第7節 公の施設
第6章 地方自治法
地方自治法第7節では、公の施設について学びます。公の施設は住民の福祉を増進する目的で設置される体育館や図書館などの施設ですが、その設置・管理・廃止には条例が必要であり、利用拒否・指定管理者制度・区域外設置・特に重要な施設の廃止・長期独占的利用に関する特別多数決など、試験頻出の論点が多く含まれます。
公の施設
簡単にいうと
図書館や公園など、住民の福祉のための施設です。設置も管理も廃止も、条例で決めるのが基本です。
公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設のことです(244条1項)。学校・公園・道路・病院・図書館などが挙げられます。
住民が利用する公の施設の設置・管理に関する事項は、条例で定められます。長の規則ではありません。過去問では「普通地方公共団体は、公の施設の設置およびその管理に関する事項につき、その長の定める規則でこれを定めなければならない」という記述が出題され、誤りとされました。
利用を拒めない
住民の福祉のための施設ですから、正当な理由がないのに利用を拒んだり、不当な差別的取扱いをしたりすることは許されません(244条2項・3項)。
他の地方公共団体との関係
公の施設は、たとえばA市の区域内につくられ、A市の住民が利用することが想定されています。しかしB市の住民がまったく利用できないわけではありません。
①②いずれの協議についても、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければなりません(244条の3第3項)。
過去問では「公の施設は、住民の利用に供するために設けられるものであり、普通地方公共団体は、その区域外において、公の施設を設けることはできない」という記述が出題され、誤りとされました。協議により区域外にも設けられます。
廃止と長期の独占的利用
公の施設は住民の福祉を増進することを目的としているため、安易に廃止すべきではなく、特定の者に長期的な独占利用をさせるべきでもありません。
原則は議会の議決であって、3分の2以上が必要になるのは「条例で定める特に重要なもの」に限られます。上下水道の施設などがその例です。最初から3分の2が必要だと覚えると誤ります。
また議会の同意は必要ですが、都道府県知事や総務大臣の認可は不要です。過去問では「条例で定める特に重要なものについてこれを廃止し、または特定の者に長期の独占的な使用を認めようとするときは、市町村にあっては都道府県知事の、都道府県にあっては総務大臣の認可を受けなければならない」という記述が出題され、誤りとされました。
具体例
A市が市立図書館を廃止するには議会の議決が必要で、それが条例で定める特に重要な施設にあたる場合は出席議員の3分の2以上の同意も必要になります。

公の施設(設置・利用・廃止)
重要メモ
- ・公の施設の設置・管理に関する事項は条例で定める。長の規則ではない(18-23-エ ×)
- ・廃止・長期独占利用は議会の議決が原則。3分の2以上が要るのは条例で定める特に重要なものだけ
- ・244条の3第1項は区域外に公の施設を設置することの規定。協議には議会の議決が必要
- ・区域外にも協議により公の施設を設けることができる(17-22-4 ×)
- ・廃止や独占的利用に、都道府県知事や総務大臣の認可は不要(05-19-ウ ×)
指定管理者制度
第244条簡単にいうと
公の施設の管理を民間企業やNPOに任せる制度です。条例で定め、指定には議会の議決が要ります。
公の施設の管理をすべて地方公共団体が行うよりも、民間に委託したほうが効率がよい場合もあります。そこで地方自治法は指定管理者制度を設け、条例により民間企業などに公の施設を管理させることができるようにしています(244条の2第3項)。
指定管理者制度の3つのポイント
- ・指定管理者に公の施設の管理を行わせることを条例で定める(244条の2第3項)
- ・指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ議会の議決を経る必要がある(244条の2第6項)
- ・適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金を当該指定管理者の収入として収受させることができる(244条の2第8項)
条例と議会の議決の両方が要る
条例で制度を用意するだけでは足りません。実際に「この施設をこの事業者に任せる」という指定をするときにも、あらかじめ議会の議決が必要です。長が単独で指定することはできません。
条例で枠組みを決め、個別の指定で議会がもう一度チェックする、という二段構えになっています。
過去問では「普通地方公共団体が、公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合には、指定管理者の指定の手続等の必要な事項を条例で定めなければならない」という記述が正しいものとして出題されています。
利用料金制
指定管理者に料金を自分の収入として受け取らせることができます。これを利用料金制といいます。施設を魅力的に運営して利用者が増えれば指定管理者の収入も増えるので、運営努力を引き出す狙いがあります。
利用料金は原則として指定管理者が定めることとなりますが、あらかじめ利用料金について普通地方公共団体の承認を受ける必要があります(244条の2第9項)。指定管理者が自由に値上げできるわけではありません。
具体例
A市が市民体育館の管理を民間企業Bに任せる場合、条例で指定管理者制度を定めたうえで、Bを指定することについて市議会の議決を得る必要があります。

指定管理者制度の二段構え
重要メモ
- ・指定管理者に管理を行わせることは条例で定める(17-22-5 ○)
- ・個別の指定をするときは、あらかじめ議会の議決が必要。長が単独で指定することはできない(244条の2第6項)
- ・利用料金を指定管理者の収入として収受させることができる(244条の2第8項)
- ・利用料金は指定管理者が定めるが、あらかじめ地方公共団体の承認を受ける必要がある(244条の2第9項)
- ・条例で枠組みを定め、個別の指定で議会がもう一度チェックする二段構えになっている
まとめ
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不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
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