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テキスト/基礎知識/第1節 行政書士法

第1節 行政書士法

第4章 諸法令

行政書士法は、行政書士制度の根幹を定める法律であり、試験科目として最も重要です。業務の範囲、欠格事由、守秘義務、義務規定など、実務に直結する論点が毎年必ず出題されます。この節では行政書士としての「できること」と「してはならないこと」を明確に理解します。

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行政書士の業務範囲

1条の2、1条の3

行政書士は、官公署に提出する書類の作成権利義務・事実証明に関する書類の作成許認可等の代理を業務とします。これらは独占業務であり、無資格者が行うことは禁止されています。

具体例

Aさんは飲食店開業のため、保健所への営業許可申請書類の作成を行政書士Bさんに依頼しました。Bさんは書類作成だけでなく、保健所への提出代理も行いました。

要件

  • 行政書士の資格を有すること
  • 行政書士名簿への登録を受けていること
  • 行政書士会に入会していること

効果・結論

  • 官公署提出書類等の作成・代理業務を独占的に行える
  • 相談業務も業務範囲に含まれる

条文(第1条の2、1条の3条)

第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。 第一条の三 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。一 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

場合
効果
官公署提出書類
作成・代理とも行政書士の独占業務
権利義務に関する書類
作成は可能だが訴訟代理は不可(弁護士の範囲)
事実証明に関する書類
作成可能(例:議事録、実地調査報告書等)

試験のポイント

  • 他士業の独占業務との境界:弁護士法72条(法律事務)、司法書士法(登記)、税理士法(税務)との区別が頻出
  • 報酬を得てが要件であり、無償なら非行政書士でも可能な点に注意
  • 事実証明書類の範囲(契約書、議事録等)は広く問われる
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欠格事由

2条の2

欠格事由に該当する者は行政書士となることができません。未成年者、成年被後見人・被保佐人、破産者で復権していない者、一定の刑の執行終了後一定期間を経過しない者などが該当します。

具体例

Cさんは行政書士試験に合格しましたが、過去に禁錮以上の刑に処せられ、執行終了後2年しか経過していません。この場合、まだ登録できません。

要件

  • 禁錮以上の刑に処せられ執行終了後2年を経過していないこと(該当すれば欠格)
  • 行政書士法違反等で罰金刑に処せられ3年未経過(該当すれば欠格)
  • 成年被後見人・被保佐人でないこと

効果・結論

  • 欠格事由に該当する場合、登録が拒否される
  • 登録後に欠格事由が判明した場合、登録が取り消される

条文(第2条の2条)

第二条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有しない。一 未成年者 二 成年被後見人又は被保佐人 三 破産者で復権を得ないもの 四 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しないもの

場合
効果
禁錮以上の刑
執行終了後2年間は欠格
行政書士法違反等での罰金刑
執行終了後3年間は欠格
破産者
復権を得るまで欠格

試験のポイント

  • 禁錮以上は2年、罰金刑は3年という期間の違いを正確に記憶
  • 破産者は復権を得れば欠格事由から外れる点に注意
  • 欠格事由は登録時だけでなく登録後も適用され、該当すれば登録取消
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守秘義務

12条

守秘義務は、行政書士が業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない義務です。この義務は行政書士でなくなった後も存続し、違反すれば1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

具体例

行政書士Dさんは依頼者Eさんの離婚協議書を作成しました。その後、友人との雑談でEさんの離婚理由を話してしまい、守秘義務違反で処罰されました。

要件

  • 行政書士が業務上知り得た秘密であること
  • 正当な理由なく秘密を漏らすこと

効果・結論

  • 違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 行政書士でなくなった後も義務は存続する
  • 懲戒処分(戒告、2年以内の業務停止、業務禁止)の対象

条文(第12条条)

第十二条 行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。

試験のポイント

  • 行政書士でなくなった後も義務継続は頻出ポイント
  • 刑事罰の対象であり、単なる行政処分ではない点を押さえる
  • 正当な理由(法令に基づく開示義務等)がある場合は例外
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その他の義務・禁止規定

10条、11条、19条

行政書士には守秘義務の他、事務所設置義務業務を行い得ない事件の制限名義貸しの禁止非行政書士との提携禁止などの義務規定があります。

具体例

行政書士Fさんは自分の親族が当事者である許認可申請の代理を依頼されましたが、利益相反の恐れがあるため受任を断りました。

要件

  • 事務所を設けること(事務所設置義務)
  • 自己又は同居の親族が当事者である事件等は受任できない
  • 名義を他人に貸してはならない

効果・結論

  • 違反した場合、懲戒処分(戒告、業務停止、業務禁止)の対象
  • 名義貸しは1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 非行政書士との提携も同様の刑罰

条文(第10条、11条、19条条)

第十条 行政書士は、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。 第十一条 行政書士は、自己又は同居の親族が代理人、相手方、次順位の相続人その他の関係人である事件については、その業務を行つてはならない。 第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の三第一項各号に掲げる事務を行うことができない。

場合
効果
守秘義務違反
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
名義貸し
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
信用失墜行為
懲戒処分の対象(罰則なし)

試験のポイント

  • 名義貸しと非行政書士との提携はいずれも刑事罰の対象
  • 信用失墜行為の禁止は抽象的義務だが懲戒事由となる
  • 事務所設置義務に違反しても罰則はないが、懲戒対象

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
業務範囲
官公署提出書類・権利義務事実証明書類の作成が独占業務
他士業(弁護士・司法書士・税理士)の業務との境界線
欠格事由
禁錮以上2年・罰金刑3年・破産者は復権まで
期間の違いと復権要件を混同しない
守秘義務
業務上の秘密を漏らさない・退職後も継続・刑事罰あり
行政書士でなくなった後も義務継続する点
その他義務
事務所設置・名義貸し禁止・非行政書士提携禁止
名義貸しは刑事罰、信用失墜行為は懲戒のみ

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