第1節 紛争解決
第2章 紛争解決の方法
社会生活において紛争は避けられません。この節では、紛争を解決するための様々な方法を学びます。裁判だけでなく、裁判外の紛争処理(ADR)など多様な解決手段があることを理解し、試験頻出の三審制や裁判員制度などの司法制度の基本構造を押さえましょう。
紛争解決の手段
紛争解決には大きく分けて私的自治による解決(当事者間の交渉・和解)、裁判外の紛争処理(ADR)(調停・仲裁など)、裁判による解決(訴訟)の3つがあります。現代では多様な解決手段の整備が進められています。
具体例
Aさんは隣人Bさんの騒音に悩んでいます。まず直接話し合いをし、それでも解決しない場合は市の調停委員会を利用し、最終的には裁判所に騒音差止訴訟を提起することも検討します。
要件
- ・私的自治による解決:当事者の合意
- ・ADR:中立的第三者の関与
- ・裁判:裁判所による終局的判断
効果・結論
- ・私的自治は迅速だが強制力なし
- ・ADRは柔軟な解決が可能
- ・裁判は強制力があるが時間・費用がかかる
試験のポイント
- ・ADRは裁判外紛争解決手続の総称であり、調停・仲裁・あっせんなどを含む
- ・司法制度改革でADRの整備・拡充が進められた点が頻出
- ・裁判は最終手段であり、ADRとの使い分けが重要
裁判外の紛争処理(ADR)
ADR(Alternative Dispute Resolution)は、裁判によらない紛争解決手続の総称です。調停(第三者が仲介し合意を促す)、仲裁(第三者の判断に拘束される)、あっせんなどがあり、簡易・迅速・柔軟な解決が可能です。
具体例
Aさんは商品の欠陥でB社と紛争になりました。裁判は時間がかかるため、消費生活センターのあっせんを利用し、第三者の助言を得ながら1か月で和解が成立しました。
要件
- ・当事者の申立てまたは合意
- ・中立的第三者の関与
- ・手続の任意性(仲裁を除く)
効果・結論
- ・調停・あっせんは合意により解決(強制力は合意による)
- ・仲裁判断は確定判決と同一の効力を持つ
- ・訴訟に比べ簡易・迅速・低コストで解決可能
試験のポイント
- ・仲裁判断は確定判決と同一の効力があり、強制執行可能な点が重要
- ・調停・あっせんと仲裁の違い(拘束力の有無)を明確に区別する
- ・司法制度改革でADR法が制定され、民間ADRも認証制度ができた
三審制
三審制は、同一事件について3回まで裁判を受けられる制度です。第一審(地裁・簡裁)、第二審(高裁・地裁)、第三審(最高裁)と段階的に審理し、慎重な裁判と裁判の公正を確保します。憲法上保障された制度です。
具体例
Aさんは地裁で敗訴しました。判決に不服なので高裁に控訴し、高裁でも敗訴したため最高裁に上告しました。これにより3回まで裁判を受ける機会が保障されています。
要件
- ・第一審判決に対する不服(控訴)
- ・第二審判決に対する不服(上告)
- ・法定の上訴期間内の申立て
効果・結論
- ・慎重な事実認定と法令解釈の統一
- ・裁判の公正の確保
- ・上訴審での判決の変更可能性
試験のポイント
- ・憲法上保障された制度であることを理解する
- ・上告は原則として法令違反のみが理由となる点に注意
- ・第二審は控訴、第三審は上告と用語を正確に使い分ける
裁判員制度と司法制度改革
裁判員制度は、国民が裁判員として刑事裁判に参加する制度です。重大な刑事事件の第一審で、裁判官3名と裁判員6名が協働して審理します。司法制度改革の一環として2009年に導入され、国民の司法参加を実現しています。
具体例
Aさんは裁判員に選ばれ、殺人事件の裁判に参加しました。裁判官と一緒に証拠を検討し、有罪か無罪か、量刑はどうするかを評議して判決を下しました。
要件
- ・対象事件:死刑・無期懲役に当たる事件、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件
- ・裁判員6名、裁判官3名の合議体
- ・有権者から無作為抽出で選任
効果・結論
- ・国民の司法参加による裁判の透明性向上
- ・裁判官と裁判員が対等に評議し判断
- ・有罪・無罪、量刑について過半数で決定(裁判官1名以上の賛成必要)
試験のポイント
- ・対象は刑事事件の第一審のみで、民事事件や控訴審は対象外
- ・裁判員6名・裁判官3名の構成を正確に覚える
- ・司法制度改革の柱として、法科大学院制度、ADR拡充と並んで重要
まとめ
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