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第9節 教示

第4章 行政事件訴訟法

処分を受けた私人が、どのような不服申立てや訴訟ができるかを知らなければ、権利救済の機会を失ってしまいます。そこで行政庁には、処分の際に不服申立ての方法等を教える教示義務が課されています。この節では、教示制度の意義と効果を学びます。

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教示制度の意義

行政不服審査法82、行政事件訴訟法46

教示とは、行政庁が処分をする際に、不服申立てや取消訴訟の方法を相手方に教えることです。国民の権利救済を実効的にするため、行政不服審査法と行政事件訴訟法の両方に規定があります。

具体例

A市は、Bさんの建築確認申請を不許可としました。その通知書には「この処分に不服があるときは、60日以内にA市長に審査請求ができます」と記載されていました。これが教示です。

要件

  • 書面による処分であること(口頭の処分には教示義務なし)
  • 申請に対する処分または不利益処分であること

効果・結論

  • 正しい教示があれば、相手方はそれに従って不服申立て等をすればよい
  • 誤った教示や教示を怠った場合には、相手方保護のための特則が適用される

条文(第行政不服審査法82、行政事件訴訟法46条)

行政不服審査法82条1項:行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。

場合
効果
書面による処分
教示義務あり
口頭による処分
教示義務なし

試験のポイント

  • 教示義務があるのは書面による処分のみ(口頭処分には義務なし)
  • 行政不服審査法の教示は不服申立てについて、行政事件訴訟法の教示は取消訴訟について(両方が必要)
  • 教示を怠っても処分の効力には影響しない(処分は有効)
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教示の内容

行政不服審査法82、行政事件訴訟法46

教示には、不服申立てに関する教示(行政不服審査法)と取消訴訟に関する教示(行政事件訴訟法)があります。それぞれ教示すべき事項が法定されています。

具体例

Cさんは営業許可を不許可とされました。通知書には「審査請求先:知事、期間:60日以内」「取消訴訟:地方裁判所、期間:6か月以内」と両方が記載されていました。

要件

  • 不服申立てができる旨
  • 不服申立て先の行政庁
  • 不服申立ての期間
  • 取消訴訟を提起できる旨・裁判所・期間(行政事件訴訟法の教示)

効果・結論

  • 相手方は教示に従って適切な救済手段を選択できる
  • 行政の透明性・説明責任が向上する

条文(第行政不服審査法82、行政事件訴訟法46条)

行政事件訴訟法46条1項:取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする行政庁は、当該処分又は裁決の相手方に対し、当該処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者、出訴期間その他取消訴訟の提起に必要な事項を書面で教示しなければならない。

場合
効果
行政不服審査法の教示
審査請求先・期間を教示
行政事件訴訟法の教示
被告・裁判所・出訴期間を教示

試験のポイント

  • 不服申立てと取消訴訟の両方について教示が必要
  • 教示事項は法定されている(審査請求先・期間・被告・出訴期間等)
  • 申請拒否処分には必ず教示義務がある
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教示を怠った場合・誤った教示

行政不服審査法82条2項

教示を怠ったり、誤った教示をした場合でも、処分の効力には影響しません。ただし、相手方保護のため、出訴期間等の特則が適用されます。

具体例

Dさんは処分通知に教示がなかったため、3か月後に審査請求先を知りました。本来60日以内ですが、教示義務違反により知った日から起算され、適法に審査請求できました。

要件

  • 教示義務違反(教示を怠った、または誤った教示)
  • 相手方が正当な理由により期間内に不服申立て等ができなかった

効果・結論

  • 処分の効力には影響しない(処分は有効)
  • 審査請求期間の起算点が「処分があったことを知った日」から「正当な不服申立て先を知った日」に変更される(行政不服審査法82条2項)
  • 取消訴訟の出訴期間も同様に延長される場合がある

条文(第行政不服審査法82条2項条)

行政不服審査法82条2項:行政庁が前項の規定による教示をしなかつた場合には、当該処分について審査請求をすることができる者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。

場合
効果
教示あり・正しい
通常の期間制限が適用
教示なし・誤った教示
期間起算点が変更、処分庁への提出可

試験のポイント

  • 教示義務違反でも処分は無効にならない(有効)
  • 誤った教示に従って審査請求した場合、正しい審査庁に回送される
  • 教示がなくても期間制限自体は存在する(無期限ではない)
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利害関係人への教示

行政不服審査法82条3項

処分の相手方以外の利害関係人(第三者)が教示を求めた場合、行政庁は教示をしなければなりません。第三者の権利救済の機会を確保するための規定です。

具体例

E社の隣地でF社に建築許可が出ました。日照被害を受けるEさんが市に「この許可について不服申立てできますか」と尋ねたところ、市は審査請求の方法を教示しました。

要件

  • 利害関係人からの教示の求めがあること
  • 当該処分について不服申立てをすることができる者であること

効果・結論

  • 行政庁は利害関係人に対して教示をしなければならない
  • 第三者の権利救済の機会が確保される

条文(第行政不服審査法82条3項条)

行政不服審査法82条3項:何人も、処分について、当該処分をした行政庁に対し、審査請求をすることができるかどうか並びに審査請求をすべき行政庁及び審査請求をすることができる期間について、書面で教示を求めることができる。

場合
効果
処分の相手方
当然に教示を受ける
利害関係人
求めがあれば教示を受ける

試験のポイント

  • 利害関係人も教示を求める権利がある(相手方だけではない)
  • 教示の求めがあれば、行政庁は応答義務を負う
  • 第三者の原告適格の有無は別途判断される

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
教示制度の意義
書面処分には不服申立て・訴訟方法の教示義務
口頭処分には教示義務なし
教示の内容
審査請求先・期間、被告・出訴期間を記載
不服申立てと訴訟の両方を教示
教示違反の効果
処分は有効だが期間起算点が変更
処分が無効になるわけではない
利害関係人への教示
第三者も求めれば教示を受けられる
原告適格とは別問題

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