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テキスト/行政法/第1節 国家賠償法

第1節 国家賠償法

第5章 国家賠償法・損失補償

国家賠償法1条(公権力の行使)と2条(公の営造物の設置・管理の瑕疵)で賠償責任を負うのは、原則として加害公務員の選任監督者や営造物の設置管理者です。しかし、公務員の給与負担者と選任監督者、営造物の設置管理者と費用負担者が異なる場合、被害者は誰を被告にすればよいのでしょうか。この節では、賠償責任者の範囲を定めた3条と、外国人被害者への適用を定めた6条(相互保証主義)を学びます。3条は被害者保護のために被告の選択肢を広げ、6条は外国人被害者の救済要件を定める重要条文です。

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国家賠償法とは何か

簡単にいうと

行政の違法な活動によって損害を受けたとき、国や公共団体に賠償を求めることができます。そのルールを定めたのが国家賠償法です。

国家賠償法は、行政の違法な活動によって損害が生じてしまった場合、その損害を賠償してもらうための基本ルールを定めた法律です。

取消訴訟とは目的が異なり、取消訴訟は「違法な行政活動の取消し」を求めるものですが、国家賠償請求訴訟だけを先に提起することもできます。つまり取消訴訟の提起は国家賠償請求訴訟の前提要件ではなく、両者は独立して利用できます。

国家賠償法には主に以下の条文があります。 ・1条:公務員の不法行為による損害賠償 ・2条:公の営造物の設置・管理の瑕疵による損害賠償 ・3条:被告の選択(設置・管理者または費用負担者) ・4条:民法との関係(補充的適用) ・6条:外国人への適用(相互保証主義)

国家賠償法の概要・民法との関係

国家賠償法の概要・民法との関係

重要メモ

  • 「取消訴訟と国家賠償訴訟は目的・要件が異なり、前提要件なく独立して提起できる」がポイント
  • 根拠条文:憲法17条が国家賠償制度の基礎、国家賠償法が具体的ルールを規定
  • 国家賠償法の主要条文:1条(公務員の不法行為)・2条(公の営造物の瑕疵)・3条(費用負担者の責任)・4条(民法の補充的適用)・6条(外国人への相互保証)
  • 取消訴訟は「違法行政活動の取消し」が目的、国家賠償請求は「損害の填補」が目的=目的が別個
  • 取消訴訟と国家賠償請求訴訟は互いに前提要件とならない(両者を同時提起・単独提起ともに可能)
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民法との関係(4条)

4条

簡単にいうと

国家賠償法に規定がない部分は民法が補充的に適用されます。どちらが優先かを整理しておきましょう。

損害賠償請求については、通常民法の不法行為に関する規定が適用されます。しかし相手方が一般私人ではなく国や公共団体となる場合は、特別法である国家賠償法の規定が優先して適用されます(4条)。

適用関係は以下のとおりです。 ・国家賠償法に規定がある → 国家賠償法を適用 ・国家賠償法に規定がない → 民法を補充的に適用

「民法の規定」には一般的な不法行為規定(民法709条など)だけでなく、失火責任法も含まれます。

具体例

過去問:国家賠償法4条に定める「民法の規定」には失火責任法も含まれる(12-20-1改題 ○)

国家賠償法1条の要件(公権力の行使とは)

国家賠償法1条の要件(公権力の行使とは)

重要メモ

  • 「国家賠償法が特別法として優先、国家賠償法に規定なき部分にのみ民法が補充的に適用される」がポイント
  • 国家賠償法4条:国家賠償法に規定がある場合→国家賠償法適用、規定がない場合→民法を補充的に適用
  • 「民法の規定」の範囲:民法の不法行為規定(709条等)だけでなく、失火責任法も含まれる(12-20-1改題 ○)
  • 民法709条(一般不法行為)が基本規定だが、国家賠償法が特別法として優先適用
  • 失火責任法も「民法の規定」に含まれる点は過去問頻出:軽過失の場合は火元に賠償責任が生じない
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国家賠償法1条の5つの要件(概観)

1条

簡単にいうと

国家賠償法1条で賠償を請求するには、5つの要件をすべて満たす必要があります。まず全体像を把握しましょう。

国家賠償法1条は、公務員の不法行為により生じた損害に対する損害賠償について規定しています。賠償請求が認められるためには、以下の5つの要件をすべて満たさなければなりません。

①公権力の行使にあたる公務員の行為であること ②職務を行うについてであること ③違法な行為であること ④公務員に故意または過失があること ⑤損害の発生があること

これらのうち①②③はそれぞれ独立した判断基準があり、次のテーマで詳しく解説します。なお、2条(営造物の瑕疵)とは異なり、1条では故意・過失が要件となっています。

国家賠償法1条の要件(公務員とは)

国家賠償法1条の要件(公務員とは)

重要メモ

  • 「1条の5要件(公権力の行使・職務性・違法・故意過失・損害)をすべて満たすと国・公共団体が賠償責任を負う」がポイント
  • 5要件:①公権力の行使にあたる公務員の行為、②職務を行うについて、③違法な行為、④故意または過失、⑤損害の発生
  • 2条との重要な違い:1条は故意・過失が必要(過失責任)、2条は故意・過失不要(無過失責任)
  • 賠償責任を負うのは国または公共団体であり、加害公務員個人への直接請求は原則できない(最判昭30.4.19)
  • 例外:公務員に故意・重過失がある場合、国・公共団体が賠償後に当該公務員へ求償できる(1条2項)
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国家賠償法1条の要件(公権力の行使とは)

1条

簡単にいうと

国家賠償法1条の「公権力の行使」には何が含まれるのか。広く解釈されている点が重要です。

国家賠償法1条における「公権力の行使」とは、どの範囲までを指すのでしょうか。

【公権力の行使とは(最判平22.4.20)】 「公権力の行使」には処分のような権力的行為だけでなく、営造物の設置管理行為および純粋な私経済活動を除くすべての行政活動を含むと解されています(最判平22.4.20)。

【公権力の行使の該当性(判例)】 ○(該当する):一般的な行政活動、国立大学における教師の教育活動(最判昭62.2.6) ×(該当しない):課外クラブ活動において教師が生徒に対して行う監視・指導(最判昭58.2.18)

具体例

公立学校における教師の授業中の指導 → 公権力の行使に該当(○) 課外クラブ活動中の監視・指導 → 公権力の行使に該当しない(×)(最判昭58.2.18)

重要メモ

  • 「公権力の行使=純粋な私経済活動と営造物の設置管理を除くすべての行政活動(広い概念)」がポイント
  • 最判平22.4.20:権力的行為だけでなく、行政指導などの非権力的行為も含まれる
  • 含まれるもの:処分・行政指導・国会議員の立法行為・裁判官の職務行為・国立大学病院の医療行為など
  • 含まれないもの:営造物の設置・管理行為(→2条が適用)、純粋な私経済活動(国の一般的商取引等)
  • 課外クラブ活動中の教師の監督・指導は公権力の行使に該当しない(最判昭58.2.18)
  • 国立大学付属病院の通常の医療行為は公権力の行使に該当する(最判平25.7.4)
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国家賠償法1条の要件(公務員とは)

1条

簡単にいうと

国家賠償法1条の「公務員」は国家公務員法上の公務員だけではありません。公務を委託された民間人も含まれます。

国家賠償法1条における「公務員」とは、どのような者を指すのでしょうか。

【「公務員」とは(最判昭57.4.1)】 国家公務員法や地方公務員法上の公務員だけでなく、国会議員や裁判官、公務を委託された民間人も含まれます。

【民間企業の職員は「公務員」にあたるか(判例)】 社会福祉法人Yが管理する施設内で起こった不法行為について、病院が当該施設事業を委託していた場合、施設職員を「公務員」として国家賠償請求を認めた例があります(最判昭57.4.1)。

ただし、被委託者が完全に自由に業務を行っている場合(委任者の指揮・監督がない場合)は「公務員」とはいえません。

具体例

都道府県が児童福祉法に基づき委託した施設の職員 → 公務員に該当しうる

重要メモ

  • 「国家賠償法の『公務員』は国家・地方公務員法上の公務員に限らず、公務を委託された民間人も含む広い概念」がポイント
  • 含まれる者:国家公務員・地方公務員・国会議員・裁判官・公務を委託された私人(社会福祉法人職員など)
  • 最判昭57.4.1:社会福祉法人等に委託して行わせる事業の従事者も「公務員」に該当しうる
  • 判断基準:委託者(国・公共団体)の指揮・監督下にあるか否か。完全に自由に業務を行う場合は該当しない
  • 過去問:都道府県が児童福祉法に基づき委託した施設の職員は公務員に該当しうる(○)
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国家賠償法1条の要件(職務を行うについてとは)

1条

簡単にいうと

「職務を行うについて」とは、客観的に見て職務行為の外形を備えているかどうかで判断します。個人の主観的意図は問いません。

国家賠償法1条における「職務を行うについて」とは、どのようなものを指すのでしょうか。

【「職務を行うについて」とは(外形標準説)】 加害行為が客観的に職務行為の外形を備えるものであればよく、公務員個人の主観的意図は問わないとされています(最判昭31.11.30)。これを外形標準説といいます。

非番の警察官が制服を着用のうえ強盗殺人を起こした事案において、客観的には職務行為の外形を備えているとして国家賠償請求が認められました(最判昭31.11.30)。

具体例

非番の警察官が制服を着用して強盗殺人 → 職務を行うについてに該当(最判昭31.11.30) 過去問:公務員が私人として行った行為でも、客観的に職務執行の外形を備えていれば含まれる(98-37-2 ○)

国家賠償法2条

国家賠償法2条(公の営造物の設置・管理の瑕疵)

重要メモ

  • 「外形標準説=客観的に見て職務行為の外形を備えていれば足り、公務員個人の主観的意図は問わない」がポイント
  • 外形標準説(最判昭31.11.30):私的目的の行為でも、外形的に職務行為に見えれば「職務を行うについて」に該当
  • 非番の警察官が制服・拳銃を使用して強盗殺人→客観的外形が職務行為に見えるため「職務を行うについて」に該当(最判昭31.11.30)
  • 過去問:公務員が私人として行った行為でも、客観的に職務執行の外形を備えていれば「職務を行うについて」に含まれる(98-37-2 ○)
  • 外形標準説の趣旨:被害者保護。被害者は公務員の内心までわかないため、外見で判断
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国家賠償法1条の要件(違法な行為とは)

1条

簡単にいうと

国家賠償法1条の「違法な行為」とは何かを、注意義務を基準に判断します。行政の不作為(しないこと)も違法になることがあります。

国家賠償法1条における「違法な行為」とは、どのような行為をさすのでしょうか。

【違法の判断基準】 加害公務員が職務上、通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否かによって判断します(奈良税務署推計課税事件/最判平5.3.11)。

【違法行為の該当性(判例)】 ○(違法): ・パトカーによる違法者追跡行為(最判昭61.2.27)→ 追跡が不当・不相当のため違法 ・所得税の更正処分(最判平5.3.11)→ 税務署が職務上の注意義務を欠く行為→違法 ・警察官による逮捕及び勾留・起訴(最判昭53.10.20)→ 一定事案 ・クロロキン薬害訴訟(最判平7.6.23)→ 薬の認可規制権限の不行使が違法 ・アスベスト使用に関する規制権限の不行使(最判平26.10.9)→ 規制権限の不行使が違法 ×(適法): ・国会議員の立法不作為(最大判平17.9.14)→ 一般的には不法行為にならない ・薬の副作用による被害(監督権限不行使)

国家賠償法3条(被告の選択)

国家賠償法3条(被告の選択)

重要メモ

  • 「違法の基準=加害公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたかどうか(奈良税務署事件・最判平5.3.11)」がポイント
  • パトカー追跡事件(最判昭61.2.27):追跡の目的・方法・態様が社会通念上不相当であれば違法
  • 国会議員の立法不作為(最大判平17.9.14):原則として国家賠償法上違法にならない。例外:立法内容・不作為が国民の憲法上の権利を違法に侵害することが明白な場合のみ認める
  • 規制権限の不行使:クロロキン薬害(最判平7.6.23)・アスベスト(最判平26.10.9)→合理性を欠く規制権限の不行使は違法
  • 無罪確定後の逮捕・勾留・起訴(最判昭53.10.20):無罪判決が確定しても直ちに違法とはならない(逮捕時点の証拠・法令の解釈で判断)
  • 過去問:国会議員の立法不作為は原則として1条1項の適用上違法とならない(○)
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国家賠償法2条の要件と公の営造物

2条

簡単にいうと

道路や河川などの公の営造物の設置・管理に問題があって損害が生じた場合は、国家賠償法2条が適用されます。1条との違いも押さえましょう。

国家賠償法2条は、国や公共団体が設置・管理する公の営造物の瑕疵によって生じた損害の賠償について規定しています(2条)。

【国家賠償法2条の要件】 ①公の営造物であること ②設置または管理の瑕疵に基づく損害であること

1条との重要な違いとして、2条では故意・過失が要件とされていません(無過失責任)。管理者側の主観的態様を問わず、客観的に瑕疵があれば賠償責任が生じます。

【公の営造物とは】 国家賠償法2条には「道路・河川」とありますが、これはあくまで例示的な記載であり、公園・パトカーなど公の目的に利用されているものは広く公の営造物にあたります。

具体例

道路・河川・公園・パトカー・空港施設 → 公の営造物に該当 私有地・私有の自動車(公的用途に使われていないもの)→ 該当しない

国家賠償法6条(外国人への適用)

国家賠償法6条(外国人への適用・相互保証主義)

比較項目
1条(公務員の不法行為)
2条(営造物の瑕疵)
対象
公務員の行為
公の営造物
故意・過失
必要
不要(無過失責任)
主な争点
公権力の行使・違法性
瑕疵の有無

重要メモ

  • 「2条は無過失責任=故意・過失は不要。公の営造物に客観的な瑕疵(通常有すべき安全性の欠如)があれば賠償責任が生じる」がポイント
  • 2条の2要件:①公の営造物であること、②設置または管理の瑕疵に基づく損害であること
  • 1条との違い(比較):1条→過失責任(故意・過失が必要)、2条→無過失責任(故意・過失不要)
  • 「公の営造物」の範囲:道路・河川は例示にすぎない。公園・空港施設・パトカー・公立学校建物なども含む
  • 含まれないもの:私有地・私用の自動車(公的用途に供されていないもの)
  • 瑕疵の意味:営造物が通常有すべき安全性を欠いていること(客観的判断)
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設置・管理の瑕疵とは(判例)

2条

簡単にいうと

2条の「設置・管理の瑕疵」とは何かを判例で確認します。予算不足でも免責されない点が重要です。

国家賠償法2条の「設置または管理の瑕疵」とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。

【設置・管理の瑕疵の該当性(判例)】 ○(瑕疵あり): ・道路脇に落石対策の防護柵がない(高知国道落石事件/最判昭45.8.20) ・故障した道路が187時間以上放置(最判昭50.7.25) ・交通事故で路上に残った後続車の引き込みを翌日まで放置(最判昭50.6.26) ・改修前の河川が大雨で氾濫した場合(多摩川水害事故)→ 管理に瑕疵あり ×(瑕疵なし): ・改修計画に基づきすでに改修・整備された段階において想定外の洪水(多摩川水害事件)→ 管理に瑕疵なし

【予算不足と瑕疵の関係】 予算措置が困難であっても、道路管理者は賠償責任を免れません(最判昭45.8.20)。財政的事情は免責理由にならない点が重要です。

具体例

過去問:道路管理者が予算措置困難であっても損害賠償責任を免れない(10-20-2 ○)

重要メモ

  • 「予算不足・財政的事情は免責事由にならない。管理者は瑕疵があれば責任を負う」がポイント
  • 瑕疵の判断基準:営造物が通常有すべき安全性を欠いていること(客観的判断)
  • 高知国道落石事件(最判昭45.8.20):道路脇に防護柵なし→瑕疵あり。予算不足を理由に道路管理者は免責されない
  • 道路故障放置事件(最判昭50.7.25):故障した道路を長時間放置→後続車が追突→瑕疵あり
  • 多摩川水害訴訟(最判昭59.1.26):未改修河川の氾濫→財政的・技術的制約を考慮しつつ客観的に安全性を欠くかで判断
  • 改修済み河川で想定外の洪水→改修基準を満たしていれば原則として瑕疵なし
  • 過去問:道路管理者が予算措置困難であっても損害賠償責任を免れない(10-20-2 ○)
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国家賠償法3条(被告の選択)

3条

簡単にいうと

国家賠償請求の被告は誰になるのか。加害公務員の所属機関と費用負担者のどちらを被告にしてもよいというルールです。

私たち国民にとって、損害賠償請求の被告を誰にするかは大きな問題です。国家賠償法3条では、加害公務員が属する国や公共団体、公の営造物を設置・管理する国や公共団体以外にも損害賠償請求ができる規定が設けられています。

【国家賠償請求訴訟の被告(国家賠償法3条)】 ・加害公務員の所属する国または公共団体(1条) ・営造物を設置・管理する国または公共団体(2条) もしくは ・公務員の俸給、給与の費用負担者(3条1項) ・公の営造物の設置もしくは管理の費用負担者(3条1項)

費用負担者が損害を賠償した場合、加害公務員の所属する国または公共団体・公の営造物を設置・管理する国または公共団体に対して求償することができます(3条2項)。

過去問:公の営造物の管理者と費用負担者とが異なる場合、被害者に対して損害賠償責任を負うのは、費用負担者のみに限られる(09-19-4 ×→営造物の設置・管理者も損害賠償責任を負う)。

重要メモ

  • 「管理者(1条・2条の責任主体)と費用負担者のどちらを被告にしてもよく、両方が損害賠償責任を負う」がポイント
  • 国家賠償法3条1項:公務員の俸給・給与等の費用負担者または営造物の設置管理の費用負担者も損害賠償責任を負う
  • 被告の選択肢:①加害公務員所属の国・公共団体(1条)または公の営造物の管理者(2条)、②費用負担者(3条)の両方を被告にできる
  • 求償関係:費用負担者が損害賠償した場合、加害公務員所属機関または営造物管理者に求償できる(3条2項)
  • 管理者と費用負担者が異なる場合でも両方が損害賠償責任を負う(費用負担者のみが責任を負うわけではない)
  • 過去問:費用負担者のみが損害賠償責任を負うは誤り(09-19-4 ×)
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国家賠償法6条(外国人への適用)

6条

簡単にいうと

国家賠償法は外国人にも適用されることがありますが、相互保証主義という条件があります。

外国人が被害者である場合、その被害者の本国で日本国民が賠償を受けられる場合に限り、当該外国人に国家賠償法が適用されます(6条)。

【相互保証主義】 例えば、イギリスの警察官から不法行為を受けた日本人がイギリスの国家賠償制度で救済される場合 → 日本の警察官から不法行為を受けたイギリス人は日本の国家賠償制度で救済される、という関係です。

この相互保証主義は1条(公務員の不法行為)だけでなく、2条(営造物の瑕疵)についても同様に適用されます。

過去問:外国人が被害者である場合、国家賠償法が、同法につき相互の保証があるときに限り適用されるとしているのは、公権力の行使に関する1条の責任についてのみであるから、2条の責任については、相互の保証がなくとも、被害者である外国人に対して国家賠償責任が生じる(11-19-3 ×→2条についても相互保証が必要)。

重要メモ

  • 「外国人への国家賠償法適用には相互保証が条件=被害者の本国で日本人が同様に賠償を受けられる場合のみ適用」がポイント
  • 国家賠償法6条:外国人が被害者の場合、相互保証がある場合にのみ国家賠償法を適用(相互保証主義)
  • 相互保証の意味:被害者の本国(例:イギリス)で日本人が国家賠償を受けられる→日本でイギリス人にも国家賠償法を適用
  • 適用範囲:1条の責任だけでなく、2条(営造物の瑕疵)の責任についても相互保証が必要
  • 過去問:2条の責任については相互保証がなくとも外国人に賠償責任が生じるは誤り(11-19-3 ×)

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
国家賠償法3条:賠償責任者(費用負担者の責任)
選任監督者・設置管理者と費用負担者が異なる場合、費用負担者も賠償責任を負う。被害者はいずれにも請求可能
3条2項の求償権。内部関係で責任ある者に求償できる(最判平21.10.23)
国家賠償法6条:相互保証主義
外国人被害者には、相互の保証があるときに限り国賠法を適用
相互保証の立証責任は原告側。実務上は相互保証が否定された例はほとんどない
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