
- ・行政規則の種類:訓令・通達・処理基準・審査基準(行政手続法5条)・処分基準(行政手続法12条)
- ・行政規則:行政内部のみ拘束し、国民を直接拘束しない。法律の根拠不要
- ・ただし通達に従った行政処分が公正を欠く場合は違法となる点に注意
行政行為とは
簡単にいうと
簡単にいうと、行政が「法律に基づいて一方的に」国民の権利や義務を変える行為です。相手が同意しなくても効力が生じ、違法であっても取り消されるまでは有効として扱われるのが最大の特徴です。
行政行為とは、行政が法律に基づき公権力の行使として行い、かつ具体的に相手方である国民の権利義務を変更させる行為です。
行政行為の最大の特徴は「一方的」であることです。民間の契約(売買契約など)は双方の合意が必要ですが、行政行為は行政が一方的に行うことができます。たとえば課税処分は、国民の同意なしに「あなたは○○円を納税する義務があります」と国民の義務を発生させます。
行政行為には次の5つの重要な特質があります。
①公定力:行政行為は、たとえ違法であっても、権限ある機関(裁判所・上級行政庁)によって取り消されるまでは有効なものとして扱われる効力です。ただし、行政行為に重大かつ明白な瑕疵がある場合は「無効な行政行為」として公定力は生じません。
②不可争力:行政行為に対して争う方法(行政不服申立てや取消訴訟)には出訴期間・審査請求期間の制限があり、期間が経過すると争えなくなる効力です。
③不可変更力:行政行為を行った処分庁自身が、その行政行為の内容を変更・撤回できなくなる効力です。審判的行政行為(裁決・決定など)にのみ認められる特有の効力であり、すべての行政行為に認められるわけではありません。
④自力執行力(執行力):行政行為によって課せられた義務を相手が履行しない場合に、行政が裁判手続きによらず自ら強制執行できる効力です。ただし法律の根拠が必要です。
⑤拘束力:行政行為の内容通りの法律効果が生じ、相手方のみならず行政庁自身も行政行為の内容に拘束される効力です。行政庁は自らが行った行政行為の内容と矛盾する行動をとることができません。
具体例
営業許可(飲食店の営業を許可する)、課税処分(○○円の税を課す)、運転免許の取消し(免許という権利を剥奪する)などが行政行為の代表例です。公定力の例としては、違法な課税処分であっても取り消されるまでは納税義務が生じます。不可変更力の例として、行政不服申立てに対する裁決は処分庁が一方的に変更することはできません。
重要メモ
- ・「一方的に」国民の権利義務を変える行為で、違法でも取り消されるまで有効(公定力)というのが最大のポイント
- ・命令的行為の4種類:下命(義務を命じる)・禁止(不作為義務を課す)・許可(法令上の禁止を解除)・免除(法令上の義務を解除)
- ・形成的行為の3種類:特許(新たな権利を設定)・認可(私人の法律行為を補充し効力を完成)・代理(他機関の行為を代わって行う)
- ・準法律行為的行政行為の4種類:確認・公証・通知・受理
- ・行政行為の5つの特質:①公定力・②不可争力・③不可変更力・④自力執行力・⑤拘束力
- ・公定力:違法でも取り消されるまで有効(重大かつ明白な瑕疵あり=無効=公定力なし)
- ・不可変更力:処分庁が自ら変更・撤回できない。審判的行政行為(裁決等)にのみ認められる点に注意
- ・行政行為の瑕疵:「重大性+明白性」→無効、重大だが明白でない→取消し得る行為(公定力あり)
- ・取消し(遡及効あり・処分庁と監督庁が可)と撤回(将来効のみ・処分庁のみ)の違いは頻出
- ・附款の5種類:条件・期限・負担・取消権の留保・法律効果の一部除外
行政契約とは
簡単にいうと
簡単にいうと、行政が民間と同じように「合意(契約)」によって目的を達成する活動です。行政行為と違い、相手方の同意が必要です。
行政契約とは、行政主体等が行政目的を達成するために締結する契約です。当事者間の合意に基づく点で行政行為(一方的)と根本的に異なります。
行政契約には大きく2種類があります。
行政主体相互間の契約:国と地方公共団体の間、または地方公共団体相互間で締結される契約です(例:事務の委託協定)。
行政主体と私人との契約:行政が私人(民間企業・個人)と締結する契約です。公共工事の請負契約、物品の売買契約などがこれにあたります。
行政契約は非権力的手段であるため、法律の根拠がなくても締結することができます。ただし、行政契約であっても行政目的を達成するためのものであるため、完全に民間の契約と同一視することはできず、公益的な制約(入札制度、競争原理の適用など)が働きます。
また、行政指導と組み合わせて使われることも多く(行政指導で任意の協力を求め、合意が得られれば契約を締結する)、行政の柔軟な目的達成手段として機能しています。
具体例
国が建設会社と締結する道路工事の請負契約、市が文具メーカーから文房具を購入する売買契約、地方公共団体間で締結する事務委託協定などが行政契約の例です。
重要メモ
- ・「合意に基づく」点が行政行為(一方的)との最大の違い
- ・非権力的手段であるため法律の根拠は不要
- ・行政主体相互間の契約(国と地方公共団体間・地方公共団体相互間)と行政主体・私人間の契約の2種類
- ・行政契約にも公益的制約(入札制度・競争原理の適用など)が働く点に注意
- ・行政指導と組み合わせて用いられることが多い(任意の協力を得てから契約へ)
行政指導とは
簡単にいうと
簡単にいうと、行政が「お願い」や「勧め」によって国民の行動を変えようとする活動です。強制力はありませんが、実際には大きな影響力を持っています。
行政指導とは、行政が行政目的の達成のため、国民に対して任意的な協力を求める行為です。具体的には、指導・勧告・助言・要請などの形で行われます。
行政指導の最大の特徴は「強制力がない」ことです。相手方は従わなくても、行政指導に従わないことを理由に直接的な不利益処分(行政行為による制裁など)を受けることはありません。これが権力的な行政行為との根本的な違いです。
ただし、実際の行政実務では、行政指導に従わないと行政から様々な不利益(許認可の遅延、協力の拒否など)を受けることがあり、事実上の強制力が働くことがあります。この点が問題となるため、行政手続法は行政指導に関する規制を設けています。
行政手続法上の行政指導に関するルールとして、①行政指導は口頭でも書面でも行うことができるが、相手方が書面の交付を求めた場合は原則として書面を交付しなければならない、②行政指導に携わる者は、当該行政指導の趣旨・内容・責任者を明確にしなければならない、③相手方が行政指導に従わない意思を明確にした場合は行政指導を継続してはならない、などがあります。
具体例
建築確認申請前に行政が建築主に対して近隣住民への説明を求める「事前調整の指導」、生活保護受給者に対して就労を促す「勧告」、企業に対して環境基準の自主的達成を求める「指導」などが行政指導の例です。
重要メモ
- ・「任意の協力を求める」もので、強制力はない。従わなくても直接の不利益処分はできない
- ・行政手続法2条6号の定義:処分に該当しない指導・勧告・助言その他の行為
- ・行政指導の原則(行政手続法32条):①任務・所掌事務の範囲を逸脱してはならない、②従わないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない
- ・申請に関連した行政指導(33条):申請者が従わない意思を示した場合、継続により申請者が不当に困難な状況に置かれないようにしなければならない
- ・許認可権限の背景とした行政指導(34条):権限を行使できない・する意思がない場合はその旨を明示しなければならない
- ・書面交付請求(35条):趣旨・内容・責任者を記載した書面の交付を求められたときは交付しなければならない(その場で完了する行政指導は不要)
- ・複数者への行政指導(36条):同一内容を複数者に行う場合は行政指導指針を定め公表するよう努める
- ・行政指導の中止等の求め(36条の2):法令違反の是正を求める行政指導を受けた者は中止等を求めることができる
- ・事実上の強制力が問題になることがある点は試験で問われる
行政計画とは
簡単にいうと
簡単にいうと、行政が将来の目標や方針を「計画」という形でまとめたものです。都市計画や土地利用計画など、私たちの生活に直結するものも多くあります。
行政計画とは、行政において一定の目標を達成するために作成・決定される計画です。都市計画・土地利用計画・経済計画・防災計画など、行政の様々な分野で用いられます。
行政計画は、権力的なものと非権力的なものが混在するという特徴があります。
拘束的計画(権力的):計画の内容が国民や行政機関を法的に拘束するものです。都市計画法に基づく都市計画(用途地域の指定など)はその例で、指定された用途地域では建築基準法上の制限が生じ、国民の権利(建築の自由)が制限されます。このような拘束的計画には法律の根拠が必要です。
非拘束的計画(非権力的):法的拘束力を持たない指針・方針・目標の設定にとどまるものです。行政内部の指針や政府が策定する経済計画(参考計画)などがこれにあたります。法律の根拠がなくても策定できます。
行政計画の策定過程では、計画の内容が国民の権利義務に重大な影響を与える場合に、その適法性が問題となることがあります。特に、都市計画の決定に際しての手続き的瑕疵(説明会の不実施など)が問題となるケースがあります。
具体例
都市計画法に基づく用途地域の指定(拘束的計画)、政府が策定する経済財政運営の基本方針(非拘束的計画)、市町村が策定する総合振興計画(非拘束的計画)などが行政計画の例です。
重要メモ
- ・「拘束的(権力的)」と「非拘束的(非権力的)」の2種類がある点を押さえる
- ・拘束的計画:法的拘束力あり。国民の権利を制限する。法律の根拠が必要(例:都市計画・用途地域指定)
- ・非拘束的計画:法的拘束力なし。指針・方針にとどまる。法律の根拠不要(例:経済財政運営基本方針・総合振興計画)
- ・土地区画整理事業計画の決定は処分性あり(最大判平20.9.10):計画段階から争えることが重要
- ・都市計画事業の認可処分(小田急高架訴訟・最判平17.12.7):周辺住民・路線沿線の著しい被害が認められる者に原告適格あり
- ・計画策定の手続き的瑕疵(説明会不実施など)が適法性問題となる場合がある
行政上の強制執行とは
簡単にいうと
簡単にいうと、国民が行政上の義務を守らないときに、行政が強制的に義務を実現させる手段です。4種類の手段があり、最もよく使われる「代執行」には法定の手続(戒告→令書→実施→費用徴収)があります。
行政上の強制執行とは、行政上の義務を義務者が自発的に履行しない場合に、行政が強制的に義務の履行を確保する手段です。民事執行(民間が裁判所を通じて強制執行する)と異なり、行政が自ら(裁判手続きによらず)強制執行できる点が特徴です。これを「自力執行力」といいます。
行政上の強制執行には以下の4種類があります。
代執行の手続(行政代執行法3条)
代執行を行う際は以下の手順を踏む必要があります。
※緊急の場合は①戒告・②代執行令書を省略できる(3条3項但書)
具体例
代執行の例:市が命じた違法建築物の撤去を所有者が行わない場合に、市が業者を使って撤去し費用を請求する。この場合、①戒告書を送付→②代執行令書を送付→③業者が撤去→④費用請求、という手順を踏みます。強制徴収の例:滞納した住民税について、行政が財産を差し押さえて換価・充当する。
重要メモ
- ・「代執行・執行罰・直接強制・強制徴収」の4種類。代執行が最も試験に出る
- ・代執行(行政代執行法):代替的作為義務の不履行に対し行政機関が自ら実施または第三者に実施させ費用徴収
- ・執行罰(強制金):不作為義務・非代替的作為義務に対し過料を予告して履行を促す。現在は砂防法のみ
- ・直接強制:義務者の身体・財産に直接実力行使。個別法律の根拠が必要
- ・強制徴収(滞納処分):金銭給付義務(税金等)の不履行に対し財産を差し押さえる(国税徴収法等)
- ・代執行の手続4ステップ(行政代執行法3条):①戒告(文書で期限通知)→②代執行令書(時期・費用概算額等の通知)→③代執行の実施→④費用の徴収(5条・6条)
- ・緊急の場合は戒告・代執行令書を省略できる(3条3項但書)
- ・裁判所を通さず行政が自力執行できる点(自力執行力)が民事執行との大きな違い
即時強制とは
簡単にいうと
簡単にいうと、急いで対処しなければならない状況で、事前に義務を課す手間をかけずに行政が直接実力行使できる手段です。泥酔者の保護や感染症患者の強制入院などが代表例です。
即時強制とは、緊急の必要がある場合などに、あらかじめ義務を課すことなく行政が直接に国民の身体・財産に実力を行使して行政目的を達成する手段です。
行政上の強制執行(代執行・直接強制など)が「まず義務を課し、その不履行に対して強制する」という二段階の構造を持つのに対し、即時強制は義務の課せられていない者に対しても直接強制できる点が最大の特徴です。
即時強制は非常に強力な手段であるため、①法律の根拠が必要、②目的達成のために必要最小限の範囲にとどめなければならない(比例原則)という制限があります。
即時強制の具体的な根拠法・手段としては、消防法(消防活動のための建物破壊)、警察官職務執行法(泥酔者の保護・警告・制止)、感染症法(感染症患者の強制入院・就業制限)、食品衛生法(不衛生食品の廃棄)などがあります。
具体例
泥酔して道路に倒れている人を警察官が保護する(警察官職務執行法)、感染症患者を本人の意思に反して強制入院させる(感染症法)、火災現場で消防士が燃え広がりを防ぐため隣家を破壊する(消防法)などが即時強制の例です。
重要メモ
- ・「義務を課さずに直接実力行使」できる点が強制執行(義務不履行が前提)との最大の違い
- ・即時強制は義務の課せられていない者にも直接強制できる(一段階構造)
- ・強制執行は「義務付け→不履行→強制」の二段階構造
- ・法律の根拠が必要(侵害留保の原則)
- ・比例原則:目的達成に必要最小限の範囲にとどめなければならない
- ・根拠法の例:警察官職務執行法(泥酔者保護・制止)・消防法29条(消防活動のための建物破壊)・感染症法(強制入院・就業制限)・食品衛生法(不衛生食品の廃棄)
行政調査とは
簡単にいうと
簡単にいうと、行政が行政活動に必要な情報を集める活動です。任意調査と強制調査があり、強制調査には法律の根拠が必要です。
行政調査とは、行政機関が行政活動の前提として必要な情報・資料を収集するための活動です。税務調査・立入検査・質問検査など、様々な形で行われます。
行政調査は、強制力の有無によって2種類に分類されます。
任意調査:相手方の任意の協力を前提とする調査です。法律の根拠がなくても行うことができます。相手方は調査を拒否することができますが、実際には行政の影響力から事実上断りにくい場合もあります。
強制調査:相手方の意思に反して強制的に行う調査です。身体・財産への実力行使を伴う場合があるため、法律の根拠が必要です。さらに、①直接強制調査(身体・財産に直接実力を行使するもの)と②間接強制調査(罰則によって応じることを強制するもの)に分かれます。
行政調査と刑事捜査の関係についても重要です。行政調査で収集した情報・資料を刑事手続きで利用することは、原則として許容されます。しかし、行政調査の形式を借りて実質的に刑事捜査を行うことは許されません(最高裁昭和47年11月22日判決)。
また、強制調査であっても、刑事上の不利益を避けるための黙秘権(自己負罪拒否特権)が認められるかが問題となることがあります。判例は、行政目的のための質問・検査に対する供述義務と刑事上の黙秘権との関係について、原則として行政調査の質問義務は刑事手続き上の黙秘権を侵害しないとしています。
具体例
税務署が行う税務調査(任意調査)、食品衛生法に基づく飲食店への立入検査(強制調査の場合あり)、建築基準法に基づく建築物への立入調査などが行政調査の例です。
重要メモ
- ・「任意調査(根拠不要)」と「強制調査(法律の根拠必要)」の2種類が基本
- ・任意調査:相手方の任意の協力による調査。強制力なし。法律の根拠不要
- ・強制調査は直接強制調査(身体・財産に直接実力行使)と間接強制調査(罰則によって応じることを強制)に分かれる
- ・強制調査には法律の根拠が必要(侵害留保の原則)
- ・行政調査の情報を刑事手続きで利用することは原則許容される
- ・行政調査の形式を借りた実質的な刑事捜査は許されない(最高裁昭和47年11月22日)
- ・行政調査の質問義務と刑事上の黙秘権の関係:原則として黙秘権を侵害しない
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行政法の重要用語
不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
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