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テキスト/行政法/第1節 地方自治法の意義

第1節 地方自治法の意義

第6章 地方自治法

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地方自治法は、地方公共団体の組織・運営・権能を定める基本法です。憲法第8章の地方自治の章を受けて制定され、住民に身近な行政サービスを担う地方自治の仕組みを規律します。本節では、地方自治法の意義と基本原理を理解し、国と地方の関係や地方公共団体の自律性について学びます。

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地方自治法の意義

簡単にいうと

都道府県や市町村の仕組みを定めた法律です。憲法が置いた地方自治の枠組みを、具体的な条文に落とし込んでいます。

国政が日本全体の行く末を左右するのに対し、都道府県や市町村の政治は毎日の生活に直結します。憲法は92条から95条までで地方自治の基本ルールを置き、それを具体化したのが地方自治法です。

憲法92条と地方自治の本旨

地方公共団体の組織および運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めるとされています(憲法92条)。

地方自治の本旨は2つの内容からなります。

  • ・団体自治:国から独立した存在として、国の関与を受けずに事務を処理すること
  • ・住民自治:住民の意思に基づいて、地方政治を行うこと

団体自治は国と地方の関係、住民自治は住民と地方公共団体の関係です。この2つを入れ替えた形で出題されることがあるので、どちらがどちらかを言えるようにしておきます。

地方自治法の目的(1条)

地方自治の本旨に基づいて、次の2つを定めることが1条の内容です。

  • ・地方公共団体の区分、地方公共団体の組織および運営に関する事項の大綱を定める
  • ・国と地方公共団体との間の基本的関係を確立する

これによって、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図り、地方公共団体の健全な発達を保障する、というのが1条の結びです。「健全な発展」ではなく「健全な発達」が条文の言葉です。

この章で学ぶ4つの柱

地方自治法の学習範囲は広いのですが、問われるところは次の4つに整理できます。

柱
内容
組織
議会と長・委員会。両者の対立をどう調整するか
事務
自治事務と法定受託事務の区別
住民の権利
選挙権・直接請求・住民監査請求
国の関与
国がどこまで地方に口を出せるか

なお明治憲法には地方自治に関する規定がありませんでした。地方自治法は日本国憲法の施行と同じ1947年5月3日に施行されています。

具体例

A市の住民が市長を選挙で選ぶのは住民自治、A市が国の指示を受けずに自分の判断で条例を定めるのは団体自治にあたります。

地方自治法の意義

地方自治法の意義

重要メモ

  • ・憲法92条の地方自治の本旨は団体自治と住民自治の2つ。入れ替えた形の出題に注意
  • ・団体自治は国から独立して事務を処理すること、住民自治は住民の意思に基づいて地方政治を行うこと
  • ・地方自治法1条は、民主的にして能率的な行政の確保と、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする(12-22-イ ○)
  • ・条文の言葉は「健全な発達」。「健全な発展」とする記述は誤り
  • ・憲法92条から95条が地方自治の基本ルール。これを具体化したのが地方自治法

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
地方自治の本旨
団体自治(国からの独立)と住民自治(住民による民主的運営)の2要素
団体自治を国との関係、住民自治を住民との関係と混同しない
条例制定権
法令に違反しない限り制定可能。抵触判断は趣旨・目的・内容・効果の総合比較
法令が最低基準か全国一律規制かで上乗せ条例の可否が変わる(徳島市公安条例事件)
国の関与
法定主義・必要最小限の原則。法律の根拠なき関与は違法
機関委任事務廃止後は包括的指揮監督権は存在しない
直接請求権
住民自治実現の具体的手段。条例請求は50分の1、解散・解職請求は3分の1の署名が必要
議会解散・解職請求では40万人超の場合に逓減制が適用される点を見落とさない

関連判例

徳島市公安条例事件

最大判昭50.9.10

明確性の原則は憲法31条から導かれる派生原則(条文には直接明記されていない) 明確性の判断基準:「通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうか」 多少解釈の余地がある文言でも、一般人基準で理解可能な程度に明確であれば合憲 条例と法令の抵触判断基準:文言の対比だけでなく「趣旨・目的・内容・効果を比較して矛盾抵触があるかどうか」で判断 注意:本件は「大法廷判決(最大判)」であることを押さえること 条例が国の法令より重い罰則を定めること(上乗せ条例)も、趣旨・目的が合理的であれば許容されうる

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売春条例事件

最大判昭37.5.30

憲法31条は刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものではなく、法律の授権によって下位法令(条例を含む)によって定めることもできる 条例への罰則授権が合憲となる条件は、法律の授権が相当程度に具体的かつ限定的であること 注意:授権が不特定な白紙委任的なものであれば違憲となる 条例は公選の議員による議会の議決を経た自治立法であり、行政府が制定する政令等とは異なり法律に類する民主的正統性を持つ点が合憲の根拠 憲法73条6号但書(政令への罰則委任の禁止)が、授権があれば下位法令で罰則を定められるという解釈の根拠として引用されている点も重要

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奈良県ため池条例事件

最判昭38.6.26

憲法29条2項により、財産権は公共の福祉に適合するよう制限できる 条例による財産権の制限も、地域の特殊事情がある場合は許容される(法律に限らない) ため池の堤とうを破損・決壊させる使用行為は「財産権の行使のらちがい(埒外)」にあり、そもそも保障されていない 財産権の制限が受忍限度内であれば、憲法29条3項の損失補償は不要 注意:「財産権を制限すれば必ず補償が必要」ではなく、受忍限度を超えるか否かが補償の分かれ目 条例による罰則規定(憲法31条との関係)も合憲とされた点も押さえること(大阪市売春取締条例事件を引用)

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