第2節 国内政治
第1章 政治
国内政治では、選挙制度、政党政治、国会・内閣・裁判所の三権のしくみなど、日本の政治体制の基本を学びます。行政書士試験では、選挙制度の詳細や予算・財政に関する出題が頻出です。憲法や行政法の理解を深めるための土台となる重要分野です。
議院内閣制
議院内閣制とは、国会の信任に基づいて内閣が成立し、国会に対して連帯して責任を負う制度です。日本国憲法が採用する統治機構の基本原理であり、権力分立の一形態です。内閣不信任決議により内閣は総辞職または衆議院解散を選択します。
具体例
A党が衆議院で過半数を獲得し、A党党首のBさんが総理大臣に指名されました。しかし、Bさん内閣の政策に国会が反発し、衆議院が不信任決議を可決。Bさんは衆議院を解散し、国民に信を問うことにしました。
要件
- ・内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名される
- ・国務大臣の過半数は国会議員でなければならない
- ・内閣は国会に対して連帯して責任を負う
効果・結論
- ・衆議院で内閣不信任決議が可決された場合、内閣は10日以内に総辞職または衆議院解散を行う
- ・内閣と国会の多数派が一致することで安定的な政権運営が可能となる
試験のポイント
- ・衆議院の解散権は内閣にあり、参議院に解散はない点を押さえる
- ・国務大臣の「過半数」が国会議員であればよく、全員である必要はない
小選挙区比例代表並立制
小選挙区比例代表並立制とは、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙制度です。衆議院議員総選挙で採用され、小選挙区289議席、比例代表176議席の計465議席を選出します。有権者は小選挙区と比例代表で2票を投じます。
具体例
衆議院選挙でAさんは、小選挙区で地元候補のBさんに1票、比例代表でC党に1票を投じました。小選挙区ではBさんが当選しましたが、比例代表ではC党の候補者リストからドント方式で議席が配分されました。
要件
- ・小選挙区では1選挙区から1名を選出
- ・比例代表では全国11ブロックで政党名簿式投票
- ・小選挙区と比例代表で重複立候補が可能
効果・結論
- ・小選挙区では死票が多く、二大政党制になりやすい
- ・比例代表では少数政党も議席を得やすく、多党制を促進する
- ・並立制では両制度の特徴が独立して現れる
試験のポイント
- ・参議院は「比例代表と選挙区の並立」だが、衆議院とは異なり「小選挙区」ではない点に注意
- ・比例代表の議席配分はドント方式(最高平均方式)を使用
- ・衆議院の定数配分はアダムズ方式で都道府県に議席を配分
選挙の基本原則
選挙の基本原則として、普通選挙(財産・納税等の制限なし)、平等選挙(一人一票)、直接選挙(選挙人が直接候補者を選ぶ)、秘密投票(投票内容の秘匿)の4原則があります。これにより選挙の公正性と民主性が保障されます。
具体例
Aさん(会社員)もBさん(学生)も、20歳以上なら同じ一票を持ち、投票所で直接候補者名を記入します。投票用紙は封筒に入れられ、誰に投票したかは秘密です。財産の有無に関わらず投票できます。
要件
- ・満18歳以上の日本国民であること(普通選挙)
- ・各選挙人が1票ずつ持つこと(平等選挙)
- ・選挙人自身が投票すること(直接選挙)
- ・投票内容を秘密にすること(秘密投票)
効果・結論
- ・財産・性別・教育による選挙権の制限が禁止される
- ・選挙の公正性が確保され、民主主義の基盤が保たれる
- ・期日前投票制度や在外投票制度により投票機会が拡大される
試験のポイント
- ・かつての制限選挙(納税額による制限)との対比で「普通選挙」が問われる
- ・間接選挙(米国大統領選挙など)と直接選挙の違いを理解する
- ・一票の格差問題は「平等選挙」の原則から違憲審査の対象となる
予算と財政
国の一般会計予算は、毎年度の歳入歳出の見積もりであり、国会の議決を経て成立します。年度開始までに成立しない場合は暫定予算、年度途中の追加需要には補正予算で対応します。赤字国債(特例国債)は財政法の原則上禁止ですが、特別法で発行されます。
具体例
政府は4月からの新年度予算案を1月に国会提出しましたが、審議が遅れました。4月に間に合わないため、数ヶ月分の暫定予算を組んで対応。また、災害対応のため9月に補正予算を編成し、追加支出を行いました。
要件
- ・予算案は内閣が作成し国会に提出
- ・予算の議決は衆議院が先議権を持つ
- ・両院協議会でも不一致の場合、衆議院の議決が国会の議決となる
効果・結論
- ・一般会計予算により国の基本的な歳入歳出が執行される
- ・補正予算により年度途中の財政需要に対応できる
- ・赤字国債の発行により財政赤字が累積する
試験のポイント
- ・予算は「法律」ではなく「予算」として国会の議決対象となる点を押さえる
- ・建設国債は財政法で認められるが、赤字国債(特例国債)は特別法が必要
- ・市中消化の原則(日銀の国債直接引受禁止)との関連を理解する
まとめ
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