第2節 地方公共団体の種類
第6章 地方自治法
地方自治法において、地方公共団体は普通地方公共団体と特別地方公共団体に分類されます。それぞれの種類と役割を理解することは、地方自治制度の全体像を把握する上で不可欠です。特に都道府県と市町村の二層構造、および特別区や一部事務組合などの特別な仕組みを正確に押さえましょう。
普通地方公共団体
第1条の3条普通地方公共団体とは、都道府県および市町村をいいます。一般的な地方自治の主体であり、区域内の住民に対して包括的な行政サービスを提供します。
具体例
Aさんは東京都新宿区に住んでいます。Aさんは東京都(都道府県)と新宿区が属する特別区(市町村に準ずる)という二つの普通地方公共団体からサービスを受けています。例えば警察は都、ごみ収集は区が担当します。
要件
- ・法人格を有すること
- ・住民・区域・自治権の三要素を備えること
- ・包括的な自治権を有すること
効果・結論
- ・条例制定権を持つ
- ・財産を所有し、契約を締結できる
- ・訴訟当事者となることができる
条文(第1条の3条)
地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。
試験のポイント
- ・普通地方公共団体は都道府県と市町村の二種類のみであることを確認
- ・特別区は普通地方公共団体ではなく、法律上は特別地方公共団体に分類される点に注意
- ・包括的自治権を持つことが特別地方公共団体との重要な相違点
特別地方公共団体
第1条の3条特別地方公共団体とは、特別区、地方公共団体の組合、財産区をいいます。特定の目的や区域のために設けられる限定的な自治権を持つ団体です。
具体例
B市とC市は消防業務を共同で行うため一部事務組合を設立しました。この組合は特別地方公共団体として消防業務のみを担当し、両市から負担金を受けて運営されています。
要件
- ・法律または条例に基づいて設置されること
- ・特定の目的や事務を処理すること
- ・法人格を有すること
効果・結論
- ・限定された範囲で条例制定権を持つ
- ・特定の事務についてのみ自治権を行使できる
- ・構成団体や住民との間に法律関係が生じる
条文(第1条の3条)
特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。
試験のポイント
- ・特別区(東京23区)は特別地方公共団体だが、市に準ずる権能を持つ点が重要
- ・地方公共団体の組合には一部事務組合と広域連合があり、違いを押さえる
- ・財産区は法人格を持つが、独自の議会や長を持たない特殊な団体である点に注意
都道府県と市町村の関係
第2条条都道府県と市町村は対等・協力の関係にあります。都道府県は市町村を包括する広域的な事務を処理し、市町村は基礎的な地方公共団体として住民に身近な事務を処理します。上下関係ではありません。
具体例
D市が新しい道路を建設する際、市道部分はD市が管理しますが、県道と接続する部分については県と協議します。県がD市に指示命令するのではなく、対等な立場で協力して事務を進めます。
要件
- ・それぞれが独立した法人格を持つこと
- ・役割分担の原則に基づくこと
- ・相互に協力する関係にあること
効果・結論
- ・都道府県は市町村に対して包括的な指揮監督権を持たない
- ・国の関与と同様に、都道府県の市町村への関与も法定された範囲に限定される
- ・市町村優先の原則により、原則として市町村が処理する
条文(第2条条)
地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
試験のポイント
- ・かつての上下・主従関係から、対等・協力関係への転換を理解する(地方分権改革)
- ・都道府県による市町村への関与は、国の関与と同様に法定主義が適用される
- ・補完性の原理により、市町村で処理できない事務を都道府県が処理する
地方公共団体の組合
第284条以下条地方公共団体の組合とは、複数の地方公共団体が特定の事務を共同で処理するために設ける特別地方公共団体です。一部事務組合、広域連合、全部事務組合(現在は存在せず)があります。
具体例
E町とF村は人口が少なく単独でごみ処理施設を維持できないため、一部事務組合を設立してごみ処理を共同で行っています。組合議会を設置し、両町村から選出された議員が運営を監視しています。
要件
- ・規約を定めて都道府県知事の許可を得ること
- ・組合を組織する地方公共団体の協議が整うこと
- ・議会を設置すること(一部事務組合・広域連合)
効果・結論
- ・法人格を取得し、独自に財産を所有できる
- ・処理する事務の範囲内で条例制定権を持つ
- ・構成団体から分担金・負担金を徴収できる
条文(第284条以下条)
地方公共団体の組合は、一部事務組合、広域連合及び全部事務組合とする。
試験のポイント
- ・一部事務組合は特定事務のみ処理、広域連合は国等からの権限移譲も受けられる点が相違
- ・組合の設立には都道府県知事の許可が必要(市町村間の組合の場合)
- ・広域連合は直接請求の対象となるなど、より自治権が強化されている
まとめ
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