第2節 法令用語
第1章 法学
法令を読み解くには、法令特有の用語と解釈ルールを理解することが不可欠です。この節では、及びと並びにの使い分けや、新法優先の原則など、試験で頻出する法令用語と法の適用ルールを学びます。これらは択一式で確実に得点すべき最重要論点です。
法令用語(及び・並びに・又は・若しくは)
法令文では接続詞の使い分けが厳密に定められています。及びは小さい並列、並びには大きい並列を示し、又はは小さい選択、若しくはは大きい選択を示します。接続する語句の階層構造を明確にするために使い分けられます。
具体例
AさんはBさん及びCさん並びにDさん又はEさん若しくはFさんに連絡する。この場合、(B及びC)並びに(D又はE若しくはF)という階層構造になる。
要件
- ・「及び」は同じ階層の小さい並列接続に使用
- ・「並びに」は異なる階層をつなぐ大きい並列接続に使用
- ・「又は」は同じ階層の小さい選択接続に使用
- ・「若しくは」は異なる階層内の選択接続に使用
効果・結論
- ・法令文の正確な読解が可能になる
- ・接続詞の使い分けで条文の適用範囲が明確になる
試験のポイント
- ・「及び」と「並びに」の使い分けは択一式で頻出。大きい接続が「並びに」、小さい接続が「及び」
- ・「又は」と「若しくは」も同様。選択肢の階層構造を見抜く練習が必須
- ・複数の接続詞が混在する条文では、カッコで階層を整理して読む癖をつける
法の適用に関する原則
複数の法令が競合する場合の優先順位を定めるルールです。後法優先の原則は新しい法が古い法に優先し、特別法優先の原則は特別法が一般法に優先し、新法優先の原則は制定時期による優先を意味します。これらは法秩序の統一性を保つために重要です。
具体例
民法(一般法)と借地借家法(特別法)が競合する場合、借地借家法が優先適用される。また、改正前の民法より改正後の民法が優先される。
要件
- ・特別法と一般法が競合する場合は特別法優先
- ・新法と旧法が競合する場合は新法(後法)優先
- ・同一事項について異なる法令がある場合に適用
効果・結論
- ・法令の適用順位が明確になる
- ・法的安定性が確保される
- ・具体的事案で適用すべき法令が特定できる
試験のポイント
- ・「後法優先」と「新法優先」は同義。対義語は「前法」「旧法」
- ・特別法優先は時間的前後に関係なく適用される。新しい一般法より古い特別法が優先
- ・憲法は最高法規なので、どの法律よりも優先(憲法98条)
法解釈の方法
条文の意味を明らかにする技術です。拡張解釈は文言の意味を広げ、縮小解釈は狭め、類推解釈は類似事例に適用し、反対解釈は逆の結論を導きます。準用は他の条文を借用して適用することを意味します。
具体例
「車両」に自転車が含まれるか問題になった場合、拡張解釈すれば含まれ、縮小解釈なら含まれない。類推解釈では類似の規定を参考にする。
要件
- ・拡張解釈:条文の文言の射程を広げる
- ・縮小解釈:条文の文言の射程を狭める
- ・類推解釈:規定のない事項に類似の規定を適用
- ・反対解釈:条文の反対の場合に逆の結論を導く
効果・結論
- ・条文の適用範囲が明確になる
- ・法の欠缺を補完できる
- ・具体的事案への柔軟な対応が可能
試験のポイント
- ・類推解釈は明文規定がない場合に類似規定を適用する点で、拡張解釈(文言内)と異なる
- ・刑罰法規には類推解釈は禁止(罪刑法定主義)。拡張解釈は許される
- ・「準用」は条文で明示的に指示される点で類推解釈と異なる
公布と施行
公布は法令を官報に掲載して国民に知らせることであり、施行は法令が実際に効力を発生することです。公布から施行までに一定期間(周知期間)を置くのが通例で、法律は公布から20日後に施行されるのが原則です。
具体例
令和5年4月1日に公布された法律は、特に施行日の定めがなければ、4月21日(20日後)に施行され、この日から効力を持つ。
要件
- ・公布:官報への掲載により成立
- ・施行:法令が効力を発生する時点
- ・原則として公布から20日後に施行(法の適用に関する通則法2条)
効果・結論
- ・公布により法令の存在が国民に周知される
- ・施行により法令が実際に適用可能になる
- ・周知期間により国民の予測可能性が確保される
試験のポイント
- ・公布と施行の時点は異なる。公布=周知、施行=効力発生と理解
- ・「公布の日から施行」と明記されれば即日施行もある
- ・附則で「この法律は公布の日から起算して6月を超えない範囲内において施行」などの定めに注意
まとめ
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