第2節 地方公共団体の種類
第6章 地方自治法
地方自治法において、地方公共団体は普通地方公共団体と特別地方公共団体に分類されます。それぞれの種類と役割を理解することは、地方自治制度の全体像を把握する上で不可欠です。特に都道府県と市町村の二層構造、大都市制度における指定都市・中核市の特例、および特別区や一部事務組合などの特別な仕組みを正確に押さえましょう。
普通地方公共団体
簡単にいうと
都道府県と市町村が普通地方公共団体です。人口の多い市には指定都市・中核市という特例が用意されています。
地方公共団体は、普通地方公共団体と特別地方公共団体の2つに分かれます(1条の3)。
普通地方公共団体
都道府県と市町村が普通地方公共団体です(1条の3第2項)。
「包括する」というのは地理的に包み込んでいるという意味であって、上下関係ではありません。地方自治法上、市町村と都道府県は対等の関係にあります。
大都市制度
規模の大きな市には、都道府県の事務の一部を任せる特例が置かれています。
人口が50万人以上であれば自動的に指定都市になるわけではありません。政令で指定される必要があり、現在は横浜市・名古屋市など20市です。以前は特例市という制度がありましたが、中核市に統一されて規定は削除されています。
行政区と総合区
2014年の法改正により、指定都市では従来の行政区に代えて総合区を設置できるようになりました。
総合区は、行政区よりも区長の権限を強くして、区ごとに柔軟な政策を行えるようにする仕組みです。区長の権限が強くなる分、市長の独断では決められず議会の同意が必要とされています。
なお行政区は「名古屋市中区」のように呼ばれているものです。特別区の区とは違い、行政区ごとに長や議会が置かれるわけではありません。行政区を設置している市は20市ありますが、総合区を設置している市はまだありません。
過去問では「地方公共団体は、事務を分掌させる必要があると認めるときは、条例で、その区域を分けて特別区を設けることができる」という形で出題され、誤りとされました。指定都市が条例で設けることができるのは特別区ではなく行政区です。
具体例
人口60万人のA市が政令で指定都市に指定されると、都道府県の事務の一部を処理できるようになり、条例で行政区または総合区を設置できます。
重要メモ
- ・指定都市は人口50万以上、中核市は人口20万以上。行政区を設置できるのは指定都市だけ
- ・人口50万以上であれば自動的に指定都市になるわけではなく、政令で指定される必要がある
- ・行政区の区長は市長が職員から任命し任期なし。総合区の区長は議会の同意を得て選任され任期4年、解職請求の対象になる
- ・指定都市が条例で設けることができるのは特別区ではなく行政区(16-22-5 ×)
- ・市町村は基礎的な地方公共団体、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体。両者は対等の関係にある
特別地方公共団体・地方公共団体の連携
簡単にいうと
東京23区のような特別区、複数の市町村がつくる組合、山林などを管理する財産区。この3つが特別地方公共団体です。
都道府県や市町村以外の組織が特別地方公共団体です。具体的には①特別区、②組合、③財産区の3つです(1条の3第3項)。
3つの特別地方公共団体
特別区
特別区は、歴史的な経緯から当初は東京都の下部組織と位置づけられていました。しかし現在では、普通地方公共団体の市とほぼ同等の事務を処理する権限を持っています。
権限が市に近いからといって、普通地方公共団体になったわけではありません。特別区はあくまで特別地方公共団体です。過去問では「特別区は、地方自治法の改正により、現在は市町村などと同様の普通地方公共団体とされており、その区長も公選されている」という形で出題され、誤りとされました。区長が公選である点は正しいのですが、特別地方公共団体であることは変わりません。
また2012年に「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が施行され、281条1項の規定にかかわらず、道府県の区域内においても特別区を設置できるようになりました。「特別区は東京都にしか置けない」と覚えていると誤ります。
組合
組合は、ごみ処理専門の会社をつくってそこにすべて任せるようなイメージです。A市・B市・C町がそれぞれでごみ処理を行う代わりに、清掃事務組合を設立してそこで一括処理します。消防や救急についても同じような組合が設立されています。
組合には、通常の一部事務組合と、広域事務を処理する広域連合の2種類があります。
地方公共団体の連携
組合のように法人を新しくつくらなくても、地方公共団体どうしが連携する仕組みが用意されています。組合には会社と同じく法人設立の手続が必要ですが、連携協約や事務の委託にはそうした手続は要りません。
委託と代替執行の分かれ目は、権限がどちらに残るかです。委託では権限がB市に移り、代替執行では権限がA市に残ったままB市が代わりに動きます。ここが比較の形で問われます。
具体例
A市がごみ処理をB市に委託すると権限はB市に移りB市の名前で処理されますが、代替執行にすると権限はA市に残ったままB市がA市の名前で処理します。

特別地方公共団体・地方公共団体の連携
重要メモ
- ・特別地方公共団体は特別区・組合・財産区の3つ。組合は一部事務組合と広域連合の2種類(09-23-4 ○)
- ・特別区は市とほぼ同等の権限を持つが、普通地方公共団体ではなく特別地方公共団体(18-22-1 ×)
- ・2012年の法律により、道府県の区域内でも特別区を設置できる
- ・事務の委託は権限が受託先に移り受託先の名前で処理、事務の代替執行は権限が元に残り元の名前で処理される
- ・財産区は財産または公の施設の管理・処分をする権能のみを認められた特別地方公共団体
まとめ
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行政法の重要用語
不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
法律行為的行政行為
行政庁の意思表示によって法律効果を発生させる行政行為のこと。許可や認可など、意思の内容どおりに効果が生じる点が特徴。
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