第9節 教示
第4章 行政事件訴訟法
処分を受けた私人が、どのような不服申立てや訴訟ができるかを知らなければ、権利救済の機会を失ってしまいます。そこで行政庁には、処分の際に不服申立ての方法等を教える教示義務が課されています。教示制度は行政不服審査法82条(不服申立てについて)と行政事件訴訟法46条(取消訴訟について)の双方に規定されており、その範囲・効果には重要な違いがあります。両者を対比して理解することが試験の最重要ポイントです。
教示制度
簡単にいうと
訴訟を起こせること自体を知らない人のための制度です。行政不服審査法の教示と並べると違いが見えます。
行政事件訴訟を提起できるということを、一般国民が必ず知っているわけではありません。そこで行政不服審査法と同様に、教示制度が設けられています。
出題頻度は高くありませんが、行政不服審査法の教示制度と比較する形で問われます。
行政不服審査法との比較
教示する内容の違い
行政不服審査法は「不服申立て」についての3点、行政事件訴訟法は「取消訴訟」についての3点を教示します。
行政事件訴訟法で被告を教示するのは、取消訴訟の被告が処分をした行政庁ではなく、その行政庁が所属する国または公共団体だからです。間違えやすいので教示の対象になっています。
なお形式的当事者訴訟の場合、③の審査請求前置に関する教示は必要ありません。
違いが3つ
覚えるべき違いは3つです。
- ・口頭処分の教示義務は、どちらもなし。行政不服審査法にはあると覚えていると誤ります
- ・利害関係人からの請求による教示は、行政不服審査法だけにある
- ・誤った教示をした場合の救済は、行政不服審査法だけにある
特に誤った教示をした際の救済規定が行政事件訴訟法にはない点が問われます。行政不服審査法には22条・83条という手厚い救済規定がありましたが、行政事件訴訟法には対応する規定が置かれていません。
具体例
A県がBに処分をするときは、取消訴訟の被告がA県であること、出訴期間、審査請求前置の規定の有無を書面で教示します。口頭で処分する場合は教示義務がありません。

教示制度(行審法との比較)
重要メモ
- ・行政事件訴訟法の教示事項は、取消訴訟の被告とすべき者・出訴期間・審査請求前置の規定があるときはその旨
- ・口頭で処分がされた場合の教示義務は、行政不服審査法にも行政事件訴訟法にもない
- ・利害関係人からの請求による教示があるのは行政不服審査法だけ
- ・誤った教示をした場合の救済規定があるのも行政不服審査法だけで、行政事件訴訟法にはない
- ・形式的当事者訴訟の場合、審査請求前置に関する教示は必要ない
まとめ
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行政法の重要用語
不可争力
行政行為に対して不服申立てができる期間が過ぎると、私人の側からはもう争えなくなる効力のこと。
期限
行政行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来する事実にかからせる附款のこと。
公用制限
公共目的のために私人の財産権に制限を加えるが、所有権自体は残したままにする行政作用のこと。
行政不服審査法
行政庁の処分や不作為に対して、国民が簡易・迅速に不服を申し立てるための手続を定めた法律のこと。
行政罰
行政上の義務違反に対して制裁として科される罰のこと。刑事罰である行政刑罰と、金銭罰である秩序罰の2種類がある。
法律行為的行政行為
行政庁の意思表示によって法律効果を発生させる行政行為のこと。許可や認可など、意思の内容どおりに効果が生じる点が特徴。
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